幕間2(2)
幕間って長くなりやすいな。
短めやけど分割します。
突如現れたレイスによって、街は混乱に見舞われていた。
対抗手段のある冒険者は、今残っている者でも10数名のみであった。もちろん警らの一般自警団には対抗手段などない。対抗手段の無いものは、この時間にも開いている酒場や、外出している者へ注意喚起に奔走していた。
「どうなってんだ?! なんでこんなに大量のレイスが出てきてんだよっ!」
街の至る所で出現していると聞き、愚痴をこぼす冒険者達。今のところ、一般人や街には被害が及んでいないが、冒険者達にはチラホラと負傷者が出てきている。
どうも行動がおかしい。一般人とみえる者は追いかけるだけに留まり、室内に逃げ込むと追ってこない。しかし、冒険者と見ると室内だろうが執拗に追いかけ回し、行動が制限される位になると攻撃を止め次のターゲットに移る。レイスらの行動の意味が掴めない。
また1人の冒険者がレイスの魔法によって、壁に叩きつけられ少なくないダメージを負っていた。
「チッ……俺らだけじゃあ対処しきれねぇな」
愚痴をこぼすも、やるしかないと決意を込め立ち上がる。
レイス達はニヤリと、弱者を痛ぶるのが楽しいと言いたげな醜い笑顔を浮かべ、呪文を詠唱しだした。
レイス達はなぜか大規模範囲魔法は使ってこない。元は魔法使いの成れの果てである。それなりの術式を構築できるくらいでなければレイスにはなれない。しかしこの街に現れたレイス達は、衝撃波系の呪文しか使用してこないのだ。
この冒険者もDランクで上位に入る冒険者である。レイスとの戦闘も何度か経験積みではあるが、1人で複数と対峙するとなると流石に無理があった。
冒険者を囲み呪文を浴びせようとした時、1体が悲鳴をあげた。
「遅くなりました。助太刀しますよ」
「他のとこも送ってるが数が数だ。こいつらをサクッと片付けて他の奴らのところに行くぞ!」
声のした方を見ると、神官服を纏った者と盗賊風の2人が1体のレイスを消滅させていた。
予期せぬ乱入者に、残ったレイス達は詠唱を乱されたがすぐさま呪文を詠唱し始める。冒険者にとっても、予期せぬ助っ人であったが気持ちを入れ替える。
「助かった! あとで話を聞かせてもらう。まずはこいつらだっ!」
神官服の男は冒険者の負傷を素早く癒し、冒険者は近くのレイスに斬りかかる。盗賊風の男はレイスの詠唱を妨げる為に、2体へ仄白く光るナイフを投擲していた。
冒険者の近くにいたレイスの腕に、ナイフが突き刺さる。ナイフには事前に神聖術で加護をかけてもらっており、刺さった所から血が飛び出るように白いモヤが噴き出し、レイスは悲鳴をあげた。その隙に冒険者は、自身が持つ魔法剣であるショートソードをレイスの胸辺りに突き刺す。本来であれば、このショートソードは光るしか出来ない魔法剣である。しかし、魔力を帯びているので霊体系にも通用するのであった。ナイフほどのダメージではなさそうであるが、刺さった感触は感じる。そのまま斜め下に振り切る。すんなりと斬り裂いた勢いのままに身体を回転させて、今度は頭部から斬り下げた。
斬られた所から、白いモヤが蒸発するように消えていき、レイスはくぐもったうめき声を漏らし消滅した。
もう1体のレイスはナイフを避け、唱え終えた呪文を神官服の男に放っていた。神官服の男は手を前にかざし、
「守護よっ」
短く呪禁を放つと、手のひらよりふた周りほど大きい障壁が現れ、魔法を受け止める。衝撃は逃せないのか1メートル程後退させられていた。レイスは追撃するべくその男を追う。その背後から、
「狙いはわかるが悪手だったな」
盗賊風の男がレイスの首筋にナイフを突き刺す。苦悶の表情を浮かべ、刺した男を睨みつけるレイスであったが、
「哀れですな。悔いて逝きなさい」
視線が逸れた隙に近づいた神官服の男は、レイスに神聖術を込めた掌底を胸に叩き込んだ。
鈍い衝撃音が響き、レイスの胸に穴が開く。そこから外側に向かって消滅していった。
「ふぅ……とりあえず助かった。礼を言う。だが、なんで神殿のヤツと盗賊ギルドが組んでるんだ? 緊急事態とはいえ、無いだろ?」
「こちらにも事情があるのですよ。上には逆らえないという事情がね」
「この状況で俺らが動かなかったら示しがつかないからな。そういう訳だから、単独行動は禁止で最低3人組で行動しろって指示だ。他にも街中に散らしてるから次行くぞ」
冒険者は心強い助っ人が出来た事に安堵し、次の現場に向かった。




