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2章 26話「神が対応すれば全部神対応だろって話」

申し訳ございません。全話が25話で今話が26話でした。

内容に変更はございません。ご迷惑をおかけいたしました。



どうもこんにちは、キアーラ・カサッツァです。

信仰の形って人それぞれだと思うんですよ。

前世でも最大の勢力を誇るベツレヘム発祥の宗教ですらいくつもの宗派があるわけですからね。神の威光も受け取り側によって姿を変えるんですね。

これって推しに対しても言えると思うんです。

どこでファンになったかとか、シュチュエーションに対する妄想だったり。

カップリングだったりリバがNGかどうかだったり。

その違いが戦争に引き金になるのも似てますよね。



「そもそもアイドルとはなんだと思う?」


『仕切り直したねぇ〜?』


感心したようにルナのセリフが頭の上から聞こえてくる。

きちんと仕切り直せる優れたMCキアーラ・カサッツァです。


「あぁ、そんな話もしていたなぁ」


王虎の興味なさそうなセリフも聞こえてくる。

まるで終わった会話を掘り返した時のようなリアクションだ。


「徹頭徹尾アイドルの話しかしていないよ?」


「いや、筋肉と婆さんの話ししてただろ」


それは王虎がしていたのであって、俺はアイドルと対極にあるような話はしてません。

アイドルの話をしようね?


「アイドルか……」


王虎が顎をさすりながら熟考しながら呟く。

そしてハッと閃いたのか声を上げる。


「お前の今までの話から推察すると、筋肉を極めた存在か?」


「筋肉から離れろ!」


「俺に死ねと言うのか?!」


「死なねぇよ!」


筋肉信者は寝ても覚めても筋肉のことばかりで困る。

それに筋肉の話をずっとしていたのは王虎(おまえ)だ。


「はぁ……。いいかアイドルという存在は言うなれば理想だ」


「理想。やはり筋肉……?」


「……まぁ。お前がそう思うんならそうなんだろう。お前の中ではな」


ドヤ顏する王虎。いや、正解って意味じゃないよ?

不正解でもないけどさ。


「アイドルの根本は偶像崇拝だ」


「偶像……? あぁ、偶像ね。偶像。知ってる知ってる」


知ったかぶりかっ! まぁ知らんだろうから解説してやろう。

もともと偶像とは神をかたどった石像や木像の事で、偶像崇拝とはその偶像を神に見立ててあがめる事だ。

そしてその偶像を沢山の人が崇め奉ることから転じて、沢山の人に熱狂される人を偶像(アイドル)と呼ぶようになった。


神はその行いは人々に広く知られているが、姿が見えない事が神秘性を持ち崇拝の対象となる。それに対してアイドルは姿は見えるが、行いを隠す事で神秘性を持たせる。

この二つに共通するのは分からないが故に、人々は知りたい分かりたいと熱狂するという事だ。

神の身元に行くためにだとか、天国に至るためにだとか、自身が神に至りたいと思う人物もいたな。はたまたアイドルのファンはプライベートを知りたいからゴシップ雑誌を買ったり、SNSをフォローしたり、V tuberの前世を調べたりお風呂配信を聞いたりするのだ。

分からないから想像し妄想し夢想し、知らない部分を保管しようとする。


「つまりアイドルは神様ってことか?」


俺の説明を聞いた王虎が沼にはまったアイドルオタクみたいな事を言ってくる。

ちょっと難しかったかなぁ? しょうがないにゃぁ。


「神様の在り方がアイドルとしての在り方のヒントって事だよ」


「最初からそう言えよ。お前いつも回りくどいぞ。求められている時以外に知識をひけらかすのは賢いふりをした愚者だってヴォーチェ婆さんが言っていたぞ?」


オイィ! なにディスってきてんだこのやろう。

俺は回りくどいのではない! 考察の過程も大事にしているだけだ!

どうしてその結論に至ったのかも聞いてほしいと言うだけなのだ!


『その辺りは段々と身体に思考が引っ張られているようで何よりだね?』


ルナがニマニマした顔をしながらこちらの顔を覗き込んでくる。


……確かに。前世では結論から言って会話に入っていた気がする。

全ての女性がそうではないだろうが、結論までの経過こそ話したいと言うのは女性的な気がする。男性と女性の会話の違いみたいな動画をみた気がするし。

なんだかなぁ、今までも度々感じていたが色々な部分が女性化しているのは、自分が自分で無くなるような気がしてゾッとしないな。


『女性化も何も実際に幼女なんだから仕方ないね?』


そうは言っても前世でいい歳までおっさんしていたからな、今更女の子である自分は受け入れられないと言うか。


『君はあれかい? 美バ肉否定派かい?』


あぁ、それだ。それに近い。

美バ肉全否定ではないが、男として美少女の皮を被っている配信者はOKだけどネカマ許すまじと言う感覚だな。これはネトゲ黎明期からを体験している古参組はわかってもらえると思う。どれだけの純真な男子が可愛いキャラの見た目に騙されたと言うのか。


『でも君は騙す方だったよね?』


おい! やめろバラすな! 墓まで持っていくんだから。あ、俺もう死んでた!

いやぁ、俺も過去にMMOをやっていた事があるのだ。

辛い仕事の合間の現実逃避の手段としてな。

そして少ない時間で効率的に立ち回るには美少女になりきり接待を受けるのが一番いいと言う禁断の結論にたどり着いたわけだ。結果は狙い通りになったとだけ言っておこう。


『男に告白されていたね?』


マジでやめよう? リアルで会えないかとかホテルに行こうとかウィスで来た時とかゾワっとしたよね。

そいつは他の女性ギルメンにも声をかけていたらしく、問題になりギルマスに追放してもらったけどな。


『男に告白された男の相談に真面目に乗っていたギルマスは真実を知ったらどう思うだろうね?』


想像もしたくありません。

もし俺がやっていたネットゲームでデスゲームが開始したら即自殺します。

ギルドのみんなに正体がバレたら憤死する自信がある。


『バレてると思うよ?』


俺がバレてないと思ってたらバレてないんだよ! そう思わないと死んじゃぅ……。

某SA◯でゲーム世界に投げ込まれて恥ずかし死にしたネカマニキは大量にいると思うんだ。装備はパッツンパッツンのミニスカで猫耳をつけて語尾にニャンとかつけて姫プレイをしていた中年男性。想像してみて? 阿鼻叫喚だよね?


『それはとても醜い景色だね?』


醜いまで言わなくてもいいじゃん……。

黒歴史はそっとしておこう?

まぁ、醜いけど。だがそれは中の人がおっさんだとわかった時に醜くなるだけで、そうでない限りは魅力溢れる俺だったわけだ。

つまり中の人という俺の姿が見えないだけでその連結厨には俺のキャラが魅力的な女性に見ていた事になる。


これはどういうことかというと、信仰の対象もしくは熱狂の対象に不明な部分があれば、人は勝手に美化した上で補完してくれるのだ。妄想ともいう。

この現象は民意を得るために大いに役立てる事ができるだろう。

それを利用したのが前世での芸能人政治家というわけだな。

正体の大部分を隠す事で勝手に好感度が上がるのだからとても有利だろう。

普通に出馬する人は自分をアピールする必要があるが、芸能人政治家は自分の正体を隠す事に終始した方が票を得られるなんてお得すぎるからな。


「それをアイドルたちにやってもらおうというわけだ」


「いや、どういうわけだ?!」


俺が結論だけ言ってやったのに王虎が不服そうに叫ぶ。

考察は全部自分の中だけにとどめてやったのに何が不服なんだ。


「俺にもわかるように言ってくれ!」


「……バカな俺にもわかるように言ってくださいだろ?」


「ゲスい!」


仕方ないので王虎にもわかるように説明してやった。

一応民意を味方につける政治的な活動であることはわかってもらえたようだ。


苦労して説明しているとキースが戻っきた。

なにやらいつもより表情が硬いような気がするが……?


「次の公演を取り消されました」


表情と同じく硬い声で言うキース。

だが、それくらいなら先方の都合もあるだろうし、珍しいことでもないが?

そう伝えるとキースが驚きの事実を告げる。


「取り消された理由は他のアイドルのライブがある為だそうです」


は? 他のアイドル? C・ムーンのところとはブッキングさせてないぞ?

俺が戸惑うのにも構わずキースはさらに口を開く。


「アイドルグループの名前はフェアリー・ドーン。別のファミリーが輩出した新しいアイドルたちです」


どうやら早くも俺たちのプロダクションを脅かすライバルが現れたようだ。

俺は背中に冷たい汗が流れるのを感じたのだった。




お読みいただき誠にありがとうございます!

作者は超絶体調を崩しておりますが、皆さんも体調にはお気をつけください。

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