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7話 『船でまた目覚めた話』

 目を覚ますと何も見えんかった。


 むぅ?今度はぼんやりとも見えないぞ?

 なんか暗い。正面に壁があるみたいな……?

 それになんか生暖かい風が吹いてくる。


 なんだろうと手を伸ばして触ってみると

 ジョリッとした硬いタワシのようなものに触れた。


 これは前世で馴染みがある感触のような……?

 ヒゲ??


「起きたか! キキ! 」


 うぁ!!


 思わず体がびくりとは寝てしまうほどデカイ声が目の前の壁から発せられる。

 ぬりかべ?って言うか、声がうるせぇ!


 俺が不満で顔をしかめていると、目の前の壁が少し遠のいたのか、周りが明るくなった。

 どうやら輪郭からしてぬりかべではなく人のようだ。

 多分だけど声と背中のゴツゴツした手の感触からして男。


 暗かったのはこの男が超至近距離で覗き込んでいたからのようだ。

 幼気(いたいけ)な赤ちゃんに覆いかぶさるとはっ!


 おのれぇ!何をするつもりだったんだ!事案でござる!

 くらえ!高速チョップ!!


「あーうー」


 くっ!ガッツが足りない!


 またもリーチが足りない俺はバタバタともがいてしまった。

 そうしていると、またまたデカイ声が響く。


「どうしたキキ! 何か問題か?! なんでも言ってみろ! 父さんが解決してみせるぞ! 」


 そう焦った声でしゃべるこの男はどうやら父親らしい。

 まぁ、そりゃそうだよね。名前呼んでたし。

 ぼんやりしか見えないからどんな顔かわからないけど、父親らしい。


 心配してくれているんだろうと言うのは伝わってくるんだが、

 普通の赤ん坊だったらガン泣きするレベルのデカイ声がうるさい。

 それになんでも言ってみろって喋れるわけあるか。

 あと、鼻息荒すぎ!さっきから生暖かい息がめっちゃ来る!


 ここは抗議の声を饒舌に上げておこう。


「あーあーうー!」


 くっ!ガッツが足りない!


「ど、どうしたキキ! そんな苦みばしった良い男みたいな顔して! 何が不満なんだ! 言わないと父さんわからないぞ! 」


 言ってるって。伝わらないだけで。

 どうやら俺のしかめ面をみて益々焦ってきたらしい。

 なんかワタワタし始めた。


 しかし苦みばしったって……。

 女の子に、しかも赤ん坊に言うことじゃないだろう。


 ……前世の俺のダンディーさが滲み出てしまったか?


『ぷふっ! 前世では鏡を見たことがなかったのかい? 』


 どこからか吹き出し笑いが聞こえてきたが、キキちゃんスルー。

 そういえばさらっと流していたが、今世の名前はキキと言うらしいな。

 なんか宅配便しそうな名前だなぁ。


 それにつけても父親はワタワタしっぱなしだ。

 俺を抱き上げたり、下ろしたりを繰り返してる。


 ……首がすわってないからやめてくれないかな。

 これ、落とされて死にそうになった場合でも悪魔は守ってくれるのかな?

 と、チラリと俺の前世について見解の不一致を見せていた悪魔の方に視線をやる。


『……守るよ』


 悪魔が嫌そうな顔に変わる。


 やっぱり悪魔だけは、はっきり見えるなぁ。

 苦みばしったいい男みたいな、いい表情だね!


 しかし、マジか。

 そんなくだらないことからも守ってくれるのか。


 ___これもしかして思ったより使えるんじゃないか?


 ちょいと聞いてみるか。


 俺は悪魔サービスが思った以上に有用な可能性を感じて、心の中で問いかけてみた。


 ねぇ、悪魔さん。教えて欲しいことがあるんだけど☆


『……なんだい? 猫なで声をだして……。 不気味だね』


 失礼な可愛い女の子に向かって。

 CV丹下桜くらい可憐だったろうが。

 心の声はCV丹下段平くらいおっさんかもしれんけども。


 いや聞きたいのはだね?


 魂が定着するまでは、俺の命を守ってくれるんだよね?


『……そうだね。 突然この世界が崩壊するとかでない限りは守るよ』


 悪魔が訝しげに答える。


 おいおい、世界が崩壊するようなイベントが発生するかもしれないのかよ?


『隕石が降ってくるとかだと、どうしようもないね』


 悪魔なのに?


『悪魔なのに。 なんでもは出来ないよ。 出来ることだけ。

 あくま(・・・)でも悪魔だからね。……神様じゃない』


 うわぁ、くだらないダジャレにドヤ顔だよこの悪魔。

 なにその嬉しそうな顔。

 コイツ、ちょいちょいそういうところあるな。

 掛け合いを楽しむというか、コミュニケーションに飢えてんのか?


『そういうところは多分にあるかもしれないね? 仕事でしかほかの人間に接しないからねぇ。 ビジネスの話以外はしないんだ』


 悪魔は自分でも意外だったと言う風に驚いてみせた。


 やっぱり、悪魔って仕事なんだ……。


 魂が定着するまでに死んじゃうと、ゲームにならないから守るとそう言うことだな?

 魂が定着するまではインターバルだから特殊ルールで俺を守ると。

 仕事だから守ると、そう言うことだな?


『……そうだね』


 俺の質問の意図がはかりかねると言った風に警戒心もあらわな悪魔。


 ___コイツやっぱり、人と接するのに慣れてないんじゃないのか?

 都合が悪くなると言葉数減りすぎだろ?

 接客業なのにプライベートでは人見知りみたいな違和感を覚えるぜ。

 ぶっこんでみるか?


 俺は心の中で気合を入れて悪魔に問いかける。


 あれれぇ?

 よく考えると、このまま俺が赤ん坊のまま死んだら、俺の勝ちなんじゃね?

 誰にも負けてなし、誰も恨んでないし、裏切る仲間もいないし、人生やりきったわけだしぃ?


 俺の問いかけに悪魔は焦ったように直ぐに答えてきた。


『いやいや! 流石にそれは駄目だ。 言ったろ? 君が人生をやりきったらって。 人生に貴賎はないから、赤ん坊のまま死んでもやりきったと言えるだろうけど、今回の場合は不許可だ』


 ___なんか突然人格者みたいなこと言いだした。


 人生に貴賎はないとか。

 俺の前世惨めで意味ないうんぬんはどこいった。


 あと気づかれた!みたいな顔したよね一瞬。

 途中で自分でも気づいてたなこれは。

 もしかしてコイツ……アホなんじゃ……?


『君との契約、このゲームの勝ち負けは、君が2度目の人生で、裏切られても世界を恨まないかどうかが今回の焦点なんだ。イベント発生の前に死んだらノーゲームさ』


 えー。なにそのあと乗せサクサクな条件。条件追加とか悪魔的契約としておかしいんじゃない?それにイベントって。RPGかよ。


『あと乗せじゃないさ。 君は裏切られても世界を恨まないと言った、僕がソレに物申した。 実証しようという話になった。 君が嫌だと言ったから条件をつけた。 君は了承した。 どこにも破綻がない見事な理論だと感心するがどこもおかしくはない』


 必死かよ。

 自分でおかしくないってやつは、おかしいと相場が決まっている。


 俺はベビーのフェイスでジト目を照射する。


『必死じゃない! とにかく! 君の魂が定着するまでは死なせないよ! 』


 ___やっぱり駆け引き下手だな。そこを断言してしまっては、裏に目的があると公言するようなものだろう。


 こんな簡単なすぐ思いつくような穴がルールにあったってことは、やはり今回の契約はヤツにとってもイレギュラーだったのでは?

 急な方向転換で契約をきちんと詰められなかったんじゃないか?


『せっかく守ってあげると言っているのに、 そのジト目は心外だなぁ』


 ジト目とはひどい。これは憂いの眼差しさ。

 いやしかし、なるほど、なるほど。

 お仕事とはいえ、ただ守ってくれるとは申し訳ないなぁ。

 ここは一つ、俺も積極的に協力していかないとな?


『……突然なんだい? 君らしくない発言だ。 何が狙いだい? 』


 もう悪魔は警戒心を隠そうともしない。警戒したところでなんだと言う話だが。


 いや、やっぱり、早めに俺もゲームを進めていきたいと、思うわけだよ。

 勝てば俺にもメリットがあるわけだし?


『ふむ。 納得できる』


 そのためには早く魂を定着させてゲームを、早くスタートさせようと思う。

 早くゲームが進むのはオマエにとってもいいことだよな?

 時間をかけてもいいことないだろ?


『いや、あまりに早く定着しすぎても、ボクが君の魂に干渉できなくなるから、早すぎるのもよくない。君を守れなくなる』


 俺のこと守りたすぎでしょ。守護霊かよ。

 ゲームのために守ると言いながらゲームが早く始まると困ると言う。

 これで確定だな。俺との繋がりが早々に切れると困るという事だ。

 俺と魂の繋がり?が保たれている事に意味があると。

 当然俺に死なれても困ると言うわけだ。


 俺は得心いったというように頷く。

 ……頷いたつもりだけど、首すわってないからクイッとなっただけだが。


 クイッとしつつも心の中で俺は悪魔に語りかける。


 そうか。俺も赤ん坊のまま死ぬのは嫌だからな。

 その部分は利害が一致していると言っても過言ではないな。


『だろう?』


 そうなると、魂の定着を滞りなく進めつつも、加速はさせないように微調整が必要となるな?では、どうすれば魂が定着するのか?

 これが分からない。


『簡単なことだね。 今世の肉体と前世の精神が馴染めばいい。 今も赤ん坊の本能に思考が引っ張られるだろう?』


 たしかにおっぱいに抗えない。だって赤ちゃんだから。

 あくまで赤ちゃんだから抗えない。


『今は精神が男で、身体は女という不自然な状態だけど、いつか思考も女の子らしくなるはずさ。 歯車と歯車がガチッとかみ合うようにね。 そうなったら定着したと言っていい。 つまり、女の子らしくするのが近道だろうね』


 マジか……。女の子らしくときたか。

 そういや、なんだって俺は女の子に転生したんだ?


『あぁ、それはね? 僕が男が大嫌いだから女の子にしか転生させられないんだ。男と四六時中一緒にいるとかヘドが出るね? 』


 好き嫌いかよ!


『あとね? ここが重要なんだけど、この世界で肉体を手に入れるために、女の子である君としばらく魂が接続されている必要があるんだ。 で、君の魂がこの世界に定着したときに、生命のエネルギーが造り出すパワーが発揮されるんだけど、そのおこぼれで僕も肉体を得ることができるのさ。まぁ裏技みたいなものだけどね?』


 あれ?!それ言っちゃうの?!秘密の企みじゃないの?!

 俺をだまくらかして肉体を手に入れてやるグヘヘへへって思ってたんじゃないの?!


『うん? 別に隠す事じゃないさ。 ここに来れたって言っただろ? この世界に来て肉体を手に入れるのも僕の目的の一つだよ。 僕が女の子だから、君も女の子じゃないと裏技は使えないんだ』


 マジかよ!!なんだよも〜!

 なんか俺めっちゃ長々と探偵ばりに推理ショーやっちゃったよ!

 ネット小説で言ったら1話丸ごと使い切る勢いだったよ!


 ___第1の疑問。キリッ!


 めっちゃはずかしぃーーーーーー!!

 無かったことに!無かったことにしていただきたい!


 嫌だってしょうがないじゃん!悪魔が相手だよ?!

 なんか企みがあると思うじゃん!


 羞恥心がMAXな俺は、可愛いおててとあんよを猛烈にバタバタさせて諸行無常を全身で体現する所存。


 あと、涙が出ちゃう。だって女の子だもん。


「あーーーーうーーーーーぎゃわーーーー!」


「うお!どうしたんだキキ?!急に癇癪を起こして!クレア!クレアおかあさーん!」


 こうして俺は齢0歳にして黒歴史を作成したのだった。キリッ!


『顔真っ赤っかで、まさしく赤ちゃんだね』


 うるせーよ。

お読みいただき誠にありがとうございます!


もしまだの方でちょっとでも面白い続きがきになる、おっぱいは質感も大事だよなと言う方がおられましたら、ポイント評価とブックマークもよろしくお願いいたします!


作者にとってとてつもない励みになります!

引き続き頑張っていきます!


ちょいちょい誤字脱字などが目立つので修正していますが、内容は変えていませんのでご安心ください。

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