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森育ちの天然ドルイド  作者: 食欲のアキ
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二一話 謝罪と涙

 昨日の更新がいつもより遅れてしまい、申し訳ないです。

 その分今朝は早くに頑張りました!

 卵を破壊するために、ルーシェはまた魔水と魔石の準備をしていた。

(やっぱり魔水は便利だね)

(そうね。でも…天然魔獣ホイホイになるから、注意が必要なのよね〜)

 

 エリスとイリスは師匠を救うため、サラマンダーの角と肝臓。そして龍石を取り出した。

 サラマンダーは竜種の亜種にあたる。

 竜種は亜種であったとしても強く、弱いモノでも最低ランクがBから。

 今回のサラマンダーは通常より個体が大きく、巨獣化しかけていたようだ。

 そのため力は強く、より頑強な体を手に入れていた。その分動きがやや緩慢になっていた。

 そのおかげでエリスはあれだけ回避し続けられた。

 運があるのかないのか…いや、生き延びたのだから、運はあるはず。

 そう思いながら解体を進める。

 竜種は様々な分野の素材としても一級品のため、使える部分が多く、丁寧に解体していった。


 解体が終わりルーシェのところへ。ルーシェはまた魔水を採取していたところだった。

「こっちは終わったわ」

「お疲れ様です。こちらも先程準備が終わりました」

「準備って?というか、全然卵の処理してないじゃない」

「お二人の解体が終わるのを待ってたんですよ」

「しょうがないわねぇ。全部砕いたらいいのよね?」

「あ、そういう意味ではないですよ」

「?どういうことでしょうか?」

 エリスだけでなくイリスも首を傾げた。

「先程サラマンダーを仕留めた容量ですね。まぁ見てて下さい」

 卵がある範囲を覆うように瓶が設置されているので、囲う範囲がサラマンダーのときよりも幾分が広い。

 そしてどうも小瓶の個数と配置が違うようだ。

 小瓶を要点としながら魔法陣が形成…発動…

 ドーム状に結界を張り、その中を凄まじい白雷が走り回る。

 音にビックリした姉妹は目と耳を瞬間的に塞いだ。

 音が消え、恐る恐る目を開けると、全ての卵が砕け散っていた。

「ビ…ビックリしたぁ…」

「サラマンダーを倒したときもすごかったですが…これはどうやって…?」

「ドルイドの魔法です。触媒を用意して、上位の妖精や精霊を呼び出して、力を借りるんですよ。触媒の数や種類、配置なんかで図形や意味を変えて、範囲や威力を決めたり、属性を変えたり出来るそうです」

「ド…ドルイドって凄いんですね…でも…そうですって…?」

「いやぁ…お恥ずかしながら、自分がドルイドって知ったのはつい最近でして。ドルイドの資料がいくつかギルドにあったのを見て、それに書いてたのを、ぶっつけ本番で試してみました。上級のドルイドなら使えるってことでしたが、成功してよかったですね!」

「「………………はあっ!?」」

 姉妹の息のあった声が響いた。

「てことは何?もしかしたら失敗してたかもってこと?」

 エリスがルーシェの襟を掴む。

「あー…まぁその可能性も…なくもなくもなくもなくも…ないかと…」

「ふ…ざけんなぁっ!」

「ゲフッ!」

 綺麗なフックがルーシェの腹に突き刺さり、危うくキラキラしたものが飛び出るところだった。

「お…お姉ちゃん!成功したんだから!それに…恩人なんだよ!」

 2発目を打ち込もうとする姉を慌てて止めるイリスのお陰で、ボスは倒したのに味方にトドメを刺される事態は免れた。

「い…一応…です…が…ゴホッ…その…他にも…ゲフ…いくつか…考えて…は…いた…ので…グッ…大丈夫だった…はずです…」

 咳き込みながら何とか言い切り、腹を擦りうずくまったのだった。


 暫く休息を取り、ここを出る準備をする三人。

「…まだ痛い気がします…」

「わ…悪かったわよ…ごめん…」

「相変わらず手が出るの早いんですよお姉ちゃんは」

 腹を擦るルーシェと、バツの悪いエリス。それを窘めるイリスの姿。

「ひ…膝じゃないだけマシよ!」と、フォローにもならないことを自分で言うエリス。それを見て頭を抱えるイリス。その姿を見たルーシェは笑いながら、

「確かに…膝蹴りは勘弁ですね…」と呟いた。

 笑うとお腹に響く…


「……ねぇイリス」

 呼ばれ、姉から目配せを受けたイリスは何事か悟り、二人して意を決した。

「ルーシェごめん!」

「ルーシェさんごめんなさい!」

 二人が一緒に謝罪の言葉を口にした。

 その二人を真顔で見つめるルーシェ。

 その視線を受け、二人は順番にルーシェへ今回のことを話し出した。

 師匠への薬は本当のことだった。

 ただ、今回の依頼は本来最低でも銀ボード。場合によっては金ボードに載せるべき依頼内容で、命の危険がかなり高かった。

 二人の両親は幼い頃に亡くなっていた。

 そこで近所に住む親の親友だった師匠が二人を引き取り、育ててくれたのだとか。

 その人が病気になり倒れた。

 何もしなかったら確実に死んでしまう…それがわかって、いてもたってもいられない二人はすぐに動いた。

 持てる私財を投げ売り。それこそ両親が二人に残してくれた家と土地すら手放して…

 それでも依頼を出すだけのお金には届かなかった。

 そこで考えたのが、自身による入手。しかし二人だけではそれは到底不可能だった。

 最低でも自分達と同等なら数人。

 もしくはそれ以上の実力がある人を仲間に。

 しかしそれは通常高位の冒険者なので、普通には雇えない。

 だから何かの理由で実力者なのに、新しく冒険者になった知識の少ない人。そんな奇跡的な人がいれば…と、一縷の望みを抱き、ギルドでは最初しおらしい態度を取りつつ、募集をしていた。


 ギルドへの依頼も別内容で出してあり、ルーシェには今回討伐において、ギルドから正当な評価がでないことなど、全部話したのだ。

「本当にごめん…ギルドに突き出されても…当然のことをしたわ…ただ…せめて投獄されるにしても、先に師匠の命を助けさせて…そうしたら…煮るなり焼くなり好きにしていいから…」

「私も…ごめんなさい…でも師匠だけは…」

(ね?悪い人じゃなかっただろ?)

(んー…何の事かしら?)

 念話で話かけたが、シルフィからは惚けられた。

「ん………まぁ大体知ってましたし、大丈夫ですよ?」

「「え…?それは…?」」

「いえ…実は野宿したとき、二人の会話も寝たふりしてたから聞こえていたので…すみません」

「……何で知ってたのに逃げなかったのよ?途中で怒って引き返すことだって簡単でしょ?」

「んー…二人は悪人ではなさそうだったのと…困ってるのはほっとけなかったので…それに…僕も親はいないんですよ。たまたま拾ってもらって、そのお陰でこうして生きてるんです。もし…そのみんなが死にそうなったら、同じ立場ならするんだろうなって思うので」


 何故ルーシェが二人を助けようとしたのかがわかり、思わず涙が溢れ落ちるシルフィ。

 シルフィの涙がルーシェの手に一滴溢れた。

 ルーシェに見せるのは恥ずかしいと、気付かれないようにすっと飛び去ったのだ。

(ゔぅ………いい子に育って本当によかったよぉ………)


「なので、僕は二人を罪に問う気はないですよ」

 いつもの笑顔で応えるルーシェ。

「でも…騙していた事には違いないんです…このままでは…それにお世話にもなりっぱなしで…」

「そうだわ…私達がしたことは…簡単には許されないことよ…」

 納得出来ないのは二人の方だった。

「んー…ひとまず保留にしませんか?それに、早く師匠さんのところに持っていかないといけないんですよね?」

 というルーシェの提案により、この場からの脱出に向かうルーシェだった。

(ん…?あれ?握ってた魔石が…?何で?とりあえず…これは魔水に漬けておこう)


 三人が上層へと戻った。

 何やら激しい音が鳴り響いていた。

「な…何の音よ?」

「モンスター同士の潰し合いにしては…変ですね…」

「そうですね…数が少ないのに…音が大きい…これは?」

 遠くから何かが走ってくる音。そして何かの声が聞こえる。

「嫌だぁーーーーーーっ!し、死にたくねぇーーーーーーーっ!」

 決死逃走劇を続けていたアルだった。

 先に走り出したアルパーティの他三人。当然パルコは早いのでさっさと脱出した。

 その次に軽装の男も身軽なため、途中で撒いて逃げ仰せた。

 とんがりのお姉さんは小部屋に入り得意の魔法で入口に隠蔽魔法で道を塞ぎやり過ごした。

 そして最後に逃げ出したアルは、元々重装備のため遅い。

 脱ぎ捨てる暇もなく、何とか走り続け、ときに物陰に隠れ、盾と剣で防ぎつつ、勝っても負けてもいけないモノを相手取ってきた。

 一流の彼でなければ、確実に死んでいたことだろう。

「ア…アルさん?何でここに?…とりあえず助けなきゃ!」

 離れたところから視認した三人は、アルを追う異形の姿にビックリした。

「あ…あれは何でしょうか…?」

「醜悪過ぎるわ…」

「それに…呪いの力を感じます…」

(あれは蠱毒ね…)

(蠱毒?シルフィそれは何?)

(呪いの一種よ。普通に倒してはダメ。勝っても負けても取り込まれるわよ…浄化するものなんてないから…逃げるしかないわね…)

(そういうことなら…)


 ルーシェがアルと蠱毒の方へと走り出した。

「アルさん、こんなところで奇遇ですね」

「ルーシェ!生きてやがったか!コノヤロウ!心配したんだぞ!」

「それより…先に後のアレを何とかしますね!」

「お…おい!アレに攻撃すんな!っておいっ!」

 アルの静止も聞かず、振り返り、異形のモノへと、水筒の水をぶっかけた。

 とたんに動きが鈍り、そいつは溶け出し消えてなくなったのだった。

アル「た…助かった…」

作者「ナイスランです!」

アル「何でこんな目に…」

作者「何言ってるんですか!今回の話では、あなたは縦軸の男なんですよ!」

アル「ん…?そうなのか?何かカッコいいなそれ」

作者(しめしめ…ちょろいな)「でしょ!」

一同「うわぁ…ひでぇ…」

 はい!洞穴辺は次回で終わりです!まだまだ未熟者ですが、楽しんで頂ける作品を作りたいと思ってます!

 皆様の評価とブックマークが、とても応援になりますので、是非ともよろしくお願いします!_(._.)_

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