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13話 『お金と仕事と世の中の話』

 

 どうもこんにちは。キアーラ・カサッツァです。

 地獄の沙汰も金次第と申します。

 金が死後ですら影響を及ぼすのであれば、どんなことをしてでも金を稼ぐ必要があると思います。

 例えそれが自分の良心に背くことになろうとも。



「どしたー? キキねーちゃ、げんきないかー?」


 俺が険しい顔をしているのを具合が悪いと思ったのか、心配そうに妹が尋ねてくる。

 俺の可愛い妹。

 小さな手を俺の顔に伸ばして気遣ってくれる。


 まだそれほど長くない柔らかな金髪を頭の横で二つ結びにしている。

 少し癖っ毛でクルクルふわふわだ。

 柔らかですべすべなほっぺたに、大きなブラウンの目は家族全員と一緒。

 肌は白く体の線も細い。


 今はその体をベッドに横たえている。


「いいや、元気なくないぞ? 元気いっぱいだ」


「そっかー。それはよかったとおもいます。でも今日はポーが、コホコホでるから一緒にあそべないなー?ごめんなー?」


 俺と(・・)遊んであげられないのを残念そうに謝ってくる。

 遊んであげているのは俺だというのに。


「気にすることはないぞ? しっかりと休んでポーが元気になったら遊ぼうな」


「そうなー?キキねーちゃも、げんきになったらあそぼうなー?」


 優しい子だ。こちらを気遣ってくれる。

 まだ3歳だというのに機微を察することができるのだ。

 俺が空元気を出しているのを見抜かれてしまった。


 世間では魔の3歳とか言っていたが、うちの子は天使だ。天使の3歳だ。

 その優しさは三千世界においても比類ないだろう。


 俺の影響からちょっと言葉遣いや行動がヤンチャなところがあるが、それもポーの魅力を引き立てるエッセンスに過ぎない。

 ポーはそこに在るだけで尊いのだ。


『意外だねぇ? 君がそんなに家族に傾倒するなんて』


 悪魔がなんか言ってくる。

 おい、話しかけるな視界に入るな。

 天使成分が薄れるだろうが。


 いつもは頭上にいるくせに、今日はポーの横あたりに浮いているルナに文句を言ってやる。


『なんだい? 天使成分って』


 ポーが発している遍く全てを照らし出す天使の成分だろうが。

 そんなことも知らんのか?


『初めて聞いたよ? まぁ僕は悪魔だからねぇ。天使と相性が悪いよ? その成分は薄れてもらった方が良いね?』


 馬鹿なことを言うな。お前ごときにポーの天使成分を左右できるわけないだろう。


 俺がゲンナリと言うと、ルナは肩をすくめる。


『どっちなんだい?』


 知るか。

 今はポーとの時間を満喫しているのだ。


「よし。一緒に遊ぶためにもしっかりと体を休めないとな? お昼寝の時間だぞ?」


「そうなー。お昼寝したいけど、キキねーちゃがモモタロウのお話ししてくれないと、ねれないかもしれません。こまっちゃうなー?」


 ポーが上目遣いでおねだりしてくる。

 桃太郎がポーのお気に入りのお話だ。

 シンデレラや白雪姫よりも桃太郎などのヒロイックサーガが好きなところも可愛らしい。


 よかろう! お姉ちゃんが市原悦子ばりの躍動感あふるるヒロイックサーガ(昔話)を聞かせてやろう!


「むかーしむかしあるところに……」


 俺はポーを寝かしつけながら彼女が生まれてからのことを思い出していた。


 ポーが生まれてから3年の月日が流れた。


 相変わらず移民に厳しい世間様では、まともな職につくことはできない。


 この街ではそこいらの店で、なにげなく商売をしている様に見える人たちですら選ばれた人種なのだ。


 彼らは旧移民と言って、獣人の後すぐにこの国に移民してきた人たちで、我々新移民などよりはるかに優遇されている。もちろん稼ぎも違う。

 前世で言ったら年収600万くらいかな?そこそこの高給取りだ。


 俺たち人間……新移民と呼ばれる貧乏人とは大違いだ。


 ちなみに旧移民と呼ばれる人たちは、ファンタジーでお馴染みの種族で構成されている。

 例えばエルフとドワーフだ。

 ファンタジーでお馴染みなのに幻想感はほとんど皆無で、弓を背負ってたりしないし、でかい斧を持っているわけでもない。

 普通に洋服を着ているし、普通に接客をしている。


『エルフの弓はなんとなくわかるけど、ドワーフはなんで斧なんだろうね?

 背が低くてリーチが短いからそれこそ弓を使えばいいのにねぇ?』


 種族の違いというより、本当に人種の違いくらいの感覚だ。

 だが後からきた人間を下に見ている。

 ドワーフは偏屈で、エルフは御多分に洩れず高慢ちきだ。

 そこは定石(イメージ)通りなんだなぁと思ったっけ。


 そんな店に雇ってもらえる人間は当然旧移民ばかり。

 新移民が雇ってもらうためにはコネがあるなど特別なケースでないと駄目だ。


 だが、後からステイテッドにきた俺たちに当然コネなどなく、日雇いの仕事にありつけるのですら幸運だといえる。

 その仕事の内容も危険なものだったり、誰もやりたがらないものだ。

 しかも賃金も少ない。


 うちの家族もドルネオ父さんが必死に日雇いの仕事をして一家6人を養っている。

 それはそれは大変なことだ。


 うちは幸いな事にドルネオ父さんが人間にしては中々の身体能力で、人一倍いや3倍くらい仕事ができるため重宝されており、安定して日雇いの仕事をもらえている。


 最近まではそれでなんとか生活できていた。

 だが、収入を増やさなくてはいけなくなった。


 俺の妹パメーラ・カサッツァ。


 みんな親しみを込めてポーと呼ぶ。

 俺の大天使。


 彼女がアレルギー系の呼吸器系の疾患にかかっていることが分かった。

 前世の俺と同じ。


 前世の医療技術でも完治は難しい疾患だった。

 しかもこの世界ではアレルギーは珍しいらしく、治療方法も確立されていない。

 ステロイドもないので肺炎になったら命に関わることもある。


 だが、幸いにして唯一の対処療法があった。

 それが「ポーション」と呼ばれる薬。

 ファンタジーではお馴染みの妙薬だ。


 効能はまさにファンタジー。

 ありがとうと言いたくなる不思議な薬。

 切り傷、打ち身、捻挫、肩こりなんでもござれ。


 これを摂取すると炎症を抑えることができるため、肺炎にも効果がある。

 副作用がなく、中毒性もない。何度摂取しても効果低下もなく免疫の低下もない。

 しかも即効性。


 前世でやっていたゲームでは何も考えずに使っていたが、実際に存在するとなるとチートレベルだ。医者の仕事が減りまくるだろう。……いいことかもな?


 だが普通のRPGと違う点がある。

 まず、すごく美味い。嗜好品として通用するくらいに。

 どれくらい美味いかというと、ドワーフが酒の代わりにポーション飲むくらいといえばわかるか?


 酒も飲むが、金があるならポーションを飲む。

 それぐらいの旨さなのだ。

 そして、酒の代わりにと言うのにもちゃんと理由がある。

 嗜好品として好まれる一番の理由。

 それは、酔っ払うのだ。


 もちろん怪我をしたものが飲むと回復を促すが、回復の必要がないものが飲むとアルコールを飲んだ時と同じ効果を生む。

 つまりは酔っ払えるのだ。

 嫌なことを忘れるために、楽しい時間をより楽しく。

 ストレス社会に必要不可欠の効能。

 しかも!その効果もファンタジー仕様!体質に関係なくキッチリガッツリ酔っ払える。

 ウワバミドワーフも安心の逸品!!


 それはもう大人気。

 このポーションはストーリー終盤にアイテムボックスの肥やしになることはない!


 しかしこのポーションはエルフが製造しており、その製造方法はエルフが独占して秘匿されいる。噂によるとエルフだけが使える秘術がないと作れないらしい。


 問題点があるとすれば高いのだ。

 独占商品は高額になることは仕方がない。


 いや、エルフも購入してもらわなければ意味がないので、どうしても手が出ないというほどではない。前世で言ったら高級なワインくらい。買えないことはない。

 だがそれは、旧移民の安定した稼ぎならという但し書きがつく。


 娯楽品としてならいい。

 新移民だって無理すれば買える。


 だが薬となれば定期的に摂取することになる。

 発作が起こったら使用することになるが、発作はいつ起こるかわからない。

 必ず1本は常備しておく必要がある。


 そして我が家は大量にポーションを買いだめしておく財力はない。

 だからポーションをおいそれと使えない。

 どんなに辛くても、今日みたいに軽い発作の時は使用できないのだ。


 今はまだ大丈夫。1本常備しておくことくらいはできている。

 ドルネオ父さんが必死に頑張ってくれているし、ソニーとフレドの兄二人も道端で靴磨きなどをして小銭を稼いでいる。


 だがいつ何時ドルネオ父さんの日雇いの仕事がなくなるかわからない。

 考えたくないが危険な仕事もある。ドルネオ父さんに何かあったら詰む。

 だから俺は備えなくてはいけない。

 親の万が一に備える俺は薄情に見えるかもしれないが、この世界シビアに考えなくては生きていけないのだ。


 何かあったら俺が妹を守らなくてはいけない。


 なぜならポーが疾患にかかった原因は俺にあるから。


『半分は僕の責任だと思うけどねぇ?』


 珍しくルナが殊勝な事を言ってくるが理由がある。

 ポーが病気になった原因を知った時に、俺が前後不覚になるほど激怒し、ルナにどうにかしろと詰め寄ったからだ。


 ルナ曰くこの病は本来、俺に発症するはずだったらしい。

 前世ではうまく付き合っていけば即死する様な病ではない。

 雨の中、山奥に放置されなければだが。


 しかしこの世界ではこの疾患も命に関わる病気となる。

 そのため事故や病気から俺を守るルナの加護が発動した。

 その結果、確かに病気の因子は俺から取り除かれた。


 だがその因子は母体に残り、後から生まれたポーに引き継がれてしまった。


 俺はルナにその因子を俺に戻すように言ったが、もう生まれてきてしまった魂はいじれないとぬかしやがった。


 だから俺は自分の胸を躊躇なくナイフで刺した。

 奴は前に死人の魂の扱いには慣れていると言っていた。

 俺が死人になれば魂をいじって因子を移せると考えたからだ。


 結果は失敗。

 貴重なポーションを消費するだけに終わった。


 しかもポーション使ったのに何故か傷跡が残ったし。文字通り傷物だぜ。


『お嫁にいけないね?』


 いかねぇよ! 男はいらん! そっちの趣味はねぇって言ってるだろ!


 ちなみに両親には料理をしようと思って転倒したってことで通している。

 両親もまさか自分で刺したとは思うまい。

 以後、料理には従事させてもらえない。刃物禁止令が出た。


 そんな経緯もあり、ルナはこの件に関して殊勝な態度を取らなければ俺が何をするかわからないと打算があってやっているわけだ。


『……僕にも想定していないことだったんだよ』


 分かっている。 そうでなければ、なんとしてでもお前を排除していた。

 何をおいてもお前を殺していたよ。


『……本当に君は元一般人とは思えない思考回路をしているよねぇ?』


 褒めても何も出ないぞ。


『褒め損だね?』


 ___まぁ今のところ思いつく排除の手段が自死っていうのが情けない限りだが。


 経緯はどうあれ、原因が俺であることは間違いない。

 なんとしてもポーを守らなければならない。

 あの病気の苦しさは俺が一番よく分かっている。


 そのための金だ。

 ポーションをたくさん買えるだけの金がいる。

 一時だってポーが苦しまないように。


 だから色々調べた。移民で、幼女の俺がどうすれば金を手に入れられるか。

 今すぐ金を手に入れる方法と、継続して金を稼ぐ方法と両方が必要だ。


 だが真面な方法では職につけないし稼げない。

 だから真面じゃない手段で稼ぐ。


 役に立たない俺のチート能力。

 荷物を月に2回届けるだけの能力。


 俺にはこれくらいしかないからこれを使う。


 これを使って金を持ってるやつからもらう。


 たった2回しか使えないから、1回あたりも沢山貰えるように。

 荷物を届けただけでは高が知れているから。


 直接金を届ける。


 金を持ってるやつから俺に直接金を届ける。


 ___金持ちから金を盗んで届ける。


 俺はただの幼女からスリの幼女にジョブチェンジする事に決めた。


なんと!PVが1000・ユニークが400を超えました!

ワーワー!♪( ´▽`)b

誠にありがとうございます!これからもお読みいただける様に頑張って行く所存です!

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