三話 初めてのお金
割と切りよく書けたかな?
明日は用事あるので、更新出来なかったらすみません。
どんちゃん騒ぎの翌朝、女将さんに頼んで王都への地図を見せてもらう。
「王都まで向うなら馬車で5日はかかるよ」と、地図を個室のテーブルに広げながら、女将さんは言った。
途中一箇所森を抜けることにはなるが、ちゃんと道が整備されてるらしく、道程としてはまだ安全らしい。
村からも麦の輸出や必要な物の買い付けがあるため、定期的な往来はあるようだ。
今回の騒動の冒険者達は、商人と馬車の護衛依頼と、討伐依頼をまとめて受けて、この村に来たとのこと。
(シルフィはどう思う?)
(どうって〜?)と、まだ眠そうなようで、欠伸をかみ潰している。
(数日待って馬車に相乗りさせてもらうか、走って僕らだけで向うかだよ)
(あぁー…うーん。どっちでもいいわ。ルーシェの好きにして〜)と、やっぱり眠そうに返される。そしてルーシェの肩に寝転び、寝息を立て始めた。
(昨夜は遅かったし、眠いのは仕方ないかな?)と思いつつ、今後の予定を考える。
実際馬車で5日の道程も、シルフィの力を借りて走れば、たぶん1日もかからないはずだ。冒険者ってのも気になるし、ガンちゃんも思い立ったが吉日って、よく言ってたしな…などと考え、今から向かうことにした。
(そうと決めたら早速挨拶を済ませて行こう!)と、地図を返そうと思ったとき、ちょうど朝御飯を食べに来ていた人が、出て行くとのことである。
「ごっそーさま!」
「は〜い!いつもありがとうね!500フィルだよ!」と、何か紙をお客さんから受け取っていた。
「女将さん、今大丈夫ですか?」
「にいちゃんか、どうしたんだい?」
「今から王都へ向かおうかと」
「あれ?今日は馬車の出る日じゃないだろ?」
「走って行こうかなって…」
「にいちゃん…何日かかると思ってんだい!」呆れた顔を向けられる。
「いや、まぁ何とかなるかと…」と、苦笑いで答える。
「まぁ同じルートだから…いいかい?数日後こっちから出る馬車に疲れたら、途中からでも拾ってもらうんだよ?」と、かなり力強く言われた。
「そうそう!昨日女将さんから、後でシハライ?がどうのって言われてましたが…」と、今思い出したので、シハライとは何か聞こうとした。
「何言ってんだい!よしとくれよ!村の恩人からお金なんてもらえないよ!」と、肩を叩かれる。
「あー…えーと…そうではなくて、シハライって言葉を知らなくて、何か教えてもらえませんか…?」
この後かなりお金もシハライも知らないことに驚かれつつ、かなり呆れられた。呆れつつ女将さんは、実は貴族の息子とかで、自分で支払いとかしたことないのかも?もしかして良いとこの出の坊っちゃんかい?と、考えたりしていた。
「と、まぁお金の仕組みはこういうこった。わかったかい…?」と、かなり疲れた様子の女将さん。
「ありがとうございます!お金のことわかりました!」と、しっかりお辞儀をするルーシェ。
お金の説明を聞いて、紙幣や硬貨の説明を受けた結果、時間はもうお昼営業前であった。
「しかし…お金なんて持ったことないから、どうしたものか…」と、ルーシェが呟いた。
「まぁお金のことも知らなかったんだから、無一文ったのはわかるよ…」と、女将さん。
「あ!昨日スピカに使ってた生薬って、まだあったりするのかい?」
「それならありますよ!」と、腰袋をいくつか並べる。
「これは昨日の傷薬。これは打撲などの腫れに効くもの。解熱剤に毒消しに抗麻痺薬。火傷用の塗り薬に…」と、並べ始めた。
「ちょっと待った!明らかに袋のサイズより出て来てる薬の方が、多いんだけど!?」と、女将さんが声を張り上げる。
実はこの袋、長老からの餞別で、見た目も重さもただの麻袋なのだが、内容量はほぼ無制限の、魔法の袋だったりする。
「旅立つときに、長老から餞別で頂いた物なんですよ」と答える。
(やっぱり良いところの出なのね。アーティファクトを餞別でもらうなんで、よっぽどの…)と、女将さんからの疑いは確信へ変わっていく。
「傷薬の効果凄かったし、他のも良さそうだから、それだけあるなら、いくつか売って、路銀にするのはどう?」
「え?こんなのが売れるんですか?元は全部、山でタダで手に入れた物ですよ?」と、かなり驚愕したルーシェ。
「効果があるんだから問題ないよ!それに、山で材料集めて来るのも、生薬にするのも、全部手間かけてんだから、結構な値が付くと思うよ?」と女将さん。
ものは試しにと、女将さんの店先を借りて、生薬の販売を始めた。結果として生薬類は、販売開始から一時間で完売したのである。
件の冒険者パーティーが、朝から森に入り、昨日の失敗から修行をしていたそうな。全員打ち身やかすり傷だらけだったのと、昨日の救援のお礼を兼ねて、生薬をいくつか買って、すぐに使ってくれたところ、普通のポーションより回復効果が高かったらしい。
それを見た村人が、うちもうちもと、あれよあれよの間に完売したのである。
「みんな買ってくれてよかったよ。と…売上は…え?50000フォル?こんなにあるの?」と、驚くルーシェ。
「そりゃあんだけ安かったら売れるでしょーよ…」と、呆れ顔の女将さん。
流石にお昼も過ぎてから走って行く、夜遅くに到着してしまうので、出発は明日に回して、森へ生薬の材料集めをし、その後お世話になった人達への挨拶を済ませた。
そして翌朝。
「それでは皆さん、お世話になりました!」
「本当に走って行くのかい?」
「あんまし無茶すんなよ?」と、色んな声を頂きつつ、村を出たのであった。
最初は軽いランニングから、村が遠くなったところで、シルフィの力を借りて、爆速モードで街道を駆け抜けていった。




