九七話 厄災の最期
昨日は更新遅くなってすみません!
今日はちゃんと大丈夫のはず!
追記です!
活動報告にも書いたのですが、こちらにも載せておきます!
すみません。
親戚に不幸ありまして、急遽そちらの方に向かうことになりました。
明日公開予定分、途中までは書いてたのですが、流石に中途半端過ぎて更新するのは忍びなく…
なので、次回は月曜の朝、更新予定でございます。
楽しみにして頂いた読者の皆様、申し訳ありません。
杖の先が地面に触れた数瞬後、レーザー砲がルーシェに直撃する。
「ルーシェェェェェェェェェェェェェェェェェ!」
間違いなく直撃した。
シリウスの呼ぶ声が響き渡る。
「大丈夫ですよ」
「ハヒィッ!?」
「何て声出してるのさ?」
突然気配もなく、真後ろからルーシェに声をかけられ、素っ頓狂な声をあげてしまった。
「この杖本当に便利だなぁ。じゃあ行ってくるよ」
そう言うと杖を改めて地面へ突き立て、波紋の中へと飛び込んでいった。
「え?あ、うん。行ってくるのじゃ」
何とも言えないエールで地に沈むルーシェを送り出した。
油断ならない小さき敵へ、渾身の一撃を放った。
その破壊力は地平の彼方まで。
暴力により削り取られた跡が物語っている。
「ウガァ!」
勝利を確認したように腕を掲げる。
消滅したはずの腕が、新たに生え伸び始める。
音もなく、ルーシェはその頭部目掛け、霊力を全力で流した刃を突き落とす。
「ガギィィィィィーーーーーーン!」
油断が生んだ空きは大きく、その二刀は凄まじい轟音と共に、厄災の頭部と衝突した。
「ガァァァァァァァァァァァァァァァ!」
「クッソ!何て硬さだ!でも…思った通りだ!」
厄災は有り得ない攻撃に驚きの声をあげるも、その頑強さにより、その一撃は受け止めた。
そう。あくまで一撃だ。
しかし、その意味は大きい。
あの全てを喰らう口。
しかし、あくまで口なのだ。
開いていないなら、喰らうことは出来ない。
悪態を履きつつも、見えた一筋の勝機。
即座に作戦を立てる。
白刃剥落で浅く、しかし高速で何度も斬りつける。
霊力により強化された刃は、その特殊能力すら強化している。
白刃剥落の、文字通り耐久力を剥ぎ落とす力。
今までにない速度で、厄災を脆くする。
「ここだぁ!」
黒刀が先程とは違い、音も立てずにスゥ…っと、その角を斬り落とした。
「グギャァッ!」
斬り落とされた角から、黒い粒子と黒い血が噴き出す。
押さえる為に片腕が、ルーシェのいる頭部へと迫る。
「これならどうなる?」
杖を突き立て、転移能力を発動。
ルーシェはその場と共に、安全なところへと落ちていく。
転移した先はシリウスとは正反対の位置。
そこに突如噴き出す黒い血と粒子。
「ははっ!うまく行ったね!」
そう思ったのも束の間、すぐに噴出は止まった。
転移ゲートが閉じてしまったのだ。
「ありゃ。そう何でも上手くいくわけじゃないか…でも…それなら…」
「ウ…グ……ガァァァァァァァァァァァ!」
素早い再生能力で傷を塞いだものの、斬られた角までは復元できないようだ。
角を斬られた恨みを晴らさんと、双腕を振り上げルーシェへと向け、いたる所にある口が開く。
喰らうではなく、今度は石礫や水刃、雷や火炎など、様々な物が吐き出されてきた。
予想外の攻撃に焦るも、ルーシェは杖を構える。
今度は波紋を空中に作り出した。
「予想通りだ!」
地に波紋を立てて、空中に現れることが出来たのだ。
なら、空中に波紋を…ゲートを出現させることも可能なはず。
当然出口は…
「ガァァァァァァァァァァァ!」
厄災の背面へ出現させた出口。
吐き出した全てが、無防備な背と頭部に突き刺さる。
予想外の出来事に、背後に敵がいるのかと振り返る。
しかし当然いるはずもないのだ。
その大きなチャンス。
無音で飛び、そして音を置き去りにした、神速の居合抜き。
無明の全力が、遺憾なく発揮された。
すれ違うルーシェと厄災。
その一太刀は太く硬い首を、何の抵抗もなく通り過ぎていった。
厄災は視界に入ったルーシェを睨み、咆哮を上げる。
しかし、かすれた空気の漏れる音がするのみ。
自慢の腕で喰らおうとしても動かない。
何故だ?
首から滑り落ちるとき、厄災は初めて自分の首が切り落とされたのだと認識した。
落ちる中、厄災は自身を斬った者を視界に捉える。
まだだとばかりに、口を開きレーザー砲を放つ。
しかし、落ちながら放ったそれは狙いが定まらず、デタラメにあちこちを破壊していく。
それは当然的の大きな自分の双腕も含めて。
怒りと怖れ、そして満たされることのない、永劫に続く飢餓感。
それらが一体となった眼を、最後にルーシェは見たのだった。
皆様いつもご視聴頂き、誠にありがとうございます!
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