五三話 装備を整えよう
昨日は休んですみません。
そして確定申告の準備が辛いです…
王の手当を終えた。
「いやぁ…酷い目にあってしまった…しかし、覗きは漢の性というものだとは思わんか?」
と、変な同意を求められたが、苦笑いするより他になかった。
その後は普通にサウナやらジャグジーなど、色んなものを普通に満喫した。
最後にまた湯船に戻ったときに、王から声をかけられた。
「そう言えばルーシェよ。今回の件だが報酬に関して、報奨金以外には何か望む物はないか?」
「うーん…そうですね…あ、ルナマリアさんと話したんですよね?何にするかなどは、そのときには話さなかったんですか?」
「ルナマリアからは基本的には金の話しかしとらん。まぁ強いて言うなら、何用かはわからぬが、前王城の地を調査するための許可を求められたな」
アクエリアスが来るように言っていたことは上手くはぐらかして、許可を取ってくれたらしい。
「行くのは構わんが、あそこは遷都後かなり危険な地に変わってしまった。故に許可なく立ち入ることは出来ぬが、そなたにはメダルを渡しておる。監視についておる兵に見せれば、元々問題なく入れる」
そう言えばそういう物だったな。と、思い出した。
「つまり、それでは報酬にならぬのだ。何か他にないのか尋ねたが、わからぬから直接聞けと言われてしまってな」
そう言いながら、後頭部を掻く王。
「そうですね…なら、良い鍛冶屋を教えてもらえませんか?」
今回の件で、相刀たるショートソードが折れてしまった。
長年共にいた相棒なのだ。
可能なら修理したいと、しっかり回収していたのだ。
事情を説明した。
「ふむ…それなら良い剣を、こちらで用意することも出来るが?」
「良い鍛冶屋を知っていれば、今後も何かと使うことになるでしょうし。それで余る分は、何かパーティメンバーに報酬を回して下さい」
実際前回の石化病のあれこれやらで、自分はお金には困ってないのだ。
だったらその分、仲間にとって良くなることを優先してもらおうと思った。
暫し考えてから、納得してくれた様だった。
風呂の後、全員が会議室にて、金額やその他の報酬に関しての話を。
このときうちのパーティの女性方が、王に冷たく汚い物を見る目をしていたのだが、あまりの迫力に側近らは誰一人として、それを注意することが出来なかった。
その目を受けて、少し王が興奮しているように見えたのは…たぶん気のせいだ。
気のせいだ。
大事なので2回言いました。
その後、ルナマリアはまだ別件があるらしく、残るとのことで、ここでお別れすることになった。
王国転覆派の貴族達に、目を付けられるといけないのもあり、行きと同様に睡眠状態のうちに、運ばれることに。
報酬に関しても大々的な発表によって、ルーシェ達が目を付けられるを避ける為の、ギルド経由から各自の口座へ入れてもらうことになった。
ギルドを出ると、まだ明るい時間のようだ。
正直睡眠薬の影響で、何時頃なのかとか、感覚が曖昧だったりもする。
とりあえずやすらぎ亭に戻る面々。
「いやぁ!一時はどうなることかと思ったぜ!」
「全くだ!これでいつも通り仕事が出来る!」
「おかぁさん!お水冷たくて気持ちいいよ!」
「ハハハ。水路に落ちない様に、気をつけるんだよ?」
などなど、道中街に賑わいが戻っているのを見て、みんなホッとした。
ホームに戻った際、担ぎ運ばれるシリウスを見て、マリルはかなり慌てたりしたのだが、元々冒険者夫婦のダービットとマリィが、冒険者ならこういうこともよくある。ホームにしてるんだ。慣れるしかない。
と、娘を諌めていた。
ルーシェは早速解呪薬を作る。
前にも作っているので慣れたモノなのだが、神が相手となると、果たして普通の物で効果があるのかわからない。
ということで、人用、霊力バージョン、魔女の秘薬バージョンの、3種類を用意した。
シリウスに持っていくと、自分で霊力バージョンを選んだ。
「まぁ効かなかったら、他のも随時飲んでみるのじゃ」
どのみち自力でも治せるだけに、焦ってはいないようだった。
翌日確認したところ、だいぶマシにはなったそうだ。
とりあえず効いた様でなにより。
追加の薬も渡しておいた。
この日はいつもの朝の掃除などを終わらせたあと、狩りにはいかずに、鍛冶屋に行くことに。
最初はルーシェだけで行こうかと思っていたのだが、姉妹も付いていくとのこと。
「サラマンダーの戦ったり、今回は魔族だったしね。そろそろ武器も防具もガタが来てるから、新調したいのよね」
というエリス。
「私もせっかくなので、杖やローブが」
というイリス。
実はこの日、水が戻ったことを記念して、急遽お祭りをすることになった。
街は昼からかなりの盛り上がりになるらしい。
その話を昨晩聞きつけたからには、ルーシェとデートがしたい。
というのが、姉妹の本音だったりする。
マリルも誘いたがったが、祭りで店が忙しくなるため断念した。
余談ではあるが、ルーシェは店の手伝いをしようと声をかけたりもしたのだが、疲れてるだろうから、しっかり休んで祭りを楽しめ。
と、ダービットは手伝いを断ったのだ。
そういうわけで、朝からギルドで幾らか引き出して、王の紹介状を持参の上、御用達の鍛冶屋“一撃必殺”へとやって来た。
受付には若い男がいる。
「いらっしゃいませ!本日はどのような用向きで?」
「こちらを紹介されて来ました。色々見せて頂きたいのと、これの修理は頼めますか?」
紹介状を渡し、折れたショートソードをカウンターに乗せた。
「なるほど。失礼しますね…おっと。王様直々の…少々お待ち下さい。親方ぁ!親方ぁ!」
そう言うと、奥へ走っていった。
暫くすると、大柄の男が中から出て来た。
逞しい体。
そして凄い髭。
しかし髭に対して頭は…
「お客さん。またせたな。修理はこいつかい?」
と、髭に埋もれて見えない口から声が溢れた。
「はい。長年使ってる相棒なので、修理を頼みたく」
「ふむ…これは…珍しい…魔力を感じるな。しかし…ここまでばっきり折れちまってると、修理してもまたすぐに折れちまうぞ?」
真剣にショートソードの破片まで詳しく観察する親方。
「やっぱり駄目ですか…」
落ち込むルーシェとショートソードを見る親方。
「よっぽど気に入ってたんだな。今どきにしちゃあ珍しいな。確かに…折れたこいつを見てると、大事にしていたのはよくわかるな」
剣の精霊が誕生日にくれた一品である。
元は拾い物のただのショートソードだが、剣の精霊が自ら打直し、その力を込めた物。
しかしいくら特殊な力を込めても、元が元なだけに限界が来てしまったのだ。
しかし、大事にされてきた代物だ。
まだ共に闘いたいと、折れた刃が訴えているのだ。
「ふむ…よし。ならこいつをベースに、1から作り直すってぇのはどうだい?」
「え?かなり手間がかかるんじゃ…」
「まぁな。だがこいつもまだ死にたくない。お前さんと共に闘いたいと、訴えかけて来やがる。ただし。多めに日数はもらうぞ?」
と、口元は髭でわからなかったが、優しい目元から、微笑んでくれているのがわかった。
「お!お願い致します!」
「おぅ!任せな!で、そっちのお嬢ちゃん達はどうするんだい?」
「私は格闘用の篭手とグリーブを。魔闘士だから、魔力と相性が良い素材の物がいいわ」
「私は魔法がメインです。何かオススメの杖と、護身用の短剣もお願い致します」
「ふむ。お嬢ちゃん達、すまんがこっちで手を見せてくれるか?」
言われるままに手を広げる。
「なるほど。魔闘士のお嬢ちゃんは、こっちのでどうじゃ?」
ミスリルで出来た篭手。
普段は手首の自由が効くようにと、手の甲の部分は手首のスリットに入っている。
指の部分は通常だと魔獣の革を使うことが多いのだが、これはミスリルメッシュで出来ている。
試しに装備し魔力を軽く込め、シャドーをする。
「これは凄いわ…」
硬化の付与があるため、強度は折り紙付き。
そして、何と言っても恐ろしく軽いのだ。
かなり気に入ったようで、お揃いでミスリルのグリーブを購入した。
「もう一人のお嬢ちゃんは、すまんが杖に関しては別の店を紹介してやるから、そっちへ行ってくれんか?杖な、専門の店に行くほうがいいからな。短剣ならこっちをオススメするよ」
護身用の短剣は、何本か並べられた。
レイピア近い形の物、ナイフ型、小太刀など、何種類もある。
イリスが選んだのは無骨な作りだが、刀身に何か細かく文字が刻まれた物。
「ほぉ…そいつを選んだか…」
髭を擦りながら、嬉しそうにする店主。
「何か特別な力を感じます」
「そいつは音叉の小太刀ってんだ。2つの特殊効果がある。魔力を少し流してみろ」
言われるままにしてみると、リーンリーンと、小太刀が僅かに鳴り出した。
「そいつの音は魔獣限定で、幻惑効果がある。魔力を込める量に応じて、その効果範囲も広く強力になる。そしてもう一つは…こいつを試しに、そのまま切ってみろ」
鋼鉄のインゴットを棚から取り出した渡された。
普通だと何度か切ろうとするだけで、刃も腕もいかれてしまうのだが…おっかなびっくり、半信半疑で、言われた通りにしてみたら…
インゴットがスパッと真っ二つになった。
「これは?」
切った本人が一番驚いている。
「音。つまりは振動だな。刃を特殊な間隔で震わせることで、切れ味を増すことが出来る。とまぁその2つが特徴だ。使うのに魔力は必要だが軽くて便利だ。それに、仮に野盗に襲われたとしても、それを見ただけじゃそんな能力だと気付かれない。武器ごと敵をたたっ切れるってぇもんだ」
どうしてなかなかな物言いだが、言いたいことはよくわかる。
イリスはその小太刀と、防御用のアンクレットと篭手を購入した。
その後、ルーシェは矢の補充と、新しい盾を購入した。
打直しが終われば、ホームへ連絡をくれることになったので、よろしくお願いして、本日分の支払いをしようとしたところ。
「あぁ。お代ならこの紹介状に書いてある。王様がポケットマネーでプレゼントだってよ。お前ら一体何をやったんだ?」
と、言われてしまった。
ミスリル製の物や、魔力付与された装備はかなり高価。
確かに報酬としてはありがたいので、素直に受け取ることにした。
その後、鍛冶屋の紹介で、杖を扱う魔道士ショップと、魔力付与した防具の専門店なども回った。
鍛冶屋経由でどの店にも連絡が回った様で、どこも王持ちとなった。
ありがたい。
一旦荷物を持って帰り、引き出したお金を預け直し、今度は祭りに赴く三人だった。
姉妹はルーシェを挟む様に両隣に。
そして人が多くて逸れそうとの言い分で、それぞれに手を握られた。
周囲から、特に男からの殺意剥き出しの視線を送られるハメになった。
作者「明日はお祭り編です!」
女性キャラ「………」(視線が冷たい)
作者「な…なんだっていうんだよぉ…」
女性キャラ「…女の敵…」
作者「そ…そんなこと言われても…ぎゃーーーーーーー!」
えー…新たなニュースが入ってきました。
自分の作品のキャラクターから、過激な暴力を受け、作者は緊急搬送されました。
とのことです。
映像が届いております。
搬送中、作者は、俺は…俺はやったんだ…男の浪漫を…ブック…マーク…と…高…評価……みんなお願い…ガクッ…
以上。臨時ニュースでした。




