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幕間



「探せ…………」


 誰かの声が頭の中に響いてくる。

 その者は群れを率いている存在である。突然、頭に響く声に周りを見渡すが、自らに話かけてきている者はいない。軽い頭痛を感じ、頭を押さえる。ひどくなる痛みに膝をつき疼くまるが、頭に響く声は止まらない。


「しるべを…………」


 (何だ? なにを言っている? ……誰だ?)


「探せ…………」


「しるべを…………」


 言葉は繰り返されていく。頭痛はひどくなり、意識も朦朧としてきていた。

 何も考えられなくなっていく。


 しかし、異変はその者だけではなかった。その集落の全てで同じ光景が見てとれた。





 広大な森の中で、一つの冒険者パーティーが依頼をこなしている。

 珍しい植物の採取依頼であった為、森の奥深くまで足を踏み入れていた。異変に真っ先に気付いたのは、レンジャーのモンテルであった。森の奥深くであり、人が滅多に踏みいることがないはずであるが、人型の足跡がある。しかもかなり大型であった。この森では巨人族の生息は確認はされていないはずである。

 では、外部から? しかしギルドからも、懇意の冒険者仲間たちからも、そのような目撃例は聞いていなかった。

 不審に思い痕跡を調べた結果、複数の巨人族と思わしき足跡があった。モンテルは、リーダーであるディーンに相談することにし、合流地点に向かう。

 他のメンバーも不審な形跡を発見し、リーダーに相談するために合流地点に集合していた。




 この冒険者パーティーは、この森を拠点に活躍をしているCランクである。

 探索特化ではあるが、森林内であれば通常のオーク集団でも殲滅できると自負するほどの実力はある。


「じゃあ、まとめるぞ。まず、現在確認できている範囲が、ここからここまでで……」


 ディーンはメンバーの報告を手早くまとめ、地面に地図を描きながら確認していく。

 その時、遠くで何か大きなものが倒れる音がした。メンバー全員に緊張が走る。


 現在時刻は、おそらく陽の昇り具合からいって2の鐘が過ぎたくらいだろうか。ここは森からかなり入ってはいるが、それ程入り組んでいるほどではない。木漏れ日で明るく、周囲はある程度奥まで見渡せた。音の方を注視しながら、各メンバーに指示を出していく。


「モンテルは先行して様子を見てきてくれ。ユジンは樹上から確認だ。巨人と言っても、どの種族かわからん。この周辺の樹を超えてるようならヤバいからな。あとは2方向から迂回しつつ様子見だ。相手の出方を遠距離から確認する。モンテルは右迂回組、ユジンは左迂回組に合流し連絡役としてくれ。では、散開!」


 先行のモンテルが最短距離を慎重に接近していく。素早く樹上に登っていくユジンは、各組の進行方向を確認しながら、音のした方角に注意を向け周辺を探る。砂煙が上がっている箇所を確認し、指示された左迂回組へと合流する。

 先行していたモンテルは、目標地点が砂煙に覆われているのを確認し、砂煙の向こうに意識を集中していた。何も物音はしてこない。煙の向こうもまだ見えない。

 しばらく様子見をしていると、左迂回組に合流していたユジンがきた。


「どうだ? かなりひどい砂煙だな。動きもなしか? そろそろ見えると思うんだがな?」


「言ってる間に見えたぞ! 3匹か? 向こうも砂煙で身動きが取れなかったんだろう。動きそうだな。お互い、一度合流して様子見だな」


 2人はそれぞれの迂回組に合流するべく向かった。

 合流した頃には、巨人側も動き出していた。各々から確認を取れる距離に位置どり、観察を始める。

 種族は外見的特徴から、フォレストジャイアントと思われた。ただ、通常種と比べてかなりの大型である。特殊個体と呼ばれるものかも知れない。


 冒険者達は、この近郊のモンスターの分布は頭に叩き込んでいた。フォレストジャイアントは、この近郊には生息していない。もっと南の大森林で、集落を持つ大人しい部類に入る巨人族のはずだ。テリトリーを荒らされれば凶暴にはなるが、エルフなど森に住むものとも交流を持っていたりもする。

 他にも懸念事項がある。3匹は身体にびっしりと刺青をしているのだ。フォレストジャイアントにその様な風習があるとは伝わっていない。

 

 砂煙が晴れた後のジャイアントの行動は不可解なものであった。3匹はお互い相談する様子もなく、個別に地面を探っていたり、樹を薙ぎ倒した後の地面を掘り起こしたりと、一見すると探し物をしている様なのだが、荒らし放題にしていると言った方がしっくりとくる様であった。


「もう砂時計落ち切ったぜ? あの範囲だけ重点的に調べてるにしても、ひどい有様だな? 行動は一貫しているんだが、考えなしだろ?」


 パーティーの1人がそう呟くと、


「まるで一つの命令を与えられただけのゴーレムみたいだな?」


「「それだ!」」


「あいつらの目線がなんかおかしいと思っていたんだよ。操られている? しかし、あいつら以外気配は無さそうだな」


 しばらく様子を見ていると、3匹は徐に上空を仰ぎ見た。あたりは、木々が薙ぎ倒され荒地と化し、上空はポッカリと開けている。

 ユジンは素早く樹上に登り、上空を確認するが何も見当たらない。眼下の仲間にも合図を送る。


 程なくして、3匹は別々の方向へ歩き出す。


「別行動かよ……まずいな。この人数じゃ監視は厳しいか。リックル、街まで一走り頼めるか? お前が一番体力あるから行けるだろ?」


「マジかぁ〜、緊急事態だししゃあねぇか。セロ! 使い魔を俺につけといてくれ。帰ってきた時の連絡係だ」


 リックルはそれだけ言うと、街に向かって走り出す。


 残った冒険者達は、ジャイアントが移動した方向を確認し、荒らされ瓦礫の広場と化した地帯を素早く探索後3組に分かれ、ジャイアントを追った。



時間について補足

1の鐘(06:00)、2の鐘(09:00)、3の鐘(12:00)、4の鐘(15:00)、5の鐘(18:00)、6の鐘(21:00)、3と5は2回鳴ります。あとは1回。

砂時計は2種類あり、鐘の間隔の3時間と、3分割された1時間のです。

街中にあるのは3時間の物。冒険者や行商人など外に出るものは1時間のも持ちます。

簡易な魔道具であり、登録者の魔力を1時間あたり微量に吸収して作動します。自動でひっくり返る機構です。

鐘が鳴り、砂時計の進み具合で時間を計ります。

24時間表記の方が楽ですけどね〜

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