四話 初めての王都
昨日書けなかったので、朝から書いてました。
なかなか難しいものですが、文章考えるのって、楽しいものですね!
朝から走ること2時間。途中途中で生薬の材料となる草花や虫、蜥蜴に蛇など、あれこれ集めながらのランニング。
採取するに当たって、生き物に関しては手早いのに限る!と、速度を緩めずに捕獲していくのは、仮に見ている人がいれば、圧巻の一言だったであろう。
「これだけあれば、村で売れた分くらいは作れそうだね〜」
「そうね〜。けど、人間って不便なのね。生きるのにお金?ってのが必要不可欠ってことらしいし〜」
「里にいたときは自給自足だったし、知らないことだらけだよ〜。でも不思議だね…その辺にいっぱい素材なんて転がってるのに、何でみんな作らないんだろ?」
「人間の生活なんて知らないから、私にもわかんないわよ〜」
この世界にもある程度の生薬などは存在している。ただ、ルーシェの作る生薬は妖精ないし精霊の秘薬と呼ばれる物であり、通常の薬師では作り方や材料すら知られていない物である。
製薬技術や知識に関しては、里の長老達直伝の物。つまりは妖精薬、精霊薬である。
通常の市場ではまず出回ることはなく、王侯貴族か裏社会に生きる者達専用の、闇市で稀にしか流れて来ないものだ。
そんなことは知らない村人達は、普段よりかなり良く効くな〜くらいの感覚だったが、数日後たまたま隣国の商隊が補給に立ち寄った際に、大旦那がそれらに目を付けて、村の方には多額のお金が舞い降りたとか。
そして気付けば15時頃である。
馬車で5日と聞いていたので、もっと遅くに着くかと思っていたが、予想よりかなり早く到着した。
理由としては馬車で5日は、当然野営などの時間を考慮したものである。ルーシェは5日走り通しをイメージしていたからである。一応王都が遠目から確認出来てからは、速度は一般的なランニングペースには落としていたので、変な目で見られることはなかった。
(ダリィさんにあの爆速移動で行くことをつたえたら…「戦闘中みたいな爆走は、王都付近では使わない方がいい!てか使うな!」って言ってたから使わなかったけど、これでよかったのかな?しかし…聞いてはいたけど、本当に水で囲まれている…すごい!)
通常の王都は、城壁に囲まれているのが一般的である。ここはそれらとは違い、城壁の最上部である見張り台を除き、全面水のカーテンで覆われている。
「王都ウォータガーデンへようこそ!こちらで荷物の確認と、入税の受付を行ってます!」
「商人の方は奥へ荷物ごと行ってください!一般の方はこちらで入税料と名前、来都の目的の記入をお願い致します!」
鉄製の鎧姿の騎士達が、忙しそうに声をかけている。
「お次の方どうぞ!」
「僕の番だね。お願いします!」
「パッと見特に大きな荷物はなさそうだね。一応だけど、腰の袋には何が?」
「生薬類と携帯食です。」
「じゃあ別税のかかるものは特になさそうだね。こちらに名前と来都理由をご記入下さい。」
「ルーシェ…と…目的は…冒険者になりたくて来たんですが…」
「そのまま冒険者とだけご記入下さい。」
「ありがとうございます。以上ですかね?」
「あ、入税料の300フォルをこちらにお願い致します!」
「あ、忘れるところだった!失礼しました!」
(お金に慣れなきゃだな…)
「いえいえ。それでは水の都をお楽しみ下さい!」
「ありがとうございます!」
初めて入る王都の感想は…
(凄い人だ…何か…気持ち悪い…)
そう人酔いだったのである。元々人と関わることなく育ってきたので、当然の反応である。袋から辛味のある気付け効果のある実を取り出して口に入れる。
「この感じは久しぶりだ…」
昔里に遊びに来た鳥の精霊のファルケの背に、何度か乗せてもらったことがある。急浮上急降下を初めて体験したときは、これより酷い酔い方だった。
(大丈夫…?)
(ん…少ししたら落ち着くと思うよ)
端へ寄って少し休む。涼しくて気持ちいい…
王都に関して軽く説明を。
以前書いた通り、ガンちゃんの暴走によって平らな土地となったところに作られた王都。
中心部である城部分は盛土してあり、そこそこに小高くなっている。そこからなだらかに下り、貴族街。上級商人などの上級区。一般区の順に、同心円状に広がっている。
通常この地であれば、水源が地下水に依存となるはずが、街中水路が張り巡らされ、ゴンドラによる水上移動が一般的である。
水霊石という物が王都の地下にある。これはかつて水の大精霊アクエリアスによって作られた、エネルギーの結晶体の一つで、常に豊富な水を生み出し続けているのである。
その水を街中の水路に巡らせ、上水道の整備。そして水質改善に役立つスライムで下水処理を行い、常に離れたところにある河へ地下から水路で繋ぎ、放水し続けている。
流し続けなければ、王都が数日で水没してしまうほどの、とてつもない水量なのである。
その豊富な水源のおかけで王都は栄えているのである。
ちなみに飲み水はもちろんタダである。
「ふぅ…少し落ち着いた…」と、休んで水を飲み、少し酔いから介抱へ向かったルーシェは、すぐ近くでやっている市場で簡単な食料を買い、そこで冒険者ギルドの場所を教えてもらい、向かったのである。
「ここが…冒険者ギルドか…」
(凄いところね〜)
筋骨隆々な男達や剣や弓などを携えた女性達が、大勢出入りしているのである。
(凄そうなところだ…また酔いそう…)と、顔を少し青くしながら、中へコソコソ入る。
「アイツがこないだヘマしやがったからよぉ!」
「うるせぇ!お前だってしてたじゃねーか!」だとか、
「あぁん?私より強い魔獣狩れるようになってから出直してこい!」
「姐さんすんません!」やら、
「今日はレアなモン取れたから、豪勢にいくぞ!野郎共!」など、調度依頼から帰った人達が、受付にて報告手続きのため列をなしていた。
30分ほど並んだところ、
「お待たせしました!次の方どうぞ!」
「長かった…人酔いが…これにも早くなれなきゃな…」
「本日のご用件は?」
「冒険者の登録をお願いしたいのですが…」
「登録ですね!かしこまりました!」