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41話『友達ができる話』

なんか、昨日のPVがいつもよりかなり多かった……。

なんでだろう??

ありがたいですけどねっ!

 

 どうもこんにちは。

 キアーラ・カサッツァです。

 現代日本において誠意と聞くと胡散臭くなるのは、その言葉が賠償と同義と化しているからではないかと愚行する次第です。

 つまりはフレアさんには誠意の真の意味を理解してもらうべく私はお願いとやらを全力で回避する所存です。


「お願いと申しますとどのような事でございますでしょうか?」


 そんな思いはおくびにも出さず、俺はまさしく平身低頭のままフレアさんの顔色を伺いつつご要望も伺う甲斐性なしムーブに全力投球なわけです。


 フレアさんはそんな俺を暫く白い目で見ていたが何かにハッと気がつくと慌てて俺に近寄ってきた。


「も、申し訳ありません。とんでもない無礼を働いた身でお願いなどと浅ましいことをっ」


 焦った様に言い募るフレアさんに促され立ち上がった俺は俯き加減で彼女にたずねる。


「いえ、悪いのは私なんです……。私、フレアさんに酷いことを言ってしまいました、許していただけますか?」


 必殺!幼女の上目遣い!

 汚いなさすが幼女きたない。

 絵面的には幼女に土下座をさせる大人という構図だからな。

 普通の感性であれば無条件で許してしまっても仕方ない。


 反省もしているし申し訳なくも思っているがこれ以上の面倒ごとはゴメンだ!(外道)

 王虎がうわぁとつぶやいているが、なんならお前も謝るんだよ!

 お前もなんやかんやフレアさんを追い詰めたでしょうが!

 俺ばっかりに押し付けるんじゃない!


 そんな風にど畜生が保有する独自の思考回路にて責任の分散を思案しているとフレアさんがまた動きを止め虚空を見上げる。そしてボソボソと自問し始める。


「……何故でしょうか。とても可愛らしいのに中年男性が上目遣いをしているかの様な薄ら寒い気配を感じるのは? 騙されるなと本能が告げています。……私はどうかしてしまったんでしょうか?」


 誰が中年だ! 前世では20代だったわ! まだ中年ちゃうわ!

 今世も合わせちゃうと余裕で中年だけど!

 今は10歳だからお若いです〜。

 そしてフレアさんの本能よ、余計な警鐘を鳴らすでない。

 正しいことが全てではないのだぞ?


「ヴォーチェ様が仰っていました、男は無条件で許すと付け上がるからきちんと手綱を締めるようにと……。この感覚はそれを示唆するものでは……?」


 おぉい! まさかのここで噂製造機のヴォーチェばあさんの名前が!

 あの人何者だよ! どんな人脈してやがんだ!


 まずいぞ……。

 あの婆さんの言葉には嘘だとわかっていても人を納得させる謎の説得力がある!

 俺も何度踊らされてことかっ!


 このままではやはりお願いとやらをされてしまう!

 そしてそれはマダムの元で一緒に働きましょうという願いに相違なし!


 くっ! 更に追撃をっ!


「フレアおネェちゃん?」


 あたかも返答しないフレアさんを心配するかのような幼女ムーブ!

 あざとさの神アザトースよ我に力を!


 両手をグーにして所謂ぶりっ子のポーズで思考を中断させようと試みる俺。


「いやぁ、それは悪手じゃねぇかなぁ……」


 俺がお願いとやらを回避しようとしていることに気づいている王虎がボソリと呟くが、だったらお前もフォローせんかい! と思う。


「……おネェちゃん。お店で中年男性が店の娘を呼ぶときと同じ脂っこさが感じられます」


 ……もうダメですか? 脂ぎった中年の雰囲気が漏れでていますか?


 俺が額から脂汗を漏れ出させているとフレアさんの中で何かしらの結論が出たのかガシッと俺の肩を掴み言ってくる。


「キアーラさん。やはりお願いを聞いていただいてもよろしいですか?」


「はい……」


 ……ゲームセット。

 ミッションインポッシブルことに成功しました。

 作戦失敗です。ありがとうございました。


 そりゃそうですよね。あざとさなんて男の妄想から作られたわけですから女子には効きませんよね。

 王虎が悪手というのもむべなるかな。

 まじアザトース使えねぇ。(熱い風評被害)


 俺はため息をつきそうになるのを鋼の意思でこらえながらフレアさんにたずねる。

 まぁ、マダム云々だったら断ればいいか。

 ことここに至っては全力でお願いを聞きますとも!


「何でも言ってください!」


 ふんす! と鼻息荒く覚悟を決める俺。

 突然のやる気にフレアさんは目を丸くするが、すぐにモジモジとうーだのあーだのと言いあぐね始める。顔も心なしか赤い。


 ……まさかこれは、所謂エッチなお願いでわっ!!

 何故思い至らなかったんだ……。

 百合属性をもつフレアさんが俺のような可憐な幼女を前にお願いする事などそれしかないではないか!


 いやだがしかし、昨今の情勢を鑑みて百合とはいえいたいけな幼女をそのような対象とするのは如何なものか。

 青少年保護法の観点からも毅然とした態度でお断り申し上げるとともに健全な青少年の育成の為にも優れた倫理観を持つ元日本人としてフレアさんに苦言を呈さねばなるまい。


 俺が密かに世論を意識して決意していると当のフレアさんがとうとう口を開いた。


「お友達になってください!」


「はい喜んで!」


 ……あれ?

 お友達?


 俺が思ってたんと違うお願いに目を白黒させているとフレアさんがホッとしたように笑顔をうかべる。


「よかったぁ。断られたらどうしようかと思いました」


 はにかみながらも嬉しそうにするフレアさんの笑顔が眩しい。

 汚いのは幼女ではなく俺の心だったということか……。


「私、年の近い仲間はほとんど死んでしまって……。

 生きている人もいるんですけど色々あって没交渉というか……。

 今のお店の人たちは友達というより家族であったり同僚といった感じが強いですし」


 さらっと重い内容をブッ込んでくるフレアさん。

 そうだな。スラムで生きる子供にとって明日も一緒にいられる友達というのは何より得難いものなのだろう。この世界では子供は常に死と隣り合わせなのだから。


「若輩ながらもマダムのお側付きを任されている立場ですから、どうしても遠慮されているところもあって気の置けない仲の友達というのが中々作れませんでした」


 まぁ友達付き合いというのは立場が釣り合っていないと難しいところもあるよな。

 ましてや公娼を営むマダムの側近ともなると色々話せないこともあるだろうし、そういうのに理解がある人じゃないと難しいよな。


「でもキアーラさんはそう言ったしがらみとか関係なさそうですし、これからマダムと友誼を結んでいただくのであれば立場的にも問題なさそうですし」


 お見合いの様なことを言うフレアさん。

 国から娼館を任されるほどの人物とマフィアのボスが釣り合っているかどうかは疑問だが、ただの幼女とお友達というよりは外聞も良いだろう。


 マフィアと娼館は切ってもきれない仲なわけだし。


 そう考えたところで俺は違和感を覚え、その正体に気づくと体に氷柱を刺されてような衝撃と寒気を覚えた。


 フレアさんはマダムのお側付きという立場で接触してきた。

 それの意味するところは個人的な接触ではなく、公娼の主人としての立場からの接触と言える。


 詳しい事は分からないが、その立場は決して新移民の幼女とは釣り合うものではあり得ないはずだ。


 これは俺の持論だが友達というのは立場が上になればなるほど作りにくくなる。

 その立場が邪魔をするからだ。


 立場が釣り合っていない人間と付き合うと得てして評価が下がる。

 時には信用を失いかねないほどに。

 前世でも芸能人が反社会勢力とネンゴロだったため消えていった例も山ほどある。

 政治家の交友関係を叩く対抗勢力というのは日常の風景とかすほどだ。


 それを腕力ではなく政治的な手腕で今の立場に立ったであろうマダムがわかっていないはずはない。


「……あの?」


 何も言わなくなった俺に不安を覚えたかの様におずおずと声をかけてくるフレアさんに内心の動揺を悟らせぬ様に精一杯の笑顔で俺は応える。

「私もフレアさんとお友達になれてとても嬉しいです」


 俺がそう言うとまたフレアさんは花が咲く様にぱぁっと笑顔を見せる。


「それで……マダムも私と友誼を結びたいと言うことでしたが」


 すぐに話題がマダムの話に変わったことで一瞬フレアさんは残念そうな顔をするがすぐに笑顔に戻ると俺に言ってくる。


「はい!マダムもキアーラさんとの友誼をお望みです。正確にはマダムと言うよりもパピヨンとして友誼を結びたいと仰っておられました」


 っ!

 心臓が早鐘の様に鼓動を刻みうるさいくらいに波打っている。

 我知らず握りしめた拳から汗が滴りそうだ。


「マダムと個人的な交友関係がある方は多いのですが、公的な立場でお付き合いのある方はやはりそれなりの立場の方が多いので最初は疑問に思いましたが、キアーラさんはバンビーニのボスになったのですから問題はありませんね。やはりマダムの言う事は間違いありませんでした!」


 我が事の様に誇らしげに言うフレアさんだが俺は頭に霞がかかった様に思考がまとまらなかった。


 俺は乾いた喉を潤す様に唾を飲み込むとフレアさんにたずねる。


「……マダムは俺がバンビーニのボスになると知っていた(・・・・・)んですか?」


 なぜそんなことを聞くのかと俺の質問に首を傾げながらもフレアさんは答える。


「キアーラさんはこの場でバンビーニのボスになることを宣言されたので流石にそこまではと思いますが、今考えるとそうかもしれないと思えてしまいますね」


 フレアさんは冗談の様に言うが俺にはそれが真実ではないかと思えた。

 理性ではそんな馬鹿なと思う。

 俺がバンビーニのボスになると決意したのは王虎とのやりとりがあったからだ。

 そしてフレアさんとのやりとりで自分の根底にある思いを認識できたからだ。

 言うなれば突発的な決断だと言える……はずだ。


 俺がバンビーニのボスになるなんて事は荒唐無稽な話は自分だって信じられない。

 少なくとも数時間前の俺であれば絶対にこの選択をしない。


 王虎とフレアさんに出会いこの世界で足掻く人の心からの叫びを聞いて、お互いにむき出しの感情をぶつけ合った結果だ。


 フレアさんを見てこの世界に対する怒りが爆発した結果だ。


 王虎との話だけだったら違った。

 フレアさんだけでも違った筈だ。


 この時このタイミングでなければ覚悟を決めなかった。そう思う。


 だが一方でこうも思う。


 ___フレアさんがいたからこうなった。


 馬鹿なと思う。ありえない。

 神ならぬ人の身で人の決断を予期できるはずがない。

 誰が予め予想できると言うのだ。

 誰にもできない。出来るはずがない。


 ___それではまるで手を下さずとも人を思い通りに動かす前世の父の様ではないか


 ___神の様に全てを支配する父の様ではないか


 もしそうなら……





 ……好都合じゃね?


 もしもう一度あのクソ親父に出会ったらクソブン殴るつもりだけど本人でなく、俺に友好的であの能力を持っているなら超頼もしくね?

 真近で見てきた俺だからわかる。あのクソ親父と同列の能力を持っているなら超有用。


 これから始まるであろう七難八苦に対して激烈役にたつじゃん!

 向こうから友達になってくれるならサブイボ立つほど感謝感激雨あられ。


 哀れなほど怯えて震える前世の俺のケツをキアーラ・カサッツァ(今世の俺)が蹴り上げている情景を思い浮かべながら俺はニンマリと笑いながらフレアさんの手をガシッと掴む。


「フレアさんとお友達になれて俺とっても嬉しいです! ところでそれはそれとしてお友達のフレアさんは俺のお願いも聞いてくれますよねぇ?」


 俺が笑顔を向けるとフレアさんの若干顔が引きつったが気のせいだろう。


「いやぁ……。うちのバンビーニは財政状況が逼迫しておりましてぇ。その辺りに明るいであろうマダムのアドバイスなんぞをいただきたいんですよねぇ? 口利きしていただけますよねぇ?」


「……あれぇ?」


 後悔した様に呟くのも気のせいだ。


「なぁキキ?」


 その時後ろから声がかかる。

 振り向くと哀れむ様な表情をフレアさんに向けているソニー兄さん。


「そろそろビンゴ大会始めないとまずくないか? 随分と時間が経っちまってるんだぜ?」


 フレアさんを助けようと話をそらすつもりだな?

 ふん! ビンゴ大会? なんだそれは!

 そんな事より今は目の前のチャンスを逃さない様に交渉することが先決だ!


 まったくなんだビンゴ大会って。


 ……ビンゴ大会?


「おぉおおわあ!! やべぇええ!!」


 すっかり忘れてた! やべぇ!

 どれくらい経った?! 初っ端から遅延なんかやっちまったらヤバイでしょうが!

 信用失っちゃうでしょうが!


「フレアさんまたこの後お話ししましょう! ゴロッリオ肩車モード!」


「ウホッ!」


「お外にGO!!」


 俺はあっけにとられるフレアさんと王虎を置き去りにすると、ゴロッリオに担いでもらい出口へと急ぐ。

 あぁ! どうしよう!


 俺は外がどうなっているのかを考え身震いしながらゴロッリオを急かすのだった。


お読みいただき誠にありがとうございます!

あれですかね? 40話は美女が追い詰められて怯えているのが良かったんですかね?

この作品の読者様はもしかして上級者様??


このあとポイントが増えてたら、そうだと確定し今後の展開を一考しようと思いますw

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