13話
いつも読んでいただいてる皆様へ。
いつも遅くなり申し訳ない。
お姉さん達が出て行った後は、また資料整理に戻る。
ネズミは何故か私の担当になったので、通信室に置いてきた。入口の扉には『ネズミ注意。セクハラギルドマスター以外立ち入り禁止。チューブト担当 ミーヤ』と、貼っておいた。お姉さんからネズミの名前聞くの忘れてたので、勝手につけたけど問題ないよね? ギルドマスターも女性に対する態度を改めてもらう為であり、決して文句言い損ねた私怨じゃないからね。
黙々と仕事をこなしてると6の鐘が鳴った。
「やっば〜い、もうこんな時間じゃない! ミーヤはどう? 終わりそう?」
カレナがなんか慌ててる。
「とりあえず、こんなもので一段落はつけれるかな。何慌ててるの〜? また約束?」
冷やかしがてら、含み笑いで聞いてみる。
「もうっ! そうなんだけど……こんな時間になったから、またうるさいかなって」
「仕事だもん、仕方ないんじゃない? そんなにうるさいんなら、『仕事場まで様子見に来てみなさいよ』って、言ってやったら良いのに。甘いなぁカレナは」
「そうなんだけどね……心配かけさせたくないじゃない? 私の事、思って言ってくれてるのわかるしさ。なんて言うのかな……お互い好きすぎても、束縛しすぎちゃうじゃない? そんなのでダメになるの嫌だし。私がリードするのがいいんだろうけど、やっぱり男って、自分を立ててほしいからね」
溜め息まじりで、カレナは補佐官に報告書を渡し、下番することを告げている。
「あんまり言いすぎると、向こうもわかってくれないからね。男ってわからず屋だから。喧嘩の一つもしないと、お互いの本音が見えないのが若い証拠よ。いい経験になるわ。いい女に一歩近づけるわよ」
補佐官はそう言って、カレナのお尻を触っていた。
「キャッ!? 何するんですか補佐官? 奥に指突っ込まないでください。男よりヤラシイ触り方じゃないですか」
お尻を押さえて抗議している隙に、後ろから胸を鷲掴みしてやった。
「ノロケ話はおなか一杯よ。さっさと帰った帰った!」
膨れるカレナをパパッと送り出す。
「ミーヤも早くいい人見つけなさい。先越されてるわよ。そっちも、もう終わり?」
「は〜い。これ纏めたら終わります。いい人って、なかなか転がってないですよね? 補佐官はどんな人と結婚したんですか?」
この機会に聞いてみる。
「あら? 気になる? 私の元旦那は騎士団の副長よ。職場結婚ってやつね。やたらと堅物で、最初は歯牙にも掛けなかったわ。でも、ひょんなことが切っ掛けでお互い意識し始めちゃったのよね」
「騎士団? 職場結婚? えっ?! 補佐官って騎士団所属だったんですか?」
「意外? まぁ平民で騎士団に入るって、なかなかないことですしね。元は冒険者のBランクで、王都で貴族お抱えのパーティーだったのよ。女だてらに腕に自信があったからね、騎士団の中の女性ばかりの隊に抜擢されてね。貴婦人の護衛が主な仕事だったわ。女騎士ってモテるわよ」
開いた口が塞がらない。呆然と補佐官を見ていた私を、何がおかしかったのか失笑しだした。
「アハッ! なんて顔で驚いてるのよっ。そんな顔するなんて思っても見なかったわ」
お腹抱えて笑ってる。
「えっ?! 補佐官? そりゃあ驚きますよ! 事務方のエリートが実は脳筋だったなんて……」
スパンッと頭の上を何かが通り過ぎた。
補佐官の右腕が、水平に伸ばされている。
「やっぱりブランクあるわね。キレが鈍ってるわ。あのね、騎士団って脳筋じゃないわよ? 普段は貴族を相手にすることが多いから、教養と礼儀作法は最低でも下級貴族並にはならないとダメなんだから。ダンスも踊れるわよ」
微笑みながら言ってますが、目が笑ってないです……コワイ……
「ちゃんと、事務方のエリートって褒めてるじゃないですか」
ビクつきながらも、言い訳は忘れない。
「まぁいいわ。ミーヤもいい人見つけたいなら、何か自慢出来る事を作ってみなさい。なんでもいいから取り柄のある娘は目にとまるわよ」
「自慢出来る事ですか? 改めて言われると考えちゃいますね。そつなくこなす自信はあるんですけど、積極的にはめんどくさいですね」
補佐官はため息をつき、
「そう言うこと平気で上司に言えるって、物怖じしなくていい事なんだけどね。天然なとこが可愛がられているのが取り柄かしら?」
褒められてる? 二ヘラ〜と愛想笑いを浮かべてみる。
チョップが飛んできた……と、同時に入口のベルが鳴る。
1人の冒険者が飛び込んできた。探索組の1人だ。
補佐官が素早く、
「1人で帰ってきたの? 急ぎの様子だしすぐに聞くわ。いらっしゃい」
と、冒険者と上にあがった。
何か進展があったみたいだ。お腹空いたし、もう帰っても大丈夫なんだが、気になるよね。
夜勤者と引継ぎがてら、おしゃべりしてたら補佐官と冒険者が降りてきた。
「はいっ、皆んな~注目。報告始めるわよ」
例の3体は、日が落ちると合流したらしい。何か会話をするでもなく、向かい合ってジッとしていると、上空からインプらしきものが1匹飛んできたそうだ。3体の真ん中に降りてきたインプらしきものは次々と巨人の身体に触れていったらしい。すると、巨人の刺青が蠢き始め形を変えていったと言うじゃないか。
夜の森の中よくそんなものが見えたなとポツリ呟くと、呆れた声で隣で一緒に聞いてた職員の1人が、魔法の系統別に暗視ができるモノが有ると教えてくれた。魔法とかあんまり仕事に関係なかったから、興味無かっただけで無知ではない。今は必要のない知識で覚えなかっただけだから。
報告はちゃんと聞いている。
刺青の紋様が変化し終えると、3体はまた行動を開始したようだ。ただ、1番大柄の巨人が、先ほどのインプらしきものを捕まえ食べたらしい。
またバラバラに行動を始めた3体は、今度は地面に手をかざしながら進んで行ってるらしい。
2報目はそれで終了であるが、背後に何者かの存在がある事の裏付けは取れた。相変わらず何かを捜索してるくらいしか解らないのはスッキリしないが。
気になって報告を聞いてたが、余計にモヤモヤしてなんだかイラつく。お腹空いてるせいだ! 帰ろ。
補佐官と夜勤組に挨拶して、帰ろうと扉をでる直前に奥の方でギルドマスターが私の名前を呼んで走って来る様子があったので、急ぎギルドを出て行った。
……晩御飯何しようかな〜。




