六二話 粉塵爆発
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地下サイド
「……………っ!」
必死にルーシェの背中にしがみつくセレナスは、口を閉じる様言われていた為、叫び声を漏らさずにはすんだ。
無明の凄まじい切れ味で、地下へ地下へと斬り進んでいくルーシェ。
自動修復機能があるのか、作った穴は次第に塞がろうとしていく。
が、それよりも早く。深く。そして大きく斬り裂く。
「まだ…もう少し!」
ルーシェがここを掘り進むことを選んだのには、幾つか理由がある。
ここは常に戻り通される地点であり、恐らくは中心なのではないのか?と考えたこと。
何かの気配をこの真下から感じること。
そして一番は、相棒のシルフィの気配を、この先に感じることだ。
「あと…一歩!…穿けぇ!」
裂孔の気合を雄叫びのように吠え、今までで一番力強い一撃を放つ。
穿いた斬撃の先から、一条の光が刺してきた。
そして斬撃の衝撃に耐えかねて、穴が向こう側へ通じた。
「セレナスさん。抜けましたよ。あれ?セレナスさん?」
ルーシェの激しい斬撃の余波を、常に受け続けていたセレナスは、その衝撃により耐えかね、気絶してしまったようだ。
抜けた先のそこは鍾乳石に囲まれた、洞窟の中のようだった。
何故かその鍾乳石が、薄っすらと碧い光を放っている。
碧い輝きに照らされたそこは、幻想的な空間が広がっている。
「シルフィ…?」
声にも出しつつ、念話でも相棒に呼び掛けるが、未だに返答はない。
「近くにいるはずなんだけど…」
気配を頼りに、シルフィを探し始めたルーシェ。
一歩歩いたところで、ズルっと背中のセレナスが落ちかけ、慌てて背負い直す。
よく見ると結んでいた紐が、切れかかっていた。
結び直すため、一度セレナスを下ろす。
そのとき濡れた床に滑り、セレナスを片手で抱えたまま、反対の手を床に付く。
触れた瞬間、ルーシェに反応したように、床に魔法陣が展開する。
「ヤバっ!何かトラップを発動させちゃった?」
焦ったのだが、特に何かルーシェに被害があるわけではなく、何かの駆動音が響いた。
床から更に下へ向かう道が出てくる。
「これは…通れってこと…だよね…」
何かの罠の可能性が高い。
しかし、その先から何かに呼ばれているような気がする。
改めて、気絶するセレナスを縛り直し、先へ向かっていった。
地上サイド
戦闘を開始してから30分、未だ動きが弱まる気配はなく、ダンジョンワームは時に鞭のように。時に地中から。その他土の塊を吐き出してきた来たりなど、激しい攻撃を続けて繰り出していた。
その巨大なダンジョンワームに、姉妹の二人は果敢に挑み続けていた。
「エアロバレット!」
貫通性のある風の弾丸。
硬い皮膚に防がれ、貫通するところまではいかない。が、その威力によって顎をかち上げる。
その瞬間に、一気に駆け抜けるエリス。
「穿孔撃っ!」
自身の気を鋭い円錐状に打ち込む、シリウス直伝の突き。
顎が上がり、動きが鈍った頭部。
数少ない弱点である、耳腺に技を撃ち込んだのだ。
「ピュギュウゥゥゥゥゥウゥウウウ!」
その一撃に、たまらずデタラメに暴れだすダンジョンワーム。
その巨体を蹴り飛ばすようにし、距離を取るエリス。
「ふむ。なかなかに良い攻撃じゃのぉ〜」
シリウスは他人事のように呟いた。
最初の攻撃後、シリウスは戦闘には直接は参加せず、姉妹のフォローに専念していた。
二人にとって良い修行になると判断したのもあるが、一番はこれ以上自分がやると、気絶させずに仕留めてしまう可能性が高いと判断したからだ。
二人ではどうしても避けきれない攻撃。もしくは自身を狙ってきた攻撃に対してのみ、対応をするシリウス。
時に姉妹の襟首を引っ張り、時に攻撃をいなし、弾き、地中からの攻撃の際は、どっちにどのタイミングで避けるのかなど、周りが思う以上に、神経を擦り減らす行動と判断の連続なのだが、シリウスは遊び半分に、それをこなしていく。
「ほれ、油断しておったじゃろう。タフネスは半端ない相手、良い一撃を入れたからとて油断しておると、直ぐに死んでしまうのじゃ」
そう言いながら、危ないタイミングで飛び込んだエリスの襟首を片手で引っ張り、攻撃が当たらないギリギリのところに軌道修正をかける。
片方の耳を潰され、怒り狂うダンジョンワームは、また地中に戻っていった。
通常ならまた真下から、口を開けて飛び上がって来るのだが、今回はなかなか上がって来ない。
鳴り響く嫌な地鳴り…
ーーーガボンッ!ーーー
大きな音が鳴り、地面が激しく隆起する。
土が盛り上がり、一気に壁が生まれる。
逆に壁の中心から沈み込み流砂が生まれ、地中へとどんどん吸い込んでいく。
流砂の中心ではダンジョンワームが待ち構えている。
「これは…流石に…」
姉妹は共に流砂に足を取られながら、何とか流れに逆らう。
それを横目に、何事もないように流砂に流されずに立ち続けるシリウス。
「エリス。お主は真っ直ぐ立つのじゃ。地に脚を差し込む様に。張り巡らせる様に立つのじゃ」
シリウスは神力ではなく、あくまで普通の気を、地に根を張るかの様に使い、流されることなく立っている。
手本を見せ、エリスにこの状況下で更に修行を行う。
見様見真似で何とか立ち、堪らえようとする。
先程に比べ、流れは格段に遅くはなるものの、ゆっくりゆっくりと流されていく。
「ふむ…まだまだじゃの…」
ただ気を巡らせるだけではなく、流砂の流れに合わせて、魚が流れを逆らい泳ぐように、滑らかに動かすこと。
それを行うことで、このような流砂だけでなく、どんな足場であっても、立ち、歩くことが可能になる。
例えばマグマの上であろうとも、垂直に切り立った崖であろうとも、それどころか空をも掴み、歩くことが可能となる。
最初にシリウスが浮かんでいたのは、この技の応用なのだ。
「イリス。主の魔法で塵を舞わせることと、小さくてよいから、爆発を起こす事はまだ出来るかのぉ?」
「はい。まだまだ大丈夫です」
「なら、エリスは塵が舞い始めたら、直ぐに後ろへ飛び、奴から離れ続けるのじゃ」
頷き了解を示す。
「よし!奴の口周りに、粉塵を巻き起こすのじゃ」
言われた通りに、砂塵を起こす。
攻撃魔法ではなく、通常は視界を奪うブラインドと言われる魔法。
「次じゃ!すぐに爆破!」
「ファイアボム!」
小さい爆発を起こす、初級の攻撃魔法なのだが、その爆発は込められた力を有に越す、大爆発が起こったのだった。
「ちょっと!イリス!いつも間にこんな魔法覚えたのよ!」
「いや…お姉ちゃんもファイアボムは知ってるし、使えるでしょ…?」
「知ってるけど、こんな高威力の魔法じゃないでしょ…」
理由が分からず、呆気に取られる二人。
「カッカッカッ。よく燃えたのぉ〜。と、流石にそろそろ消火してやらんとな」
そう言って地面を蹴り上げ、砂をかけて消火したシリウス。
「ふむ。やはりタフじゃのぉ〜。気絶はしたが、まだまだ生きておるのぉ〜」
「それは何より…って、そんなことより、さっきの爆発は一体…?何であんなことが起こったんですか…?」
「ん?何じゃ知らんのか…今のは粉塵爆発という現象じゃのぉ。魔法で起こした化学現象の一つじゃ」
「化学…化学…」
その聞き慣れない言葉を、繰り返し呟くイリス。
「そうか…この世界では一度文明が途切れてしまったのじゃったな…」
誰にも聞こえない声で、シリウスはそう呟いた。
「さて、それでは早速ルーシェ達を救出に向かうかのぉ?」
そう言って振り返ったのだが…
二人はしゃがみ込んでしまっていた。
どうにも今の戦闘で、体力と魔力はまだ余力はあるものの、精神的に擦り減ってしまったようだ。
「むむ…これでは暫し休むしかないのぉ…」
作者「100ポイント!ひゃっほい!」
シルフィ「よかったね!」
作者「うん!おかげで晩酌が旨かったよ!」
シルフィ「ほどほどにしなさいよ?」
作者「…はーい」
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