オレが幼馴染と付き合うなんて、絶対にあり得ないっ!〜アニメや映画みたいに上手く行くわけがない!〜
外に出た瞬間。
頰を裂きそうなキンッと冷えた空気。
そして目に刺す眩しい光にやられて。
思わず、顔を顰めた。
さーみー! 今日ほんと寒いな!
でもこういう天気は、なんか神聖な感じがする。今死んだらオレの邪念も浄化されたり……いや、やっぱ寒いからダメだわ。
すぐに怖気付いて、首に巻き付けたマフラーに顔を埋めた。そして、制服のポケットに手を入れる。
やっぱあったかいのが正義だよなー!
うんうん、寒いのムリムリ!
生きてイイ思いしたいわ!
そう、例えば彼女がマフラーとか編んでくれたら……心からあったまるよなー!
「スキありー! ずぼっ‼︎」
「ひょわぁっ⁉︎」
急に来た首への敵襲!
こんなことする奴は……!
「雪歩! 何やってんだよっ‼︎」
「へへー! アホ面で厨二思考してるユウくんへの奇襲成功〜!」
驚きと怒りで振り返った先で、笑う幼馴染。
コイツはほんっっとーにタチが悪い!
可愛いのは顔だけだ‼︎
「『成功〜!』じゃねぇわ! お前はオレを殺す気かっ⁉︎ その冷えた手でマフラーという防御を越して首を狙うな‼︎」
「今日もマヌケな声でしたね!」
「お前のせいなんだけどっ⁉︎」
にししとした悪い顔を睨むが、全然反省の様子はない。まぁ毎回だけどな!
「ユウくん反応面白いから、楽しいんだもん!」
「オレで遊ぶな! あとユウくんやめろ! せめて優斗と言え‼︎」
「カッコ付けてもダメだよユウくん! 今更彼女いない歴=年齢は覆らないよ!」
「そして傷を抉ってくんな‼︎」
何をキリッとした顔で言ってくれてんじゃい!
お前のせいだぞ!
お前がオレをマヌケにするから!
きっと多分そうに決まってる‼︎
「いいかっ⁉︎ もう高校からはお前とつるまないと決めたんだ! ほっとけついてくんな‼︎」
「えー」
「えー、じゃないわっ! お前も噂立っててやだろ!」
「面白いよ?」
「それで片付けるな!」
ほんとコイツはオレを小馬鹿にして!
あと毎朝冷たい手で襲撃しやがって!
人の首で暖をとるなよ!
「手袋をしろ! それじゃなければカイロを使え! ほらこれ‼︎」
冷え性らしいその手に、無理やりカイロを握らせる。オレ用のだったんだけどなぁ⁉︎
途端に、雪歩が真顔になったと思ったら。
「そういうとこだよ。そういうとこが――ユウくんを人様におすすめできないとこですね!」
「はぁ⁉︎」
「いや私じゃないと許せないねこれは」
なんなんだコイツは!
ほんとこんなやつと付き合うとか!
絶っっっ対にない‼︎
幼馴染だけはあり得ないからなっ‼︎