五四話 祭りを楽しもう
あぁ…早く確定申告の準備終わらせたい…
日曜は姪っ子の面倒見なきゃなので、ちょっと月曜日の更新は出来ません。
申し訳なくです。
祭りは滞りなく行われていた。
ある者は飲み。
ある者は踊り。
そしてある者は商売を。
賑やか過ぎるほどの喧騒。
「これだけ喜んでもらえたならよかったわ」
街を行く人々の笑顔を見て、ほっとした笑みを浮べる
エリス。
その気持ちに同感する、イリスとルーシェ。
せっかくだから出店を見て回る。
串焼き。鉄板焼き。焼きそば。フランクフルトにアメリカンドッグ。りんご飴に綿飴。カキ氷やカットフルーツ。
ビールやら何やら、お酒以外もわんさかだ。
「あ!これ美味しいんですよ!ちょっと待ってて下さい」
と、イリスが買ってきたのは、チョコバナナだった。
「昔から好きなんですよね〜。はい。二人ともどうぞ!奢りです!」
初めて見る食べ物に、目をぱちくりさせるルーシェ。
そんなルーシェを横目に、受け取るエリス。
「ありがと。イリス本当にこれ好きよね〜。はむ…うん。ちょっとビター目のチョコね。美味しい!」
「じゃあ僕も頂きます…」
パリッとしたチョコの食感。
ビターなチョコの苦味がやってくる。
その次に出てくるのは、バナナの柔らかな甘みと優しい食感。
「これは…美味しいですね!初めて食べた!」
「あれ?そうなんですか?お祭りだと割と定番なんですけどね。でも、気に入ってもらえたならよかったです!」
自分の好物を気に入ってもらえて、上機嫌になるイリス。
「うーん…ルーシェ。あんた祭りとか全然経験がないんでしょ?」
少し回ったところで、エリスがルーシェに呟いた。
「お恥ずかしながら」
「すごく興味深々っぽいのに、何かおどおどしてたからね。よろしい!エリスお姉さんが、祭りの楽しみ方ってもんを、レクチャーしてあげる!さっ!いくわよ!イリスもほらほら!」
「えっ!?あっ!ちょっと!」
「お姉ちゃん!危ないからゆっくり!」
ルーシェの腕を取って走り出すエリス。
それを慌てて追いかけるイリスだった。
出店の食べ物あれこれ食べて回る。
そのあと射的や輪投げ、くじ引きやら金魚すくいと、遊びに遊んだ。
中央広場に人だかりが出来ている。
そして軽快な音楽が聞こえる。
「何かやってるのかな?」
「行ってみましょうか?」
「行こう行こう!あ、おじさん!ちょっとごめんね!」
エリスを先頭に、人混みを掻き分けて進む。
なんとか前に出ると、大道芸をしている一団。
「は〜い!お次はこの大きなボールの上で、ジャグリングだぁ!」
マイクパフォーマンスをしているお姉さんの声に合わせて、一人の男が大玉に乗って現れる。
器用にバランスを取りながら、最初は3つのボールでジャグリングを始める。
「「おぉ〜!」」
それを見て拍手をする観客。
「まだまだこれくらいでは驚いてらんないよぉ!ほれ!そりゃ!とりゃ!」
お姉さんが声をかけながら、追加のボールを投げ渡していく。
器用に受け取っては投げていく。
ボールは現在計7個。
「「「うぉーー!すげぇぞ!」」」
さらなる歓声が上がる。
「では…次はお客さんに追加のボールを投げ渡して頂きましょうか!そこのお嬢さん。こっち来て手伝ってくれるかな?それと…あ!そこの三人組さん!こっちへ来て!さ!さ!」
子どもと一緒に、強引に引っ張ってられる三人。
そして一つずつボールを手渡された。
「はーい!では先ずはお嬢さん!そのボールを、投げ渡してもらえるかな?」
こくんと頷き、振りかぶる子ども。
「えーい!」
ボールは明後日の方向へ。
観客のみんなは、揃ってアチャー…といった顔をする。
一緒になってお姉さんは、
「あー!これはぁ!」
と、わざとらしい声を出す。
大道芸人はそれを想定していたのだ。
ジャグリング中のボールを、投げて当てて、時には地面や壁も利用して、ものの見事に手元に落ち着けて、ジャグリングを続けたのだ。
これには観客は大盛りだ!
この段階で、どんどん投げ銭を行う観客。
「皆様ありがとうございます!ありがとうございます!もっと投げて頂いてもいいですよぉ!さて、それでは続いてお兄さん方、同時に投げてもらっていいですかぁ?」
何と、3つ当時に投げ込めというのか。
この大道芸人、どんなスゴ技を…
「本当にいいのかな?」
「まぁ向こうが言うんだし」
流石に心配になる三人。
「はいはい!投げちゃって投げちゃって!」
「ねぇちゃん達ぃ!早く投げろよ〜!」
お姉さんだけでなく、観客達にまで急かされ、一気に投げ入れた。
このとき投げたボールが、本当に息がピッタリだったのだ。
大道芸に届く直前に、三人が投げたボールが空中でぶつかり、急激に軌道を変化させた。
「「「あっ!」」」
会場全員の声が一つになった。
驚異的な反射神経により、何とか二つは取ったのだが、一つは地面に叩きつけられたあと、跳ね上げった先は…大道芸人の股間だった。
ボールを掴んだ手のまま、内股気味に股間を押さえながら、崩れ落ちる大道芸人。
暫く会場から一切の音がなくなる。
「ぷっ…くくく…あーっはははははは!」
一人の客が堪え切れずに笑い出すと、観客全員が大爆笑した。
「ちょっと!大丈夫!?」
フリーズから解けたお姉さんが、慌てて男に駆け寄る。
「ちょ…ちょっとそっとしておいて…」
その声を聞いて、さらに笑い出す客。
その次に来たのは、何人かの同情の声。
アクシデントにより、仕方なしとばかりに、みんなお捻りを置いて帰っていった。
「す!すみませんでした!」
謝る三人。
「あはは!大丈夫大丈夫!まぁしょっちゅうはあることじゃあないけど、わざとじゃないんだから、気にしないで」
お姉さんはそう言って笑っていた。
「避けるか止めれなかった俺の修行不足だ。気にするな」
大道芸人の男もそう言ってくれた。
「まぁそれに、情けでいつもより多めにお捻りも貰えたしね!不幸中の幸いってやつよ!」
そう言って、お姉さんは笑っていた。
ハプニングはあったものの、物凄く楽しい一日になった。
そして時刻は夕方。
ベンチでドリンクを飲みながら、少し休憩モードの三人。
「お祭りかぁ…初めてだけど、凄く楽しかった…他の街でも、色々やってたりするのかな?」
「地域によっても色々あるわね。あとは季節によってしてる物もあるし、武闘大会をしているところもあるわよ」
「そうなんだ!もしかして、エリスはそれに出たいとか?」
「あー…やっぱりわかる?」
キラキラした目で話すエリスの表情を見れば、一目瞭然だった。
「あちこち回るんだし、タイミングがあえば、出てみようよ!」
頷いたあとに、そう言葉を繋いだルーシェ。
そう。世界中を回るのだ。
どうせなら楽しく回りたい。
何故か見つめ合ってしまう二人。
「あ!二人とも、そろそろ移動しましょう!」
ルーシェの袖を引きながら、イリスはそう言った。
「ん?まだ何かあるの?」
「たぶんルーシェさんは初めて見るものですよ!早く行って、良い場所を確保しましょう!ダービットさんに、オススメスポット、聞いておきましたから!」
「え!あ!そんな引っ張らなくても!」
ルーシェの手を引っ張っていくイリス。
「ちっ!良い雰囲気だったのに…って、待ってよ二人共!」
エリスは慌てて追いかけていった。
辺りはかなり暗くなってきた。
三人はダービットオススメという、少し小高い公園に来ていた。
「ここで何があるの?」
ルーシェはイリスに尋ねた。
「ふふふ。もう少しお待ち下さい。そろそろですから…」
そう言われ少し待つと、聞き慣れないひゅーーーんと、何かが飛ぶ音。
そしてやってくる爆発音と輝き。
まさに夜空をキャンパスに花が咲いた。
次々に打ち上がる色とりどりの花々。
「これは…すごい!初めてみました!」
「花火です!やっぱり初めてだったんですね!」
「はい。花火…これは凄いですね…」
思わず口をあんぐり開いて、ぼぉーっと見上げてしまう。
「喜んで頂けたようで何よりです」
クスクス笑うイリスも、花火を満喫していた。
「ありがとう。これは本当に凄い」
そう言ってイリスの方を見るルーシェ。
花火の光で照らされるイリスの横顔を見て、何故か胸がドキドキしてしまう。
「?どうかしましたか?」
「な、何でも!それより本当に綺麗だ」
「?変なルーシェさん」
また笑うイリス。
「ルーシェ!こっちから見るのも綺麗よ!」
木の上からルーシェを呼ぶエリス。
「落ちたら危ないから気を付けなよ?」
と、声をかけるルーシェ。
(く…良い雰囲気だったのに…)
悔しそうで、恨めしそうな目を姉に向けるイリス。
エリスは口パクで、
(さっきのお返しよ)
と、イリスにやっていた。
そんな三人のやり取りを、ずっと付けて見ていた者が二人。
今日は休むと言って、別行動をとっていたシルフィと、途中で歩く分には問題ないくらいに、回復したシリウスの姿が。
「ククク…こういうのはなかなかに面白いのぉ…シルフィに付いてきて正解じゃったな」
「あらあら…シリウス様もなかなかに良い趣味のご様子で…」
二人でほくそ笑む。
パーティで一番ゲスいのは、この二人だった。
作者「先日は新しく評価して下さった方がおられたようで、ありがとうございます!」
シルフィ「あと僅かで100ポイントね」
作者「うん。あと8ポイントやったかな?」
シルフィ「てことで、皆様のご協力、よろしくお願い致します!ブックマークに高評価、よろしくね!」
作者「今日やけに協力的だね?どうして?」
シルフィ「いやぁ…今日は良いもの見せてもらったからね…くくく…」
作者「あ…あかん…こいつ俺よりゲスい」




