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森育ちの天然ドルイド  作者: 食欲のアキ
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十六話 救援準備と洞穴の洗練

さぁまた今週も始まりました!

頑張りましょう!

 焔の洞穴。

 推奨冒険者ランク銀。

 指定危険区域とされているため、通常は許可なく入ることは禁止されている。

 危険過ぎるため、通常の危険区と違い、門番すら派兵することが出来ない。

 いや、入る人もいないので、その必要もない場所。と言ったほうが正しいのかもしれない。


 人ならざるモノの棲家としてはむしろ都合が良く、かなり特殊な生態系を作り出している。


 入口付近から上層部にかけては、ファイアバット。レッドスライムなどの下級火属性。

 ストーンリザードや岩ミミズなど、下級地属性のモンスターがひしめいている。

 

 中層部からは上層と同じ属性の魔獣が確認されている。

 中級レベルのゴーレムや混成種などが出てくる。

 通路も細く入り組んだ地形が増え、挟み撃ちの危険が高く、熔岩地帯でもあるため、天然のトラップが多い。

 それらにより、上層に比べると難易度が跳ね上がる。


 下層部以降も中層の上位難易度であることが予想される。下層部入口から、火山性の毒ガスが発生していたため、探索はここにて断念した。


「これが過去の冒険者が残した報告書から、一部抜粋したもんだ」と、ギルドの待合室でパーティに話した。

「かなり危険なところだって知ってたし、うちらのパーティじゃ得意な分野じゃないから、今まで行かなかったところよね」と、とんがりのお姉さん。

「かなり暑そうヨ…」と、引きつった顔をしている。

 細身の男性はいつも通りの無言で、視線だけは鋭く資料を見る。

「ちなみに…行ったのは単独で?」

「いや、臨時パーティ登録してあった。しかし…どうも受けた依頼がな…」

「どうしたのヨ?」

「依頼自体は平凡で、ゴブリン討伐ってなってやがるんだ」

「………ヤバそうね」と、下を向き顎に手を当てるとんがり姉さん。

「イワユル…新人狩りかヨ?」とパルコがイライラしつつ呟く。

「可能性は高い…が、ただの新人狩りなら、わざわざ焔の洞穴なんて危険地帯へ向かうののも、変な話なんだ」

「そこへ向かったって確証はあるの?」

「聞き込みした結果、若い二人組の女とルーシェが話してるのを、聞いた奴がいた。その二人組はかなりの量の耐火薬やらを買い込んでたっことだ。一応貸馬車んところも調べたら、期間は往復分の日数で考えれば、妥当な日数で借りていたぜ」

 長いことここを拠点にしているアル達は、かなり顔が広く、有名な冒険者パーティであり、アル自体の兄貴肌も相俟って、協力的な人が多い。

 そのアルの聞き込み情報は信頼出来る。

 何だかんだで全員が人の良いパーティだ。そして経験も豊富な彼等は、すぐに救出のために動き出したのだった。


 一方洞穴を探索していくルーシェ達。上層部はまだそこまで熱くはない。また、予想と違い明るいのだった。

 理由としては、場所柄火の小精が多いところで、壁のあちこちに純度は低いが火の魔石が多く含まれているようで、問題ない程度の明るさが保たれていた。


「予想より明るくて助かりますね。しかし…」と、困惑した表情のルーシェ。

「そうですね…これはかなり異常事態です」と、ルーシェに同意するイリス。

 通常だとここには下級レベルしかいないはずなのに、既に中級のモンスターが混じっているのだ。

 下層へとつながる場所ならまだしも、現在は上層部の中程である。

 つまりこの先は殆どが中級レベルの魔物の巣になっている恐れがある。

 しかもここは推奨銀ランク。中級とは銅ランクからしたら上級格上の強さである。

 戦闘能力として、ミノケンタと戦えるレベルのルーシェからすれば問題はない。

 姉妹もコンビネーションで足りないところを補っているので、問題はない。

 しかし洞穴での戦闘経験の無さによって、力を発揮しきれていないといった感じだ。

 問題はそれだけではなかった。圧倒的な冒険者としての経験不足である。つまりは…

「あぁもう!また囲まれちゃったわ!」

 エリスが悪態を付きながら、前方の引き付け役を。

「こっちは僕が押さえます!」

 ルーシェが後方の数体を受け持つ。

「援護します!」

 イリスが左右に首を振り、状況把握にあくせくしながら、バフ。デバフと奔走する。

「イリスさん!こっちは大丈夫です!エリスさんの方へ集中してください!」

 イリス側へ通さないことだけを念頭に、それ以外はパーティ戦であることは棄て、ルーシェは普段の戦闘スタイルで、手早く仕留めることにした。

 そうしなければ間に合わないのだ。

 戦闘の音やモンスターの血の臭いに寄せられて、他のモンスターがどんどんやって来てしまう。

(ルーシェ!上から5体!)

 更に上から魔物が降ってきた。

「キシャーーーーーーーッ!」

 鋭い牙と爪をもった巨大な蜘蛛のモンスターだ。

 最悪のタイミングである。

 ルーシェだけなら倒し続けることも可能だ。

 しかし二人は確実に死ぬ。

「仕方ないですね…一旦引きましょう…」

 ルーシェはミノケンタを眠らせた睡眠香を使ったのだった。


「流石に二人を運ぶのは大変だな」

「別に元々ルーシェを騙してたんだし、ほっといてもよかったんじゃないの?」

「うーん…でもこの二人、悪い人じゃないと思うんだ」

「まぁ…ルーシェの旅なんだから、ルーシェが決めたらいいんだけどさ…心配させすぎないでよね」

 洞穴内の小部屋のようなところに、姉妹を担いで避難したルーシェは、シルフィと話していた。

 入口は一つだけなので、そこに魔物避けをしているので、よっぽど強力なモンスターでなければ安心だ。

「近距離で二人共吸っただろうから、なかなか起きないだろうし、少し休んでおこう」

「そうね。でも…本当に数が多いわね…何かあったのかな?」

「何かは奥に行けばわかるんだろうけど…今は対策をどうするかの方が先決だね」

「ルーシェと私でさっさといっちゃうとかは?」

「流石においていけないし却下。それに絶対に自分だけでやれるなんてことはないんだから」

「ふーん…じゃあどうするのよ?」

「洞穴内を全部眠らせるには睡眠香が足りないし…そうだね…数がまとめて来るから対処できない…なら………あっ!もしかして…」と、ルーシェは壁を削り始めたのだった。


 そこから暫くの時間が立った。

「う…ぅーん…あれ?ここは?」

 エリスが目覚めたようだ。

「おはようございます。洞穴内の穴の一つに、避難している状態ですよ」

「え?なんで…?あ…そうか…囲まれて…って何で生きてるの私!?イリスはっ!?」

「安心してください。イリスさんは無事です。横でまだ眠ってますよ」

「イリス…よかった…本当によかった…」

「お姉ちゃん…やかましいですよ…」

「イリスぅ……よかったよぉー………」

「涙はいいですが、鼻水は服に付けないで下さいね…」

「こんなときにまでそんなこと言うなぁ!」

「はいはい。お姉ちゃんも無事で何よりです」

 イリスは体を起こし、身体の確認をした。

「改めてお二人ともおはようございます」

「おはようございます…たぶんルーシェさんが助けてくれたんですね…ありがとうございます。でも…どうやって?」

「えーと…ですね…生薬とか作れまして、睡眠香を使いました。緊急だったので、お二人共巻き込んでしまいすみません」

「そうだったんですね…お陰で助かりました。ありがとうございます」

「本当に助かったわ。ありがとう」

 二人にお礼を言われ、少し照れたルーシェだった。

「しかし…この状況だとどうしましょうか…先へ進めません…」

「おいイリス!諦めるの?師匠の命がかかってるのよ?せっかくここまで来たのに…」

「でもこのままじゃ…三人とも命がいくつあってもたりないです…」

「それは…そうだけど…でも…」

「すみません。そのことで少しよろしいでしょうか?もしかすると何とかなるかもしれませんよ?」

「え?本当に!?」

 エリスが掴みかからんばかりに詰め寄ってくる。

「ま…まだ試してないので、確実にとは言えません。が、成功率は高いかと…って、流石にエリスさん…近いです近いです」

「あ、ごめん…でもどうやって?」

「ここの洞穴の壁を、少し掘って調べてみました」

 削った石や砂を見せた。

「ただの砂や石では?いえ…何かキラキラした物が混じっている?」

「そこが重要なんです。ここには火の魔石がいたる所にあります」

「それは知ってます。ですが純度が低過ぎて、使い道がないのでは…?」

「純度の低さが重要なんです。強過ぎると大爆発を起こす武器に使われますが、これだけ純度が低いと音が響く程度です。その程度なら、ここの洞穴の崩落の心配はありませんしね」

「それをどう使うんですか?」

「そこは使ってみてのお楽しみということで!」

 そう言ったあと、二人の体調の確認をし、穴を出ていった。


(ここよここ)と、シルフィがルーシェに場所を教えた

(ありがとうシルフィ…早速準備に入るね)

 ルーシェ達はこっそり隠れつつ、大きな空洞に仕掛けた、魔石で作った爆竹を鳴らす。

 その周りの魔石にもそれが反応して、連鎖的に音が響き渡る。

 洞穴内部で音響き渡るということは…

「「「キシャーーーーーーーッ」」」

「「ギュルルルルルルルゥ」」

「「「「「グルルルルルルルゥ」」」」」

 その場をめがけて、凄まじい数の魔物が集まってきた。

 魔物同士が集まり、魔物同士での潰し合いが始まる。

「すごい音だったわね…これが作戦?」

「そういうことです」

「なるほど…魔物同士で縄張り争いを普段からしてるんですし、音でおびき寄せれば…」

「そういうことです。さぁ今のうちに。まだ集まってくるはずです。こっそりいきますよ」

(シルフィ…先導お願いね)

(わかった。でも本当にどんどん集まるわね)

(魔物同士の戦いで血も流れるからね。音だけじゃなくて臭いでもどんどん集まるからね…先を急ごう)

 




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