6話 『ドヤ顔で推理をする話』
少し長いです。
___ここに来れた
さて。なかなか意味深な言葉だな。
嘯いてて適当なことを言っている可能性もあるが、不思議と俺にはその言葉は真実なのではないかと思えた。
何故ならそう言ったときに溢れた悪魔の笑顔が普通だったからだ。
人が思いがけない幸運に遭遇した時の素の笑顔。
この芝居掛かった言動を好む悪魔らしくない。
だから真実の言葉ではないかとそう思った。
人にはお互い事情がある。
ヤツにも目的があり、行動には意味があるはずだ。
ここにこれた。
たった一言だが、それでも色々と疑問は浮かぶ。
疑問は解消しなければならない。
今世は考えて決めることにしたからな。
何故どうしてを疎かにすると山奥で死にかけねないからなw
ここは一つじっくりと考察タイムと洒落込もう。
まずはヤツの行動の意味を考える。
悪魔が俺を蘇らせるのはいいとしよう。
蘇らないと物語が始まらない。
そもそも何故、異世界に転生させる?
これが第一の疑問だ。
ヤツは俺に悪魔の素質があると言った。
だから復讐の手伝いをして欲しいと言っていたな。
だが俺が断ったので賭けをする事にしたと。
その為に転生させて第2の人生を送らせると。
まぁ、これだけなら不自然じゃない。
望むものがあって、交渉に失敗したがどうしても欲しいので、手に入れる為に賭けをする。
悪魔的だし一般的でもある。
しかし俺がまず引っかかったのは、悪魔的な俺だから転生させるという部分だ。
不服だが、100歩譲って俺が悪魔マテリアルに満ち満ちた存在だとしよう。
___だが悪魔になる素質があるのはこの世に俺だけか?
ヤツは俺みたいなやつをたくさん見てきたと言っていた。
日本全国1億人の中で悪魔の素質がある人間が俺だけとは思えない。
自分を善人であると嘯くつもりはないが、もっと相応しい人間はいただろうと思う。
俺より邪悪な悪魔的なやつはいるはずだ。
では、そいつらについてくればよかったのでは?
そいつらに復讐を手伝ってもらえばよかったじゃないか。
では、すでにそいつらにも手伝ってもらってて、俺はその大勢のうちの一人か?
転生を行うたびにこの悪魔は毎回ついてきてこの世界に来ていたのか?
転生させたやつを悪魔に成長させるために?
そうだとしたら随分と手厚いOJTだ。
悪魔界はホワイト企業か?
俺の会社はブラックだったのに。
死んでしまうほどのブラックだったのに。
……違っていて欲しい。
社長の会社が悪魔界に劣るとは思いたくない。
だから違うと仮定する。
別角度から考察してみよう!
最初にヤツは復讐のためにこの手を取れと言っていた。
憎しみに任せて世界とやらに俺が復讐する。
どこの世界に?
当然、俺が憎むとしたら前世の現代にだ。
洗脳を試みようとしていたことから、俺の自由意志は実際に必要ない。
あそこで俺がYESと言うだけでおそらくヤツの望みは叶ったんじゃないかな?
世界を憎んでいるであろう俺がYESという。その事実が欲しい。
それがヤツの最初の望み。
もし異世界転生させて悪魔に育てるのが目的ならば、本末転倒じゃないかと思うんだ。
だって普通、第二の人生なんて謳歌しないか?
前世のようにはなるまいと悪魔的なやつだって改心して善人になっちゃうかもしれない。
いや無間地獄みたいなところだったらそうじゃないだろうけど。
今現在抱っこしてくれているお母さんの雰囲気からしてそんな世界じゃないと思う。
悪魔になるのに人生やり直しは適していないと思うんだよ。
あの時の悪魔は、一方的に話してこちらの意見も聞かずにただ手を取れと言った。
契約内容を提示せずただサインしろと言ってきたわけだな?
いや、三流がすぎるだろう?新卒1日目の営業マンだってもう少しうまくやるわ。
あまりに稚拙な交渉だ。
悪魔なら殊更もっと上手くやれと思ったよ。
まず優秀なネゴシエーターは最初に口を開かない。
こちらの要望を聞いてから交渉に入る。
一流ってのはそう言うものだ。俺は別に一流ではないが。
だがヤツはそうしなかった。雑な手続き。雑な交渉。
なぜか?
恐らく、悪魔のもとに来る人間は元々復讐を強く願う魂が来るのではないだろうか?。
今までの奴らはこれ幸いと復讐を選択し、YESと簡単に答えたんじゃなかろうか。
NOという選択肢が最初からないような復讐に取り憑かれた奴らが来る場所だったのでは?
YESと言うのがわかっていたから。
いつもそうだったからだから交渉とも言えない稚拙な交渉から入った。
いつもならYESと言われ、そのままそいつは現世に蘇り、世界に復讐を果たす。
業務終了。お疲れ様です。
だが俺は提案を断った。
望む結果にならなかった。
だから手段を変え、この異世界転生のゲームを持ちかけた。
俺が断った時、悪魔はことさら驚いた。
ヤツとのやり取りで驚きが顔に出たのはその時だけだ。
イレギュラーが発生。
とっさの軌道修正。
つまり目的を変えたんだ。
最初は通常業務。
復讐者を世に放ち破滅後その魂を得ること。それがヤツの目的。
だが今回のことはイレギュラー。思い通りにならない俺をみて別の利益を考えたんだ。
俺である必要はなかったが、条件に見合う俺が現れた。
だから計画を変更した。
奴が俺に求めたことは、異世界転生を受け入れること。
かつ、結果的に俺が奴の監視を受け入れること。
この二つだ。
その二つをもってして奴は利益を得る。
ではその利益は何か?
___俺と一緒に異世界に来ること。
疑問の答え。
おそらくヤツはこの世界に自分だけでは来られない。
最初の復讐の提案にNOと言った俺と契約した状態でなければこの世界に来られない。
そのためにゲームを提案した。
そして利益はそれだけではない。
もう一つ利益がある。
第ニの疑問。
何故俺の命を守る?
この勝負の失敗の条件は敵対者が俺を殺すこと。
つまり悪魔自身が俺を殺しても条件が満たされるはずなんだ。
俺を早々に殺せば契約はヤツの勝ち。そこで終わり。
その方が都合がいいはずだ。
何故そうせずむしろ守るのか?
この矛盾の意味は?
それが二つ目の利益と関係しているはずだ。
俺に死なれては困ることがある。
それはなにか?
多分、悪魔は自分だけではこの世界で存在を維持できない。
___僕にはまだ肉体がないからね___
なにげなくこぼしたが、まだ。
つまりいずれは肉体が手に入る。
ヤツは命を守る期限を切ってきた。
俺の魂が定着するまでと言う。
俺にはそれがいつかはわからない。
ならばいつでもヤツのさじ加減で守るのをやめることができるという事。
つまり……それ以後は俺が死んでも構わないという事。
___ヤツが肉体を手に入れるのが本当の期限ではないのか?
第二の利益。
この世界で単独で存在できるようになる。
それが答え。
おそらく肉体を手に入れるまでは俺と一緒にいる必要がある。
俺を利用しこの世界にきて、俺を利用し受肉する。
それがヤツの考えた軌道修正後の目的。
肉体を手に入れたら、ヤツは俺を切り捨てるだろう。
契約を俺の敗北で終わらせる為に動き出す。
自分の真の目的の為に。
ふむ。だいぶん見えてきたな。
もちろん推測の域は超えないが……。
だが、俺は一向に構わん。
やることは変わらない。
失敗せずに第2の人生を生き抜く。
それだけが俺の目的だ。
最初から悪魔が敵であることにも変わりはない。
常にそばに在ると言うならそれもいい。
___友を近くにおけ。敵はもっと近くに置け。
お前が俺を監視するなら、俺もお前を監視してやる。
その方がやりやすい。
……と思うのだが、お前はどう思う悪魔さん。
『いや、どう思うと言われてもね。 なんの話だい? 』
悪魔は突然話しかけられたように怪訝な顔をして答える。
ふむ___
長々と考察して悪魔を観察してみたが、どうやら聞かれたくないと思いながら考えると、コイツに聞こえないのは本当らしい。
今の思考を読まれていたなら、なにがしかのリアクションはあるはずだからな。
まぁ、もっとも今の思考が読まれていたとしても、お互いにやる事は変わらないので構わないのだが。
多分……読まれていない。
だって、さっきまで真面目な顔をしていたのに、俺がお母さんにあやされ始めたあたりから、揶揄いのイヤラシイ表情になってきたし。
『あぁ、いい年した成人男性が、年下の母親のイナイナイバーを見て喜ぶべきかと言う話かい? 』
そうなのだ、さっきから俺が難しい顔で考え事をしていたので、俺のご機嫌が斜めかと思い、お母さんがずっとイナイナイバーをしているのだ。
……お母さん、イナイナイバーは面白いから笑うんじゃなくて、親がいなくなってしまったと勘違いした赤ん坊が、いなくなってなかった!って安心して笑うらしいですよ?
だから一生懸命されても俺笑わないんですよ?
「キキはこれやっても全然笑わないわね? お母さん面白くない? 」
そういってお母さんが悲しそうな顔をする。
むぅ。なにやら罪悪感が……。
どうしたものか?
『笑えばいいと思うよ? 』
ニチャァ!
悪魔の言葉を受けてかました俺のネバやかなスマイルだが、どうやら不評のご様子。
「こらキキ! 女の子がそんな顔したらダメよ! 」
んん〜?
え?なんて?
いや、まさか。
え?今なんと申されましたか?
その時だ。
嗚呼、あまりの衝撃に頭が真っ白になったのが悪かった。
俺のその一瞬の気の緩みを奴は見逃さなかった。
いや……緩んだのは、気でなく……
プリッ
括約筋が緩んだのだ。
便意はお腹がいっぱいになった俺に情け容赦なく襲いかかり、俺の意思に関係なくその猛威の限りを尽くす……。
「なんだ、ウンチしたくてご機嫌斜めだったのね! すぐにオムツ替えようね! 」
そう言ってお母さんは、おもむろに俺の下半身を剥いていく。
赤ん坊の俺は抵抗できるはずもなく……
哀れ完全露出と相成りました。
あああ、不覚。見ないでくだされい!見ないでくだされい!
悪魔がこれでもかとガン見してくる。
貴様―!!事案であるぞ!事案であるぞ!
「まぁいっぱい出たわね〜。 キレイキレイしましょうね〜」
「う〜っ、うっ、えう〜!」
恥ずかしい……
羞恥の念に悶えている俺だが、お母さんは着々と俺の下半身を綺麗にしていく。
あ、拭かれててわかったけど、ないわ。
布がなんの障害物もなくスムースにクリンネス。
どこに落としちゃったのかな……?
俺、女の子になっちゃったよ……。
キャパオーバーとなった俺は今度こそ睡魔に身を委ねるのであった。
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