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2章 44話 「演じている時の自分は偽物か本物かって話」


どうもこんにちは、キアーラ・カサッツァです。

内助の功という言葉があります。これは組織内部からの支援、援助という意味の言葉でもあるのですが、一般的には奥方が家庭に入って旦那を支援することを指します。

それに対して外助は外部組織からの援助になるわけですが、外助の功と言う言葉は正式にはありません。これはきっと日本が一夫一妻で奥さんが家庭に入ることが多かったからだと思います。

しかし、これからのご時世男女平等を謳っていかなければならないわけで、外助の功と言う言葉がないのはよろしくないのではないかと言うことです。

つまり何が言いたいかというと、外にたくさんの愛人がいた場合、そこから得られる支援は外助の功ではないかと言う事なのです。





「なんなんだ、お前は?! イカれてんのか?!」


俺の股間にロケット頭突きのよる悶絶から復帰した署長が、股間を押さえながら叫ぶ。

セリフは威勢いいが、またも腰が引けている。

しかも今回は顔も青ざめドン引きしたように慄いている。

だがそれも仕方のない事。なぜなら今現在俺が趣味と実益を兼ねて発狂中だからだ。


「金玉よこせっ! 金玉よこせっ! 潰してやる! 潰してやる! 地面に置いて棒で叩いてバンバンバンバン! ギャバァアアア! よこせぇ!!」


『タマをとってやるって、そっちだったんだね?』


ルナの呆れた声が聞こえるが、邪魔をするんじゃない。

俺は今主演女優賞を狙える名演技中なのだ。

隊員に羽交締めされながらも、髪を振り乱しながら手足を激しくバタつかせつつ金切り声を上げるのがトレンド。

タイトルは悪霊に取り憑かれた幼女。

これを男がやると、うるせぇと殴られて終わりだが、幼女がやれば関わり合いたくない人ランキング堂々第1位となる。


「うひぃ! おい! 絶対にそいつを離すんじゃないぞ!」


どうやら署長もそう思ってくれたようだ。


今しがた急所に頭突きを食らったと言うのに、報復よりも距離をおくことを優先し隊員に青褪めた顔で命令している。

更にエクソでシストでチューブラーでベルズなムービングを加速して、皆んなを恐怖のズンドコに落としちゃうぞ(キラン)


ラーテルという種族に生まれついたことで、強者として成功を約束されていた署長は、周りから随分と阿られてきたんだろう。我儘で自己中で理不尽な振る舞いを見ればわかる。

こいつは精神が全く育っていない。つまり体は大人で頭脳は子供(ガキ)なのだ。

そして子供(ガキ)は幽霊とかが怖い。


「潰させろぉ! キャキャキャキャ!」


こうして悪魔付きの如く発狂した様相を見せてみれば、俺を殺せないと言う縛りがある署長はビビって、ただただ距離をおくわけだな。

あと、嬉しい誤算だったのは同じく強い部類に入る隊員たちも結構腰が引けている。

みんなお化けが怖いのかな?


『悪魔付きなのは本当だね?』


怒り心頭で発狂しているのも本当だしな。

おかげで横目に見える王虎も少し引いているように見える。

俺を羽交締めにしている隊員が後ろでうわぁと呟いているのも聞こえる。

周りの隊員も腰が引けているのが見て取れる。


俺って女優の才のがあるんじゃないか?


『本当の自分を曝け出すだけでは役者にはなれないね? 少し落ち着きなよ』


誰が常時発狂しているか。

ちょっと怒りに我を失っているだけだ。


『怒っているけど、やっぱり恨まないんだねぇ?』


……突然饒舌になったかと思ったら、そう言うことか。

俺に取り憑く悪魔様はゲームの行く末が気になると。

俺が憎しみ駆られているかどうかに興味津々丸な訳だ。

頭に冷や水をかけられたかのように冷める。


ルナの声がした方。頭上を見ると下弦の月のような弧を描いた笑顔が目に入る。


『それとも、相手を目の前にしたら流石に憎しみに駆られるのかな?』


そう言うルナを静かに睨みつけてやる。


だが残念だったな。俺が怒り狂っているのは自分の不甲斐なさにだよ。

そして怒りはあるが憎しみはない。俺が上手くやらなかったからこうなったんだから。


『……相変わらず気持ち悪いね? その考え』


ルナは三日月笑顔のまま。だけど知っているこれがこいつの無表情だ。


理解できないものに嫌悪感を表すのはご勝手だが、嫌味を言ってストレスを発散するのは人としてどうかと思うがね? 八つ当たりっていうんだぜそれは。


『……人じゃぁないしね? 今しがた無意味にストレス発散のためだけに攻撃をした君に言われたくないね?』


今度は僅かにイラつきが声音に乗っている。


おいおい、揚げ足取るなよ。随分突っかかってくるじゃないか。

今の俺は追い詰められて、最大の協力者を失いそうで、多分裏切り者に売られて、前世の常識に縛られて判断ミスを連発して、そして自身の身の安全も保証されていない絶体絶命のピンチなんだぜ? 悪魔的に喜ぶシーンだろ? え?


『……八つ当たりは君だろ?』


あぁ?


『もういいよ。せいぜい頑張るといいさ。ただ、一つだけ忠告すると、マフィアが意味もなく暴力を振るわない方がいいね? チンピラじゃないんだから』


そういうとルナが視界から消える。消える間際に見せた顔は不貞腐れているようにも見えた。


……俺知ってるぞ。女がもういいっていうときは、全然もう良くないってことを。

そして大体が男側が悪いということを。


これをクレア母さんに言われた時のドルネオ父さんの土下座は、いつもにまして美しいフォルムになるのだ。そしてその後のご機嫌取りも必死さが当社比で3倍。

それでも大体1週間は母さんのご機嫌は治らない。

一度父さんが土下座しなかったときの喧嘩は思い出したくもないね。

空気って重さがあるんだねと、兄妹で話したものだ。


今の俺は幼女だからして当てはまらないかもしれないが、もしかしたら今のやりとりの中に男の俺が悪い可能性があるかもしれないかもしれない可能性が出てきた。

まぁ? ルナは俺に取り憑いた悪魔で? 基本的には敵対しているわけで? 根本的にはご機嫌をうかがう必要は全くないのだけれども? このタイミングで態々現れた事について考察してもいいかもしれない。考えるのは大事だ。うん。大事。


突然黙ったかと思うと、虚空を見つめながら百面相し始めた俺に、周りの奴らがますます距離を空け出したし、俺を羽交締めにしている隊員から、もうやだよぉという声が聞こえるが、考えるのは大事。


そう言えばルナが最後に言ったセリフどこかで聞いたな。

というか、俺がどっかで誰かに言った気がする。

あれは確か___

そうだ、王虎がキレてフレアさんと()り合いそうになった時だ。


___マフィアのボスがこんな状況でキレていいと思ってんのか

___マフィアが意味もなく暴力を振るうな。チンピラじゃないんだ


俺がキレた王虎に言った言葉だ。

小娘に煽られて一々キレるなとも言った気がする。

なるほど……これはとんだブーメランと言うわけだ。

王虎は自分が今日いいところがないと言っていたが、本当にいいところがないのは俺だな。


「なんだよ? 今日はマジでサービス満点じゃないか。デレ期か?」


「うあわぁぁ、なんか一人で喋り出したぁ。もうおしまいだぁ」


つい声に出してしまったのか後ろの隊員が慄いているがまぁいい。

怒りに我を忘れすぎていたようだ。

署長をビビらせてストレスを発散しつつ、ちょっと攻撃しても反撃されないナイスなムーブだったと思ったんだが、確かに意味がなかったな。

このままだとどこかの施設に入れられてしまったかもしれん。

そうなるとシャバに戻るのは豚箱よりも困難だった可能性もある。

「ふぅ。大人しくなったようですね? よかったです。いや、本当に。あのままだったら殺処分しなくてはならず、どうしようかと思いました。いや、本当に」


額の汗を拭いながらそう言う署長に、俺の背中にも冷や汗が流れる。

おっとぉ。九死に一生スペシャルだったもよう。よくよく見ればさっきまで王虎に向いていた銃口が俺に向いている。施設や豚箱どころか天国にGo Toキャンペーンするところだった。


「助かったのか?」


後ろの隊員が呟くように言う。

そっか。俺ごと撃たれたら隊員さんも死んじゃうもんね。

俺の知らないところでも九死に一生スペシャルだったもよう。

心労をかけた隊員さんに声をかけてあげよう。


「隊員さん、大丈夫だ……俺は正気に戻った!」


「なんか、戻ってない気がするぅ!」


顔を背けながらも羽交締めはとかないところに実直さが見て取れるね。

しかし、安心できるように声をかけたのに……解せぬ。


「とりあえず、車があるところまで移動します。もう一度言いますが、王虎君は抵抗しないようにしてください。いや、本当に……」


どこか疲れたように署長が先導してくる。

その哀愁漂う背中を見ていると背後からやれそうな感じだが、事ここに至っての抵抗は無意味だ。署長は背後からの攻撃に対してほぼ無敵だし。こいつを倒すにはきちんとした手順が必要だしな。

それにルナが出してくれたヒントによれば、そろそろ彼女が到着するはずだ。

そう思っていたのだが、とうとうパトカーが停まっているところまでついてしまう。


あれぇ? このままだと俺も王虎も捕まっちゃうよ?

え? ルナがくれたヒントは俺の勘違い? 

いやそんな事は無いはず。

もう少し時間を稼がねば!

そう思い、俺が生き別れの兄妹・感動の再会編を署長と繰り広げようと画策していると待望の声がかかった。


「お待ちください」


「なにものです!」


誰何(すいか)しようとする署長に先駆けて俺は叫ぶ。

振り返って声を出そうとしたまま固まって口をパクパクする様がウケるw


「なにものですと聞かれたならば、こうお答えしましょう。あなたのものです!」


そう自信満々に答えるのは日焼けした小麦色の肌に、陽に焼けたて赤くも見える短い薄い茶色の髪。顔にはまだいくばくかの幼さが残っている女性。

そう___


「あなたのフレア・バーキン参上いたしました」


お読みいただき誠にありがとうございます!


前回の後書きにも書いたのですが、プロットと違う方向に行っちゃったので、この話を作るのに難儀しました。

もしかしたら修正するかもです。そうなったら申し訳ございません。


なんかね? ルナとの会話がないとPVが2割ぐらい減るのw

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