表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森育ちの天然ドルイド  作者: 食欲のアキ
48/124

四七話 シリウスVSべリアル

 もう今月も半分…

 時間の流れが早すぎる…

 べリアルの行動を観察しながら、自身がそう呼称したタイプの特徴を思い出していた。

(しかし…懐かしいのぉ…当時のモノとは多少違う部分もあるが…極端な変化があるわけではないのぉ…)

 魔族が訓練を行い、一定以上の能力を身につけると、自身のDNAに刻まれた力を開放することが出来る。

 それはまさに本能を開放するのと同じ。

 そこからさらに訓練を積むことで、理性と自我を保ったまま、戦うことが可能になるのだが…

(こやつは完全に飲まれておるな…情けないのぉ…)

「まぁだからと言って、やることは変わらんのじゃが」

 シリウスはあえて自分から攻め込むことはせず、攻撃により生まれる空きを突き抜く。

(やはり…攻撃のパターンとしても、昔のものと然程差はないのぉ…つまらん)

 赤子のように弄ばれるべリアルは、その忌々しい状況に切れた。

「ウロッ!ウロロォォォォォォォォォオッ!」

 自身を中心に、大爆発を起こす。

「なっ!?」

 間近で後の先を取り続けていたシリウスは、諸にその爆発を浴びた。

 爆発により通路の壁は無惨に破壊され、周囲には破壊された壁や天井だけでなく、突き抜け落ちてきた岩や土砂が散乱している。

 破壊された影響で、近場の照明は消えた。

 遠くからの光で、薄暗く見えるだけの状態。

「ウロォ…ウロォ…」

 まだ生きているであろう怨敵を探すため、辺りを見回しながら、匂いを探るべリアル。

『どごぉーーーーーーーーーーんっ!』

 少し離れた場所から、激しい音が上がり、大岩が四散する。

 音の発生源の中から、髪の一部が焦げ、衣服も爆発でボロボロになったシリウスが出てきた。

「くっくっくっ…あーーーーーはっはっはっ!そうだ!昔と同じではつまらん!いやぁ!今のは驚いたぞ?褒めてやろう!」

 感極まったとばかりに、大声で笑い続けるシリウス。

 その怨敵の姿に、べリアルもグニャリと醜い笑みを浮かべた。

「ウロォッ!」

 激しい突進攻撃を繰り出すべリアル。

 その勢いを利用して、ぶん投げるシリウス。

「良いのぉ!良いのぉ!他はもうないのか?もっと見せてみよ!」

 挑発的な笑みの中、瞳は狂気に満ち満ちている。

「ウロォ…ロォッ!」

 空中で姿勢制御をしながら、べリアルは両方の角にエネルギーを溜めて、怨敵がいたであろう場所に、レーザーを撃ちまくる。

 デタラメな攻撃なため、逆に避け辛く、厄介なその攻撃を、まるでダンスパーティーを楽しむかの如く、軽やかに、ミリ単位で交わしていく。

「もっとだ!もっと来るのじゃ!」

 激しい攻撃の最中、シリウスはより体の感覚が馴染むのを感じる。

 そして、久しく錆び付いていた、自身の内に眠る本能が、目覚めていく。


 先程の嬉々とした笑い声は一切鳴りを潜め、無言で二人は撃ち合っていく。

 べリアル自身もこの戦いの最中、シリウスに導かれていくように強くなっていく。

 そして…

「ウロォ……ム…ワレハ…?」

「やっと自我を取り戻したのか?情けないのぉ…」

 まるで朝寝坊した子供に言うかのように、声をかけたシリウス。

「ナニ…ヲ…シタ?」

「なぁに。大したことではない。本能に飲まれるようなお主に、ちと手解きをしてやったまでじゃ」

「ナゼ…?ワレハ…オマエノテキ…」

 より警戒心を強め、手に魔力を溜めるべリアル。

「なぁに…言ってみれば気まぐれじゃのぉ。それに…飲まれ獣に落ちた者を狩りとっても、何も面白くはないから

…のお!」

 シリウスの言葉の最後を合図に両者が動き出す。

 激しい魔力を解き放つべリアル。

 先だっての爆発よりも更に大きな爆発が、意思を持ったようにシリウスを襲いかかる。

 シリウス地面に掌手を叩き込むと、爆発から身を守るように、地面が隆起して壁が生まれる。

 それを予想していたのか、べリアルは頭上から魔力を込めた拳を降り落として来た。

「ムンッ!」

「まぁそう来るであろうのぉ」

 衝突直前に壁の上部が、まるでその顎を閉じる様に動く。

「グヌワァ!」

 閉じた顎はその牙をべリアルの腕に突刺し、容易く腕を捻り切った。

 切られた腕から血がボタボタと垂れ落ちる。

「何だ?存外に脆い腕じゃのぉ」

 シリウスはその腕を投げて渡した。

「どうせ放っておいてもすぐ生えてくるのじゃろ?無駄な力を使わずとも、その腕を付ければすぐ戻るのも知っておる。早ぉいたせ」

「ナンノツモリダ…?」

 腕を掴みながらべリアルは呟いた。

「なぁに…我も楽しみたいのじゃ」

「ヌグゥ…グワァ!」

 その声に腕を叩きつけ、自力で腕を生やし、再生させるべリアル。

「ハァハァ…オマエノナサケナドイラヌ…」

「…そうじゃの…流石に今のは失礼過ぎたな…しかとその覚悟…見させてもろうた…我も本気を出すのが礼儀というものじゃの…」

 そう言って構えを取るシリウス。

「ソウダ…コイ…クルノ…ダァァァァァァァァッ!」

 激しい咆哮。

 その咆哮に向い、走り出すシリウス。

 向かい打つべリアルは、文字通り全力を持って、突撃してくるシリウスに拳を穿つ。

 その拳には今までにない力の凝縮。

 そしてシリウスの放つと拳と接触の瞬間、視界が真っ白に染まる。

 自身もその爆発により、瀕死のダメージを追うべリアル。

 眼前には憎き怨敵の姿はなかった。

「グヌゥ…これなら…」

 力を使い過ぎたのか、べリアルの姿から、元の姿に戻り始めていた。

「…何じゃ?その方がイケメンじゃぞ?」

「なっ!」

 背後から声をかけるシリウス。

「お主の負けじゃ」

 振り返ることも逃げることも叶わない。

 背中そっと手を添え、螺旋を描く様に掌手を放つ。

 吹き飛び壁にめり込むべリアル。

 背中には螺旋状の激しい裂傷が。

 外傷だけに留まらず、内臓までズタズタに捻りつぶされた。

「ガッ…ゲボ…ゴボッ…」

 激しく吐血するべリアル。

「苦しかろう…せめてもの情けじゃ。今楽にしてやる」

 そう言いながらべリアルに近付くシリウス。

「くっくっくっ…まだ…まだ死なぬ!」

 そう言うと自ら二つの角をバキリと折った。

「なっ!お主何を!」

「確…かに…もう時期…死ぬ…が…ただでは死ぬまい…シヌマイ!」

 体から闇が溢れ出す。

 それが身を包み、瞬時に傷が塞がっていく。

 そして、解けかけていたべリアルの姿に戻った。

 いや、角はないが、体に異様な紋様が浮かび上がっている。

「まだ粘るというのか」

 呆れた声を漏らすシリウス。

「モウ…ジカンガナイ…ドウセシヌ…ナラ…セメテ…イチゾ…ク…ノ…オ…ンテキ…ヲ…」

「まったく…しつこい男は嫌われるものじゃぞ?」

 そう言った瞬間、シリウスは壁に叩きつけられ、地面に崩れ落ちる。

「ガハッ!」

 受身を取る暇もない速度と力。

 赤く染まる視界に、頭部が切れたことに気付くシリウス。

「なるほど…自身の命を全て燃やしておるのか…」

「ドノミ…チナ…ガク…ハナイ…」 

 魔族に取っての角は、大気中に含まれる魔力の供給機関であり、コントロールするための重要な機関。

 それを破壊するということは、エネルギーの暴走を意味する。

 角が破壊された魔族は、短時間の間強力無比のな存在になる代わり、確実に死ぬ。


 シリウスとべリアルの最後の死闘が幕を開けたのだ。



作者「さて…なかなかの死闘が巻き起こってますね」

シリウス「こんな美少女を傷だらけにしおって…傷が残ったらどうするのじゃ?」

作者「いやぁ〜。どうせながら格好良い姿も見てもらいたくて!ファンの数も鰻登りかもですよ!」

シリウス「ほ?本当かのぉ?」

作者「さぁ!ファンに向けて、いっちょ宣伝を!」

シリウス「し…仕方ないのぉ!コホン。えー…いつもみんな読んでくれてありがとうなのじゃ!まだまだブックマーク登録に、高評価も待っておるからのぉ!よろしくお願いするのじゃ!」


舞台裏にて

作者「ククク…ちょろいのぉ〜」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ