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幕間3(2)


短めで更新。

次で幕間3は終わりです



 盗賊ギルドの本部は簡単な作りのものだ。先程の部屋を入り口として通路が短くあり、扉のない高さ5メートルに20メートル四方の広い部屋につながっている。部屋の中は、1.2メートルの高さの仕切りで囲まれたブースが複数あり隠れるようにしない限りは、どこに誰がいて何をしているのかわかるようになっているのである。あえてオープンにすることにより情報漏れの危機感を煽り、どこに居ても緊張感を持てるようにする為の一環としている。


 そんな部屋の1番奥に、3メートル幅の扉のない部屋がある。ここは盗賊ギルドのマスター、通常では『ボス』と呼ばれている者の執務室である。今は1人の痩せぎすの男が大量の書類と睨めっこしていた。イレーヌは挨拶も無しにその部屋に入っていく。部屋に入るときに独特の違和感を感じる。扉はないが、多重の結界によって隣の部屋と区切られているのである。入るのは容易いが、出るには『ボス』の許可が必要であった。これは万が一、ここでボスが殺された時の牢獄にもなる。

 イレーヌは結界が正常に作動しているのを確かめる為、『ボス』に背を向けて結界に手を伸ばした瞬間、周囲から短剣が飛来した。入り口のイレーヌに向かって死角がないと思われるほどの数十本の短剣が襲いくるが、イレーヌの30センチ手前で硬質な音と共に弾かれた。


「あらぁ、ひさしぶりなのにずいぶんなご挨拶ね。そんな嫌われることしたかしら?」


「入ってくるなり、術式展開したら防衛機構が働くに決まってるだろうが……にしても、それ便利だよな。俺にも譲ってくれよ」


 このやりとりも監査の一環である。設備の不具合がないかの調査であった。


「これはダメよ。そもそも貴方が扱おうとしたら頭パンクしちゃうわよ?」


 イレーヌが短剣を防御したのは、意思ある魔道具インテリジェンスアイテムによって展開された結界術によるものだ。意思ある魔道具は、所持者の精神に感応して所持者を操る危険なアーティファクトである。常時、所持者に対して精神攻撃を仕掛けてくるので質が悪い。これを防ぐには強靭な精神力でねじ伏せるか、精神攻撃を遮断するのが主な対処法である。イレーヌは前者であり屈服させている。


「だよなー。そんな危ないの使ってるのなんて、幹部連中でも一部だしな。で? ここに来たって事は訳ありだろ? 俺は何したらいい?」


「みんな聞き分け良くて助かるわ〜。私ったら愛されてるぅ。まぁその前に情報共有ね」


 イレーヌは昨日の事件の発端について語る。


 デミリッチが欲していたものは、『魔王の心臓』と呼ばれるものであった。かなり昔に封印されたらしい悪魔族の王の心臓だ。デミリッチを使役したものは別次元の存在と思われる。用途は不明であったが、かなりの魔力を有しているのだろう。ちなみに現在、魔族と呼ばれている者たちはダークエルフ族である。エルフ族と違い、精霊とのつながりは人族と大差ないが、異界の神の加護により独自の魔術体系を持っている為、そう呼ばれている。

 では、デミリッチはなぜこの街にそれがあるとわかったのか? 実は一瞬だけ魔力の残滓が漏れた時があったらしい。しかし、魔力感知に自信のあるイレーヌでさえ、そのような魔力を感知しなかった。デミリッチが言うには、使役されていた時の存在が感知していたとの事だ。イレーヌの推測では、封印とは次元を隔てた空間に拘束する術である。では、封印がこの次元ではないところで繋がっているとしたら、この次元に存在しているものが感知できないのも道理であろう。そうならば、この世界での魔力追跡では発見は不可能である。地道な出入管理の調査によって不審な者や物品を探っていくしかない。

 という事で、行商人や物の流出を把握しやすいここに来たのである。


「ずいぶんと物騒なモノ持ち込んだものだな。しかし、この街の物流は1日分だけでもかなりあるぜ。時間かかるがいいか?」


「そうね、残滓を感知したらしいのが6日前らしいから10日前あたりから調べてみてくれるかしら? 神殿に行った行商人と流れの冒険者も調べて欲しいわね。モノがわからないから時間かかるでしょうけど、キーなら他の誰よりも早く調べてくれるでしょ?」


「誰から聞いたんだよ。今いる奴らで知ってるの数人だけだぜ? 情報漏洩見直さないとダメかぁ……」


「私だからいいんじゃない? 今、ドランに呼んで来てって頼んでるし」


「ホント、姉さんは人使いが荒いわね」


 いつの間にか入り口に少女が立っている。ざんばら髪に薄汚れた服装で、いかにも孤児に見える10歳くらいの少女だ。少女はそのまま中に入ってきて、近くの椅子に腰掛けた。


「姉さん、久しぶりね。昨日から居てるの知ってたけど、まさか呼び出されるとは思わなかったわ。ちらっと聞いてたけど、また面倒事?」


「またって何よ〜。それに貴女に姉さんなんて呼ばれるの微妙なんですけど。見た目だけじゃない」


 この少女は実年齢はイレーヌの倍ほどある。幼少期からの特殊な訓練によって成長を止めている。情報収集を専門にしている幹部の1人だ。この街にはもう3ヶ月ほど居ており、あらゆるところに潜り込んでいる。イレーヌはキーを交えた3人で打ち合わせをした後、娼婦が集う薔薇小路に向かった。




週1ペースは遅いですね。頑張ってみます。

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