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2章 1話『桃源郷には桃の他にもメロンちゃんやスイカちゃんもいるって話』

お待たせいたしました! 2章本編スタートです! そしてお風呂回です!

 

 どうもこんにちは、キアーラ・カサッツァです。

 中国に桃源郷という概念があります。

 本来の意味では俗世を離れた仙人たちが住まう場所ですが、日本ではなんだか素晴らしいむふふな場所で、むしろ俗世に塗れている場所として表されることが多いです。

 やっぱり桃っていうのがエロく聞こえるからですかね?



「ぐふふぅほほっ」


 俺の喉から意図していない笑い声が漏れ出る。

 我ながら気持ちの悪い笑い声だと分かっちゃいるが、目の前の光景に俺のリビドーさんがいう事を聞かないのだから仕方がない。

 いやぁ、こまっちゃうなぁ。


『こまったという顔ではないね?』


 うるせぇ。お前は黙って海藻を持ってこい。

 心の中でそう言いながら、俺は|沢山の肌色の中に紛れて唯一(・・)服を着ているルナを睨みつける。


『はぁ、これは賭けだぜとか口車にのって言うんじゃなかったよ。

 まさか何気ない一言で契約に縛りができるとは思わなかったよ』


 ざまぁ!


 おっと、こんなポンコツ悪魔を見ている場合ではなかった。

 俺は桃源郷の現地調査に忙しいのだった。


 悪魔の後悔顔も良かったが俺は辺り一面たわわに実った果実観察を再開する。


「あの……、キアーラさん?

 大丈夫ですか? 変な声が出てましたが熱かったですか?」


 そう俺に声をかけるのは先日お友達になったフレアさん。

 心配そうに正面から俺の顔を覗き込んでいる。

 そして覗き込む事で前かがみになり、目の前にメロンちゃんがコンニチワ。


 普段はタイトなスーツに身を包んでいるせいで締め付けられていた果実が、その戒めを解き放たれ現世に降臨。

 小麦色の肌から滴り落ちる水滴が頂点を通過して湯面に落ちる。


 これがミルククラウンか……。


『純粋にキモい……』


 キモくて結構コケコッコー!

 俺はもう自分に嘘をつかないと決めたんだっ!


『なにかいい事を言っている風だけど、実際はどうしようもない事を言っているからね?』


 聞こえない事に定評のある俺!

 聴覚より視覚を全力全開っ!!


 いや……待てっ!

 なんという事だ……。

 フレアさんのメロンちゃんは下を向いているというのに重力に引かれていない!

 大変ですニュートンさん……メロンちゃんはリンゴの法則が当てはまらないようです!


『君は胸が好きすぎるね……』


 オムネ・ダイス・キング!

 俺は、おっぷるぱい業界の王になる!!


『なんだい、おっぷるぱいって言うのは……。

 簡潔に気持ち悪い』


 ルナから侮蔑の眼差しが向けられている気がするが、今の俺にはなんの通用にも感じられない。

 なぜなら私はキングだから。


 俺の意気込みが鼻からフンフンと溢れ出ていると、フレアさんがますます心配顔になる。


「息も荒くなって……。のぼせてしまいましたか?」


 はい。メロンちゃんにのぼせました。

 などと正直に言えるわけもなく、しかし目の前に集中している俺が曖昧に返事をしているとザブザブと誰かが近寄ってきた。


「うにゃぁ? どうしたのかにゃー?

 キキちゃんのぼせちゃったのかにゃー?」


「のぼせちゃったのかにゃん?」


 鉄の意志を持って目の前のフレアさんから視線を声のした方に向ける。


 やってきたのは猫耳を生やしたアッシュブロンドの髪をショートカットにした女性が二人。

 女性というより女の子と言った方が良いか。

 どちらかというと長身のフレアさんと並ぶと子供にしか見えない位の背丈で、猫の獣人だ。

 そして二人は見た目ではほとんど区別がつかない。

 猫の獣人らしくスラリとしたスタイルをした双子のお姉さんだ。

 特定の部位が小ぶり。リンゴちゃんとレモンちゃん!


 ちなみに語尾に、にゃーが付く方がお姉さんで、にゃんと付く方が妹さんらしい。


「あらぁ〜だいじょうぶかしらぁ〜?」


 おっとりとそう言いながら双子の後ろから姿を表したのは牛の獣人のお姉さん。

 黒に近い茶髪を所謂パッツン前髪にして、今は長い髪を頭の上で結い上げている。

 開いているのか閉じているのか分からん細目で、肌は色白。

 今は頬に手を当てあらあらムーブをしている。

 だがそこから視線を下に向けた瞬間、俺の目ん玉が飛び出るくらい見開かれる。

 俺の意思ではない。リビドーさんの仕業だ。


 絶大! 壮大! 無限大!


 俺は人類の可能性を見ているのか……?


 ここで豆知識だが日本一大きなスイカを産出している土地があり、その名を入善という。

 にゅうぜん! にゅう! ぜん!


 流石に引力に少し引かれているが、だがそれがいい!

 これこそ中が沢山詰まっている証拠ではござらんか!


「なんか……イヤラシイ目つきじゃない? その子」


 次に現れたのは青に近い黒髪をセミロングにした女性。

 こちらもケモ耳を標準装備しており、一見犬耳に見えるが狼の獣人だ。

 目つきは鋭く釣り上がり気味で、ともすると睨まれているようだがこれがデフォルトらしい。

 先の猫の双子よりも細身で、身長もそれほど高くないのでご飯をちゃんと食べているか心配になってくる。

 そしてその細い腕を胸の前で組んでいるが、胸板と腕の間はシュレディンガーの猫。

 その腕が解かれ観測できるまでは存在の可能性を否定できない。


「……なんか失礼なこと考えてない?」


 そう言いながら腕を腰に当てる。

 くっ! 72!


 狼の獣人はクソ狼(リロ)のせいで印象が悪いが、俺はキングなのでなにも問題はない。

 山も大地も谷も盆地も等しく愛する。それがキングだ。


『胸が好きな女性は母性を求めているらしいよ?』


 ルナが無粋な横槍を入れてくる。


 ……おい。急に冷めること言うなよ。

 俺がまるで母の愛に飢えているかのような誤解を招くだろう。


『そうだね、今世(・・)では愛されているからね? お母さんに』


 ……まるで前世ではそうでなかったと言いたげだな?


『そう聞こえなかったかい? だったら謝罪をするよ。

 悪魔として皮肉が上手く言えなくて申し訳ないとね』


 ここ最近、コキ使った事への報復のつもりか、それとも俺の心を冷めさせるのが目的か。

 いや……両方か。


 酷薄な笑みを浮かべるルナは出会った時のように、大袈裟に仰々しく胸に手を当て腰を折る。

 まるで舞台上のピエロがそうするように。


 反論しようにも、前世の俺の家族に愛などというものが存在しなかったので出来ない。

 一切その感情を持ち合わせていないイカレた一族だったな。

 愛は人を動かすために利用するもので、自分が抱くものではないってね。


 反論できない俺にルナの笑みが益々深くなるが相手にするだけ損だな。


「どうかしら? パピヨン(うち)の自慢の浴場は気に入ってもらえたかしら?」


 俺が落ち着いたと見るとすぐに声をかけてきた人物を振り返る。

 一瞬眩しさに目が眩んだかと思えるほどの輝き。

 物理的なものではなく、その存在感がそう思わせる。


「ええ、これほどの風呂は入ったことがない」


 神が美をテーマに作り出した芸術品のような完璧なプロポーション。

 肌は透き通り、その髪は濡れてもなお、絹のような滑らかさを保っている。


「そう。 入浴は最近になって流行りだしたのに、キキちゃんはもうお風呂に入ったことがあるのね?」


 俺を試すような質問をする彼女こそ、この国最大の公娼パピヨンの女主人。

 皆からはマダムと呼ばれ、その優れた能力で人を意のままにあやつる人物。

 まぁ、操られる側はそうと知れずに行動しているだろうがね。

 前世で俺の親父にあたる人の部下たちがそうだった。


「母が水の魔術を兄が火の魔術を使えるので」


 これは嘘ではない。

 うちは俺の影響でスラムの住人とは思えないほど綺麗好きで、風呂好きだ。

 毎日自作の風呂に入っている。


「まぁ、ここと比べることもできないような見窄らしい風呂ですよ。

 おかげで楽しんで入らせてもらっています」


 俺が誤魔化したことに気づいただろうが、マダムは表情一つ変えない。


「そう? 楽しんでいるのはお風呂以外かと思ったわ?」


 まぁ、マダムは風呂に入ってからずっと(・・・)俺を観察してたからな。

 俺が色々見ていたのも気づいただろうな。

 だからまぁ、誤魔化しても仕方ない。

 ルナに煽られたけど、そんなの関係ねぇ。


 俺は自分に嘘をつかないと決めたんだ!


「はい。 おっぱいも楽しんでいます」


 キリッと音が出ているはずの俺の断言に、マダムの眉が少し動く。


「そ、そう? それは良かったわ?」


 ふふふ、経験則から行動を予測するマダムには突拍子も無い言動が効果的。

 程よい刺激をご提供致します。

 飽きられないようにしないとね?

 お友達になったのだから。


「キ、キアーラさん()、もしかして女の子が好き?

 いやダメ! お友達だし、まだ小さい子供なのだから……」


 後ろでフレアさんがブツブツ言っているが、聞こえてますからね?

 難聴系主人公ではないので。


「それで? うちの子たちを見てどう思った?」


 マダムにもフレアさんの独り言が聞こえたはずだが、なかったかのように話を進めてくる。

 ……日常茶飯事なのかな?


 俺もフレアさんを無視して、改めて周りを見回す。

 おそらくローマのテロマエをモチーフにされたと思われるデザインで、白を基調とした芸術的な価値もありそうな大浴場だ。わからんけど。


 そこでパピヨンの女の子たちが楽しそうに入浴している。

 年齢の幅も様々、人種も様々で多種多様。

 ここだけ切り取ればこの国に人種による差別なんてないように思える。

 まるで桃源郷だ。


 だが、実際はここにいる人物全員が差別の結果でここにいるのだ。

 出来損ないの獣人、新移民の人間。

 周囲に溶け込めなかったエルフ、鍛治ができないドワーフ。


 みんな下まで落ちてきた存在だ。


「そうですね。おっぱいの評論はまた今度にするとして、やはり改善(・・)できると思います」


 俺はそうマダムに進言する。


「では?」


「ええ。薬膳、効果が見込めると思います」


 俺はそうマダムにビジネスの話を持ちかけるとともに、ここにきた理由を思い出していた。


『僕に海藻を取りに行かせた理由も思い出してくれよ?

 そして感謝してくれよ』


 お前のは自業自得だろうが。

 あれはビンゴ大会のすぐ後の出来事だった___


お読みいただき誠にありがとうございます!


どうでしょうか? 肌色増やしてみました。


もし、少しでも面白い続きた読みたいと思いましたら

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