異世界転移じゃないんだよ(血涙)
全ての扉と窓が一気に全開になる、ドリフのオチみたいに。気が付けば天井は既にない。次の瞬間四方の壁が全て倒れ、中世ヨーロッパ風の風景が広がる。唖然とする生徒たちだったがすぐにその場は歓喜の声に包まれる。
生徒A「これはまさに異世界転移よ!」
生徒B「きゃあああっ! 中世ヨーロッパ風の街並みとか最高だわ!」
生徒C「夢が叶ったわ!」
はしゃぐ生徒たちの前で満足そうに微笑むアノン。
アノン「ノリが良い娘たちで良かったわ。でもここ、外国村よ。バリバリ日本なの。異世界転移じゃないの」
作者「今流行りの異世界転移じゃなくてすみません(おいなりさんを守りながら焼き土下座しながら)」
アノン「では早速、案内をヘルメスちゃんにしてもらおうかしら」
ヘルメス「こっちでーす!」
生徒たち、振り返るとそこには小さな少女が立っている。全ロリコンが歓喜した。
ヘルメス「私、案内人のヘルメスと言います。どうぞよろしくお願いします!」
思わずにやけてしまう水咲。
水咲「可愛いらしいなぁ、ふへへへ」
小春「初対面の、しかもあんなに幼い娘をそんな目で見るのは良くないですよ」
突然の小春の登場にギョッとする水咲と綾。
小春「なんですかその反応。もう、忘れないでくださいよぉ!」
水咲「いやいやだってさあ、こんな不思議な現象が起きてるからね……」
綾「そうそう。それでザ・普通って感じのことに目が向かないというか……」
小春「それってどういうことですの⁉︎」
怒る小春の全身を見ながら説明する水咲。
水咲「育ちの良さそうな清楚系黒髪ロングの巨乳とかなんかもう、見飽きたよ」
涙ぐむ小春、去って行く。
小春「ひ、酷いですわああああ!」
綾「そういうところなんだよなぁ……」
先頭のヘルメス、立ち止まり振り返る。ヘルメスの前には井戸のようなものがあり、水が張っている。
ヘルメス「これから皆さんはこの神路で神入式を行ってもらいます。ではそこの貴女から」
小春「私ですか……?」
恐る恐る近づく小春。
ヘルメス「やり方を説明しますね。まず一拍手、右の手のひらを水面につけて、それからまた一拍手して今度は左の手のひら、さらに一拍手して両の手のひら、最後にまた一拍手して手を組んで手のひらを、という手順を五回行ってください」
指示に従う小春。終えると水の中から光が飛び出し小春の脳天を貫く。
小春「キマシタワー(性的に)」
騒然とする生徒たち。
ヘルメス「皆さん大丈夫ですよ、神様が入っただけですから。これを神入と言います。で、神入した神様によって異なる異能を使えるようになります。でも、順応するのに時間がかかるから最初は何もできませんけどね」
次に四聖天が神入式を始める。
四聖天「質問、よろしいでしょうか?」
ヘルメス「どうぞ。あ、貴女アノンさんと色々被ってますね」
四聖天「うるさいわね!」
四聖天、一つ咳をして落ち着く。
四聖天「選ばれない人はいるんですの?」
ヘルメス「そうですね……。神様の数は減らすべきだと思えるほど多いですから、基本的に選ばれないことはないのですが……あっ、処女じゃなきゃダメですね」
瞬間、光が飛び出し四聖天の脳天を貫く。
四聖天「ふぁあああああああああ!!!」
生徒A「四聖天さん処女なんだね、絶対担任と何かやってると思ってたのに」
生徒B「そうそう。何でそんなに巨乳なのか聞いたことあるんだけど、照れながら耳元で『担任に聞いて……』とか言われたんだけど」
生徒C「ていうか四聖天さん、担任が休んだ時に『昨日は搾り取り過ぎたのかしらねぇ』とか呟いてたけどアレなんだったんだろう」
顔が真っ赤になる四聖天。水咲と綾、空かさず追い打ちをかける。
水咲「絞りすぎたとか、ははははっ!」
綾「何を絞ったの? ねえ四聖天は何を絞ったの? 自虐ネタなのかな、はははははっ!」
四聖天「うっさいわボケえええええ!」
泣きながら走り去ってゆく四聖天。
次々と終えてゆく中、最後に水咲が神入式を行う。しかし何も起こらない。
水咲「え、なんで?」
後ろの方で騒つき始める生徒たち。
生徒A「え、水咲ちゃんって非処女なの? 名前的にそうでもおかしくないけど……」
生徒B「確かにそうよ。美咲じゃなくて水咲だからビッチ感が若干抑えられてるけど、やっぱり読み的にビッチなんだよ! 岬もなんやかんやビッチだったし!」
生徒C「天花寺水咲はビッチだ。ビッチだ。ビッチだ。ビッチです」
綾(左端の人怖っ……)
水咲(あたしどっちかというと清楚でお嬢様的なキャラなのに、どうしてそんな……)
作者「そんなことはない」
ヘルメス「ま、まあそんなこともしたい年頃だよね」
水咲off「うっさいわぁ、メスが!」
あたふたするヘルメスだっだが、そこにアノン、突然やってきて水咲の肩を抱き寄せる。
アノン「水咲とは私が組むから問題ないわ」
そして水咲の耳元で優しく囁く。
アノン「貴女には後で特別な力を分けてあげるわ。うっふんパラダイスっ」