二五話 双子の星詠み
今回の投稿分は、前日夕方に書きました!
お節やら年末に向けて、準備が色々と大変なので(^_^;)
なるべくそういうときは、前日に書いて予約投稿出来ればと思います!
優しい笑みを浮かべるフォルンに、ルーシェは尋ねた。
「占いの内容、もっと詳しくお願いできますか?」
「何分かれこれ15年前のこと。いくつか抜けている部分がありましたらすみません」
そう言ってフォルンは目を閉じて、思い出すように詠んだ。
前詩
明かり灯す二星
守護星、災厄により穢れを纏う
二星巡り恒星と相見えん
守護星恒星により浄の雫にて穢れ払わん
二星恒星の転へ流るる
魔 戦 負 暗
幾多の苦難ありとも疑ぐことなし
恒を持ちし雄より加護あらん
二星恒と分かつ事あらば死星に等し。
離るるべからず
中詩
片欠光り意思の導き
その身を持ちて深き闇を切り裂かん
勇々たるその姿。
天翔る秀鳳に至る
片欠万光の片を紡ぐ
万象の詩にて理を示す。
彼光は片欠と共にありて対となる
後詩
千の流れ幾万に分かつ
星海漕ぎ出しときこそ恐れるなかれ
本流伏流いずれ流れしも、太陽の導きあらば終は正からん
見失うときこそ光を求めよ
船のはより他を多とし強きとならん
「たしか産まれた日に、星詠みはこう詠んでいたと思います」
「ありがとうございます。前詩中詩後詩と三種あるみたいですが、どういう違いがあるんですか?」
「前詩は成人までに起こりうることと、それへの対処ですね。守護星とは最初あの子達の両親と思ってたのですが…まさか私のこととは、最初思わなかったんですよ…そして恒星とはルーシェさんのことですね」
「明かり灯す二星とは、両親とも取れますが、素直にあの二人ということですか」
「そうですね。そして中詩は適性に関することが詠まれます。最後の後詩は幅広い未来を見たときに、大雑把にこれをするといい。というものが詠まれます」
「そうなんですね。知らなかった…」
「ルーシェさんも産まれたときに、星詠みを受けてはいないのですか?」
「詠まれてはいますが、旅立つことだけを伝えられました」
「なるほど…何か事情があるのかもしれませんね。通常星詠みはその者の生きる階として詠まれますから、伝えることがほとんどですから」
「そうなると…すぐに聞きに行く方がいいのでしょうか?」
「…ルーシェさんを育てた方は、聡明で優しい方なのでしょう。あえて伝えなかったということは、まだ識るべきではない。来たるべき時、識るべき時が自ずと訪れるからと思います。ルーシェさんを見ていると、そう思わざるを得ません」
そこからまた顔に陰りの出たフォルン。
「私は二人に星詠みを伝えられませんでした…真実を伝えたあの子達がどうなるのか…もし両親の死が。そして私の祖父母の死と呪いが自分達の責任だと思ってしまったらと思うと…」
ルーシェには何も応えられなかった。
まだ応えるには自身に経験も知識も…全てがたりなかったから。
15歳にはまだ仕方のないこと。
しかし感じた苦い味。
どうすることも出来ずに、フォルンとの会話は終わった。
程なくしてドルマが帰宅した様だ。
帰宅の報告に来たドルマが部屋に入り、二人の空気を読んだのか、ルーシェも疲れているだろうと、空き部屋に案内してくれた。
「食事の準備が整いましたらお呼びしますので、暫くここでお休みになってください」
「ありがとうございます」
「ルーシェさんはもう先生から話をお聞きになられたご様子ですね…二人にはまだ内密にするよう、よろしくお願い致します」
「そうですね…心得ました。あ、ドルマさんにお願いがあるんですが」
「どうされました?」
「霊力を扱うためのトレーニングを教えてくれませんか?」
「無意識に使えていたのですから、私が何か教えることは特にないとは思いますが?」
「そんなことはありません。無意識なだけで、どうやって使っているのかわからないんです。このままでは何をどう訓練すればいいのか、皆目検討も付きません」
「…そうですか…そこまで仰るなら…ただし、先に先生からの許可を得てからでお願い致します。この霊力の使い方は、先生の先祖が今に至るまで、繋いできたものなのです。許可なくは教えられません」
「…そうなんですね。でも薬を使うとき、少し教えてくれましたよね?」
悪戯顔でドルマを見るルーシェ。
ドルマは渋い顔をした。
「あのときは驚きのあまり…その…このことは先生にはご内密にお願い致します」
「冗談ですよ。それにわかってます」
「…それでは後程先生に聞いておきます。失礼致します」
ドルマは退室していった。
暫く暇が出来たが、考えがまとまらずに堂々巡りする。
瞑想してもいいのだが、悩むことに疲れた。
止まっているから余計に駄目なのだと、荷物整理を始める。
あれこれしていると眠気が来た。
よくよく考えると、暫くまともに睡眠がとれてなかったことを思い出した。
睡魔に任せて食事まで仮眠をとることにした。
部屋をノックする音。
「ん…?はい。どうされました?」
「ルーシェさ〜ん!ご飯出来ましたよ〜!」
「ありがとうございます。行きますね」
部屋を出ると室内着に着替え、その上からエプロンをしたイリスがいた。
「今日はご馳走ですよ!ドルマさんだけじゃなく、お姉ちゃんと私も協力して作ったご馳走ですよ!」
「それは楽しみですね」
「案内しますから早く行きましょう!」
イリスに手を引かれていった。
部屋に近付くにつれ、どんどん良い匂いが濃くなっていく。
「美味しそうな匂い…お腹が空いてきます」
「私もお腹空きました!このへやです!どうぞ!」
通された部屋。
テーブルの上には所狭しと料理が並んでいる。
サラダ。前菜の盛り合わせ。色んな具材が煮込まれたスープ。魚料理に肉料理。柔らかそうなパン。
「これは…すごいですね!」
「ルーシェはここに座ってね」
エリスが椅子を引いてくれた。
「ありがとうございます」
イリスがフォルンを支えながら入室した。
「イリスありがとう。ん〜!ドルマ。これはまた凄く力を入れたわね〜」
「二人も手伝ってくれましたので。それに、折角の快気祝いでございます。張り切りますとも」
こうして食事の席は賑やかに開演されることになった。
「これはまた…王都とは違う料理ですね!美味しいです!」
「クスクス…ルーシェさん、いっぱい食べてくださいね!」
「こっちの料理も美味しいわよ」
「頂きます!」
エリスもイリスも、どちらも料理を盛り付けてくれた。
「あらあら…二人ともルーシェさんに優しいのねぇ〜。色気づいちゃっても〜」
「そういうわけじゃないです!」
「そんなんじゃないわよ!」
と、二人が赤面しつつ返す。
ルーシェは二人をよくわからないといった様子のまま見たあと、盛り付けられた料理を口に運び、食事を楽しんでいた。
「ん〜…ルーシェさんの方はまだって感じね〜。二人とも頑張りなさいよ?」
と、フォルンが言うと、二人とも顔を明後日の方へ向けたのだった。
食後のお茶を楽しんでいるとき、フォルンの口が開いた。
「ルーシェさん。霊力に関して勉強したいということですが」
「はい。無意識には使えてるみたいですが、自在には操れなくて…」
「なるほど…そういうことなら…暫くここで特訓してみませんか?」
「特訓ですか?」
「そうです。下手に悩むよりその方が早く確実ですから。それと…こちらからお願いしたいことがあります」
「お願いですか?」
「私はまだ呪いから解放されたばかりです。暫くリハビリが必要です。その間、星の片欠を守っていただけませんか?」
(星の片欠…?あぁ…そういうことか)
「そういうことでしたら。わかりました。よろしくお願い致します」
「星の片欠って何のこと?」
「師匠教えて下さい。もし私達で出来る事でしたら、私達も手伝います!」
「あらあら…頼もしいわね!でも、今の二人にはまだちょっと難しいかなぁ。またそのうちね?」
と、二人をはぐらかしたのだ。
「今日はお疲れのことと思います。明日の朝から特訓しましょう」
「わかりました!よろしくお願いします!」
ルーシェは暫くここで厄介になることになった。
ネオン「読者の皆様、いつもありがとうございます!そしてブックマークや評価してくださる方々、ありがとうございます!そしてもし私や私達パーティの出番を増やして欲しいと思って下さる方がいらっしゃいましたら、感想のところへ書き込みお願い致します!」
作者「ネオンさん?一体何を?」
ネオン「代わりに仕事してあげあんだから、これくらいいいでしょ?ケチ臭いわね〜」
作者「ぐぬぬ…相変わらずちゃっかりしてやがる…」




