二四話 フォルンの過去
おはようございます!
昨日の投稿分も、皆様に読んで頂き、感謝感謝です!
新パートもお楽しみ下さい!
姉妹とドルマを残し、部屋を出たルーシェは今後のことを考えていた。
新しく霊力というものを知った。
使えるなら何かあったときのために、しっかりと練習をしておきたい。
しかし偶発的に霊力を使用しているだけなので、どの様に練習すればいいのか、皆目検討もつかない。
それとこの先どうするかだ。まだ王都へ来て日は浅い。
王都周辺をもっと見て回るべきか、それとも駆け足で世界を回るべきか。
こういうとき、相棒のシルフィに聞いても、好きにしろと言われるだけなので、あえて聞かなかった。
悩んでいるルーシェを見たシルフィは、
「退屈だから外見て回るね〜」と、あえて一人にしてくれた。
広い道場の片隅で瞑想を始めた。
自問自答するのにはこれが一番!と、剣の精霊に教えてもらっていたから試している。
暫くするとイリスが部屋に入ってきた。
「ここに居たんですね」
「師匠さんのところへついてなくていいんですか?」
「いえ。師匠が目覚めまして、少し話したのですが、ルーシェさんを呼んできてほしいと頼まれまして」
「それは何より!わかりました」
「失礼します」
「どうぞ〜」
多少血色がよくなった師匠と、それを支えるエリスがいた。
「あれ?ドルマさんは何処かへ?」
「今夜は快気祝いにご馳走を作ると、買い物へ向かいました」
「なるほど。だいぶ血色が良くなってきましたね。何処か痛いとかないですか?」
「大丈夫です。この度はありがとうございます。遅くなりましたが、私はフォルンと申します。ルーシェさん?でしたよね?よろしくお願い致します」
「ご丁寧にどうも。そして大丈夫そうでなによりです。こちらこそよろしくお願い致します」
フォルンはどこか少しおっとりとした喋り方が特徴的だった。
「エリス。イリス。ルーシェさんと二人で話したいので、席を外して」
「支えなくて大丈夫なの?」
「何かあったら呼びますし、ルーシェさんなら対応してくれますよ。ね?」
「「わかりました」」
渋々といった表情で、二人は部屋をあとにした。
「…改めましてルーシェさん。この度は二人のこと。私のこと。本当にありがとうございます。そしてごめんなさい…」
「いやそんな!頭を上げてください!」
「いえ…私は二人の親代わりです…二人が貴方を騙して、危険な目に合わせてしまったこと…お詫びしても…頭を下げても足りないことはわかってます…本当に申し訳なく…」
(あぁ…話しちゃったのか…)
「もう過ぎたことです。それに話も聞いて納得していることなので、謝らないで下さい」
「すみません…」
(うーん…無限ループになりそうな気がする…ならば)
「そういえば、ドルマさんから話を聞きました。ドルマさんが呪いを受けた襲撃、目的は二人だったと」
「…そうなんです…ドルマさんからはどこまで聞きましたか?」
「いえ。ほとんど聞いてません。フォルンさんから聞くように言われまして」
そこからフォルンは少し思案をしてから、ポツリポツリと語りだした。
「…あの子達の両親は、私の親友でした。所謂幼馴染というものですね…」
子供の頃。
私の両親は商人の護衛中、盗賊に襲われて亡くなった。
そこから祖父母に引き取られる形で、ここカロンへ引っ越してきた。
幼いながらに復讐の炎が灯っていた私。
暗く病んでいた。
私を闇から救ってくれたのは、近所に住む二人の子供だった。
引っ越してから暫くした日、部屋から外を眺めていた。
庭にボールが飛び込んで来た。
暫くすると、『すみませ〜ん!』と声がしたが、私は無視をした。
ボールを探しに入る一組の男女。
一生懸命に探すが、なかなか見つからない。
そんなとき、ふと目があった。
『あれ?な〜んだ!誰かいてるじゃんか!』
『すみません。声をかけたのに、誰も出て来なかったから、勝手にはいっちゃいました』
何も答えず無言な私。
『ボールが入ってきたと思うけど、どこか知らない?』
『……』話すのも長居されるのも鬱陶しいと、指で指し示す。
『あっち?』男の子の方は繁みの方へと走って行った。
『あったあった!これでまた遊べるな〜!失くすとまた怒られるところだったよ!へへっ』と、屈託ない笑みを浮かべていた。
『ありがとうございます』と、頭を下げる女の子。
そのまま帰ってこれで終わりのはず…
そうはならなかった。
『俺はイワンって言うんだ』
『私はリリス。ねぇ?あなたは?』
『…フォルン』
『良い名前ね!よかったら一緒にあなたも遊ぼよ?』
『…ィャ…わたしは…』と、言い切る前に、私の手を掴み、強引に引っ張っていった。
この家に来てから初めて外へ出た日。
それから毎日の様に二人はやってきて、私を強引に連れ出してくれた。
気付けば私に笑顔が戻っていたのだ。
二人と仲良くなって暫くしたとき、リリスからヒミツを教えてあげると言われた。
『私の家系は特殊な生まれなんだって。だから体の一部に宝石があるのよ』
いつもしてる手袋を外して、手の甲を見せてくれた。
『何とかのまつえい?って言ってたけど、難しくて忘れちゃった。親友のイワンとフォルン、そして私だけのヒミツね!』
『うん!わかった!でも凄く綺麗ね!』
三日月型で、蒼く輝く宝石だった。その優しい輝きは、リリスをまさに表しているかのようだったのを、今でもはっきりと覚えている。
そして月日は流れ、イワンとリリスが結婚、そして出産。
リリスの出産には私も産婦として入っていた。
元気な双子が産まれた。
あの日は本当に幸せな日だった。
そこから数日後、魔の日がやってくるまでは…
リリスの実家に、謎の集団が襲ってきたと、連携があった。
二人は私に子ども達の面倒を頼み、実家へと向かった。
向かった先で、イワンは何者かに襲われ死亡。
リリスの姿はどこにもなかったという。
幸い祖父母の道場のおかげで、金銭に多少なりとも余裕があったので、リリスの行方を探したのですが見つからず、途方に暮れていた。
そんなある日、カロンが襲撃された。
魔族が魔獣を操り、襲撃してきたのです。
そして…そこで年老いた祖父母では勝てず、足止めをしている間に、ドルマが二人を連れて逃げた。
異変に気付き、道場へ向かう途中、魔族に襲われているドルマを見付け、不意打ちのおかげで、撃退することには成功した。が、死角から来た魔獣から、呪いを受けてしまった。
あの日、何とか二人は守れた。
両親代わりの祖父母は殺されていた。
自身の無力を呪った。
そして何とかこの子達は私が守り育てるんだと誓った。
「…何の末裔だったのか、それは結局わかりません。しかし、二人が魔族に襲われた理由があるとすれば、そこしか思い当たらないのです」
ポツリポツリと話をしたフォルンは、悲痛な表情だった。
「私は呪いを受けた影響を、何とかドルマの薬で遅らせ、そして二人を強く育てることにしました。呪いでいつ死ぬかわからない…なら自分達で襲い掛かる魔の手から抗えるようにと…」
「なるほど…しかし…そんな話を僕が聞いてもよかったんでしょうか?」
「二人が産まれた日、占ったのです。不思議な少年がやがて救いの為に訪れると」
さっきまでと違って、優しい表情になるフォルン。
「私は救われました。そして二人も。それに…貴方の目を見て、話さないといけないと…そう思えたのです…あ、そう言えばこの占いを聞いたイワンが、娘達を知らん男に取られる!どこのどいつだ!って、騒いでたなぁ〜」
当時を思い出し、クスクスと笑っていた。
ネオン「この前ようやく名前紹介されたと思ったのに…もう出番なくなったじゃないのよ!」
作者「すまんね。でも昔読んだ漫画のキャラが好きで、そこからとった良い名前なんだよ?」
ネオン「そうなの…?もしかしてだけど、序盤に登場したときは、もしかしてまだ名前を決めてなかったから、ずっととんがりとんがりって呼んでたとかは…ないわよね?」
作者「……さぁ次回分の作成頑張らなきゃ!さよ〜なら〜」
ネオン「待ちなさい!って、もういないし…何て逃げ足の早さ…あれ?この紙は何かしら?」
メモ…いつも読んで頂きありがとうございます。
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ネオン「…わ…私の仕事なのか?」




