15話『ネタバレあり。色々画策する話』
どうもこんにちは、キアーラ・カサッツァです。
最近、スラムを見回ってわかったことをご報告いたします。
探検発見、僕の街。
今回はまたも、この世界がハードでヘビーであることを再認識させられる事と相成りました。
まぁ、日頃から俺はスラムに出入りをしていたんだが、それは家からほど近い界隈のみで、家から遠いところには行っていなかった。
遠くに行くと危ないからな。危機管理だ。
『前にも行ったけど森も危ないよねぇ?』
天使オブ妹である、ポーのためだから是非もなし。
さてスラムだが、そもそもどんな奴らがいるのか。説明しておこう。
例えば新移民としてこの大陸に来たが、働く先が見つからず生活が立ちいかなくなった奴。例えば商売でリカバリーできないミスをした奴。怪我をして仕事ができなくなった奴。
まぁとにかくヘマをした奴らだ。
そんな奴らが、今まで住んでいた場所からビリヤードの玉みたいに弾かれて、貧民街と言う深い穴にポケットされちまう。
誰かの庇護下にあればギリギリ大丈夫だが、そうでない奴は思春期男子が恋に落ちるスピードよりも早く転落していく。
だが弱肉強食の玉突きゲームでもっともに穴に落とされているのは誰か?
どこの世界も同じ。
子共だ。
育てられなくなったとか、両親が死んだとか。
そんな理由でスラムにやってくる。
だが子供だろうがなんだろうが、なんとか一番下まで落ちないように、必死に穴の淵にしがみついて這い上がろうとしている。
そんな奴らがスラムに集められている。
だが、スラムから人が溢れることはない。
どんどんスラムに人が落ちてくるのにだ。
何故なのか?
それが今回スラムを探索して分かったこと。
まぁわかったっていうか聞いたんだが。
道端にいた、目が黄色く濁って歯が全部抜けた酒臭い爺さんに聞いた話だ。
本人は偉大なポーションを作るエルフだとか抜かしていたけど。
耳も尖ってないしプライドの高いエルフがこんなところにいるわけないし。
とんだホラ吹き野郎だと、俺は思うのだが界隈では物知りジジィで通っているらしい。
解せぬ。
聞いた内容もホラだった方が断然良かったなぁって内容だった。
___スラムの一番深い穴の底。
___そこに答えがある。
しがみつくことも、這い上がることも許されなくなった者たち。
治療が絶望的な病に侵された人間が、尊厳を剥奪されて、ただ死を待つ為だけの場所。
人が廃棄されるゴミ捨て場。
スラムの最奥。
___奈落
そこに行ったものがもう帰ってこないから、スラムは人が溢れない。
ここに一番数多く行くのは子共だ。
スラムの子供ばかりが行く羽目になる。
そしてそうなる原因。
曰く、足に赤い点が浮かび上がってくる。
曰く、目が濁り突然口から血を流し出す。
曰く、最後は痙攣しながら痛みを訴えて死に至る。
罹患した場合は助からない。悪夢のような死に様を晒すことになる……。
___だからうつされないように近づかないように。
それをジジイから聞いて、俺は前世の自分の死を思い出していた。
ただ孤独に死を待つその瞬間。
冷たい。寒い。恐ろしい。
そして___自分が許せない。
何度思い出しても内臓に直接氷柱をぶち込まれたようなこの感覚。
この堪え難い感覚を覚える為のその瞬間の為だけの場所がある?
___そりゃぁ、許せないだろ。
今世はヘルモードだろうけど。
前世でもそんな場所はあっただろうけど。
そんなのは関係なく、その場所は俺の敵だろう。
『幼女がしたらいけない顔をしているよねぇ? 例えるならば般若以上? 話を聞いた時も同じ顔をして老人をガタガタ震えさせてたよねぇ?』
……ジイさんには悪いことをしたがね。是非もなしって言ったろう?
治療困難な病気を抱える、子供が行かされるんだろう?
万が一。億が一。
俺らに何かあった時、ポーがそこに行かされるかもしれない。
『その可能性は少ないし、そうなったらそれこそ、是非もなしだと思うけどねぇ? 君は許せないんだろうねぇ?』
当然だな。
『それで? その事とまた森に来た事と関係あるのかい?』
大有りだな。そのクソったれた奈落とかいう場所を根絶してやる可能性がここにはある。
この前森に来たときに見かけたんだ、前世のアメリカには生息してなかったはずだが、まぁ積荷かなんかに紛れたんだろう。
前世でキャベツみたいだからそのまま食って、あまりの苦さに泡食ったからよく覚えてた。
『まぁ本当は僕もわかってたんだけどね? お目当はケールだよね?』
……えぇ? 嘘でしょ?
普通このタイミングで先にネタバレする?
『うん僕は悪魔だしネタバレもするよ?
壊血病だよね? 子供達の症状は? ビタミンCの著しい欠乏が主な原因だ。
ちなみにケールは葉っぱ一枚で成人男性が1日に必要なビタミンCを補えるし、
一年中収穫できるし量も多いから、壊血病の解決にはもってこいだ。
本当はパプリカやアセロラがあったらよかったねぇ?』
違うじゃん。一般的に、ここは俺が知識チートするところじゃん?
『なんか深刻ぶっていたからねぇ?』
……ぶってたんじゃねぇよ。ムカついたのも、許せないのも本当だ。
『わかっているけど、怒っていて視野狭窄に陥ったまま採取なんてしたら、またゴブリンに遭遇して追いかけられるかもねぇ?』
……ち。急いで採って行くとするかね。
『舌打ちする幼女って、思ったよりも見れたもんじゃないよね?』
お前は怒らせたいのか鎮めたいのか!!
この後、滅茶滅茶採取した。
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