六三話 アクエリアス
二話分纏めて書いてます!
書き溜めれるときに、少しでも進めて、なるべく休まぬように頑張らねば!
地下サイド
緩やかな曲がりの緩やかな下り坂、更に地下へと進む道を、慎重に慎重に進んでいく。
今はセレナスを背負いながらの移動のため、罠に引っかからないよう、いつも以上に警戒しつつ、歩みを進める。
「まだ光で足元が照らされているおかげで、視界も確保されてるから助かるな」
「う…ぅん…あれ?ルーシェ様…?」
「あ、起きました?」
「何故背負われて…あぁ…思い出しました。ここは…?と、それより歩けますので、降ろして下さい!」
「あ、暴れないで下さい!危ないです!慌てなくても直ぐに降ろしますから!」
意識が戻りまだ働き切っていない頭に、恥ずかしさが一気に入ってしまい、取り乱して背中で動き回るセレナス。
それを宥めようとしたとき、背負っている態勢も相俟って、バランスを崩して一歩足を出してしまった。
ーガコンー
「「あっ」」
天井から鍾乳石が降り注ぐ!
「危なっ!」
不安定な姿勢ながらも、縮地で瞬時に壁に寄って避ける。
避けた壁から刃物が飛び出てくる。
「くっ…」
それらを条件反射だけで全て切り払う。
何とか罠を凌ぎ切った。
「…ふぅ…もう終わったかな…?」
「す…すみません。私が暴れたばっかりに…」
「ハハハ…まぁ生きているので、大丈夫ですよ。それより降ろしますね」
降ろしてから、軽く経緯を説明した。
「…という流れです。すみません。勝手な判断で進んでしまい。置いていくわけにもいきませんので、強制的に連れてくる形にもなってしまいました」
「いえ。大丈夫です。むしろ気絶してしまった私を見捨てずに…ありがとうございます」
ルーシェ達は更に先へ進むことに。
セレナスはまだ罠の発見は苦手なため、基本ルーシェが先行。
なるべく移動時は、セレナスには飛んでもらうことにした。
「うん…やっぱり空を飛べるのは便利そうですね」
「確かに便利です。ただ、ここは天井も刺々しいので、ちゃんと調節しないと、あちこちぶつかりそうですね…」
「なるほど…もしかしたら、天井にも罠のスイッチがついているかもしれないので、気を付けて下さいね」
「はい!頑張って気を付けます!」
ルーシェの言葉を命令と受け止めたセレナスは、俄然やる気を出し、必要以上に気を付けながら進み始めた。
そのやる気出し、気を付けて飛ぶ姿を見て、思わず笑ってしまうルーシェ。
「…何かおかしいところでも…?」
怪訝な顔をするセレナス。
「いや、悪意はないんですよ。ただ、小さい子どもみたいで可愛いなと思って」
「か、可愛い…です…か?」
小さい子どもという言葉は耳に入らず、都合の良いところだけを拾うあたり、セレナスも割と図太い。
そんなこんな話しながら進むと、どうやら一番下に到着したようだ。
「うん…シルフィの気配が強くなった…」
念話で呼び掛けると、何かジリジリ音がする。
「何か変だ…」
「ん?どうかしましたか?」
「シルフィが近くにいるはずなんですが、念話が通じないみたいなんですよ…ジリジリ音がして」
「少々お待ち下さいませ」
セレナスも自身の魔法で念話を試みた。
「これは…ジャミングされてますね…最初のうちは遠くにいたため、ジャミングされているかわかりませんでしたが、ここまで近いからこそ、妨害音が大きくなったんですね」
精神感応系の魔法に関して、流石のセレナス。
「対処方などはありますか?」
「そうですね…タイプによるのですが、一つは妨害するものを設置しているタイプ。この場合は設置物を破壊。もしくはエネルギー供給源を切断することですね。もう一つは、自身が直接結界となり、妨害を行うタイプ。この場合は本人が力尽きる。もしくは切ってもらう。あとは本人を倒す。の、どれかになります。前者は設置後に自由に動き回ることが出来ますが、離れてしまうため…と、利点と不利点に関しては、聞かれていませんね。失礼致しました」
予想外に得意分野のことに関して、饒舌になるようだ。
「いえ、とても助かります。さて…今回はどうなんでしょうか…」
「どちらでもない…ということもありえるかと」
「どんな場合?」
「考えにくいことですが、本人が拒否している場合ですね」
「それは…確かに考えにくいですね…」
「その場合は、相手がしたくなくて…ではなく、出来ない何かがある可能性もありえると思います」
「なるほど…何が正解かはわからないですし、どの場合であっても対応出来るように、頭を働かせておきましょう。教えて頂き、ありがとうございます」
降りた先を調べ始める二人。
壁には特に何もない。
ふと上に目を向けるルーシェ。
「ん…?」
「どうかしましたか?」
「上を見てください」
「?あら…これは…」
そこに広がる景色。
光る鍾乳石は、まさに星空のように光り輝いている。
「凄く綺麗ですね…」
「綺麗なだけじゃないですね。見ていて気付きませんか?」
「?」
「あの鍾乳石の位置は、本当の星と同じ配置なんです」
「え…?あ!本当です!」
天井の鍾乳石が、よや強く光り輝く。
「きゃっ!」
「わっ!」
急な光に視界が奪われる。
真っ白になる視界の中、頭に直接声が響く。
『待ってたわ』
「その声…やはりアクエリアスですか」
『そう。無事に辿り着けたみたいでよかったわ』
「その節はどうもありがとうございます。おかげでギュドーを倒せました」
『その事なら大したことじゃないわ』
「あの…ところで、なんでここに呼んだんですか?」
『そうそう!聞いてくれる!?前に結晶石を作った後、休眠状態になってしまってね。その間にダンジョンワームに、休眠していた祭壇ごと、飲み込まれてしまっていたのよ。そして少し前に次のダンジョンを作るために、今の場所に移ってきたってわけ。そしたら、結晶石にまだ力が少しだけど届く距離だったのと、貴方の存在を感じたので、これはもう助けてもらわなきゃって。そうしたら、ちょうど馬鹿な魔族も、結晶石狙ってきちゃってさ?もう本当にハラハラどきどきだったのよ!』
「は、はぁ…それは何とも…」
余程溜まっていたのか、一気に捲し立てるアクエリアスに、引き気味のルーシェ。
『とりあえず、開放してもらおうと思ったから、来てもらったんだけど…うん。シリウス様が本体をぶっ倒してくれたみたいね。てわけで、悪いんだけど私を連れて、外に出てもらえるかしら?』
「はぁ…どうやって出れば…?あと、シルフィっていう妖精がここにいませんか?」
『あぁ!あの可愛い子ね…ちょっと言いにくいんだけど…消えちゃったのよね』
バツが悪そうに応えるアクエリアス。
「き…消えちゃったのよって…」
『実はその…ね…あぁ!死んだわけじゃないのよ。うん。ただ、風の大精霊のところに戻ったってことなの。妖精も精霊も、力がなくなると、産まれたところに還るようになっているから』
「何でそんな事に…?」
『ダンジョンワームは、私も含めて精霊や妖精を、エネルギー源にしているのよ。だからね私も自力で動けなかったのよね。それに、ダンジョンの中にも精霊がいなかったでしょ?だから…ダンジョンワームに力を全部吸い取られて…ね…』
「でも…それなら何でここの場所に、シルフィを感じるんでしょうか?」
『あぁ…それは後で。それよりそろそろ外に連れてってもらえないかな…?そろそろダンジョンワームが目覚めそうでなのよね…起きると私が出れなくなっちゃうのよ…』
この場で問い詰める猶予はないようだ。
苦虫を噛み潰した顔。
そして一度大きく深呼吸をして、気持ちを無理矢理抑え込む。
「出たら色々話してもらいますよ?」
『それはもちろん!私もあの子からの頼まれごとがあるからね。戻ると道が出来ているから、そこを真っ直ぐ走って。転移門【ゲート】が現れるから、そこに飛び込んで。それと…これは私だから…も…じ…ない』
そう言うと、大きな声アクアマリンの首飾りが、ルーシェにかけられる。
そして視界が暗転する。
視界と意識が戻ってくる。
横には倒れたセレナスの姿が。
胸元に輝くアクアマリンに触れ、問い詰めたい衝動にかられる。が、頭を振り、セレナスを担ぎ、言われた出口を目指すルーシェ。
「後で絶対に話してもらいますから…」
暗く低い声でそう溢したのだ。
シルフィ「ちょっと!私がいなくなるってどういうことよ!」
作者「いやいや!消えるヒロイン枠ってヤツですよ!」
シルフィ「私はヒロインじゃないわよ!」
作者「あ、その自覚はあったんだ…」
シルフィ「私は一人のためのヒロインなんて器じゃないのよ!皆のアイドル…いや!スターなんだから!」
作者「…な…何も言えねぇ…」
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