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幕間4(2)


お久しぶりです。

今回1ヶ月もお待たせしました。

怠惰ですねぇ…色々とあったのは言い訳になるので反省はします。




 森の中心地付近は荒地と化していた。半径50メートル程は樹々がなぎ倒されている。

 中心地には、8メートルほどの大きさの繭が3つ黒いモヤを出しながら、大きな魔法陣の上にあった。繭から出ているモヤは紫色に光る魔法陣が吸収しているようだ。魔法陣の周辺からはマナが広がっている。


 荒地と化した周辺を、イレーヌと監視隊のリーダーであるBランクのギムレフが調査に回っていた。


「あの繭から出てるモヤは魔力体みたいね。意志は無いみたいだけど、周囲のマナを取り込んで変質させてるみたい。それを魔法陣が取り込んで繭に循環させてる、っと……これってアレに似てるけど、魔法陣を見てみないとハッキリしないか」


 2人は荒地の外側から観察していたのだが、イレーヌが少し考え込んでる所に、


「何か知ってるのか? うぉっ!? なんだこりゃ? この感じ……かなりヤバいじゃねえか。Cクラスの連中でギリ動けるか……この重圧はあれが原因なのか?」


 ギムレフがふと荒地に踏み入った時に、まるで水の中に入ったような纏わりつく濃密なマナに驚き、そのような言葉を発していた。イレーヌも探るように荒地に右手を伸ばしていた。


「これだけの濃いマナの中だと魔力酔いを起こすかもね。でも、中心地はアレが吸収してるからいくらかはマシなんじゃ無いかな? でも気配にビビるかな? 近くに行かないとあの魔法陣の仕組みもわからないからね。ちょっと見てくるから大人しく待っててね」


 イレーヌが呪文の詠唱を始めると、身体に薄く光る膜が張られていくのが見える。膜の厚みを確認しながら、右手で荒地のマナと波長を合わせていく。ギムレフがその光景に唖然としてるうちにイレーヌを包む膜は光を失っていった。完全に膜が見えなくなると、イレーヌはそのまま繭のほうに駆け出して行く。


「何なんだよアイツは……」


 ギムレフはポツリと呟き、その場に座り込んだ。




 魔法陣の手前まで到着したイレーヌは、周囲を一周しながら魔法陣の配列を眺めていた。魔法陣の術式はめまぐるしく変化していたのだ。通常であれば魔法陣とは、固定された術式配列により安定した術の行使を可能とするものである。ところがこの魔法陣は短い周期で術式が変化しているのだ。


「これはまたすごいわね。このやり方は考えなかったわ……錬金術の副産物かしら? 面白いもの見れたし、私も研究してみようかしら」


 そう呟きしばらく変化していく魔法陣の配列を眺めた後、ギムレフの元へ帰っていった。




 考え事をしながら帰ってくるイレーヌを見て、ギムレフは不安に駆られていた。この荒地内を平気な顔で進んでいった者が、魔法陣をしばらく眺めていたと思ったら肩をすくめ、考え事をしながら帰ってくるのだ。駆け出してイレーヌを問い詰めたい衝動に駆られるが、荒地に踏み込むと先程と同じ様に重圧で躊躇してしまう。不甲斐なさに苛立ちながら、大声を上げる事も出来ずに帰ってくるのを待つしかなかった。

 のんびりと帰ってきたイレーヌが荒地から外に出た瞬間に、


「おいっ! 何のんびり帰ってきてんだよっ! しかも考え事しながらだと何があったのか不安になるじゃねえか。のんびり帰って来れるだけの余裕があるのかも知れねえけどよ、待ってるもんの身になれってんだっ! だいたい、いくらAランクだからって自分勝手がすぎるんじゃねえか? 何のために俺も一緒に付いてきてると思ってるんだ。普通こういう時は相談なり何なりあるもんだろうが……それを何の説明もなしに1人で突っ走りやがって」


 イレーヌを睨みながら文句を言っているギムレフに対して、キョトンとしているイレーヌであったが、不意にプッと笑いが溢れていた。


「ごめんね。確かにその通りだわ。いつもの癖で勝手に行動したのは謝るわ。でも……Aランクの私を心配してくれてたんだ〜それとも信用されてない?」


 おどけた感じで身体をくねらせるイレーヌに、


「おまっ!? ふざけてんじゃねえぞっ! ……はぁ……こんな事なら俺いらねぇじゃねえか」


 溜息を吐きながらうなだれているギムレフに、


「ごめんごめん。冗談が過ぎたわ。相談と説明がなかったのは謝るわ。でも信頼していたからこそ説明してなかったのもあるんだけどね。まず、この荒地の状況。対策を取らないと危険であるのはわかってると思うの。それにあの繭と魔法陣。調べるにしても知識のあるものが行かないと何が起こるかわからない。そこで、知識と対抗策の出来る私が行く事は決定になります」


 そう説明を始めたイレーヌに、ギムレフが疑問を挟む。


「対抗策があるなら1人より2人の方がなにかあった時対処しやすいんじゃないのか?」


「対抗策と言っても、予期せぬ事態の時は自分以外を守る事なんて無理に決まってるじゃない。だから、何かあった時はその一部始終を報告する者が必要になるでしょ? 役割分担。適材適所よ。それにどう見たって、好き好んであんなのに近づきたい奴いてると思う?」


 ギムレフは呆れた顔をイレーヌに向け、


「お前がそれ言うの? 大したタマだよ…………で? どうなんだ。あれは一体なんだったんだ?」


 ギムレフは繭の方を注視しながら、イレーヌに問いかける。


「あれね……かなり厄介なものだわ。仕組みはわかったけど今の時点じゃどうすることも出来ないわね」


「おいおい、あのまま放置かよ? 魔法陣なんて傷つけることが出来たら機能を失くすんじゃなかったか? それかあの繭をぶっ壊すとかよ」


 自分でも無茶苦茶言ってるなと自覚しながらも、イレーヌに意見してみたのだが、同じように繭を見ていたイレーヌが溜息をつき、


「そうね。一発どんな威力のものでもいいからぶち込んだらアレは壊れるわね。石ころ1つでも大丈夫よ」


 ギムレフに微笑を向けるイレーヌであったが、


「そうするとね、あの魔法陣の魔力体が異物を感知した時点で、周囲のマナと繭に溜め込んだ変質させたマナを圧縮して高濃度のマナが生成されるのね。混合されて圧縮されたマナは凄まじい熱を帯びたままさらに圧縮されていき、石を溶かす温度くらいになったら爆発するわ。爆発して四散した混合マナは一緒に取り込まれていた魔力体によって、拡散してるマナを取り込み連鎖爆発を起こしながらこの森ごとドカンって感じ。もちろん爆発の余波で周辺にどれくらいの被害があるかは想像したく無いけどね」


 しれっと恐ろしいことを言ってのけた。何を言われたのか一瞬わからずにポカンとしていたギムレフだったが、事態の深刻さに気付き慌てる。


「お前よくそんな状態の所にのこのこと行けたもんだなっ。お前が近づいた時に異物って認識されたら、この辺り一体が爆発してたんだろ? なんかあった時の連絡役なんて意味ないじゃねえか」


 イレーヌはなぜかドヤ顔をしながら、ギムレフの目の前でチッチッと人差し指をふり、


「荒地に入る前に私が呪文唱えてたの見たでしょ? アレは感知防御の一種よ。周囲のマナの魔力波長を合わせて同化してたの。この中のマナに影響を受けなくなるから動きやすくしていたわけ。まぁ、結果的に魔法陣に影響を与えなかったのはラッキーだったわ」


「しれっと恐ろしい事を言ってるのを自覚してるのか? 行き当たりばったりじゃねえか」


 親指をグッとし、テヘペロしているイレーヌ。呆れた顔をしてギムレフは、


「で? アレはどうなるんだ?」


 繭をまた見て問いかける。


「今はどうしようもないわね。下手に触ると何が起こるかわからないわ。あれを作ったやつ大したもんね。と言うことで、作戦の練り直し。帰りましょ」


 それだけ言うと皆のいる方に歩いていく。ギムレフは慌てて追いかけながら、


「あのまま放置していいのかよ? 誰かが入ったりして爆発したらどうするんだ?」


「あそこに入る事態が困難なのは貴方も体験してるでしょ? 荒地周辺に近寄るにしてもあの重圧を耐えれるわけないじゃない」


 ギムレフは後ろを振り返り、「それもそうだな」と呟き、イレーヌの後をついて皆のもとに戻って行った。






またまた不定期ですが、ご了承ください。

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