19話 「やっっとビンゴ大会に向かう話」
どうもこんにちは、キアーラ・カサッツァです。
一つの事業とも言えるべき計画実行にはとても長い時間が必要なんですね。
前世では下っ端サラリーマンだった俺は、ビッグプロジェクトに関わることがなかたったので知りませんでした。
「これより大ビンゴ大会を実施する!!」
俺の宣言にやんややんやの大喝采!
子供達の拍手が鳴り響く。
『長かったねぇ?』
本当にそう! 計画した当初はこんなに大変だと思わなかった!
いやね? 以前の「小綺麗な子供が街を綺麗にしちゃうよ計画」なんですがね?
なんか服装が襤褸だったのでゴミ漁りしてると思われちゃってね?
そんなに効果的でなかったの!
街が綺麗になることには好意的だった待ちの皆さんですが、それはそれ。
これはこれってなもんで、やっぱりスラムの子供なんてまぁ、信用されないね。
ビンゴ大会しようと思っても誰もこない!
きたとしても景品を掠めとろうっていうゴロツキばっかり!!
クソかよ!
もはや打つ手なしかと思われたこの計画。
『ひとつ作戦が外れて頓挫するようなのは計画とは言えないんじゃないかなぁ?』
そこに一筋の光明が!!!
突如として現れた我らの救世主!!!
その名もフレデリコ・カサッツァ!
そう影の薄い方の俺のお兄ちゃんだ!!
『ひどい言い草だねぇ?』
影がうすい方のお兄ちゃんだが、実はかなりの美形。
目つきが悪くてデリカシーのないオラオラ系の使えないソニー兄さんとは違い、儚げで守ってあげたくなる系のビジュアル系男子に成長したのだ!
「なぁキキ。今なんか失礼なこと考えなかった? 俺のことで」
「いいえ? 年上好きなのに年下ばかりに好かれるソニー兄さんの事などかけらも考えてないよ?」
「イヤだからそういう事言うなよ!」
焦った様子のソニー兄さん。
チームの女の子たち数名が絶望に直面したかのような表情を浮かべているが、あとでソニー兄さんフォローを頼むとしよう。
「お姉様方に大人気のフレド兄さんに密かに嫉妬しているソニー兄さん、年下の女の子にも目を向けたほうがいいよ? 年上には持てないタイプなんだから」
「おまえ……そう言う事いうなよ……」
露骨にションボリする兄さんと対照的に、パァッと花が咲いたような笑顔になった女の子たちがしきりに頷いているのが対照的だ。ちなみに男どもは舌打ちしている。
今回の計画の成功はフレド兄さんのおかげといっても過言ではない。
経緯はこうだ。
スラムの子供は街の住人に毛嫌いされており、その過半数は街のご婦人方だった。
不衛生で手癖も悪く子供に悪影響を及ぼすと大変不評というわけだ。
その不評の根は水浴びして多少綺麗になった子供のボランティアぐらいでは払拭できなかった。
うちのチームの子供たちが、ゴミを漁らず盗みもやらず毎日のように水浴びして清潔にしていてもだ。
もう貴方達が思うような事はしないんだ、違うんだと言っても当人からの言葉は届かない。
___この世界でも生まれもった境遇は打開できないのか?
そう考えはじめたときだった。
街の掃除をチームで行なっていたときに、フレド兄さんだけ街の人に挨拶をされていたのだ。
それも件のご婦人方にだ。
スラムの人間ではないが、新移民で見下される立場であるはずなのにだ。
正直影の薄い方であるフレド兄さんが日頃なにをしているか全然知らなかった俺なのだが。
どうやらフレド兄さんはそのモテ力によってお姉さん方にあっちゃこっちゃ粉かけており、幅広い交友関係? を築いていたのだ。
これだ! と思った俺はフレド兄さんの洋服を奮発してかなりいいものにチェンジ。
それに合わせチームの子供達の衣服もグレードアップ。
ここで俺の前世知識が火を吹いたね。
やってやったよ知識チート!
アパレル関係に納品したりしていたこともある俺は、その優れたデザインをパクったね!
どちらかというとこの世界の洋服は野暮ったい感じか、無駄にゴテゴテしているかのどちらだった。
そこで俺はシンプルなデザインなんだけど上品なフリルがあしらってあるのでなんだか素敵に見えるワンピースと、男の子たちはそれまで主流だったスカーフ見たいなネクタイではなく、我々がよく知る形のネクタイを開発(盗作)することに成功!
女の子はより可憐に。男の子は幼いながらも背伸びしている感じが微笑ましい感じに仕上げることができたのだ!
当然そう言うのに敏感なお姉様方は気になるわけだ。
そこでフレド兄さん登場ですよ。
あえて少し着崩して鎖骨を見せていくスタイルの兄さんにお姉様方は質問するわけだ。
あれはどこで手に入るの? ってね。
そこでフレド兄さんはチームの子供を呼び寄せて一緒に小粋に洋服の話をするわけだ。
子供にあえて話を振って会話をさせつつ。
話してみたら、あら思ってたよりもちゃんとしている子なのねって思ってもらえるていう寸法よ。
その上でフレド兄さんを筆頭に地域の皆さんに掃除やちょっとした手伝いで、貢献することによって全体の信用度を確固たるものにしていったのだ!
なんか、フレド兄さんと話したお姉様方はすぐ好感度高めになるので信頼度高いからそのおすそ分けみたいなもんだな。
ちっ。フレド兄さんはハーレムチートかよ。
余談だがチームの子供達が真面目に掃除している最中、フレド兄さんはお姉様方と語らっているだけなのでチームの男子からは受けが悪い。
そんなこんなで、本日この日!
フレド兄さんのフレンズであるお姉様の協力のもとビンゴ大会を実行するに至ったのだ!
『フレド君一人でよかったんじゃない?』
お前そういうこと言うなよ……。
「……う?」
突然露骨にションボリする俺をゴロッリオは問いたげな目で見てくる。
綺麗な眼差しがきつい……。
さて! 気を取り直していこう!
チームの子供たちも集合したことだし、ビンゴ大会の会場に向かうとする!
すでにフレド兄さんが現地でスタンバッテいるはずだ。
会場はフレド兄さんのフレンズの一人にカフェを経営しているお姉様がおり、その店の前を提供してもらえた。
チャージ代金が当たり前の世の中で、店前とはい場所を提供してもらえるとは嬉しい誤算だ。しかも無償。
立地も良く、何かやっていたら目立つこと間違いなし。
先日、こんな素晴らしい場所を提供してもらえたからには一つ挨拶に行かねばと思い、フレド兄さんと一緒にお伺いした。
その時のお姉様の兄さんを見つめるネットリした視線が印象的だ。
カフェを経営しているくらいだからそれなりの資産家でちなみに未亡人。
20年前はさぞかしその美貌で男を虜にしていたのだろうなぁという感じの女性だ。
まぁ、いまも美人は美人なんだけど幅がね? 横の幅がね? 俺何人ぶんだろうか?
挨拶をおえたあと俺だけ先に帰らされて、兄さんはご機嫌で夜遅くに帰ってきた。
幼女である俺にはなぜ先に帰らされたのかは全くの謎だ。
全くの謎だが、兄さんのストライクゾーンは幅広いなと思いました。
「なぁキキ。お前なんだってそんな格好してるんだ? 暑くないのか?」
俺が外角高めと内角低めはどの年齢層になるのかなぁ? とストライクゾーンについて考えているとソニー兄さんからお声がかかった。
ただでさえ目つきが悪いのだから着こなしはちゃんとしろって言っているのに、ネクタイを緩めてだらしなく着崩している。
フレド兄さんと違ってセクシーさよりもワイルドさが先に立つ。
それが年下の女子に人気なわけだが。
「そんな格好とはご挨拶。このセンスの良さがわからないからお姉様にモテないのだよ?」
「関係ないわ! ……ないよな?」
ちょっと不安げに聞いてくるソニー兄さんに、後ろからついて来ているチームの女の子からのお声がこちらです。
「かわいい……!」
「ギャップ萌え!」
「尊い……」
サブカルは次元を超えるんだなぁと認識させられる今日この頃です。
『実際にはわかりやすく翻訳されているだけだけどね』
そしてソニー兄さんがのたまった、俺の服装も次元を超えて今世に舞い降りました。
日本のサブカルが生み出した(語弊あり)幼女を最も輝かせる服装!(偏見あり)
そう!
ゴスロリだ!
いや、今世の時代背景的にゴシックじゃないんだろうがやっぱりちょっと違うじゃん?
ドレスとゴスロリファッションって。
あんまり甘めにすると他のドレスと変わらないから、少し辛めにして上はボレロ。
場合によってケープを装備。もちろん今日は装備している。
パニエは大人しめであまり広がらないように抑えて、スカートは膝上まで。
靴下はもちろんニーハイ。色は黒だと喪服になっちゃうのであえてのスカーレット。
俺のロングの金髪と相まってゴージャスかつ上品な演出となっている。
胸元には大きめのリボンを装備してジャボの代わりとした。
ジャボ作ると大変だし高いからね。レースが。
頭の装備はボンネットやリボンだと抑えめにした全体のボリュームとバランスが取れないのでカチューシャにした。
靴はプラットホームシューズ。
買うと高いので思いのほか手先が器用なソニー兄さんに作らせた。
5回目のリテイクのあたりで泣きそうになってたな。
詳しいだろう?
前に池袋のイベントの納入で人が足りなくて手伝わされた経験が生きたぜ。
これも知識チートなのかっ!
『ゴスロリに詳しい中年男性ってそれだけで犯罪だよね?』
ボケが。そうしたら被服を作っている人がみんな犯罪者になるだろうが。
『被服を作っている人がみんなゴスロリに詳しいわけではないし、何より君はその職に在ったわけではないよね』
昔のことは忘れたぜ。
おっと! ソニー兄さんの質問に答えるとしよう。
「俺がこの服装をしているのはインパクトのためだよ」
「インパクト?」
「あぁ。普通の子供達だけでなんかやっても安く見られるからね。
同じ仕事をしても子供だともらえるお金が少なかったりするだろう?」
「……たしかに」
「そうならないように、日常から剥離した装いをすることで、別空間を演出するわけだ。
子供しかいなくてもそういうものなんだってね」
「そんなことでうまくいくものか?」
「いくさ。兄さんだっていつも歩いている道にピエロがいたらなんかワクワクしちゃうだろ?」
『道端にピエロがいたら怖くならないかなぁ?』
それは全部ペニー・ワ○ズの所為。
奴がいなければピエロは笑いの象徴のままでいられた。
クラウンの名を冠するのはピエロであるべきだったのだ。
間違いない。
決して俺がペニー・○イズを怖がっているわけではない。
「俺があるく道にピエロは現れないと思うが、言わんとすることはなんとなくわかった」
「それはなによりだ」
実際宣伝効果はかなりあると思う。
子供達がゾロゾロ集団で歩いていて、しかも先頭にはゴスロリの俺。
そんな俺は身長2メートル以上のゴロッリオに乗っかっている。
普通の人だったらなんだろうと気にするだろう。
「だったらお前の喋り方も、もっとお上品な感じにしたらいいんじゃないか?
そのほうがなんか日常じゃない感じだろ?」
むぅ。鋭い指摘。
喋り方はルナにもずっと直せと言われ続けているが、中身おっさんの俺としては断固拒否の姿勢を取っていく次第。キモいから。それに
___あんまり女の子女の子すると魂が早く定着しちゃうからな。
「仕事が始まったらちゃんとその辺はやるよ。
非日常感は出したいが違和感は不要だからな」
「はぁ。なんでそんなに口が悪いんだろうな?」
「さぁ? 兄さんたちの口が悪いせいじゃね?」
「……責任感じるぜ」
ションボリした兄さんにまた後ろの女の子たちがキャイキャイ言ってるが無視しよう。
爆発しねぇかな?
『嫉妬しなくても君も女の子らしくすればモテると思うけどなぁ? 男の子たちに』
それも嫌だから口調はなおさねぇんだよ!
男色はノーサンキュー!
俺という物語にBLはありません。ご安心ください。
『この場合はBLじゃないと思うけどねぇ?』
おめぇ、わかってないな。
この界隈じゃ中身が男ならBLなんだよ。
『どの界隈だいそれは?』
おっと!(2度目)
会場に着いたぜ!
そこそこ大きい通りの角にある建物が目的地だ。
まず目につくのはオープンテラスだな。
いくつものテーブルにそれぞれ4脚ずつの椅子があって、その周りに観葉植物が置かれている。日差しよけのために大きめのパラソルも設備されていて、現代のカフェとあまり違いはないように思える。
客層は女性客が多いかな? それもちょっと裕福そうな感じの。
しめしめ。ありがたいことだぜ。
たんまりとお金を搾り取らせていただくとしよう。
俺はウキウキ気分で店内へ向かうと、途中カフェでくつろぐ人たちにギョッとした目で見られた。
「……ゴロッリオ。自分で歩くからちょっと下ろして」
「う? ……う」
そう頷くゴロッリオに下ろしてもらうと、途端に視界が低くなる。
俺ってやっぱり幼女なんだなぁ。
多少テンションが下がりつつも店の中に入ると、急に明るいところから室内に入ったので目が見えなくなった。なので暗順応するまで室内をキョロキョロと見渡すことにする。
ふと視線を感じて店の奥を見やると、一番奥のカウンターに彼女はいた。
なんの変哲も無いカウンター席。
しかして彼女が座したことにより、まるでその一角だけ王族の住まう王宮にある最高級のホールのように華やかな、それでいて夜の海のように見るものを深く誘い込むそんな怪しげな空間へと様変わりしている。
それこそ別世界になったようなそんな印象を受けてしまう。
その女性は俺と目が合うとニコリと微笑んだ。
それが俺とマダムとの初めての出会い。
この時はまだこの人が俺の進むべき道を決定づける人物だとはつゆにも思わなかったのだ。
お読みいただきありがとう御座います!
感謝感激雨あられで御座います!
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