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森育ちの天然ドルイド  作者: 食欲のアキ
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八七話 エアリアスの願い

 昨日はお休みしてすみません。

 まだ万全というわけではないですが、ボチボチ無理しない程度に、頑張っていきたいと思います!

 さて、更新したので薬飲んで寝ます…

「シルフィ…?」


 ルーシェは新たに生まれたシルフィの姿に驚いた。

 その姿は黒い衣が剥れたエアリアスの姿とほとんど同じ。


「ルーシェ。久々ね。元気にしてた?」


 その口調は以前からのものと同じ、聞き慣れた声だった。

 いや、声だけではない。

 彼女から放たれる波動が、以前より力強くなってはいるが、波長は同じだ。


「よかった…本当によかった…」


 両の目から溢れるそれを必死に拭いながら、安堵の声を漏らす。

 シルフィは彼を優しく包み込んだ。


「心配かけてごめんね。それに…ありがとう…」

「ううん…うん…」


 ルーシェが落ち着いたのを確認したシルフィは、水牢へと顔を向ける。


「アンタの目的はエアリアスから力を奪い、悠久の流れを止め、その溜まった力を利用し、邪神を復活させることね」

「……」

「何でって顔してるわね。エアリアスが憑依されているときに、アンタから情報を奪ってくれていたのよ。グドゥルフ」


 名を呼ばれ、目に見えて狼狽し出すグドゥルフ。

 知らずに情報を奪われて、さぞ滑稽ねとばかりに、見下す目を向けるシルフィ。


「エアリアスが死んだ時点で、循環が出来なくなるから、アンタとしては目的は果たせたって思ってるみたいね。でも残念でした」

「…ナニガイイタイ…?」

「エアリアスは最期に循環を戻しただけじゃない。私が生まれ直すために、その力と知識を与えてくれたのよ。今の私は妖精ではない…大精霊代理ってことね」

「…ソレハ…ツマリ…」

「そういうことよ。アンタの下衆や目論見は全部筒抜け。しかも全部失敗ってことね。本当に滑稽だわ」

「ナ…ナンネンモノジカンヲカケテキタケイカクダトイウノニ…」


 そいつにはもう用は無しとばかりに、今度はジークの方へ声をかける。


「ジーク…だっけ?エアリアスからの伝言…いいかしら?」

「その波動に声…姿はエアリアスだけど…違うんだね…」


 ジークにはしっかり別人(別精霊?)であることが、わかっているようである。


「貴方に復讐は望んでない。貴方は竜の王。怒りに飲まれてはダメ。そう教えたはず…だってさ」


 ジークはその言葉に、一番最初にエアリアスから教わった頃を思い出していた。



 

『いいですか?貴方の力は絶大です。だからこそ無用や乱暴はいけませんよ?また、無闇に私怨で力を奮ってはいけません。闇に飲まれてしまいます。一番大切なことだから、忘れないで下さいね?』


 力を持つからこそ理性を持つように。

 竜とはその種族柄、知力も力も強い。

 その王となるのだからこそ、より強い理性を持つようにと、それがエアリアスの言葉だった。


「でも…コイツがエアリアスに取り憑かなければ…」


 やり場のない、どうしようもない感情の波が、自分の中を駆け巡る。


(飲まれないで…)


 ジークの中にあるエアリアスとの思い出が、ジークに語りかけてくる。

 もう一度水牢を激しく叩き付けようと、感情の波に打ち上げられた拳。


 その拳の行き場は、どこにもなかった。

 思い出の中に今も生きている彼女が、その拳を抱き止めてしまう。


「イリス。悪いけど水牢を開けてくれるかな?」

「シルフィさん…どうするんですか?」

「私の中にあるエアリアスが、自分の手でケリを付けたいって言ってるのよ。それにコイツの情報は、私の中にあるから」

「……わかりました」


 水牢が解除した瞬間、逃げ出そうとするグドゥルフ。


「バカメ!ユダンシタナ!」

「馬鹿はアンタよ」


 逃げるグドゥルフに向け、指を鳴らした瞬間、グドゥルフの死霊体を、聖なる風が切り刻む。


「大精霊エアリアスの名の下、愚者に裁きの刃を…」

「グキャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ…」


 風が止んだ後、そこには一片の欠片も残っていなかった。




「さて。これでシルフィも戻ってきたことだし、どうする?」

 

 エリスがまだ落ち込んでいるジークを他所に、そう言い出した。

 今の彼には時間が必要だろう。

 それならあえて声はかけず、他の話しという彼女なりの優しさだ。


「そのことだけど、私からいいかな?」


 シルフィが手を上げた。


「そういえば、シルフィさんの姿も声もちゃんと認識出来るのはなんででしょうか?」

「エアリアス様から力を与えられた、大精霊代理だからね。そのエアリアス様からの情報なんだけど」


 グドゥルフの仲間の魔族は、どうも陰湿な心や怨念など、負の感情集めているそうだ。

 エアリアスに取り憑き、災害を起こしていたのもその一貫だ。

 仲間の方は、魔族が捕らえた人や使えない下級魔族を、この地の領主に売り払い、奴隷を量産しているという。

 つまり、セレナスの生まれたところだ。


「今起ころうとしている戦争も、負の感情を集める目的みたいね。不安や恐怖といった感情だけじゃない。殺意や凶気といった、濃密な負の感情を集める、格好の標的ということね」

「…つまり、その戦争を阻止しろと?」

「そういうこと。表立っての首謀者と、裏で糸を引く魔族、どちらも捕らえて欲しい。それがエアリアス様の最後の願いね。実際に阻止しないと、なかなかにヤバそうよ」


 戦争を止めろとは、これまたなかなか壮大な仕事が舞い込んで来た。

 この人数で出来るのか…?

 どうすればいい?

 全員が沈黙する中、それを打ち破ったのはジークだった。


「…エアリアスの最後の願いなら…僕はやる」


 ジークは立ち上がった。

 彼にはやる理由としては十分過ぎるのだ。


 そして仲間である皆は、顔を見合わせ、最後にジークを見て頷いた。


「やらなきゃ邪神が復活して、もっと大変なことになるのよね?それに比べたら、戦争を止めるくらい、きっと楽なもんよね?」


 エリスの言葉に、たぶんそれはその通りだと、全員腹を括ったのだった。

 皆様いつもご拝読ありがとうございます!

 これを書いている今は2月最終日、現在目標ポイントに届いたのかはわかりませんが…

 明日結果を起きて確認です。

 高評価にブックマーク登録、本当に励みになりますので、今後も皆様よろしくお願い申し上げます!

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