18話
またまた遅くなりました。環境が変わると筆が進みにくい……
あらかたの報告書のまとめと依頼書の発注が終わり、椅子の上で大きく伸びをし固まった身体をほぐす。カレナも肩を揉んだりしてるが、さっきのことが頭の片隅によぎり、
「な〜に? 胸が重たいなら貰ってあげるよ?」
「バッカじゃない? 何拗ねてるのよ? 大きければいいってもんでもないと思うけど?」
「そうは言ってもさ、やっぱ見た目に男は寄ってくるじゃない? カレナの大きさって、ちょうど男の目線がいきやすいと思うんだ。制服がピタッとなって強調されてるじゃない。私のは……ちょっと余裕ある……」
説明してたら虚しくなった。
「ちょっとぉ、自分で言っといて何落ち込んでるのよ? 私はミーヤの胸好きよ。形綺麗だし。ちょうど手に納まるのって羨ましいもん」
「慰めはやめてっ。……でも、カレナみたいにこの大きさが好きって言う人もいるはずっ! まだ成長途中なのよ。カレナなんて牛みたいに垂れるんだわ!」
パァンと、後頭部を小気味良い音が鳴り響く。
「冗談じゃないのよ〜そんな鋭いツッコミいらない……」
プリプリと怒った顔がなんともいえないくらいに可愛らしい。そりゃあモテるわ。
「それよりも、もうお昼だね? 今日はどうする? 昨日の今日で約束はないでしょ?」
「ええ、今日はフリーよ。ご一緒してあげる。何処行こっか?」
そんなことを話してると、ギルドマスター達が降りてきた。
「それじゃあ、イレーヌさんにも伝えといてもらえるか。そう言えば、司祭がシフォールさんに話があるとか言ってたな、寄ってみてやってくれ」
「あら、なにかしら? 後で行ってみるわ」
そうだ、2人も誘ってみたらどうだろうか? カレナに言ってみると承諾してくれたので、
「お二人とも今からお時間ありますか? 私達これからお昼休憩なんですけど、一緒にいかがですか?」
「特に用事もないし私はいいわよ。シフォールはどうする? 司祭のとこに行くのか?」
「急ぎかどうかも伝えられてないし、後でもいいわ。私たちを誘う人なんて、なかなかいないからね〜貴重なお誘いを無下に出来ないでしょ?」
「そうと決まれば早速行きましょうか。少しだけ待っててくださいね、用意してきます」
カレナといそいそと引継ぎをすまして、お財布を持って出る。どこ行こうかとカレナと相談した結果、4人でゆっくり出来そうな所といえば、個室完備の竜泉の酔いどれ亭に決定した。一度店までは行ったことあるのだが、その時は看板のメニューを見て断念した。今日はフンパツである。
いつもはデザート含めて10コパ以内で済ませているが、竜泉の酔いどれ亭は高級店である。30コパを超えるのだ。今日は気合を入れていく……店に到着し、カレナと財布の中身を相談していると、
「無理しなくていいんだよ。私らはお酒とつまみがゲテモノじゃなければ大丈夫だからさ。見るからに高級店だろここ? 予算オーバーするほど無理しなくていいぜ」
「はい……予算オーバーは認めますけど、4人がこの時間帯でゆっくりできるとこが限られてるんですよね。大丈夫です! ギルドマスターに接待費を申請します」
そんな冗談を言ってると隣の店から見知った人が出てきた。
「あら? みんな揃って何してるの?」
ティッチさんだ。
この界隈はそこそこ高級店が揃ってる。ティッチさんの出てきた店も、ランチをコースで出すような店だ。
「そのお店に入るの? 奇遇ね、今から入ろうと思ってたのよ。一緒に行くわ」
トコトコとお店の中に入って行った。突然の展開に唖然としていた私たちは、
「今、そのお店から出て来てましたよね? 食べて来たんじゃないんですか?」
カレナがシフォールさんに聞いている。
「いつもの事だから気にしないで……私達も行きましょうか。ティに見つかったら逃げられないわ」
「何してるの? 早く入りなさいよ」
店先から顔を出して、ティッチさんが呼んでいる。カレナと2人、ミリアさんに背中を押されて店に入った。
5人に増えたが、なぜか大部屋に通される。20人くらいは座れそうな部屋だ。何故? 店に入った時にティッチさんが店員に何か言ってたようであったが……カレナと部屋を見渡していると、
「いらっしゃい、ティッチ。久しぶりだな。王都であった以来か?」
まさかのこの店のオーナー兼料理長のフォードルさんが現れた。
「久しぶりね。こないだ行った時に副料理長が昇格して店を任されたって言ってたから、どこに行ったのかと思ってたら、ここで会えるとは思ってなかったわ」
ティッチさんとフォードルさんに加えシフォールさんとミリアさんも交えて、和気藹々とした様子に取り残された私とカレナが呆然としていると、
「おお、これは申し訳ない。久しぶりの顔ぶれについ話し込んでしまいましたな。お連れがいるのなら言ってくれよ……珍しいな、皆が他の方と食事とは。しかもギルドの有名お嬢さん方じゃないですか」
急に話を振られてビクっとしたら、
「そんなに畏まらなくてもいいわよ。フォードルとは顔馴染みだから、好きなところに座ってちょうだい。オススメを適当に出してもらうから好きなものを食べたらいいわ」
「えっ? いえ、私たちは普通にランチでいいですから」
カレナが真っ先に恐縮した様子で断りの返事をしたが、
「何言ってるの? 私も同じのが食べたくなるからついでなのよ。シェアした方が色々なものが食べれるじゃない」
ティッチさんはそう言って、とりあえず10品ほど持ってきてとか言っている。
またしても呆然としている私たちに、
「ティが食べたいもの頼んだのを、つまんでいったらいいよ。別々に頼んでもつまみ食いされるからな」
ミリアさんはそういい、
「それにまだ10品しか頼んでないからね。あと10品は頼むわよ、あのコ」
シフォールさんが、当然のようにとんでもない事を言った。
「いくら5人いるって言っても頼みすぎじゃないですか? 食べきれませんよ?」
「気にしなくていいから座りなさいよ。食事の席は楽しむものよ。久しぶりの大勢での食事なんだから」
ティッチさんが何だかテレたようにして頬がふくれてる。
お言葉に甘えて席につき、まだ聞けていない昨日の事とか聞いていた。そうこうしていると次々と料理が運ばれ、あっという間にテーブルが埋まっていく。フォードルさんも来て料理の説明をしてくれた。高級店だけあって食材が凄い。いつものマスターの店もそうだが、手間暇かけた料理が多い。そりゃあ高くなるわ。マスターのお店が安すぎるのか? でも私のお財布の為に内緒にしておこう。
「フォードルさんと顔馴染みみたいですが、王都でよくお店に行ってたんですか?」
ティッチさんに尋ねてみる。
「フォードルがいた時は2回くらいしか行けてないわね。そうだわ! フォードル、一度王都に行きなさい。今の料理長は悪くないけど、貴方の味を再現することに固執しすぎてるわ。新しさが足りないわよ。貴族相手なんだからもっと創意工夫しなきゃ。貴方みたいに冒険に出かけさせて、その時取れる食材を、いかに美味しくするか学ばせなきゃダメよ」
「手痛いアドバイスだな、おい。言いたい事はわかるが、ちゃんと基礎は押さえてるぞ。再現出来てるなら後はあいつの努力次第だな。だがもう5年になるしな、一度顔出すのも考えるか」
ティッチさんとフォードルさんは料理談義で話が盛り上がってる。私達も王都の話など色々と聞いていると、休憩時間があっという間に過ぎていった。
少しお休みがあったので、家でのんびり執筆しようとすると色々なことに時間が割かれる。
仕事中が一番捗るとは……サボりすぎやろ。




