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16話 『マフィアと社会貢献の話』

本日2話目の更新です。

ご注意ください。

 

 話は変わるけど、奈落のあるスラムにもそこを仕切っているマフィアがいるわけで、

 じゃあ、そいつらが諸悪の根源かって言われるとそうでもなくて、他の誰もやりたがらない壊血病の子供たちが死んだ後の埋葬や処理をこのマフィアがやっているらしい。


 いや、マフィアがクソなのは変わらないけどな?

 あのクソどもも一応商売みたいなところがあるのか、社会貢献をごく微量にしたりするんだな。


 壊血病は船乗りの病気で有名だけど、ビタミンCが不足すれば陸でもなる。

 新鮮な野菜を摂取しづらいから船乗りがビタミンC不足になりやすいんだな。

 じゃあなんでスラムの子共がなるのか?


 満足に飯が食えないのもそうだが、野菜が食えないんだよ。

 魔物のせいで土地が限られているせいで、野菜の供給が足りてないんだ。


 でも足りないのはスラムの人間を含めた場合。旧移民たちの需要は満たせている。

 旧移民たちのビタミンは足りているわけだ。


 だからスラムの人間とりわけ、体力のない子共にしわ寄せがきて発症例が集中することになる。


 じゃあ、森に行って俺のように野菜を取りに行けってことになるが、普通は森に行くと魔物にやられて死ぬんだな。

 しかも壊血病の原因もわかっていないから、態々命がけで葉っぱを取りにはいかないと。

 野菜を食わないデメリットを知らない為に起こると行っても過言ではないな。


 でもこの世界の人間はそんなことを知らない為、壊血病は原因不明の恐ろしい病気ということになっている。


 奈落が悪いんじゃなくて、世の中が悪いんだ。


『その言い方だと思春期の中学生みたいだね?』


 つまり、奈落をぶっ壊すにはいくつかのプロセスが必要になる。


『無視だ。 これは一人思考モードだね? それだけ真剣なんだね?』


 一つ。壊血病患者の治療。これはケールを食わす。

 一応ビタミンC部門最強の野菜だったはずだ。

 まずーい! もう一杯! の原料だったはず。

 そうだ。すりつぶして飲ませよう。その方が大量に摂取できるはずだ。


 二つ。社会の壊血病に対する無理解の改善だ。

 壊血病は完治できるということを認識してもらい、奈落に捨てられる人を減らす。


 またうつらない病であることも認識してもらい、罹患していた子共が社会復帰出来るようにする。


 ぱっと見スラムの子共だとわからないくらいに綺麗なおべべ着せて色々ボランティアでもすれば、そのうち行けるだろう。

 僕たちは壊血病に勝ちましたってな。

 この世界の人間は勝者が大好きだから受け入れて行くだろう。


 3つ、今後壊血病の罹患者が出ないようにするため、定期的にケールを採取に行く。

 ただ、これは命がけなため、できれば栽培の方に持っていきたい。

 しかし街中で栽培すると利権でゴタゴタするからな。バックボーンが必要となる。

 金が絡むとそれはそれは恐ろしいことになるだろう。

 俺の前世のように。つまり栽培ルートは危険で時間がかかる。


 即効性は採取ルート。こっちも危険だが、物理でどうにかなる。

 つまり身を守る手段がいる。


 業腹だが防衛力という暴力機構が必要だ。


 そういう仲間がいる。


 それをどこから調達するか。

 俺の最初の案は金で獣人を雇うだったが、旧移民を雇うには、鬼のようにお値段が高い。

 そのかわり戦力も鬼のように高く強い。

 却下。

 次点で背に腹はかえられぬということで金で獣人のマフィアに依頼する方法。


 しかしながら、スラムを調べていたらオマケでわかったことがある。


 この辺りのシマを仕切っているマフィアだが、わりかし少数の若い構成員(ワイズガイ)で構築されているらしくボスも幹部(カポ)もみんな若いらしい。

 その名も「バンビーニ」どうやらこの世界のマフィアは家名をファミリーの名にしないようだ。

 あれかね?魔物がいたりして死亡率が高いから家族経営だと立ち行かないからかね?

 コロコロファミリーネームが変わると困る的な。


 しかもこの「バンビーニ」後ろ盾も特になく、どこかのファミリーの傘下にあるわけでもない。ファミリーが出来てから数年しか経っていないとのこと。


 うろ覚えだが前世の知識的にも若い構成員(ワイズガイ)だけのファミリーが数年でわりと大きめのシマを持っているのは珍しいと思う。奈落込みだとしてもだ。


 全部が全部そうではないだろうが幹部(カポ)の数人は高齢の人間がいても良さそうなものだけどな。もちろん殺されたり刑務所に入れられたりで入れ替わりは多いはずだが、若い奴らだけになるって言うことは滅多にないはずだ。


 なぜなら若い奴らだけで構成されたファミリーは不利だからだ。

 若いってことはそれだけ経験が少なく、人脈も少ないってことだからな。

 実際には違ったとしても、そう思われてほかのファミリーから舐められる。


 マフィアは舐められたらおしまいだ。

 暴力が生活の一部になっている以上、マウントを取っていくのは必然。

 若い構成員(ワイズガイ)のファミリー相手なんかにはなおさらだよな。


 しかし舐められ侮辱されたら報復しなければならない。

 それがマフィアのルールだからな。


 だが実際に報復をするとなると当然相手のファミリーにも報復される。そしてその連鎖の先で負けるのは普通若いファミリーだ。負けた先は死か服従かだ。


 だが「バンビーニ」はその並み居る競合を蹴散らして、ついにはこの辺りのシマを自分たちのものにしてしまったらしい。


 これがどれくらすごいかというと、麻雀で平で打って房州さんに勝つくらいすごい。

 わからん?感じろ。


 それを可能にしたのは純粋な暴力。

 構成員(ワイズガイ)のほぼ全員が一騎当千の武力を持っており、襲撃や暗殺を悉く退け最後には正面からアジトに乗り込んでぶっ潰したとのこと。


 でかいマフィアのアジトってのは、街の一角の通り一本が構成員(ワイズガイ)のアジトになっているって感じだ。

 イメージ的にはアメ横全部がアジトで、通行人全部が敵みたいな。

 そんなところに行って勝てるとかヤバくない?

 どこの無双ゲームだよって言うね。


 そしてこの世界、強ければ正義なので、それでシマを丸ごとGETできると言うなんとも脳筋設定となっている。

 シミュレーションゲームかな?よくそれで政治が回るよな。


 昔、天空の城を見ていて思ったんだよ。

 空飛ぶ城を手に入れた大佐はたった一人で世界征服してどうやって統治するつもりなんだろうって。結局その土地その土地を支配するには人手がいるわけじゃない?

 パロ家とトエル家それぞれ一人づつだと実際無理だと思うんだよ。

 味方の構成員らしきサングラスの黒服も見捨ててたし。


 暴力機構オンリーでまかり通っちゃうって不思議。


 俺はこの無双エピソードを聞いて思いました。

 あわよくば知識チートと金で解決を試みようと思ったが、それだけではダメだ。

 最後に暴力で全てを奪われて終わりだ。


 この世界がそれを是とする以上、マフィアを金で雇うのも却下。


 構成員(ワイズガイ)の一人一人が呂布みたいな奴らを相手に搦め手のみでの渡世は不可能。劉備玄徳だって多分無理だね。


 あんまり三国志知らないけど。とりま火を放てば勝利のイメージ。

 しかし三国志をあんまり知らない俺でもなんとなく知っている。

 劉備は武力に秀でていなかったけど、関羽とかお酒と女で失敗ばっかりする張飛にその辺は任せていたことを!!

 つまり自分でできないなら、できる奴を仲間にしちゃえば良いんだよ!

 ジャーンジャーン!


 ふぅ。あまりにも鬼才。自分の才能が怖すぎる。

 そこに気づくとはやはり天才。


『最初からその仲間が欲しいって話じゃなかったかい?』


 バッカ、違うんだよ。

 最初は採取の為だけの仲間を増やすつもりだったけど、今回の気づきで物理(せっとく)が可能なイカしたメンバーの恒久的な加入も視野に入れたと言うことなんだよ。

 謀殺(せっとく)だけでは立ちいかないという結論に至ったわけだ。


『殺伐とした説得方法ばかりだねぇ?』


 かの救世主も右の頬を打たれる前に打つべし打つべしと仰られておる。


『罰当たりな格言もあったものだね?』


 いやどっかでわりとそんな感じのファンキーな方だったって見たことあるぞ?


『で? 長々と旅立ったようだけど? 結論どうなったんだい?』


 結局腕力のない俺に足りないのは、金と信用と仲間だ。


『全部だねぇ?』


 うるせぇ!家族がいるだろうが!


『バレンタインでお母さんにだけチョコをもらえるみたいなノリだね?』


 まぜっ返すなよ!


 まずは現状の奈落の子供を治療する! その際のケールは俺が取りに行くものとする!


 次に金を稼ぐ! ポーの薬代も必要だからだ!

 そのためには仲間がいる! 第1の仲間はスラムの子供とする!


 次に暴力機構が必要である! ひいてはこの界隈のマフィアと渡り合える人材!

 これはちょっと確かじゃないが、そのマフィア内部にワンチャンあるやつがいる……らしい。


『毒をもって毒を制すかい?』


 いや。毒っていうか皿っていうか……。

 まぁ、そいつに手土産が必要だからな。まずは成功する金儲けが必要だ。


 ということで!クレア母さんにお願いして、大治療プロジェクトスタート!

 ケールをすりつぶして、ガンガン飲ませて養生させるでぇ!!


『そこも人任せなんだねぇ?』


 俺はすでに風になっていたので、ルナのセリフは聞こえないふりをするのであった。


今年は本当に色々ありましたが、皆さまお疲れ様でした!

この作品を目に止めお読みいただき、心よりお礼申し上げます。

ありがとうございました!


よいお年を!!!

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