ニニ話 お別れと爆走
最初にまずは謝罪から。
前々回の更新時、投稿後に細かく何度も修正かけてしまい、申し訳ないです。
あと、今朝は山にある道の駅に行ってました…雪が…そして寒い…
皆様体調にはほんまに気を付けて下さいませ!
消えゆくモンスターを見て、アルは驚いていた。
「お前さん…何しやがった…?」
「たまたま手持ちに強力な聖水がありましたので」
苦笑いで誤魔化すルーシェ。
(ちょっと!聖水なんて持ってなかったでしょ?)
(来たときにはね)
(じゃあどうやったのよ?)
(え?むしろしたのはシルフィじゃないの?下にいたときに、持ってた魔石が変異して、聖妖石になったから、それを魔水に漬けてただけだよ?)
シルフィの涙によって、魔石が変異していたのだ。
妖精の涙にも感情によって質が大きく変わる。
痛みや苦しみなどから出たものは呪怨涙と呼ばれ、負の力へと変貌、増幅しやすくなる。
欠伸など、特に感情のない場合は、当たったものの性質をそのまま増幅する妖涙。
今回の涙は嬉し泣きだったため聖妖涙。モノに破邪の力を付与され、低質の魔石ですら強力な破邪の力を持つ、聖妖石に変質させてしまったのだ。
魔水にそれを漬けると、魔水の方が破邪の力の影響を受けて、蠱毒ですら消し去るほどの強力な聖水へと変貌していたのだ。
(わっ私は何もしらないわよ!)
(あ!待ってよシルフィ!)
泣いたことで幸いの結果となったのだが、恥ずかしくて飛んで先へいってしまったシルフィ。
アルと一緒に姉妹と合流した。
「しっかし…お前さんが危ねえと思って助けに来たのに、まさか助けられちまうたぁなぁ〜。いや〜情けねぇぜまったくよ〜」
「いえいえ。わざわざこんなところまで…ご心配おかけしてすみませんでした。そしてありがとうございます」
丁寧に頭を下げるルーシェ。
「私達のせいで他のパーティにまで迷惑をかけてすみません」
「ごめんなさい」
姉妹もアルに頭を下げた。
「いや、事情は聞いたし、当の本人のルーシェが許してるってんだ。俺からは何も言えねぇよ。こっちのは完全なお節介だったわけだしな」
照れた様子で後頭部をかきながら、二人にも笑顔で言った。
「ただし…二度と同じマネすんなよ?」
と、釘を刺すことは忘れなく。
そしてアルはルーシェの肩を掴み引き寄せた。
「しっかし…美人な二人だなぁ…お前さんが騙されたのも頷けるぜ。タクよ〜」
「?何のことでしょうか?」
「隠すこたぁねぇのによ〜。立派にお前さんも男ってこったねぇ〜」
ルーシェは最後まで??と疑問顔のまま、アルからはニタニタした視線を送られた。
暫く四人で進んだところ、物陰からこちらに声をかけてくる人がいた。
「あら?アル生きてたのね〜。やっぱアンタはタフね」
呆れを含ませつつ、笑顔で現れたのはとんがりのお姉さんだ。
「コラてめぇ!俺を置いて逃げやがって!」
「あんなの相手にしてらんないわよ。命あっての物種でしょ?それに…足手まといになるならさっさと逃げる!アルのこと信頼してるからでしょ?」
「たく…こんなときばかり調子の良いこと言いやがってよぉ」
「ところで…君は無事だったのねルーシェ君」
「はい。この通り。救助に来てくれたそうで、ありがとうございます…えーと…」
「あぁ、あのときはバタバタしてたから、私は名乗ってなかったわね。ネオンよ。改めてよろしくね!」
目深に被っていた帽子を取り、にこやかな笑顔で握手を求めてきた。
歳は、二十歳前後といったところ。活発そうな顔立ちに、どこかイタズラっぽさを隠せない目をしていた。
「よろしくお願いします」
ルーシェは握手を返した。
「てか脚の遅いネオンはよく逃げられたもんだな?」
「あぁ、小部屋に隠れて隠蔽魔法してたからね」
「んな便利なこと出来んなら、俺のことも助けてくれたってよかっただろ?」
「お生憎様、場所が離れてたし、急にそんなのかけたところで、怪しくしか見えないからバレるわよ。隠れたところを攻撃される方が死にやすいわよ?」
「クソ…言葉じゃ勝てねぇ…」
バツが悪いのか、足早に出口へ進むアルを見て、ネオンは苦笑しながら追いかけていった。
帰り道に関しては、ルーシェの爆竹ホイホイのおかげで、どうも一掃されていた様で、遭遇することはなかった。
出口では馬と戯れるパルコと、座禅をしている男がいた。
「お前らも案の定無事だったのな」
アルが声をかける。
「私は早いから大丈夫ヨ〜」
「…問題ない…」
「まぁお前らの速さならそうだよな…クソ…おとりにしやがってよぉ…」
「遅いアルが悪いヨ〜」
「…適材適所…」
「あぁ…もぉいい!それよりルーシェ達も無事だ。引き上げんぞ」
「道中でルーシェの件とか説明してね」
とんがり改めネオンさんに言われるアル。
「あぁ。わかってる」
「ん?ルーシェ達は一緒に戻らないのかヨ?」
「あぁ。まだやることがあるらしいからな。あいつらのパーティで起こったことだし、納得もしてるみたいだからな、これ以上こっちが首を突っ込むことじゃあねぇよ」
「そもそもこんなタダ働きになること、元々首を突っ込むことじゃないわよアル?」
「ウルへーウルへー!さっさと行くぞお前ら!ルーシェもまた王都でな!」
「はい。ありがとうございます。また!」
アルパーティを見送ったルーシェ達。
「さて…では僕らも行きましょうか」
「えぇ。時間もないことですし、急ぎましょうか」
「急ぐのは良いとして…馬車までアルさんたちにお願いしちゃって、足がないじゃない…どうするのよ?」
「大丈夫ですよ。ちょっと怖いかもしれませんが、一番早く行ける方法で行きましょう!」
準備は出来た…が、本当にこれでいいのか?そして…恥ずかしい…と、姉妹が文句を口にしようとした。
恥ずかしいはずだ。
エリスは背負われて、イリスはお姫様抱っこの体勢である。
その他荷物も紐で縛り、固定されている。
「さて…準備万端ですね。ではいきましょうか!」
(シルフィ…力を貸してね!)
(オッケ〜)
ルーシェから花の蜜を集めた小瓶を貰い、恥ずかしさから一転、機嫌を上方修正したシルフィはノリノリだった。
「い…行くって…これは流石に…恥ずかし…イ?イヤーーーーーーーっ!」
「キュー………」
全てを背負い、抱え持ち、ルーシェが爆速を使ったのだ。
自身も身体強化をにより素早く動けるエリスにとっても、未知の域の速度。
イリスの方は速度に耐えられるはずもなく、かかるGで即気絶したのだ。
「下手に暴れないで下さいね?エリスさん?危ないですから」
「イヤーーーーーっ!と…止めてぇーーーーーーー!」
叫びながら必死にしがみつくエリスだった。
向かったのは焔の洞穴から山脈沿いに進んだところにある街。
国境沿いにあるこの街は、貿易の拠点ともなり、また戦時中は防衛の最前線にもなるため、辺境にあるのに栄えている。
王都同様、流石に街中までこのまま突っ込むわけにはいかないだろうと、ルーシェは街近くの森で止まった。
イリスの方は気絶したまままだ目覚めない。
エリスはふらつきながら、森の奥へ口を押さえながら消えていった。
(うーん…二人とも大丈夫かな?)
(まぁ生きてるみたいだし…大丈夫じゃない?)
待ってる間暇だったので、シルフィはいつもの花を探しに。
ルーシェは荷物整理をしていた。
「ん……あれ?ここはどこですか…?」
「おはようございますイリスさん。カロン手前の森の中ですよ」
「え…?あれ?何でカロンに?」
「あぁと…僕が抱えて運んだんですが、移動を始めてすぐに気絶してしまってたので…」
「え………ん?あっ!」
思い出したのか、青い顔で自分の体を触って確かめるイリス。
「あぁ…酷い目にあった…」
白い顔になったエリスが戻ってきた。
「おかえりなさいエリスさん」
「あんた…あとで覚えておきなさいよ…」
いつもなら即殴るエリスも、流石に気持ち悪さで睨みつけるのが限界だった。
「さて…お二人も大丈夫そうですし、早速二人の師匠さんのところへ向かいましょうか」
「あ、ルーシェさん。ここの街は入るのに税がかかりますよ?」
「そうなんですか?」
「私達が原因なので、それくらいはお出しますからね?」
「あぁ…たぶん必要ないですよ?」
「??どういうことよ?」
「まぁ行けばわかりますよ」
そう言って三人は街の検問所へ入る。
「こちらへどうぞ!あ!エリスさん!イリスさん!おかえりなさい!」
門兵が二人に挨拶をする。
「ただいま!師匠は?」
「まだ生きてますよ!それより薬は?」
「素材は取ってきたわ」
「なら早く行ってあげてください!」
「ん。すぐ行くわ」
二人はここの街出身のため、入るのに税金がかからないらしい。
「お連れ様は…?ここの出身ではないですね」
「はい。あ、これで通れますか?」
王様からもらったメダルを見せる。
「こちらは…失礼致しました!どうぞお通り下さいませ!」
必要以上にピシッとした敬礼をされてしまった。
「ありがとうございます」
「何を見せたんですか?」
「あぁ…王様からこのメダルを頂いたので、使ってみまし
た」
「……何でそんなもの持ってるのよ?」
「盗品…ではないですよね…?」
「違いますよ!ちょっとありまして、下賜させたものです。内容は秘密ですが」
「ふーん…まぁ怪しいけど、それより今は師匠よ!師匠!急ぐわよ!」
そう言って走り出すエリス。
「あ!待ってよお姉ちゃん!ルーシェさん行きましょう」
慌てて追いかけるイリス。その後をさらに追いかけるルーシェだった。
街の奥、山に面した高いところに、師匠の家はあった。
「師匠!帰ったわよ!」
「戻りました師匠!」
「お邪魔します」
入ったのは道場の玄関。かなりな広さだ。
「ちょっと!もう少し静かになさい」
出迎えてくれたのは、年配の小柄な女性。
「ドルばぁちゃん!ただいま!」
「ただいま戻りました」
「二人ともおかえり。でも先生は寝てるんだよ?静かになさい」
「「ごめんなさい」」
「わかればいいのよ。そちらの方は?」
「ルーシェさんです。今回のことで色々お世話になりまして」
「ルーシェさんですね。二人が世話になったようで…ありがとうございます。私はドルマと言います。お見知りおきを」
丁寧な頭を下げる。
「ご丁寧にありがとうございます。ルーシェといいます。よろしくお願いいたします」
「ドルばぁちゃん!それより早くこれを!」
「そんなに慌てなさんな。先に素材を見せておくれ…」
「こちらです」
「ふむふむ…なるほど…これなら大丈夫だよ。すぐにかかろうかね」
「薬を作るんですよね?手伝います」
「ルーシェさん。お客様なんですが、ゆっくり休んで下さいな?」
「いえ。勉強になることもあるので、是非とも」
「そうかい?ならお願いしようかね。二人は荷解きして、先生のところへ行っておあげ」
「「はい!わかりました!」」
「それじゃあルーシェさん。お願いしますね」
「はい!よろしくお願いします」
ドルマに促され、奥へと案内された。
作者「クソぉ…前回の茶番、アルにちょろいなって思ってるようにしたら…まさか作者がちょろいなってフリガナになってしまった…」
アル「バチが当たったたんだよ!」
作者「クソぉ…そんなこというなら、暫くアルの出番はなしにしてやる!」
アル「お…横暴じゃねぇか!」
作者「フハハハハハハァ!これぞ権力というもんだ!」
はい。茶番はどこへ向いたいんでしょうか…作者にもわかりません。
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