八四話 壁画
よし!小説書けた!
今から林檎のデニッシュ焼いて食べるぞ〜
(デブ活なのはほっといておくれ〜)
谷底を歩くこと2時間。
「景色が変わらないわね。何処まで進んだのかわからないわ」
「この岩肌も見飽きて来ました」
姉妹は少しげんなり気味といったところか。
戦闘回数はそこそこあるため、気が抜けるということはないのだが、視覚的にどうしても…といった感である。
「…変わらない景色…?すみません。少し待って頂けますか?」
「ん?セレナスどうしたの?」
「おそらくですが…これは…」
岩に触れ、地に触れ、魔力を空気中に放つ。
「やはりです。歩くだけ無駄ですね。ずっとループさせられて、体力を消費させられるだけになります」
「どういうこと?」
「結界が張られていますね。その結界で、常に同じところを歩かされているんです。非常にわかりにくく隠蔽されてて、なかなか気付けませんでした」
「ふむ…僅かにここでそれを感知することが出来たということは、綻びがここにあるということじゃな」
セレナスの言葉に、シリウスもあちこち触れながら確かめる。
「ふむ…今の我ではこれは壊せんな…」
「ねぇねぇお兄さん。エアリアスのあれ、使えないかな?」
「ん?あ、そうか」
エメラルドを取り出し試しに翳してみた。
しかし何も起こらない。
「うーん…違ったみたいだね…ごめんね」
申し訳なさそうに謝るジークに、みんな優しい顔を向けていた。
「いや、ジークの言葉は間違いじゃないかも」
エメラルドを翳すのを止め、地面に耳を押し当てる。
「「「「「え?どういうこと?(ですか?)なのじゃ?)」」」」」
そう言った瞬間地面に大きめの穴が開き、『全員落ちる!?』と、身構えたのだが、落ちることはなく、逆に体を下からの突風で、谷の中腹まで浮き上がらせた。
その風の流れで、自然に岩壁にある足場まで運ばれた。
全員その風に驚きつつも、浮き上がった先で対面の岩壁を見る。
そこにはよくわからない、何枚かの壁画が描かれていた。
空に何か光が降り注ぐ絵。
巨大な魔獣らしき物と戦う人々の絵。
焼き払われた大地の絵。
新たに芽吹いたであろう大地の息吹の絵。
輝く光を纏った何かの絵。
その他色々とあるようだが、掛けてしまっている物も多く、見てわかったのはそれくらいの物だ。
「これは…流星群ですよね?」
「こっちの魔獣は見たことないわね…太古の魔獣からしら?」
「その魔獣に滅ぼされた大地なのでしょうか?」
皆それぞれに壁画を観察する。
「これは…」
「シリウス?どうしたの?」
「………」
「シリウス?おーい?」
「え、あ、す、すまぬ。何じゃ?」
「いや、シリウスの方こそどうしたの?この壁画のこと知ってるの?」
「いや、わ、我はぜーんぜん。これっぽぉーっち、毛筋一本も知らんのじゃ。カカカ」
「…まぁ言いたくないなら、無理には聞かないけど、流石にわかり易過ぎるよ?」
苦笑するルーシェに、そんなにわかりやすいかと、ショックを受けているシリウスの姿は、なかなか滑稽だった。
「さて…ここからどうしたもんか…」
「特に壁画にヒントがあるわけではなさそうですしね…」
これと言ってここからの進路をどうするべきか、手立てがない。全くの0のだ。
「キャッ!」
「イリス!?」
イリスの足場が少し崩れ落ちかけてしまう。
そのとき、助けるべく動いたルーシェは、岩に荷物袋を引っ掛けてしまい、中身が少し飛び出てしまった。
薬品素材の干草が、谷に吹く風に舞い上がる。
「イリス!大丈夫?」
安全を確保し、改めてイリスに確認を入れる。
「はい。大丈夫です。すみません。それに素材が…」
「無事ならいいよ。それに、今のでもしかしたら、わかったかもしれない」
そう言って、ルーシェは色付きの狼煙を焚き始めた。
「ちょっと…こんなところで焚いたら、煙たくて大変じゃない」
エリスの忠告は無視して煙を風魔法で谷に送る。
そうすると不自然に煙が風に乗り、道を形成していく。
エメラルドが勝手にルーシェのポケットから飛び出て、宙に浮かぶ。
そして光を放つと、その光に導かれるように、風の道だったところに、宙に浮かぶ階段を形成していく。
「これは…?」
「よくわからないけど、行くしかないよね」
皆で頷き合い、その階段に足を掛ける。
登る最中も、何度か鳥型の魔獣に襲われるなど、不安定な足馬で苦戦を強いられることになったが、一段一段、確実に歩を進めた。
登りきったところ、岩壁に備え付けられた、不自然に大きな門が。
その門の前には台座があり、何かをはめ込む窪みと、横に掌型の窪みがある。
「こっちの窪みはエメラルドがぴったりだけど、掌は?」
「誰か限定とかあるのかな?」
「とりあえず試してみるかのぉ」
罠かもしれないと、止める皆を無視して、シリウスはエメラルドと自身の掌を当てると、目の前の門が開いた。
「これで進めるのぉ」
そう言って、シリウスが手を離した瞬間、門の中から突風が吹き出し、その後すぐに門が閉まってしまった。
「なるほどのぉ…」
強制的に一人はここで足止めを食らう、嫌らしい罠の一つの様だ。
「ふむ…今回は我がここに残るのじゃ。皆で行ってくるといいのぉ」
「いや、シリウスは戦力的には大事だし」
「ここでの我は、そこまで力は使えぬと言うた筈じゃ。それに、調べたいこともあるのでな」
そう言って下を見るシリウスの顔には、有無を言わせぬ力が満ちていた。
「それじゃあ仕方ない…ここは任せた」
「うむ。それに、我なら一人でも、ここの魔獣程度なら問題ないからのぉ〜。さっさと行くのじゃ」
そう小さな胸を張りつつ、仲間を見送ったあと、シリウスは壁画のところまで降りて言った。
門の中に入ったあと、少しすると門が閉じた。
「思っていたより明るいわね」
門の中は豪奢な神殿の様になっており、壁には多くの篝火が。赤やオレンジではなく、淡緑色の不思議な火が焚かれている。
更に不思議なことに、密閉空間であるにも関わらず、何処からか常に風が流れる音がする。
少し進んだ先に、更に大きな篝火に照らされた、大きなの石碑が鎮座されていた。
「何て書いてあるんでしょうか?」
「この文字は…?」
見たこともない文字が刻まれている。
「わからないね。とりあえず石碑を調べて見ようか」
そう言って、ルーシェが石碑に触れた瞬間、ルーシェの知らない、ここではない何処かの景色が。臭いが。そして知らない人々が、何かをしている映像が、脳内に流れ込んでくる。
思わず膝を付くルーシェ。
「い…今のは…?」
「ルーシェさん?どうされました?」
「いや、何でもないよ」
立上り、石碑にもう一度触れるが、今度は何も起こらなかった。
ホッとして立上り文字を見てみると、何故か先程は読めなかった文字が、読めるようになっていた。
「こ…これは…?いったい何で…?」
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