不幸でネガティブなぼっち、異世界行きました
常に学校では1人。
会話をするのは授業中に先生に隣の人と話し合えと言われたときのみ。
休み時間はスマホと睨み合い、時には寝たふりをしてただ時が経過するのを待つ。
周りがいろんな話題をしてるなぁって思い、時に自分が知る話題があると混ざりたくなってさりげなくアピールしたりする……けど話しかけることはできずに、結局1人。
共感してくれる人もいなくはないだろうけど、大多数にはわからないであろうぼっち特有の症状だ。
コミュ力というものを欠いて生を受けた人間の行く末。独り言の方が多く、学校で話すワードランキングは「あ、」とか「えっと、」とかが独占する。
そんな典型的ぼっち──それが私だ。
かつては人と話そうとする事もあった。でも運命の悪戯──いや、神の嫌がらせのごとく、話しかけようとしたところで相手が話し相手を見つけたりするのだ。
結果としてなんとかコミュ力を上げようと思い、しかしコミュ力を上げる機会に恵まれず……結局私は基本ぼっちだった。
家族と会話の練習をしようとしたこともあるが、両親は仕事ばかりだし、妹様は何故かコミュ強だった。
さらに私は要領も悪かった。
勉強しても成績は伸びないし、成績が伸びないからやる気もなくなる。
運動もダメダメで、得意なのはドッジボールの回避だけだった。
変わる機会も生まれず、家と学校を往復しておうちでネットの世界に籠もる日々……それが私の人生だった。部活はやろうとした事はあったけど、かつて吹奏楽部の体験に行って使用した楽器がちょうど壊れたことがトラウマでやめた。優しい人は「古くなってたんだね~」なんて言ってたけどたぶん私が使ったからだろう。
そして私は──大学受験に落ちた。
一生懸命勉強をしたつもりだった。ある程度の学力はあったはずだし、滑り止めならまず間違いないと思ってた。だけど落ちた。全落ちだ。
結局私はただのダメダメぼっち人間だ──という風に肩を落としながらとぼとぼ帰っていたその時──
交通事故に遭って死んだのだ。
そんな私な訳だが、不幸中の幸いと言うべきか、異世界にて第2の生を受けた。
剣と魔法のファンタジー世界。ここでなら私も第2の生は輝かしいものに──なんて妄想を抱いたら駄目なんだよ!
剣と魔法のファンタジー世界、それだけ聞けば盛り上がる要素しかないだろう。でも私には無理だ。私が異世界で上手く生き延びられる訳などないのだ。
冷静に考えればわかる。異世界というのは日本より危険がいっぱいだ。
そんな世界で私が生き抜く?無理ゲーに等しい。
でも死にたくはない。なろう系といい異世界の主人公というのはその多くがトラック衝突→意識無くなる→異世界だ。しかしここでも不運な私は死ぬまでに少し時間がかかった。
その無限に感じられる時間の中の名状しがたい痛み、苦しみ──あんなものは2度と味わいたくはない。
だからこそ私は異世界において、生き延びねばならない。いずれは老衰で死にたい。そのためにはどうするか、考えねばならない。
どんなコミュ障ぼっちの私でも、その死に方くらいは選びたい!というか苦しみたくない!痛い目に遭いたくない!……そのくらいの贅沢は許してほしいなぁ、他にはあまり望まないので……
もしもどんなチート能力があっても変わらない。私は生き延びたいのだ。できればノーダメで。痛いのも、苦しいのも嫌だ。
大学受験に落ち、交通事故に遭って異世界に転生した。でもこんな不運では終わらせてくれないだろう。それに私は刃向かわねばならない。……そんな考えを持つのがおこがましいとはわかってるけどね。
そんな覚悟?を決めた、0歳の夜だった。
今後書き終わり次第投稿していきます。
そこそこ早く書くけどたまに休暇貰うかもです。
今日はあと1話はあげます。