六一話 ダンジョンワーム
皆様2月ですね!
一番寒くなる季節です!
体を大事に頑張って下さい!
探索を進めるルーシェ達。
よくよく考えれば、本物のダンジョンは初めての経験である。
探索をしていく中で、2つの疑問点が浮かんだ。
一つは小精霊の姿が全く無いこと。
通常はどんなところにも、僅かながらにいているのが小精霊なのだが、気配すらないのだ。
もう一つは、時折激しく揺れること。
いや、揺れるというより、胎動しているのだ。
成長を続ける、逞しく力強い。そして何かが蠢いているような…
この揺れは、ダンジョンが拡大しているために起こるもので、蠢いているのはダンジョンワームなのだが、その存在を知らない二人には、その原因を知るすべはなかった。
ルーシェは曲がり角や分かれ道を通る度に、紙に簡易の地図を描き、地面と壁に印として薬を撒きながら進んでいたのだが、探索を開始してから2時間、ある結論に達したのだ。
「やはりですか…」
「ルーシェ様。どうかなさいましたか?」
「このダンジョンは常に動き回っている…いや成長している…?とにかく、闇雲に進んでも、無駄に体力を消費するだけですね」
「何故そんなことがおわかりになったんでしょうか?」
「ここは都合4度目なんですが、どのルートを通っても、ここに戻されています」
地図と照らし合わせながら説明される。
「しかも、薬で毎回通った場所に印を複数つけているのですが、場所によってはそれが消えてしまっています」
「そんなことまでわかるのですか?」
「はい。薬自体は壁や床に吸収されて、消えてしまったようですが、流石に匂いまでは消しきれていないみたいで、検証が出来て助かりました」
「わ…わかったのはいいのですが…どうするんですか…?」
「ちょっと強引な手段に出てみようと思います。確証はありませんが、このままジッとしているよりは…もし失敗したらすみません」
「…何をする気か凄く気になりますが…聞いたら怖くなりそうなので聞きません。私はルーシェ様に助けて頂きました。全て捧げる覚悟は出来ておりますので」
そう言って恭しく頭を下げる。
「では…すみませんが、背負われて下さい」
「え?」
有無を言わせずセレナスを背中に。
紐で縛りしっかり固定する。
「あの…恥ずかしいんですが…」
「口は閉じておくことをオススメします。…では行きますよ!」
そう言ってルーシェは地面を無明で叩き斬った。
地上サイド
急くように前を進むシリウス。
その後を追いかける二人。
「シリウス…何処に向っているの?」
「ハァ…ハァ…あと…どれくらい…ハァ…走るの…で…ハァ…しょうか…?」
エリスは日頃のトレーニングにより、問題なく付いていけるのだが、イリスにはかなりキツいペースで後を追う。
ただ走るだけならまだマシだったのだが、廃墟や瓦礫を越えながらの移動。
息を切らしながらも、何とか付いていくあたりは、普通の魔道士では無理なのだがら、普段からの努力の賜物。大した物である。
「もうすぐ着くのじゃ」
そう言って走ること5分。
到着したのは、王城跡地を挟んだ、崩落地の真反対。
地面に耳を当て、何かを聞くシリウス。
「ふむ…よし。ここを掘るかの」
「「え?掘る?」」
二人の返事に応えずに、地面を殴りつけるシリウス。
どごぉーーーーーーーーん!と、激しい爆発音が響く。
「ちょっ!何この揺れ!」
妹と抱き合いながら、必死に揺れに耐える。
その言葉を無視し、更に殴り続ける。
殴るたびに激しい爆発音が鳴り響く。
ある程度殴ったところで、また耳を地面当て、移動しては地面を数発殴る。
さらに激しい爆発音が鳴り響く。
暫く殴り続けた後、一息つくシリウス。
「い…今のは何ですか…?」
「ふむ。地面の中に神力を撃ち込んで、爆発させたのじゃ」
「何でそんなことを?」
「ダンジョンワームは自分が一度そのダンジョンを作り始めると、それが終わるまでは他に転移はしないのじゃ。それに、製作作業を邪魔されることを、極端に嫌うのじゃ。まぁ巣を作っているのを邪魔されて、怒らぬものはおらぬはな」
「えーと…つまり…?」
ーーーごごごごごごごーーー
かなり激しく地面が揺れ始める。
「よし。跳ぶのじゃ」
「「え?かはっ!」」
二人の返事を待たずに、二人を抱えて横っ跳び。
そのとき腹部に激しい衝撃が走り、無理矢理息を吐かされた。
先程立っていた地面を飲み込むように、大口を開けた巨大ミミズが、三人の立っていた地面の下から飛び出してきた。
「気持ち悪ぅ…て…何て大きさなのよ?」
「あれがダンジョンワームですか?」
「ふむ。その通りじゃ。奴は顔と胴体部分しか地上には現れぬ。目は退化して見えぬが、音には敏感じゃ。地面を高速で動き回るのぉ。それにあの口に飲まれれば、鋭い歯でミンチにされる。巨体に潰されても即死になるのぉ」
「それって…かなりキツくない?」
「ルーシェ達を助けたいなら、やるしかないのじゃ」
「やります。シリウスさん。指示をお願いします」
「イリスはやる気のようじゃの。エリスはどうじゃ?」
「もちろんやるに決まってるわ。師匠に鍛えてもらった力、見せ付けてやるんだから!」
「よし!二人共いい覚悟じゃ!付いて参れ!」
その声に反応したダンジョンワームが、巨体を鞭のように体を叩きつけて来る。
「ギャシュアアァァァァァァァァァ!」
エリスはイリスを抱えて、その攻撃を避ける。
巨体を叩き付けられた地面には、クレーターが出来ている。
「ちょっと!かなりヤバいじゃない!」
「此奴は地中を高速移動する兼ね合いで、外皮も相当に硬いのじゃ」
「こんなのどうやって攻撃をすればいいのよ!」
「何も動いている部分は狙わなくとも良い。手本を見せてやるかのぉ〜」
軽い口調で、シリウスは巨体を掻い潜り、地面から出ている胴体を殴りつける。
「ピュギュウゥゥゥゥゥウゥウウウッ!」
痛みで動きを止めるダンジョンワーム。
「ふむ…やはり硬いのぉ…一撃では爆ぜぬか…エリス。この様に、地面から出ている部分は、動きが鈍くなるのじゃ。簡単じゃろ?」
あっけらかんと言いのけるシリウス。
「理屈はわかるけど、あの鞭のような攻撃を避けながら進むとか…私にはまだ無理…」
「ふむ…イリスはどうじゃ?」
そう言われたときには、すでに魔法を発動させていたイリス。
体を氷により拘束して、更に頭部に高質量の氷塊を叩き落とす。
「良い判断じゃ。が、まだ殺してはならぬからのぉ〜」
「倒してはいけない理由といいますと?」
「此奴を捕獲し、気絶させた状態にせぬとな。殺してしまうと、ダンジョンも一緒に消えてしまうのじゃ。つまり、飲まれておる二人も消えてしまうのぉ」
「そういう大事なことは、先に言ってください!」
「この巨体にこの硬さじゃ。少々では死なぬでな。それより、妹に良いところを見せられて、姉としてそのままで良いのかのぉ?」
うまい具合に、エリスに発破をかける。
「わかってるわよ!もぅ!」
そう言いながら、エリスも巨体に飛びかかる。
アイスバインドにより、動きが止まっているダンジョンワームなら余裕である。
「イリス!援護よろしく!」
「はい!任せて下さい!」
「ふむ。二人ともその息じゃ!」
この程度で止まるダンジョンワームではない。
直ぐさにバインドを無理矢理破壊し、態勢を整えるために、地中に戻っていった。
地中を高速で動き回る音と嫌な感触が、足の裏から伝わってくる。
「エリスの足元から出てくるようじゃの…うむ。今じゃ!後ろへ跳ぶのじゃ!」
その声に合わせて、大きめのバックステップを。
数瞬後、先程エリスの立っていた場所から…ダンジョンワームが飛び上がる様に出てくる。
まだ伸びてくる体目掛けて、エリスが気を練り込んだこぶしを叩き込む。
「いったい!てか硬すぎるわよ!もう!」
悲鳴を上げたのはエリスの方だった。
「お姉ちゃん避けて!」
そう声を発し、イリスが繰り出したのはエアロブレット。
貫通性のある風の弾丸を複数発撃ち出す中級魔法。
通常だとそれらはバラバラに撃ち込む物なのだが、全てを直線上に配置し、全てを一点に叩き込むということでさらなる貫通力を上げる、荒技をやってのけた。
地上での激しい戦いが開幕した。
作者「えー…力不足のため、1月中に100ポイント届かず、申し訳ありません」
シルフィ「まぁ仕方ないわよ〜。評価やブックマークして下さった読者の皆様、誠にありがとうございます!」
作者「シルフィは元気だねぇ…」
シルフィ「今本編で出番ないからね」
作者「それは…ごめんなさい…」
シルフィ「てなわけで、ここくらいでは目立たせてもらうわね!いつも皆様ありがとうございます!まだまだ高評価やブックマーク登録、お待ちしておりますので、よろしくお願いします!」
作者「うぅ…もっと俺も頑張ります!」
只今緊急速報が入りました。
2/1に、ブックマークが増えて100Pに届いた模様です。
誠に皆様ありがとうございます!
今月ももっと頑張りますので、よろしくお願い致します!




