二七話 それぞれの訓練と新たな出会い
昨日は間違った連続投稿のため、投稿なし状態ですみませんでしたm(_ _)m
自身もリハビリとしてトレーニングを始めようかと思ったのだが、二人の組手を見て、手が止まってしまうフォルン。
(あの子…少し旅に出ただけなのに、見違えたわね…)
エリスの動きは元々自分が教えたもの。
以前はあくまで道場での武道というレベルの、直線的な動きだった。
まだまだその感は否めないが、時にフェイントを織り交ぜつつ、間合いをあえてずらしたりと、明らかに動きが。呼吸が。全体的に伸びていた。
(そして…ルーシェさんの方の動きは…)
エリスに合わせて無手のルーシェ。
動きは確かに滑らかである。
間合いの取り方も絶妙。
しかし…どこかぎこちない。
何度目かの衝突の後、フォルンが待ったをかけた。
「ストップ!」
「えぇ!せっかくいいところのにぃ」
文句を垂れるエリス。
「こら!エリス!ちゃんと試合後は礼をなさい」
「…すみません。ありがとうございました」
「ありがとうございました。」
二人は向かい合って礼をした。
「エリス…動きが見違えましたね」
「師匠!本当ですか?ありがとうございます!」
「そんなことで嘘は言いませんよ。そしてルーシェさん。見事な腕前です。しかし…気になったのですが、無手での…格闘術の動きではないですよね?」
「流石本職の方です。僕は素手での格闘術自体は、あまり経験がありません」
「間合いの取り方と体捌きから見て…剣術でしょうか?初手の突きの受け方、あれは鎬で反らし、崩すものかと」
「その一手でそこまでわかりますか…」
「いえいえ。それよりその指導者の方は、余程の優れた方なのですね」
(あぁ…そうかも…。昨日の話から考えると、剣の精霊も、もしかして修行に見せかけないように、僕を鍛えてくれてたのかな…?)
「そうですね!」
そう笑顔で返事をするルーシェだった。
一方その頃、別室にて本の山に囲まれるイリス。
貪欲に叡智を慾る。
魔法とは知識が物を言う。
普段から魔術師としての自力を上げるため、修行の半分は、こうして勉強をする。
何故。
どしうて。
どのようにしてその現象が起こるのか。
その理を識り、自身の魔力を理により変化させること。
詠唱とは。
理を言の葉にて魔力と紡ぐこと。
それを魔法という。
詠唱が短い物は速射性に優れる分、威力が弱い。
長い物はその逆である。
状況に応じた取捨選択が大切だ。
今回の旅は足りないことばかり気付かされた。
至らぬ自分に腹が立つ。
何より彼の力を目の当たりにした。
彼の性格上、仮に同じ様な窮地の際は、また助けてくれるだろう。
そして気にしなくて大丈夫とも言うだろう。
しかし…守られるだけというのは嫌なのだ。
普段丁寧な言葉を使い、適度に姉をイジり、理智的に見える彼女。
しかし内面はかなりの負けず嫌い。
師匠以外の高みを初めて知った。
追い付くには相当の苦労があるだろう。
このままでは…今のままではいられない。
一歩ずつでも確実に。
そしていつかは横に並びたってやる。
その決意の炎が、より彼女を貪欲にさせていった。
その日の夕食時のこと。
「あれ?イリスさんは?」
「あぁ…またあの子は…大丈夫よ。いつものことだから」
やれやれ。仕方ないな〜という体でエリスが書斎室を見る。
「大丈夫ですよ。イリスはやる気が出ると時間を忘れて没頭してしまうんですよ」
と、のほほんと応えるフォルン。
「後でサンドイッチとスープでも用意しますので、私達は先に済ませてましょう」
料理を取り分けながら応えるドルマ。
「イリスさんは凄く努力家なんですね…いやぁ!それにしても今夜も美味しそうだ!いただきま〜す!」
今夜も食いしん坊万歳なルーシェ。
(でも…根を詰めすぎて疲れるといけないから、後で何か差し入れしようかな?…あぁ…この鶏肉美味しい…)
食後自室に戻り、荷物を漁るルーシェ。
「お疲れルーシェ…って、戻るなりどうしたの?」
「シルフィ、今日もご満悦っぽいね。イリスが色々頑張ってるみたいだからさ、何か良い差し入れになるもの用意出来ないかな?って」
「ん〜?ルーシェも色気づいてきたってこと?」
目を輝かせて飛び回るシルフィ。
「ん?イロケヅクって何?」
本気でわからないという顔を見て、思い出したシルフィ。
(そういえば、洞穴にいたとき、男女のあれこれについて話さなきゃって…)
「ルーシェ君。ちょっとそこに座りなさい」
「急に改まってどうしちゃったのさ?」
「いいから座りなさい!今からこのシルフィ先生による、男女に関しての特別講義を始めます!」
「えぇ…いや、差し入れを…」
「えぇい!大人しく言うこと聞きなさい!」
いつになく強引なシルフィ。
そこから三時間を越える特別講義が幕を開けた。
男女の違いについて。
動物。生物としての子孫を残すこととその意味。
その他何処から持ってきたのか、謎の恋愛小説の解説と述懐。
好きになるとは?
また恋愛だけではなく、それに伴う性欲について。
なかなかに濃い保健体育の授業になった。
「………そんなわけで、お互いの気持ちだけでなく、責任が発生する、とても大事なことなんです。わかりましたか?」
「はい…シルフィ先生…」
「よろしい。じゃあこの本貸してあげるから、一からしっかり読みなさい」
さらに宿題まで出来てしまった。
翌朝エリスが部屋に起こしに来たとき、目の下に隈を浮かべたルーシェに遭遇した。
「ちょっ!大丈夫なの?」
「おはようございます…すみません。ちょっと本を読まないといけなくなってしまい…ふわぁ…」
大きな欠伸をするルーシェ。
「本か…イリスみたいなことならないように気を付けてよね?てか今日の特訓大丈夫なの?」
「眠気覚まし飲んで頑張りますよぉ〜…」
「無理はしないでよ?」
そう言いながら、二人で朝食に向かった。
食卓にはすでにみんな揃っていた。
挨拶を済ませて朝食を摂る。
「ルーシェさん…眠そうですが大丈夫ですか?」
「ちょっと本を読んでまして。ですが大丈夫です。それよりイリスさんの方こそ大丈夫ですか?」
「私は徹夜には慣れてますから。それよりお姉ちゃんと組手したと聞いたんですが、今日もするんですか?」
「やりたい!ルーシェ!ね!」
前のめりに、エリスが食い気味に来た。
「ルーシェさん。お願いしてもよろしいでしょうか?」
フォルンさんからも頼まれ、その日も組手をすることになった。
食後、着替えて道場へ向かうと、フォルンとエリスだけでなく、イリスの姿もあった。
「イリスさんもこちらで訓練ですか?」
「たまに訓練はしてたのですが、旅に出て魔法だけじゃだめだってことがよくわかったので、こっちの訓練の比重も増やそうかと思いまして」
「そうなんですね。無理なく頑張りましょう」
みんな揃って準備運動。
そのあとルーシェは霊力トレーニングへ向かった。
フォルンとイリスは道場で基礎トレーニング。
エリスはランニングしながら、素早く属性を切り替える魔力操作訓練の為に、外へ走りに行った。
午前の訓練を終え、昼食を食べにみんなが集まった。
「あれ?エリスさんは?」
「まだ戻ってないんですよ」
「珍しいですね…いつも待ち合わせ時間とかは、早くに来る子なのに…」
「ただいま〜!みんな来て!」
道場の方から、慌てた様なエリスの声がした。
「どうしたんでしょうか?」
みんなで向かうと、子犬を抱えたエリスがいた。
「ちょっ!どうしたのその子?」
「ランニング途中に、路地でグッタリしてるのを見つけて…ドルマ…薬で治せないかな…?」
「その子は…よく見せて下さい………この子は…角?魔獣の子どもでは?…」
(ルーシェ…その子から邪気は感じない。むしろ聖なる気を感じる…多分聖獣よ。助けてあげて)
(シルフィ?聖獣って?)
(あとで教えるから、それより急いで!)
「僕に診せてもらえませんか?」
シルフィに急かされて、慌てて治療をした。
パルコ「新しい動物キャラきたヨ…」
作者「あれ?なんで落ち込むのさ?」
パルコ「キャラが被ったら…ますます出番なくなるヨ…」
作者「出たがりなキャラが多い気が…」
パルコ「出番のときは、いつも美味しい物食べれるから…もっと出たいヨ…」
作者「ここにも食いしん坊万歳が!しかたない…ならここで俺の代わりに宣伝して?美味しい人参あげるから!って…あれ?人参がない?パルコもどこだ?何の書き置きだこれ!」
人参ご馳走様ヨ。
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