四五話 古代の技術
毎日更新、どこまで出来るでしょうか…
と、日々不安を感じながら書いてますが、何とか更新出来てよかったです。
ただ、今月末頃より、自身の仕事の都合で、更新が一日二日途切れそうです。
楽しみにしてくださっている読者の方には、申し訳ないことになるかもですが…許して下さいm(_ _)m
ルーシェ達が扉に入ると、ルナマリアは扉を閉め、横にある青い水晶らしき物に手をかざした。
ガチャリという鍵が閉まる音の後、ガタガタと音が響く。
次の瞬間、内臓が持ち上げられるような、慣れない感覚が全員を襲った。
「これは…気持ち悪いですね…」
その言葉に全員が頷き、同意を示した。
「今かなりの速度で、この部屋ごと地下へ降りています。もうすぐ収まるので、少し我慢してください」
「ルナマリアさんは乗ったことがあるんですか?」
イリスがルナマリアの方を見てそう呟いた。
「ここのは初めてですが、同じ物には何度か。古代の技術で、エレベーターと呼ばれていたそうです」
「古代の技術ですか…慣れた手付きで操作していましたが、詳しいんですね」
「元々私も冒険者でしたからね。エルフにしては珍しいんですが、そういう古代の遺跡や、失われた技術の調査を専門に、活動をしておりました。今ではギルマスになったため、本格的な活動は殆どしなくなりましたが…と、着いたようですね」
扉の先は謎の照明によって、割と明るく照らされていた。
しかし…何故か不穏な空気が漂っている。
「この先は侵入者対策として、トラップが多数設置されていますので、ご注意下さい。先導は私がしますので、後を付いてきてください。あと、ルーシェさん、シルフィさんのお力をお借りしても?」
「わかりました。シルフィ、お願いね」
「はいは〜い」
シルフィであればトラップに引っかかる可能性が殆どないので、先行偵察で飛びながら進んでいった。
近くのトラップに関しては、ルナマリアが無力化しながら進んでいく。
「凄い…」
トラップ解除の手際が良すぎるのだ。
異常に早い。
それを目の当たりにして、エリスが思わず呟いたのだ。
「しかし…ここの王都が移動してきた年数で考えたら、こんな古代の技術、どうやってここに?」
イリスが周囲を見渡しながらそう言った。
「あぁ…あまり知られてはいないことですよね。城自体は新しく建てた物なんですが、地下は丸ごと移転させたらしいですよっと…これでこの罠も大丈夫です」
作業をしながら応えてくれた。
「え?ま…丸ごと?どうやって?」
「当時の宮廷魔術師が移動させたという記録は残っているのですが、その者の出自や名前などの情報は、何故か全て消されてしまっていて…興味深いのですが…ね!」
そう言いながら何かの回路に、別の術式を被せて誤魔化した。
一つずつトラップを無力化しながら進んでいるため、進行速度はゆっくりではある。
ルナマリアの名誉のためにあえて言うなら、普通の斥候職であれば、この倍の時間を要する。
また、ここの構造が進行をより遅くする原因でもあった。
無駄に分かれ道が多く、目的地まで最短ルートで向かっても、かなり遠回りしなければならない。
かなら精巧な地図を用意されていたとはいえ、一筋縄ではいかなかった。
そして何より苦労したのは、5ヶ所に設置してある、結晶石の部屋を守っている、ロックの解除である。
おかげで同じところを何往復かさせられたり、同じような景色で迷子になりかけたりと、かなり大変だ
先行確認をしてくれていたシルフィも、念話が使える兼ね合いで、ルーシェのだいたいの位置はわかるのだが、入り組んだ構造のため、合流が難しい場面が何度かあり、序盤にパーティの元へ戻ってきていたりする。
苦労しつつ、4つ目のロックを解除したときのこと。
『ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ』
鈍く低い音が、建物の中で鳴り響き出した。
それまで通路を照らすべく、白い光を放っていたものが、急に赤く明滅し出した。
「この音は…?」
「まさかルナマリアさん、失敗しました?」
「失礼な!イリスさん!何も失敗してません!何者かが無理矢理結晶石部屋か、強引にロックの解除をしようとして、防犯装置が発動したものと思われます!」
冷静なルナマリアにしては珍しく、顔を赤らめながら、心外だと否定していた。
この手のことにはかなりの自信があるようだ。
「事前情報だと、防犯装置は生体兵器で、この施設内の登録者以外を駆逐するまで湧き続けます」
「それって…」
エリスが嫌そうな顔をしている。
「はい…私達も当然狙われます…」
「対処方はないのかのぉ?」
「地図をお借りしますね…ここを見てください。結晶石のある部屋まで行けば、防犯装置を切る端末があるはず」
「急ぎましょう」
「待ってください!生体兵器はかなり危険だと聞いてます!迂闊に動くと…っ!イリスさん!上!」
「え?」
イリスは声に反応して、上を見つつ横へ避けた。
しかし逃すまいと、上から降ってきた生体兵器は、体を爆発させるように拡がり、イリスを包み込んでしまった。
この生体兵器は人造スライムだ。
通常スライムは洞窟や水辺に棲息している下級の魔物だ。
それを捕獲し、成分を人為的に変化させたもの。
そのDNAを採取し、魔石と魔力によって、常に生産される。
討伐したとしても、ここの施設の床や壁が吸い取り、それを元に、すぐまた生み出してしまうのでそれこそ無限ループ状態。
「こんのぉ!イリス!からっ!は!な!れ!な!さいっ!」
エリスが拳から冷気を発生させ、スライムを凍らせながら殴り砕く。
スライムの体の特性上、通常の物理攻撃ではダメージが通らない。
エリスの選択は正しかった。
偶然ながらも火炎系によって蒸発させた場合は、吸収して、また即座に現れてしまうのだが、知らず知らずに凍らして仕留めたため、解けるまでは即座に吸収、再出現することはなかった。
「イリス!しっかり!起きて!」
何とか助けたイリスの肩を掴み、体を揺するエリス。
外傷は特にないようだが…服のあちこちが溶けてしまっている。
「ゴッホ…げほげほ…死…死ぬかと思った…ありがとう…お姉ちゃん…」
咳込み息をするイリス。
「よかった…よかった…」
そう言いながら、衣服がボロボロになった妹に、自分の荷物からローブを取り出し、それを羽織らせる姉。
ルーシェの方はエリスが対応しているのを確認し、すぐに周辺の確認。
大きめの隙間から、スライムが出て来ているのを発見したので、スライムに何か瓶を投げつけていた。
瓶から出た薬液に触れると、スライムがカチコチに固まり、隙間ごと埋める形になったため、一先ずそこからの出現はなくなった。
「イリスさん!大丈夫ですか?」
「大丈夫です…ルナマリアさん…すみません…忠告頂いたのに…」
「いえ…もっと早くに気付ければよかったのですが…でも、今ので元になったスライムがわかりました。今のは洞窟やダンジョンに棲息する、クリナップスライムです」
「割とその辺によくいるスライムですよね?」
部屋の安全を確保したルーシェは、周辺警戒をシリウスに任せ、会話に参加した。
「そうです。基本的には死骸を食べるだけの能力です。それを改良して、衣服や装備も溶かせるようにしたものと思われます。元の性質が残っているため、生きたまま取り込むことが出来ず、イリスさんを窒息死させて、その後食べるつもりだったと思われます」
「それは…なかなかに恐怖ね…」
話を聞いて、少し震えるエリス。
「すぐに溶かされないということは、取り込まれても助ける時間があるのがわかっただけでも、大きなことですね。ただ、この部屋に現れたものだけとも限りません。注意しつつ、迅速に進みましょう」
「それもそうね…イリス、動ける?」
「私ならもう大丈夫です。急ぎましょう」
「ちょっと待ってくださいね…端末で確認します…」
ルナマリアがロック解除した端末から、情報を確認した。
「お待たせしました。5個目のロックは、無理矢理解除…というより、破壊されたようです。すぐに結晶石のところへ向かいましょう」
五人は急ぎ結晶石の元へ向かった。
作者「今朝起きたら、新しくブックマークに評価ボタン押してもらえてたよ!キャラのみんな、いつも宣伝ありがとう!」
シルフィ「それを言うなら先に読者にお礼でしょうが!」
作者「いつもお礼とお願い、読者様にはしてるから、みんなを労おうと思ったのに…」
シルフィ「…もう…こんな読者ですが、これからもよろしくお願いします!ブックマークや評価、コメント何かも待ってますので、よろしくお願いします!」
作者「シルフィえぇ子やぁ〜 (´;ω;`)」




