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2章 34話 「ご安心ください。大丈夫ですからな話」

※注意! 今回の話はかなり暴力的で、ご気分を害される可能性があります。

苦手な方は今回の話は飛ばしても大丈夫です!




どうもこんにちは。キアーラ・カサッツァです。

生命は危機に陥ると、子孫を残そうとする本能が働いて、性欲が高まるというのを聞いたことがあります。しかしながら人間において生命の危機を感じる状況ってかなり限定的だと思うんですよね。そうなったら致している時間なんてないのではないかと思います。

つまり現代ではフィクションに類するものではないかとそう思うのです。



「あ……え?」


目の前で起こったことが一瞬理解できず、間抜けな声を発してしまう。


「ぐぼっ……」


目の前にはさっきまで倒れていた警官Aの背中がある。


「なっ……なんで?」


その背中はゆっくりと前に倒れていく。

そして、ゴトンという音とともに動かなくなった。


「おっ……俺は悪くないっ! 手が滑って……。 そいつが勝手に。 いやお前がやったんだ! 俺は悪くない!」


その先には支離滅裂な言い訳を叫びながら、手に持っていた拳銃を放り投げる館長がいた。

まるで拳銃を手放せば自分は咎められないとでも言うように。


「てめぇ……」


曲がりなりにも自分を助けにきてくれた人間を殺しておきながら、まず最初にするのが自己弁護かよ……。


「な、なんだその反抗的な目はっ! スラムのガキが大人様を舐めてんのか!」


俺が睨みつけてやると激昂したように、すぐ足元にあったからの瓶を投げつけてくる。


「がっ!」


避け損なった瓶は俺の顔に当たって床に落ちて割れる。

そして俺が痛みに一瞬うずくまると館長が掴みかかってくる。


くそっ! 見た目でわからなかったがこいつ獣人だ。

とても避けられないスピードで組み伏せられてしまった。

そして、抵抗しようとしたところで、また顔面に衝撃。

こいつ殴りやがった。


「ほらっ! どうした! なんか言ってみろよ! ふざけやがって! くそっ! なんで俺がこんな目にっ!」


「ぐぅっ!」


幼女の体の俺ではこいつを跳ね除けることができずに、何度も殴られる。


「くそっ! くそっ! くそうっ! バンビーニの話を断れば金になるって話だったのにっ! 警官を撃っちまったらもう終わりじゃねぇか!」


更に殴られる。かろうじて手で防御しているが、鼻が折れ歯も何本か逝ったな。

もはや痛みを通り越して熱しか感じられない。


「ヒューッ…… ヒューッ!」


血が喉に逆流して呼吸がままならない。

喘鳴のような音がする。


「大体てめぇらがいけないんだ! スラムのガキなんて体を売るぐらいしか価値がねぇくせに、アイドルかなんだかしらねぇが売春(うり)を断りやがって! 俺がお客様にどんだけ頭下げたと思ってんだ!」


それでもまだ殴る手を止めない。

クソみたいな持論をわめき散らして勝手な事を抜かしている。

うん。ここまでされたら、殺してもいいだろう。


「それだってのにっ! こんなことになっちゃぁ殺されるっ……もうおしまいだ」


館長は俺に跨ったまま癇癪を起こしたように頭をかきむしる。

よだれを垂らして完全に正気を失った様子で髪を振り乱している。


「もう女を抱くこともできやしねぇ。まだパピヨンに行ったこともねぇのによぉ!! くそがっ!」


こんな時に考えるのがヤルことかよ。

下衆にもここに極まれりだな。

幼女を組み敷いて殴りまくっているんだから、今更か。


「がはぁっ」


そして思い出したようにまた殴られる。

マウント状態だと頸動脈までが遠いな。


「そうだ……もうおしまいなんだから、お前でもいいか」


きた。下衆な考えそうな事だ。

すぐそこに今しがた自分が殺した奴の死体があるってのに、ギラついた濁った目で俺を舐め回すように見てくる。

どうしようもない悪寒と吐き気を覚える。


「ごほっ」


吐き気とともに血も少し吐いちまった。

それとともに脱力したように腕を下ろす。

こいつには俺がもう抵抗する気力がないように見えるだろう。


「へへへっ、我ながらいい案だ。だってよぉ ?ガキは良いよなぁ? きっつきつでさぁ」


便所にこびりついた糞みてぇなことを言いながら、ケタケタと笑う。

この物言いだと、前科がありそうだな。

もとより許すつもりもないが、安心して首をかっ切れる。

俺は体に力が入らないふりをしつつ、すぐそこにある先程投げつけられた瓶の破片を手に持つ。


「た……せぇ……。か……ん……」


声が血のせいで掠れる。丁度いい演出だ。

演技をせずとも聞き取りづらいだろう。


「あぁ? なんだ? 命乞いか? いいぞ! 良い声で泣いたら優しくしてやるかも知れねぇぞ?」


もうキマリまくっちまって、自分に都合のいい事しか考えられなくなっているんだろう。

俺の思惑通りに、耳を寄せてくる。

だから、目の前まで奴の頭が来たところではっきりと言ってやる。


「きたねぇし、くせぇ……。顔にけつの穴でもついてんのか……?」


そして、手に持ったガラスを奴の首に突き立ててやる。


「ぎゃああぁ!!……くそがぁ! ぶっ殺すぞガキぁ!」


くそっ! 殴られすぎたっ! 思ったより力が入らず、致命傷には程遠い。

逆に激昂した館長が首を抑えながらも、片手でまた殴ってくるが避けることは愚か、手で防ぐこともままならない。


「ぶっ!」


まずい。このままだとマジに殺されちまう。

なんとかしなくては。

しかしもう、自分でも目を開けているのかいないのか。

腫れ上がった瞼と目に入った血で前がよく見えない。

うっすらと輪郭が見える程度だ。


「ふぅ……大人を舐めるからいけないんだぞ」


俺が動かなくなったのを確認して溜飲を下げたのか殴る手が止まる。

この下衆も死体とヤル趣味はないと見えるな。

ただ今の俺は辛うじて死んでないってレベルだが。


「……うぁ」


意に反して口から呻き声が漏れる。

本格的に体に力が入らない。


「ひひっ! 大人しくなったじゃねぇか。じゃあ、頂いちまうかよぉ?」


ガチャガチャとベルトを外す音がする。

そしてかんちょうがズボンを脱ぐと醜悪で下衆なモノを俺に見せつけるようにして言ってくる。


「よく見ろよ? こいつが今からお前を天国に連れてってくれるからよぉ!」


よく見えねぇんだよ。見たくもないが。

だが、輪郭からして前世の俺の方がデカかったな。

ふ、お粗末さんめ。


「うっむ。貴様……何をしているっ!」


俺が鼻で笑ってやると、倒れた頭上から声が上がる。

首を動かすこともままならないが、どうやら警官BかCが目を覚ましたようだ。

ポーションをケチったせいで、目覚めるのが遅かったか。

もっと早く起きろよ。お陰で俺がボロボロじゃないか。

だが偉いぞ。俺を助けるがいい。

心の中でそう悪態をついていると、また乾いた音がパンパンと二回続けてなった。


「邪魔すんなよ。これから良いところなんだから」


「ごぼっ……?」


マジか……。血を吐くような声が聞こえた。

いや、実際そうだろうけど。

___くそがっ。もうイカレまくってんだろ!

いつのまにか手に持っていた拳銃で館長が警官を撃ったようだ。

マジやばいぜ。


「ふむ……。こっちもやっとくか」


館長が立ち上がりながら言う。

そして俺の視界から消えると、また乾いた音。

まさか、もう一人の警官も撃ったのか……?


「げひゃひゃひゃひゃ! なんだよ! 警官って言っても大したことねぇじゃねぇか! いつもいつも威張り腐りやがって! 俺の方が犬なんかよりずっと優れてんだよ! 尻尾振るしか能がねぇくせに! クソがっ! クソがっ! クソがっ!」


さっきまで俺の頭蓋骨に響いていたような鈍い音が何度も何度も聞こえてくる。

おそらく館長が死んだ警官を蹴りつけているんだろう。

完全にサイコパスだ。


「あぁ! たまんねぇ……。硬くなっちゃうよ。すげぇ硬くなっちゃうぅ!」


純粋にキショい。

耳を塞ぎたくなるような気持ち悪い声で、感極まったように叫ぶ館長。

そしてまた俺の視界に入ってくる。


「それじゃぁ……ご開帳と行くか」


そう言いながら俺の服を捲り上げ足を掴む。

そして待ちきれないのか乱暴に下着を剥ぎ取る。

ここまで殴られて乱暴も何もないか。


こりゃ、もう……無理かな?


お読みいただきありがとうございます!

まずお伝えしたいのは、タイトル通り大丈夫です。

作者は百合推奨ですのでBL展開にはなりません。


まぁ、今回の話は受けが悪いだろうなぁと思いつつも、主人公に猛烈な悪意に晒されて貰う必要があるのでこうなりました。だいたいこの時代で小綺麗な力のないスラムの小娘がそのような危機に瀕していない方がおかしいと思うんですよね。


本当はもっと前に同じような目にあう予定でしたが、周りのメンツが強くなりすぎてそんな隙がありませんでしたw

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