五一話 レッツお風呂その1
ちょっとドキドキ展開。
みんな大好きお風呂〜!
ルーシェ達が帰還後、すぐに水路に水が戻り始めた。
急を脱したことは明白だった。
国にすぐ報告をすべきなのだが、全員が全員満身創痍な状態だったため、それを見た王の一声で、報告を急く大臣達を封殺。
報告は後程、改めてということになった。
城内にある客室に通された。
「こちらの部屋にて御寛ぎ下さい。何か御座いましたら、お気軽に御用命下さい。それでは失礼致します」
決まりきった挨拶もそこそこに、メイドさんは部屋を後にした。
その後みんな、疲れで泥のように眠ってしまった。
起きて回りを見ると、ルナマリアの姿がなかった。
「あれ?どうしたんだろ?シルフィは知ってる?」
「んー?私は知らないけど…うん。誰かと話してるみたいね。何の話かまではわからないわね」
わざわざ風に聞いてくれたようだ。
室内で遮られると、聞こえにくくなることがあるので、これは仕方ない。
「うーん…何時ぃ…?」
「まだ寝たいですぅ…」
エリスとイリスがルーシェの声に反応して、起きてしまったようだ。
「二人とも起こしちゃった?ごめんね」
その声に反応して、飛び上がる二人。
疲れが先行して、同じ部屋で眠ってしまっていた。
まさか寝顔を見られてしまった?
変な寝言とか言ってないか?
そんな感情で、急に脳が動き出す。
「はぅわ!と、とと…顔を洗ってくるわ!」
「わ!私も!」
この場を慌てて脱出するため、洗面所へ駆け出していった。
「あんなに慌てて…どうしたんだろ?」
「はぁ…もうちょっと乙女心を勉強しなさい…」
部屋をノックされた。
「はい。どうぞ」
「失礼致します」
先程のメイドさんとルナマリアが入ってきた。
「ルナマリアさん。何処へ行ってたんですか?」
イリスが尋ねた。
「先に目が覚めたので、報告をしてきました」
王やら大臣相手の、ややこしく面倒臭い作業を、一人でこなしてくれたらしい。
「任せてしまい、申し訳ないです」
ルーシェの言葉に合わせて、姉妹も頭を下げた。
「いえいえ。慣れてますから。それに、今回は皆さんにお世話になりっぱなしでしたからね。これくらいはさせて頂きませんと」
自身も斥候としての作業である、罠解除や端末操作や、さらにはギュドーとの戦闘。
かなりのことをこなしていたにも関わらず、そう謙遜する発言。
皆わかっているので、口を揃えこちらこそお世話になったのにと言った。
ルナマリアからすると、忘れていた冒険者としての生き様を、思い出させてもらったこと。
そして皆がいなければ、今私は確実に死んでいた。
感謝してもしても足りない気持ちで一杯なのだ。
そんな空気の中、間の抜けた声が響いてきた。
「うーん…良く寝たのぉ…すまんが…誰か起こしてくれんかのぉ…?」
先程まで爆睡していたシリウスが目を覚ましたようだ。
呪いで体がだるく重い。
エリスの介助を受ける。
「皆様起きたようですね。王様に伝えに参ります」
メイドは足早に出ていった。
「ねぇルーシェ。師匠のときみたいに、呪いなんとかならないかな?」
「うーん…どうなんだろ?人間と神なら、体組織が違う可能性があるから、試してみないと何とも…どちらにせよ、ここだと道具がないから、今すぐにはいかないよ。シリウスごめんね」
「気にせんでよいよい。元々我の身から出た錆。それに時間はかかるが、自力で呪いを解くことも出来るのじゃ。問題ないのじゃ」
カカと笑いながら応えた。
またノックの音が。
「はい。どうぞ」
「失礼致します。どうぞ。」
メイドが戸を開ける。
「うむ。失礼するぞ」
入室してきたのは王だった。
「此度は御苦労であった!大義であるぞ!」
入室し、労いの言葉を放つ王に、慌てて片膝をついて、頭を下げる姉妹。
「「も!もったいなきお言葉」」
噛んでる噛んでる。
ルーシェとルナマリアは軽く頭を下げるだけ。
シリウスは憮然とした態度のままである。
まぁ神の方が位は高いし、この王ならきっちりせずとも、打首にしたりはしないし、問題はないだろう。
「まだ疲れが残っておるだろう、そこの二人も楽にして良い。公式の場ではないのだからな」
「「はっ!ありがとうございます」」
二人して言いながらも、体は固まったままだ。
「はっはっはっ!まぁすぐにとはいかぬか!まぁ良い。それより皆、疲れを抜く一番の方法を知っておるか?」
そう言いながら、ニヤリと笑う王だった。
視界に広がる湯気。
そして巨大な湯船。
城内にある、王族専用の風呂場だ。
「これは…すごいですね…」
「そうであろう!そうであろう!かつて東の地に赴いたとき、温泉なるモノに出会ってな。それがあまりにも気に入ってしまってな。どうにか用意出来ないものか、悩んでいたのだが…向こうには風呂という文化があったので、それを真似たのだ!」
「な…なるほど…」
「普段は王族専用なのだが、今日は特別にというわけだ!」
「ありがとうございます」
「さぁ!ゆっくり癒されるが良い!ハッハッハッ!」
大きな笑い声が風呂場の環境で、より大きく響き渡った。
体の綺麗に洗い、湯船に浸かる。
「あぁ…これは確かに気持ちいいですねぇ…」
「そうであろう!そうであろう!わかってくれるか!」
「はい…ちょうど良い湯加減で、芯までほぐれそうです…」
ルーシェの蕩けた顔を見て、満足そうな王。
しかしそのあと、その顔が僅かに曇った。
「…実は少し不満もあるのだ…本当は混浴なる物を作りたかったのだが…皆に反対されてしまってな…作れなかったのだ…」
至極残念そうな王。
うん。
スケベなところもフルオープン。
隠す気は全く…微塵もないようだ。
ある意味王らしい姿だ。
「コンヨク…?とは何ですか?」
「何だ?知らんのか?まぁ…遠い異国の文化だからな。知らぬのも無理はないか」
というわけで、混浴とは如何なるものか。
如何に素晴らしいものかを、切々と語っていく王。
「どうだ?素晴らしいだろう?」
男女が裸で同じ風呂に浸かることの、何が良いのかよくわからなかったが、ここまで力説するのだから、きっとそういうものなんだろうと思い、とりあえず同意して頷いておいた。
「ふむ!いやぁ!話がわかるな!よし!では付いて参れ!特別秘密を教えてやろう!良いものを見せてやる!」
「?はい?」
言われるままに付いていった。
「実はな、ここを建造するに当たって、建築家と大工に融通を聞いてもらってな。他の皆には内緒で、こっそり作ってもらっての」
「?はぁ」
「わからぬか…?まぁ付いてくればわかる」
飾りの岩がいくつかある。
その岩の一つをどけ床板を取り外す。
そこには何かのスイッチが。
嫌らしい笑みを浮かべながら、いそいそとスイッチを押した王。
壁の一部が動き、通路が現れた。
「この先だ。桃源郷が待っておるぞ。ここから先は小声でな」
まるで獲物を狙う肉食獣のような目。
酷く濁っているようでもあるし、少年のような輝きも放っている。
どう判断するべきかわからず、とりあえず付いていくことにしたルーシェ。
暗い道。
何やらごそごそしている王。
「これだこれ」
手には通路を照らすためのランプが握られていた。
「では行くぞ」
かなり不吉な予感を感じつつも、王に付き従うルーシェだった。
作者「いやぁ〜!やっぱり疲れた後には、お風呂が一番ですよね?」
女性キャラ「「……」」
作者「あの…その目、やめてもらえませんか?」
女性キャラ「「…」」
汚い物を見る目。
作者「くそぉ!そんな目されても、大きなお友達の夢を叶えるんだぁ!てなわけで、大きなお友達の諸君!ブックマークに高評価で、次回の投稿分…加筆する力を、俺に分けてくれ!」
あとすみません。
仕事の都合で、明日明後日は投稿出来ないかもです…




