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6話


「お疲れ様〜。どう? ミーヤの方は終わった?」


 カレナが通信室の入り口から、私に向かって声をかけてきた。


「終わってるわけないじゃないの。思ったより周りでもなんかあったみたい。まだ調査中らしいけど、個別にしか調査してないみたいだから、纏めないとどう繋がるのかわかんないよ。私には無理〜〜ってか、通信から自動で書類を作ってくれる魔道具って便利ね。作った人天才だわ。書くの大変だったもん。ギルドマスターが新しいモノ好きで良かったわ〜。さすが元Aランク魔術師ね、先見の明があるわ。……だけど、もうポーション5本目でお腹タプタプ。ギブよ、ギブ」


 椅子の背もたれに、ぐでっとした途端、


「グゲェップ」


 ゲップ出ちゃた。居てたのがカレナで良かったわ。

 何事もなかったように自然に振る舞い、


「カレナの方はどうなの? 過去のって言ってもどれくらい前まで?」


「んっ、もう……ギルドマスターの指示では2ヶ月ね。意外と仕事あったわよ。もうお昼過ぎたから、一旦中断ね。あんた集中したら時間忘れる時あるから、呼びにきたのよ」


 なんか困った子を見るような表情をしているが、何も言うまい。


「もうそんな時間かぁ。他のとこの話聞いてたら時間なんか忘れちゃうよ。でもちょうど良かったわ、ポーション地獄から解放されたかったし。休憩休憩〜」


 立ち上がり、グッと伸びをし身体をほぐす。

 呆れたようにカレナが問いかけてくる。


「そんなに飲んでて大丈夫。タプタプって言ってたじゃない?」


「大丈夫でしょ? ってか口直ししないと午後からのテンションがあがんないよ。今日はどこ行こっか?」


 休憩前の引継ぎの為、移動中にカレナに問いかけると、


「ごめん! 言い忘れてたけど、今日はニックと約束があるのよ。前から誘われてたけど断ってたからね。でも、ちょっとあってちょうどいいタイミングだったから、今日お昼だけ約束したのよね」


 なんですと?! なんか普段より急いでたし、忙しかった割に愚痴を言わず嬉しそうな様子だったわけだわ。


「ニックって鍛冶屋の息子のでしょ? ディルムはどうしたのよ? ニックってカレナのタイプじゃなかったじゃない。あんなけ面倒臭いって愚痴ってたのに、なんで?」


「違うのよ。そりゃあディルムの方が好きだけどさ、最近ちょっとね。もうひと月だし、こないだ気を許してあげたら調子に乗っちゃってね。もう、束縛の激しいことで……仕事のことでも、何も知らないくせに人付き合いにまで口出ししてきちゃってさ。あいつの所有物じゃないっての!」


 しちゃったんだ。まぁひと月なら長い方か。最近はディルムに付きっきりだったから、全然一緒に呑みに行けてなかったもんな。


「それはそれはご馳走様。でも、なんでニック?」


「ディルムって、昔っからニックに苦手意識あったみたい。腕っ節じゃ勝てないしね。だから、私の存在を再認識させようかなと思ってね」


 クルッと私の方を向き、唇に人差し指を当ててウインク。うん、あざとすぎるわ。


「ハァ……大丈夫? ちゃんと今度は捕まえとかないと、変な噂が流れるわよ。ここ半年で3人目でしょ?あんた、街の中でしか男見つけてないんだから」


 カレナも色々と情報を集めて、男同士の人間関係を把握してるみたいだけど、街の中の人間関係なんて意外と狭いからね。私から、カレナの事を聞き出そうとしてくる男も少なくないし、注意したげなくっちゃ。


「あんたには言われたくないわよ、自覚ないんだから。それに3人目って言っても、知ってるのはミーヤだけじゃん。1人目は年上の独身でしたし、2人目は一週間なかったし。一応、ディルムやニックとは何も繋がりがないことは確認済みだから大丈夫だと思うけど?」


「カレナがそう言ってるうちは大丈夫か。でもなんかあったら言いなさいよ?」


「まぁね。今回は忠告の意味だけだし。あいつだけが特別じゃないんだよって危機感を煽らせるだけだからさ。ついでにニックにも釘を刺しとかないと、またしつこくつきまとってくるからね」


「さいですか。そういうところ上手くやるもんね」


「そうでもないわよ? でも今回は勝算ありかな。ディルムったらあれから私に夢中だもん……童貞はこれからが取扱注意ってね」


 嬉しそうに笑いながら私の肩を叩いていたが、急に真面目な顔になり、


「で? あんたは最近どうなの? あれから半年以上何も聞いてないけど? 私に黙ってコソコソとはしてないと思うけどね。隠し事下手だし〜」


「え〜、何もやましい事はありません。あれからご無沙汰だもん。それより、時間大丈夫? いつものお昼時間とっくに過ぎてるよ? 待たすと、うるさいんじゃない? はいっ! 頑張って!」


 カレナの背中を軽く叩き、送り出そうとした私に軽く膨れて、怒ったように、


「もうっ! 近いうちに呑みに行くからね。ちゃんと話聞かせなさいよ!」


 急ぎ足で出ていった。

 やっぱ、カレナには気づかれちゃうかな。別にやましい事があるわけじゃないんだけど、黙ってることはあるからね。

 カレナは綺麗だし気配り上手で、料理、裁縫もそれなりにできる。性格はちょっとキツめだけど、ちゃんとその人の事を考えて諭してくれるから、いい娘なんだよね。モテてる自覚はあるだろうけれども、あの性格だから、はっきり嫌がるし。だから逆恨みとか嫉妬とか、陰でいろいろいるんだよね。

 カレナの知らない私の男友達から、いろいろ聞いちゃってるからほっとけなかったのよ。上手く口利きしてもらって、下手な事は出来ないようにしてもらったけどね…………でも、その対価がな…………一晩付き合うくらいは別にいいんだよ。おぼこいってわけじゃないからね。

 とにかくしつこかった。調教かってくらい責めてくるの。引いてしまって楽しめなかったわ。二度と相手しないんだから!


 ……ってそれはさておき、カレナとはほぼ同期で、二週間ほどカレナの方が先輩かな。初めての就職で、住む所の無かった私は、もちろん寮生活だったわ。その時の同居人がカレナだったのよね。

 私より半年ほど歳上だけど、全然大人びてたわ。

 此処とは違う、もう少し小さな町から引越してきて、ギルドに就職を決めたそうだ。

 歳も近かったから、すぐに仲良くなれたわ。ズボラな私を叱りながらも、よく面倒見てくれました。

 ひと月ほどで、1人部屋にそれぞれ移ったけれど、料理出来ない私を心配して一緒に料理作ったり、お酒呑みに行って仕事の愚痴とか、男との話で盛り上がったりいろいろあったな。


 この街での最初の彼氏が商人の息子だったわ。初めての街で買い物してた時に知り合ったのよね。3ヶ月で終わったけど。相手が二股かけてたのよね……なんか幼馴染とマンネリだったらしく、何も知らない私にいろいろと案内するのが楽しかったらしいわ。彼女には友達って言ってなんとか宥めたけど、ちゃっかり手は出されてますからね。無いふりしたけど後は知らない。

 なんか虚しくなって落ち込んでるところに、研修してる私に気があった冒険者が、声をかけてきたわ。

 寂しかったのもあって、ついフラフラっと付き合った時には、


「仕事場では、恋愛しない方がいいわよ。周囲は冷やかし以上に、貴女のこと軽く見出すからね」


 って注意してくれたっけ。

 でも、そんな忠告を無視して隠れて付き合い、ひと月が経った頃、彼がこの街を出たがって王都に行くって話を他の冒険者から聞いたの。私には何も言って無かったのに、もう出る準備が出来てたそうよ。

 遊ばれてたって思ったら、カレナと呑んでる時につい愚痴ちゃった。

 彼女、大激怒だったわ。

 次の日、カレナは私たちを可愛がってくれてたデイトンさんとか、中堅のまとめ役の人たちに相談して、一緒になってボコってたなぁ……懐かしいや。


 楽しそうに走っていくカレナの後ろ姿を見たら、つい思い出に浸ってしまった。


「いっけない、私も早く行かないとお昼終わっちゃう!」


 手早く引継ぎを済ませ、お昼休憩に出かけた。

今回、軽視と感じられ不快に思われた方もいっらしゃるかもしれません。

しかし、生き方を否定しないであげてください。

人生とは選択の連続です。失敗することの方が多いでしょう。その時にはその選択肢しか考えられず、後になって「ああすればよかった」なんて多々あります。後の祭りです。でも後悔しない、経験としてこれからを進んでいく事を、肯定してあげてみてください。


偉そうなこと言ってますが、楽しく書かせていただいてるので、ネタとしてまたおかしなこと書くかもしれない言い訳ですww

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