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10話『チートを初公開する話』


どうこんにちはキアーラ・カサッツァです。

チートは本来ズルをするという悪い意味ですが、段々と圧倒的な力を持つことだったり神掛かった結果を残すことの意味で使われ出しました。

そう言った意味でのチート能力が欲しいと思います。



どうやら子供はゴロッリオ・ビアンコというらしい。

黒髪の目がくりっとした童顔だったので子供と認識できたが、立っていると身長が俺の2倍はあるので、普通にすれ違ったくらいだったら、子供とは思わなかったかも知れん。


俺のチートのことは後回しにして彼のことを聞いてみた。


とにかく無口な少年でコミュニケーションに四苦八苦させられた。

別に言葉がわからない訳ではないようだが、単語の羅列で話してくる。

おそらく文法が苦手なんだと思う。


移民者である俺たちは新天地で新しい言語を覚えなくてはならない。

だが、当たり前といえば当たり前だが、貧困層の俺たちには学校に行く余裕はない。

子供だろうと仕事をしなければ生きていけないからだ。

この世界に児童就労なんてのは当たり前のことなのだ。


だから文法を教えてくれる人はいないため独学で勉強することになる。

この子のしゃべりがおぼつかないのも仕方ない。

大人だって片言の人がいるくらいなのだから。


そんな中なんとか意思疎通を行い、改めて身体を確認させてもらったが、マジ無傷。


普通は獣人に蹴られたりしたら、人間なんて手加減されてても大きなダメージを受ける。

獣人パンチは破壊力。多分ジャブで2トンくらい。

相撲取りの張り手くらい?

本気パンチは岩砕く。もう訳がわからんよね。


俺の腕力? 多分リンゴ3個分くらいかな?

割るんじゃないよ? 持ち上げる力がだよ?


まぁ、要するにゴロッリオの防御力は常軌を逸していると言うわけだ。


ゴロッリオに興味が湧いた俺はそのほかにも色々と話をした。

なぜ奴に金を渡しているのか。どこに住んでいるのか。そんな諸々だ。


「……ありがとう」


俺が色々考えていたらゴロッリオがはっきりとした声で告げてくる。

ちゃんとお礼を言える子なんだな。スラム界隈に住む子供だろうにしっかりしている。

まぁ俺がやったことといえば、輩に金を渡したぐらいで礼を言われるほどではないんだが。


それに___今から返してもらうし。


「どういたしまして。怪我がなくってよかった」


俺が礼を受け取るとゴロッリオがニコッと笑う。

無邪気な少年って感じだな。でかいタッパの割に愛らしさがある。


「場所を変えよう」


ここでは誰に見られているかわからないからな。

人目につかないところに移動だ。


『おや。人目のつかないところに連れ込むと……。

そんな趣味が? 君に男色の趣向はなかったと記憶しているけど、目覚めたのかい?』


目覚めるか! 人に見られぬように念のためだ念のため!

異世界ではじめての覚醒が男色とか、どこまで俺の能力は残念なんだ!


『差別は良くないよ?』


うるせー!


そうこうしているうちに裏路地の更に人目のつかないところに移動完了。


「さて。さっきの奴に渡したお金について話がしたい」


俺がルナを無視してゴロッリオに語りかけると、彼は真面目な顔で頷いた。


「……返す」


ふむぅ。誠実でもあると。

こっちが勝手にやったんだから、返す義務もなかろうに。

日々生きるのに精一杯なのだからラッキーくらいでいいのだ。


ならばここは格好をつけさせてもらおう!


「君を助けるために使ったお金だが、君から回収するつもりはない」


俺がきっぱりそういうとゴロッリオは小首を傾げる。


君から(・・・)はだ」


ニヤリング。勿体ぶって特別な存在ムーブ!


さぁて。いよいよチートの出番だ。

実験してたから成功すると思うけど、うち貧乏だからあんまり試行回数重ねてないんだよね。


『……あったばかりの子供に教えるのかい? ずいぶん大胆だね。それともこの子がそんなに気に入ったのか。 今ならまだ発動中のチートもごまかせると思うけど?』


出会ったばかりだが、人柄は見た。

その根底も善良だ。疑うことは必要だが、そればかりでは行き詰まる。

必要なのは敵を作らないことではなく、仲間を作ること。

前世で俺はそう学んだぜ?


なによりチート使うのには、彼の協力がいるからな。

仕方ないさ。このままだとお金返ってこないもの。


『……今時、偽悪的なのは流行らないと思うよ?』


はやる!


「まず先ほどのなぁにコレェという疑問に答えよう。目の前に文字が浮いているね?」


先程俺のチートにより発生した事象に当然の質問をしたゴロッリオ。

今の今まで答えを保留していたのに、しっかり我慢できるなんて子供なのに偉いと思う。


その偉いゴロッリオが虚空を見つめた後、頷いたのを確認する。


「そこに受け取りと拒否と書いてると思う。今回は受け取りというボタンを押してほしい。そうすれば君が奴に渡した以上のお金を得ることができる!」


それが私の第一の能力!


「デリバリーエクスプレス(魔女のお届け便)」!!


それは私が触れたものはどんなものでもお届けものに出来る!


先ほどの輩の袋に触れた時、中の金をお届けものに変えた!!

そしてお届け先をゴロッリオに元払いで設定!

お支払いは重さに応じた料金が必要!

この場合その代金は俺がポケットから出したお金で支払われるっっ!!


さぁ! 受け取りボタンを押すんだ!


『勢いだけで聞くと凄い能力に聞こえるねぇ。荷物を配達するだけの能力なのに』


おいぃ! お前がそれをいっちゃぁ、おしまいよ。


確かに、荷物を配達する能力がチートとして授けられたというのは残念至極であるが、荷物を配達するという事柄に対しては正にチート能力だと言える。

流通系の仕事に従事していた俺が言うのだから間違いない。

なんせ、実際に運ばなくていい。もうこれだけで究極。

前世でこの能力があったら世界がとれたと断言できる。


まず、運びたいものを俺が直接触れる。受付。

そして配達と念じると、目の前に半透明の空中ディスプレイが表示される。

前世でも実用レベルまでは実現されていなかったのにサイエンスがほとばしる仕様だ。


そのディスプレイに自動的に荷物の重さと配達にかかる料金が表示されるのだ。

一々はかりに乗せなくていいからとても便利!


そしてお届け先を設定。

お届け先は俺が見たことがある人物なら誰でも選択可能。

必要なものは顔の選択と名前の入力。ここはちょっと面倒。

2段階認証なのかな?


キー入力もできるけど、頭脳直結テキスト入力がトレンディ。

電極を脳に埋め込んでないのに思っただけで文字入力ができる。

俺だけ未来に生きている!


見たことがない人には届けられないが、写真でも絵画でも直接でも顔を見たことがある人なら名前が分かればよし。

死のノートのルールと似たようなものだと思って。


だが俺のデリバリーエクスプレス(魔女のお届け便)は死のノートを超えている!

なぜならば偽名でもお届け可能! ペンネームとかでも荷物届くでしょ?


ただし、一度でもその人が自分で名乗ったことのある名前じゃないとダメ。

兄のソニーの顔を選んで適当にオンナスキーって入力したらダメだった。

そのあとソニー兄さんに「俺はアイドル戦士ポテトだ!」って名乗ってもらったらそれでいけた。


物凄く顔が赤くなっていたから、ポテトじゃなくてトマトだなぁと思った。


そしてここからが最高潮(クライマックス)

郵送ボタンを押すと、その瞬間お届け先の人物の前に「受け取り」と「拒否」のボタンが空中ディスプレイと共に表示される。ちゃんと送り主の名前も出るんだぜ?


いよいよ受け取りボタンを押すと?

そう!荷物が転送されて相手の目の前に現れるって寸法さぁ!!


はいやばい〜。流通革命待った無し〜。


この能力があれば日夜トラックの運転手さんが徹夜をしなくても済む!

集荷場に荷物が遅れて届くこともないし、指定時間に間に合うように体力の限界を超えた積込作業をしなくてもいい!!

資材の搬入が間に合わずにクライアントに激怒されることもなくなる!

クッソ重い荷物をエレベーターの無いアパートの5階まで荷物を運ばなくてもいい!

マァーベラス!! そしてマァーベラス!


『そんなに興奮することかい? 人にしか届けられないのって不便じゃぁないか?』


おい。水を差すな。運ばなくてもいいってことは凄いことなんだぞ。

人に直接届けられるのも地獄の再配達しなくても済むだろうが。


というか、なぜ俺がチープスキルの弁護をせねばならぬ。

お前がよこした能力だろうが。どこにでもお届けできるようにしろよ。


『ダメ』


はいクソ〜。役にたちゃしねぇ〜。

時代の移り変わりと共に、柔軟かつ臨機応変に対応できなければ一流とは言えないぞ?


『どうせ僕は二流さ』


そう俺がルナと脳内でわちゃわちゃやっているとゴロッリオがボソリと言ってきた。


「……字」


「字?」


「……読めない」


……。


おいぃい! おうコラ! ルナ! おう?!

欠陥能力じゃねぇか!!

誰でも読めるようにしておけよ!


『だから翻訳は君の能力が唯一無二って言ってるだろう? スラムに住む子供が勉強ができるような環境ではないんだから、しょうがないじゃないか』


融通! き・か・せ・ろ!

もぉ〜、栄光のチートロード第1章を華々しく踏み出そうと思ったのに、やっぱりチープスキルだよぉ〜。なんでもないようなことが行く手を阻むよぉ。


『デリバリーエクスプレス(魔女のお届け便)って今考えたのかい?』


蒸し返すな! その場のノリってものがあるんだよ! だからお前は三流なんだ!


『自分の能力に名前をつけるのって、どんな気分なんだい?』


うるせー!


「……ごめんなさい」


ルナとやりとりしている最中黙っていたので、俺が怒ったと思ったのかゴロッリオが謝ってくる。素直なええ子や……。


「いや、謝ることはない。私が唐突に過ぎただけのこと。こちらこそすまない。」


『格好つけずに、このボタン押してと指差せばよかったからねぇ』


聞こえぬ。


「このボタンを押して」


俺はゴロッリオに近づき受け取りボタンを指差して言う。


『今僕が言ったよねそれ?』


聞こえぬ。


___ゴロッリオが恐る恐るボタンを押す。


「……っ!」


すると虚空からラスベガスのスロットが大当たりのコインを吐き出すようにジャラジャラと音を立てながら硬貨が吐き出される。


___成功だ。


「そのお金は先ほどの男の袋に入っていたものだ。あぁ安心するといい。今しがた突然お金が消えたので君には結びつかないだろう。これで奴は上納金をなくした咎で上役に罰せられるんじゃないかな? 少しは溜飲が下がると言うものだ」


ゴロッリオは吐き出される硬貨と俺を交互に見やってオロオロしている。

俺はその硬貨の中から先ほど輩に渡した分に少しだけ色をつけて回収すると背をむける。


「では確かに元金と利子。合わせて回収させてもらった。残りは好きにするといい」


キアラ・カサッツァはクールに去るぜ。


『……仲間にするんじゃなかったのかい?』


ルナが訝しげに聞いてくる。


金で結ばれる友情ってか? いらんよ。前世で散々みてきたからな。


『では、なぜ……?』


利益で結ばれた関係はいつか必ず終わりが来る。

たしかに利益で縁を繋ぐのは簡単な方法だけどそれだけじゃダメだ。

永劫利益を生み続けるなんて無理だからな。

利益が提示できなくなったから俺は前世で裏切られた。


もう俺はそういうのは要らない。

前世で社長と俺たちは利益だけで結ばれていたわけじゃないんだ。

最初は助けてもらったからだったが、それで惚れ込んだわけじゃない。

社長の背中を見て一緒にやっていって。それで惚れ込んだ。


確かに絆があった。

俺もそれが欲しい。


だから助けた代わりに仲間になってくれというつもりはない。

俺を見て仲間になってくれる奴がいい。


情けは人の為ならず。風が吹けば桶屋が儲かるくらいで丁度いい。

ガツガツ行かずに回り回って絆が仲間を増やす。

下心はあっても、見返りは求めない。


だけど手段は選ばない。

俺の良さをドンドンアピールしていくつもりだ。

広報活動には力を入れるぜ?


前世の社長と俺のいいとこ取りで行くのが今世のキキちゃんスタイル。


それに今回は大したことをしていない。割り増しで回収した分でチャラさ。


『……』


なんだかご不満顔のルナを横目に俺は来た道を帰る。


あんまり遅いとお母さんに心配されるしな。

俺もお母さんが心配だし。


収穫は十分にあった。

この街の現状を実際に目に見てみようと出かけてみたが、この上なく分かりやすい形で確認ができた。


しかもチート……おっとチープスキルの実験も出来た。上々だ。


『チープスキルじゃなくてデリバリーエクスp』


うるせー!


___この街では人間種族はろくな仕事につけない。


コネがなければこの街では仕事はできないからだ。

俺のお父さんも安い賃金で日雇い労働者として働いている。


そしてゴロッリオのような「孤児」は多く居る。

ろくに飯も食えないような環境で親に捨てられるもの。親が死ぬもの。


孤児が生きるためには物乞いとゴミ漁りしかない。

その二つもその地域を仕切っている組織に上前をはねられる。

手元に残るのはパンも買えないような金額だ。


だが組織には逆らえない。純粋な暴力でも。権力的な意味でも。

ただただゴミのように殺される。

奴らが守るのはファミリーの人間と商売相手のみ。


あとから来た移民はそのカテゴリには入らない。


まぁ、話には聞いていたが実際に目の当たりにして心で理解ができたよ。


確かに過酷な環境だ。


だが俺はやりきる。

第二の人生も謳歌する。家族も守る。


両方やらなきゃならないのが転生主人公の辛いところだな。


___そのためにはまだまだ動く必要がある。ルナの加護があるうちに……。


『ねぇ、さっきの特別な存在ムーブって女の子らしくないからもうやめよう? あと見ていて痛々しいから』


うるせー!


お読みいただき誠にありがとうございます!


もしちょっとでも面白い! 続きがきになる!と言う方がおられましたらポイント評価とブックマークもよろしくお願いいたします!


感想なども随時受け付けておりますので、よろしければ、そちらもお願いいたします!


作者にとってとてつもない励みになります!

引き続き頑張っていきます!

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