三七話 忘れていたこと
今日も忘れずに更新出来てよかったです!
仕事始めの方、昨日は多かったと思います!
まだまだ寒い日続きますので、体調崩さないように、気をつけて下さいませ!
階段を登り切ったところ、自然と床の穴が閉まっていった。
三人は墓参りを取り止め、即道場へと戻る。
何があったのか聞かれたが、フォルンが二人に打ち明けたことを知らなかったのもあり、何とかはぐらかすのに苦労した。
道場へと戻った三人。
先にフォルンさんに話したいので、少し待ってもらうように、姉妹に伝えた。
「すみません。あとで必ず話すから」
何とか先にフォルンへ伝えたいルーシェ。
「同じこと話すなら二度手間じゃない?」
すぐに聞きたいと、喰い気味なエリス。
「うーん…ルーシェさんが言うなら、何か理由があると思うよ?お姉ちゃん?」
姉を宥めようとするイリス。
こんな押し問答状態である。
「みんなおかえりなさい。でも何そんなところでもめているのかしら?」
いつもの柔らかな口調。
しかしどこか注意する様なニュアンスも含まれた、そんな言葉と共に、フォルンは道場の奥から出て来た。
「実は先程、二人の実家の奥で、凄いものを見つけまして」
「師匠!ルーシェが家の地下で消えたのよ!」
「家に知らない地下通路がありまして、転移魔法陣と思います」
三者三様に、同時に言葉を発した。
「流石に私も一度に言われても聞き取れませんよ。ルーシェ君からお願い致します」
そう優しく嗜められ、話始めるルーシェ。
「二人の家の奥で凄い発見をしまして」
その言葉で、二人にはまだ何を発見したのかを話していないことが、フォルンには伝わった。
「なるほど…ルーシェ君と二人に、まだ伝えてなかったですね。すみません。ルーシェ君。以前話した、まだ内密にお願いしていたこと、昨晩二人に打ち明けました。それと、二人のことなのに、先にルーシェ君に話していたのよ。私が隠すように話していたから、二人に大きく関わることなのに、彼は二人に話さなかったのね。ごめんね」
三人にそれぞれ頭を下げた。
「そうだったんですね…何とかはぐらかさなきゃと、大変でしたよ」
苦笑いで応えるルーシェ。
「やっぱり先に話してたわね。そんなことだろうと思ってたわ」
ちょっと呆れ顔なエリス。
「私達のことを考えてのこととわかってますから」
大人な対応をするイリス。
「みんなありがとうね。だからルーシェ君、ここでみんなに何があったのか、話してもらえるかな?」
「わかりました。実は…」
出会った自称神のシリウスのこと。
ある種族の話など、聞き得た情報を話した。
「なるほど…確かにすごい発見ね…」
フォルンはそう言うと、お茶を一口含んだ。
「ある種族についてのこと…間違いなく二人に関わることです。」
そう言いながら、ルーシェは姉妹を交互に見た。
「問題点があるとすれば、種族の長云々の話ですね…私達のうち、どちらかが強制的にその役に付く可能性」
イリスは冷静に分析していた。
「まぁなるならイリスかな?私じゃそんなこと到底出来っこないわ」
あまり考えずに、あっけらかんとしたエリス。
「うーん…どちらもならない可能性もありますし、二人でなる可能性もあると思います」
「「「なんで?」」」
「あそこへ続く道が、何故二人いないと開かなかったのか。仮説を先に話したのを覚えてますか?」
「元々二人いないと開けれないのか。もしくは双子のため、血か力かわからないけど、二人揃わないと足りないからか。でしたか?」
イリスが思い出すように呟いた。
「そうそれ。中でシリウスは言っていたの。元々次の長になる一人が通ることが出来ればいいから。他の扉もそう考えると、一人で開けることを想定していたんじゃないかな?そう考えると…」
「なるほど。確かにそうかもしれない」
賛同するフォルン。
「情報がまだ足りないので、明日再び行ったときに、もっと聞き出してみます。なのでもし神子に選ばれそうになったら、なるべく話をそらして、長引かせて下さい。たぶんシリウスの性格的に難しくはないかと」
ルーシェの言葉にみんな頷いた。
「あとは…そうそう。二人は体に宝石らしい物ってあったりするのかな?」
「リリスについていた宝石のこと?それらしき物は、産まれたときに全身見てるけど、何もなかったわ」
ルーシェの質問にフォルンが答えた。
「ということは…そのリリスさんが長だった可能性がありますね」
「どういうことかな?」
「長になるときに、その石を受け継いだとかはありえませんか?」
「そのことなんですが…お姉ちゃん…いいかな?」
ルーシェとフォルンの話に、割って入ったのはイリスだった。意を決したように、姉へも話を振った。
「そうね。いつ頃からか忘れちゃったんだけど、二人で手をつないで、こう力を込めると…」
姉妹で手を握り合うと、お互いの手の甲が光だし、淡い光を放つ宝石のような物が、二人の手の甲にそれぞれ現れた。
「たぶん…二人に力が分けられているっていう、ルーシェの仮説が正しいと思う」
手の甲を見せながらエリスは呟いた。
「師匠…黙っていてすみません…突然出来るようになったとき、凄く驚いて…私達はみんなと違うのが怖くて…こっそり話を聞いてからは…魔族に気付かれて…もしまた襲ってきたら…みんなが…」
そう気持ちを吐露し、涙ぐむイリス。
「…気付いてあげられなくてごめんね…」
「うぅん…こっちこそ…」
三人の絆を改めて目の当たりにしたルーシェだった。
「とりあえず三人が落ち着いたみたいなので、話を続けても?」
「恥ずかしいところをお見せしました…」
フォルンが代表して言葉にした。
二人も少し顔を赤らめつつ、頭を少し下げていた。
「いえ。それより明日、改めて向かうに当たって、もう少し話しておきましょうか」
「「「はい…」」」
「えーと…気持ち切り替えて下さいね?安全策を取りたいので…エリスとイリス…二人は明日、予定を変更して、最初転移陣には入らないでもらえるかな?」
「どうしてよ?最初は一緒に連れて行ってくれる流れだったじゃない?」
不満を顕にするエリス。
「強制的に長にさせられる可能性を、潰しておくため。ですね」
イリスがルーシェの代わりに応えた。
「そういうこと。二人が揃うことで石が発現するなら、入っただけでどちらかが、もしくは一緒に長役にさせられる可能性があります。なってどんな結果になるかわからないから、せめてそれらの確認が取れてから」
「どっちか行っておかないと、話してもらえないとかはないの?」
「その点は大丈夫。シリウスの性格的に、誘導して聞き出すことは難しくないかと。それに、そういう話ならフォルンさん…お手の物ですよね?」
「可愛い娘のため…任せなさい」
自身たっぷりにフォルンは応えた。
「お願いします。その間に二人は、転移陣の他に何かないか、調べてもらっていいかな?」
その言葉に頷いて応えた二人。
大体の話が終わった頃、調理場からドルマの声が響いた。
「晩御飯の用意ができました。席へ着いて下さい」
話はそこで終わり、腕によりをかけた、ドルマ作の晩御飯を堪能するため、一同移動していった。
夕食は本当に豪華な物だった。
鴨肝入りのテリーヌ。南瓜のポタージュ。川魚のムニエル。鴨ロースのステーキ、血とオレンジ、二種のソース。いつもの白パン。デザートはティラミスという、完全なコース料理だった。
あまりにも美味しくて、食べ終わったときには、みんな恍惚な表情をしていた。
食後に改めてお礼が言いたくなり、片付けに勤しむドルマの元へやってきた。
「ドルマさん…本当に美味しかったです!」
「喜んで頂けて何よりです。鴨は私も大好きで、得意な食材なんですよ」
「そうなんですね!納得の味でした!」
「それはそうと…以前お願いしていた物…作れましたか?」
「あ………」
「…忘れてたんですか?」
「す…すすす…すみません!今から作ってきます!」
ドタバタと慌てながら自室へ戻り、幸せな食後から一転、怪しい製薬作業に入るはめになったルーシェだった。
こっそり頼まれていたのもは、魔女の秘薬の代名詞。若返りの秘薬であった。
姿を変える変化の秘薬は、使用するのに制限があり、時間も限られている。
若返りの秘薬は一度の服用量こそ制限があるものの、見た目の方は固定される。
もしこれが世間に売り出されれば、男女共に買い求める者は多いことだろう。
まだ若いルーシェには、そんなに欲しい物なの?という感覚だが、約束は約束。
それにお世話になった(主に食事…餌付けとも言う)ドルマの頼みだ。
ルーシェは少しでも良い物を作ろうと、気合を入れて製薬作業を、一晩中行ったのだった。
ドルマ「やっと…やっと次回私の願い求めていた物が…」
作者「おーい!ドルマさん?今日は宣伝のために来てくれたのでは…?」
ドルマ「はっ!すみません!私とした事が…」
作者「戻ってきたみたいでよかったです。お願いしますね?」
ドルマ「はい。それはそうと…もしかして、私がルーシェさんにお願いしていたこと、忘れてたから、急遽書いた…とかはないですよね?」
作者「ギクッ!な、何のことでしょうか?」
ドルマ「………」
作者「そ!そんな目で見ないで下さい!てかギラッと光って怖い…ヒィーーーーーーーー!」
アル「何かやりあってやがるので、代わりにやっておくぜ!みんないつも読んでくれてありがとな!また、ブックマーク登録や評価ボタン押してくれると、よりあのアホな作者も頑張るってもんだから、そいつもよろしく頼むぜ!そしてまた俺の出番作るように、コメント欄にでも書き込みしてくれや!じゃあな!」
ドルマ「あぁ!私の出番が奪われた!」




