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30話



毎度、ご閲覧頂きありがとうございます。

前回は、長いスパンがあったにも関わらず引き続き見て頂けて恐悦至極であります。

ブクマして頂いたり、評価入れて頂けたりと感謝です。

相変わらずの不定期となりますが、色々と環境が落ち着いてきたので、また時間作って頑張ります。






 早めの昼食を済まし雑用を片付けていたが、なんか心ここに在らずというか、現地の事が気になって仕方がない。


「今んとこ急ぎの仕事も終わったし、する事無くなっちゃったね。今頃はどうなってるのかな? 皆んな無事かな?」


 誰に問いかける訳でもないのだが、こんな気分の時は自然と独り言を呟いてしまう。


「そうね。ギルドマスターも補佐官も出て来ないし、どんな状況か気になるのはわかるけど……今の私達にできる事なんてないでしょうし。私達はレイドなんて大規模討伐、初めての事だし、もうっなにしたらいいかわかんないわ……前の時の資料とか報告書ってどこかにあるんだろうけど……」


 おっ、カレナもモヤってたんだね。それに過去の報告書か……通常の討伐なら、討伐証明部位と現地の依頼主のサインで照合するだけだからなんの参考にもならないけど、特殊な状況であったり、依頼内容に不備や変更があった時には報告書を提出してもらってる。私はまだお目にかかったことはないが、緊急依頼の際にも報告書は作成されている。王都周辺であるこのあたりでは滅多にないが、大森林とか辺境辺りではたまにあるらしい。特殊個体の報告なんかもそうだ。ギルド本部に提出して、対策会議や生態調査などの依頼をかけたりとか。そういう報告書が地下の資料室に保管されている。


「資料室かぁ……年代と項目別に分類はされてるから特定の資料を探すんなら、まだなんとかがんばれるけど……レイドなんて項目無かったよね? 直近でいつあったかなんて聞いてないし、あんなけの資料を片っ端からなんて……無〜理〜〜……」


「それはそうでしょう。私だって何の情報も無いまま、一から調べろって言われても断るわ。せめて、いつ頃にどんな内容だったかくらいはわからないと。ギルドマスターか補佐官に聞いてみるしかないんじゃない?」


「だよね〜。いま聞きに言ったら怒られそうかな? でもすることないし、今後の対策のための勉強って口実じゃダメかな?」


 私が言いに行くと怒られそうなビジョンしか浮かんでこない。悪い事を企んでる訳では無いのだが、なんか後ろめたさみたいなものを感じる。


「なによ、いつもの貴女らしくないわね? いつもなら言い訳にすぐ口が回るくせに」


「もうっ! いつもの私は“日頃の行いが悪い”みたいな言い方やめてもらえますぅ〜? ちゃんと空気読んで行動出来ますぅ〜!!」


「まぁ、現状がどうなっているのか聞きに行くついでに提案してもいいんじゃない? いつもと違って、する事がないと落ち着かないのは私も一緒だから」


 カレナの同意も得たし、口実も完璧。一人では心もとなかったのも事実で、巻き込むことにも成功。


「じゃあ早速、言いにいこっか! レティシアも暇してるみたいだし、何も無いから一人で任せてもいいでしょ」


「なんで私も一緒に行く事前提なのよ?」


 怪訝な顔をするカレナに、ニパッと明るい笑顔で手をとり、


「資料漁りを私一人にいかせてもいいの? いつまで立っても帰ってこない自信あるんだけどなぁー」


「そんな自信いらないわよっ! 全く……結局巻き込まれるんじゃない」


 溜息を吐きつつ、レティシアに手招きしている。


「でも、それを望んでもいたでしょ? 『する事がないと落ち着かない』って言ったよね?」


 ふふふっ……私の呟きに聞き入った時から我が策にハマっていたのだよっ!


「んっ、もうっ……ニヤニヤするの止めてよね。仕方ないから付き合ってあげるわよ。しゃあなしなんだから貸しひとつよ」


 文句言いながらも付き合ってくれるんだから……好きっ、愛してるわと抱きつこうとしたら全力で拒否された……その胸に顔を埋めて癒やし効果を堪能したかったのに。

 レティシアに代わってもらう際にも、


「二人してズルいっ」


 と、何故か私だけ貸し一つ付けられてしまった。




 カレナと通信室の手前に着いた時、いきなり扉が開き補佐官が出てきた。いきなりの登場にビックリしていた私達の姿を見て、


「こんな所で何してるの?」


 と、若干の怒り顔にビクッとしながらも……落ち着け、私。

 まだ何も言ってないし、やらかしてもいない。


「えっと、あらかたやる事終わったんで手持ちぶたさになっちゃって、カレナと2人で相談してたら、過去のレイドの資料でも確認してぇ、出来る事でも探そうかなぁって…………ねっ、カレナ? ってイタッ!?」


 ナゼにお尻をツネるのですか?


 そして呆れ顔で私達を見る補佐官。


「まあいいわ。そんなことより、暇になったんならちょうど良かったわ。あなた達、着いてきなさい」


 そう言い、さっさと先を歩いていく。

 そんなことって軽く流されちゃったよ。ちょっと不貞腐れながら大人しく着いて行ってると、カレナが補佐官に問いかけた。


「何かあったんですか? この先って資料室ですよね? もしかして現地で何かありました?」


「そうね。お察しの通り、現地で動きがあったわ。例の繭がね、この場合は孵化って言っていいのかしら? 魔法生物になったらしいわ。2つは巨人型で4本腕、もう1つは目玉の化け物らしいのよね。巨人型の方は見た目からして、何とか対応は出来るだろうって判断なんだけど、目玉の方は流石に彼女も見た事ないみたいでね。伝承にそんな魔物があったかもって事だったから、参考程度に確認しておこうと思ったのよ。調べ終わる頃には間に合ってるかわからないけどね」


 初見のモンスターほど注意すべき存在はいないであろう。力も知恵も、どのような能力を持っているのかさえも不明なのだ。判断を誤れば、すぐに死が隣り合わせに迫っているのだ。

 初見の魔物の話なんて、そう言えば聞いた事なかったな。珍しい魔物の存在も確認されているけど、それでも図鑑にはある程度の生態や行動、能力なんてものが載っている。近郊の分布の魔物は研修の時に教わったけど、ギルドの蔵書の一部でしかない。冒険者が初めて見た魔物も、じつは‘〇〇〇でした‘なんて事は多々ある。依頼などで見慣れない魔物が出た場合などは、安全性を確保するためにすぐさま調査、報告し、討伐という流れが一般的だ。生息地域によって多少の違いはあっても、全くの新種なんてものは聞いたことがない。それこそ、伝承とかの不確定な存在だ。

 伝承の魔物とは、過去に発見はされるも戦闘での記録しか残されていない厄介な存在である。何故、戦闘の記録しか残ってないのかと言うと、その時その場でしか目撃例がなかったからである。遺跡の奥深くであったり、何かの召喚の失敗であったり、空間が裂けて突然現れたりと、生態系という常識を外れた存在が伝承として残されていた。しかも揃って好戦的ときており、討伐が必須なのであった。専門家の見解では異界の魔物であるとのことだが、どうやってそれを証明するのか議論は分かれているらしい。


「伝承にあったかも知れないってことは、ある程度の戦闘記録が残されてるかもしれないって事ですよね。のんびりしてる場合じゃないじゃないですかっ!! 今にも窮地に立たされているかも知れないんですよ?」


 イレーヌさんのピンチかもって思うと気が動転して、補佐官の背中を押して先を急がせる。


「何をそんなに慌ててるの? 急いだ方が良いのはわかるけど、彼女達だってベテランよ。初見で無謀なことはせず、堅実に相手の手札を調べて冷静に対処しているはずよ。彼女達が調べてきた特殊個体の報告も、細かく観察してる事がよくわかる素晴らしいものよ。それに、私達が焦った所で現地の状況は常に変化するわ。良い意味でも悪い意味でもね。現地の事は彼女達の無事を祈る事しかできないけれど、私達は“もしも”に備えた“先”を見据えないといけないの。仮に悪い結果になったとして、私達が何も知らないで更なる犠牲が出るのだけは阻止しないと、現地に赴いた人達の行為を無駄な事にする結果になるわ。そう言うのは嫌でしょ?」


「……う〜……おっしゃりたいことはわかるんですよ。でも、そこまで割り切れるほど、わたし…………」


 いたたまれない気持ちになり俯いた私に、


「大丈夫よ。彼女達なら何とかしてくれるわ」


 そう言い、私の隣に来て頭を抱えて撫でる補佐官。


「何でそんなに心配してるの? 誰か気になってる人が居たっけ?」


 カレナがいらん勘ぐりをかましてきた。


「あらっ? 貴女もレティシアみたいに気になってる人がいたの? 普段はそんな素振りなかったみたいだけど……意外ねぇ〜」


「私にもわからないようにするなんて、どう言うこと?」


 いやいや、ここの連中に気になる人なんている訳ないじゃない。どう転んでも遊び相手にもしないわっ!

 スンッとした表情になった私は、


「無理でしょ? 酔った勢いでさえもありえないわぁ〜」


 呆れ顔になる2人。


「純粋に、職場の誼で心配してるだけですぅ。そんなことより調べ物しにいきましょう。現場の状況は常に変化するものなんですよ。他にも調べ物やする事がふえるかもしれないじゃないですか」


 そそくさと先を急ごうとする私の後ろで、


「「怪しいわね」」


 2人の声が重なるのであった。







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