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14話 『アホどもから金を巻き上げる話』

 

 どうもこんにちは。

 ただの幼女から盗っスリにジョブチェンジしたキアーラ・カサッツァです。


 さて。最近の私のお仕事の話の前に、この街の価値観とそこに住み人々についておさらい致しましょう。


 まず押さえておきたいのが、旧移民の皆さんの思考がどちらかといえば弱肉強食。

 弱者は努力がたりないから弱者であるという風潮だ。

 金持ちや権力者は頑張ったからその栄誉を賜っていると。


 まぁ全てが間違っているとは言えないな。

 努力しなければ成果は得られないわけだから。


 だが、弱者だから努力を怠っているかと言えばイコールではないと思う。


 例えばパン屋をやりたくても小麦粉が手にいれられない。

 従業員を雇うこともできない。

 土地がない。店舗がない。設備がない。

 そもそも金がない。そのための金を稼げないからだ。


 そしてそれは努力が足りないからだと、だからダメなんだと。

 そうこの国の人間は言う。


 でも、うちのお母さんはパンを焼くのがとてもうまい。

 パン屋をやったらひとかどの店になるだろう。

 俺が菓子パンのアイデアを出してもいい。

 きっと大ヒット間違いなしだ。


 だがそれは叶わない。

 なぜか?

 妨害されるからだ。


 新移民はみんなスラムに住んでいる。

 そしてそこを牛耳っているのがマフィアどもだ。


 奴らは俺たちの可能性を悉く奪っていく。

 そしてその手段は往々にして暴力によってだ。

 直接手を下してくるのは下っ端のチンピラどもだが、見て見ぬ振りをしている時点で同罪だ。


 道端で露天の真似事をすれば荒らされショバ代だと言って金を奪っていく。

 自宅兼店舗を構えようとすれば、みかじめ料といって殆どの売り上げを持っていく。

 弱者は強者に従うものだと。

 俺たち新移民は搾取されるばかりだ。


 どんなにお母さんのパンが上手くても商売にならない。


 チンピラだけじゃない。

 普通の奴らだって俺たちが新移民だからだ見下して差別する。

 持たぬ者は弱者で下賤であると。


 どうだろうか?これで旧移民の奴らがどれだけ嫌な奴らか分かっただろうと思う。


 しかし嫌な奴らだからってそれだけで金を盗んだらいけないよな?

 俺もそう思うぜ。俺も理性の動物だからな。正当性がないことはしない。


『理性の動物はいきなり悪魔の首を締めにこないと思うよ』


 悪魔払いは問答無用で悪魔を消しにかかるだろうが。

 悪魔はいいんだよ。


『差別じゃないか』


 シャラップ!大人しくしてなさい!


 えぇ〜。どこまで話したっけ?

 あぁ。だが皆様には思い出していただきたい。


 弱者は努力が足りないから弱者なのだと。

 弱者は強者に従うのだと。

 だから暴力を持って奪っていくのだと。

 そういうルールな訳だ。


 じゃあさ。

 金を盗まれたら防衛できなかった奴が弱者じゃね?

 防衛の努力を怠ったから取られるわけで。

 努力を怠った弱者は強者である俺に従うべきじゃね?


 はいこれ、完全論破!!!


 金を奪うってことは、逆に金を奪われるかもしれないという危険を常に覚悟して来ているってわけですよね?


 ということで、お金を奪っていく悪い子ちゃんからは奪い返しても良いことが立証され、私の正当性が確立されました。


『暴論だと思うけどね?』


 はい!また悪魔のくせに正論ぶっこみありがとうございます!

 もうお前悪魔やめちゃえよ!コウモリの羽取っちゃえ!!


『取れるけど?』


 まさかの着脱式!!

 ファッションなの?!


『人間になりすましたりするときに邪魔だからね。角も取れるよ?』


 そういってルナは角を外してみせる。


 ただの美女じゃん!!

 キャラ守りなさいよ!!


『美女だなんて。褒めても何も出ないよ?』


 すごいチートください!!


『ダメ。あ、ほらターゲットが来たよ?』


 そういってルナが指差さす先にいつだかの狼男の輩が歩いてくる。


 ___また誰かから殴って金を奪ったな?拳と服に返り血がついている。


 あいつはこの辺のスラムの子供から金を巻き上げてマフィアに上納しているらしい。

 自慢げに自分で話しているところを見た。俺の後ろにはでかい組織がついてるんだぞってな。下っ端も下っ端だから子供相手にしかしのぎを許されてないくせによく吠える。本当は犬なんじゃないか?


 テメェはまともに働かず、頑張っている子供から搾取するだけの寄生虫。

 まぁ頭が悪いから働けないんだけどな。


 だってこいつから定期的に金をもらってるけど、数が数えられないから俺に金を盗られたのわからないんだもん。


 前にゴロッリオと出会ってからも度々彼から金を奪っているので、いい加減ぶち殺そうと思ったが、ゴロッリオはいつも無傷だし気にしていないみたい。鈍感なのか器がでかいのか?


 狼男をぶち殺してもまた新しい奴が送り込まれてくる。絶対にこいつよりも賢い奴が。

 そうなったらきっと今より酷いことになる。

 だから狼男を生かして利用させてもらうことにした。


 すなわち自動集金マシーンとして。


 こいつがどの子供から金を奪っているのかは全部把握している。

 本当はそいつらを守ってあげられて、金を奪われないのが一番なんだが、まだダメだ。

 俺にそこまでの力がない。こんな馬鹿相手でも手を出せない。


 だから奪い返すという手段を取っている。

 一度支払ったという事実が恭順を示していることになるからな。


 普通バレると思うが、もともと頭が悪く扱いづらいチンピラだから上のやつにも期待されていないらしく、少額でもそういうもんだと認識されている様子。

 まぁ、世紀末に出てきそうなヒャッハーぶりだったしな。

 なんで知っているかというと、狼男の先輩チンピラが言っていたのをスラムの子供が聞いていたのだ。あいつの上がりなんてあってもなくてもいいのになって。


 そう考えると哀れすぎて、ちと心が痛むが……いや、全然痛まねぇか。


 俺はいつものように小銭をもって狼男のところに近寄る。


「おぉ? おぉおぉおぉ?! 嬢ちゃんじゃねぇか! 今日もお兄さんにお金をくれるのかなぁ?!」


 相変わらず頭の悪い喋り方だな。


 俺が黙って頷くと狼男は揚々と金の入った袋を開けて近寄ってくる。

 俺はいつものように袋に手を添えて金を入れ、流れるようにデリバリー発動。


 本当はこんな小物のに月二回しか使えない能力を使いたくないんだが、確実に奪えて後腐れがなくローリスクローリターン悪くないのでやっている。

 まぁ今月はついさっき娼館前で、別のクソ野郎から中々の大金をてにいれたからやらなくてもいいんだが。本当に悪党には事欠かない街だぜ。


「よぉし! よしよし! 毎度どうもぉ! お嬢ちゃんは偉いから大きくなったら、このリロ様の靴磨きくらいにしてやるからなぁ! この調子で金を持ってくるんだゼェ!! じゃあなぁ!」


 これから金が集めた減ってしまうというのに呑気なもんだ。

 獣人だから力が強すぎて、金が入った袋の重さと空の袋の重さが誤差みたいなものなのが敗因だな。


 もう一つこのクソ野郎から金を奪う理由がある。

 このクソ野郎は人に暴力を振るうときに悪意がない。

 息をするように暴力を振るう。

 どんな奴でも少なからず暴力には悪意が含まれるはずなのにそれがない。


 悪意がないからルナの加護対象になるというミラクルが起きるのだ。

 だから安全に相対することができる。命の危険がないのはいいことだ。

 多分動物とかと同じなんだと思う。動物は意味もなく暴力を振るわないか。

 さて。ゴロッリオのところに行って金を回収するか。


 さっき娼館の前で女に暴力を振るってたクソ野郎から奪った大金も一緒にな。

 どんな野郎かと言うと、紳士然としたいい身なりをしていながら、支払いをケチろうとしたらしく、文句を言った娼婦を殴ったのだ。その後も意見されたのが気に入らなかったのか、何度か追い討ちをかけていたので、クズ認定。


 俺がお金をあげるからお姉さんを許してあげて! って言う聖女ムーブをかましたらイヤラシイ目で見てきて、ネッチョリと手を握りながら金を受け取ってきた。……悍ましい。


 悍ましいのでつまずくフリをしてロリコン野郎の財布にタッチしてデリバリーをかましてやりましたよ。その時も支えるフリしながらボディタッチしてきて、ニチャァって笑ってたのが悍ましい。野郎が賢者タイムじゃなかったら一体どうなっていたことか……悍ましい。


『やっぱり男ってゴミだよね』


 ……俺も男なんですが?


『幼女だよ?』


 外側だけだろうが。


『生物学的に幼女だからいいんだよ』


 生物学に幼女という亜目はない!!


『じゃあ君だからセーフ』


 キモっ!!


 いいから行くぞ!!

 ゴロッリオが待っているからな!


 そうして俺はスラムの奥へと向かうのだった。















お読みいただき誠にありがとうございます!


もしちょっとでも面白い! 続きがきになる!と言う方がおられましたらポイント評価とブックマークもよろしくお願いいたします!


感想なども随時受け付けておりますので、よろしければ、そちらもお願いいたします!


作者にとってとてつもない励みになります!

引き続き頑張っていきます!

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