一二三話 書類仕事と発狂
遅くなってすみません。
現在自営業の店舗立ち上げなどがあり、非常に忙しくなってます(゜A゜;)ゴクリ
不定期更新で本当にすみません。
そして誤字報告ありがとうございますm(__)m
推敲する暇もなしですみません…
暫くぶりに帰還したルーシェを待っていたのは、書類の山である。
国のあれこれに関して、ギルド側から派遣された人材に丸投げではあるものの、最終の決済に関しては、ルーシェがしなければならない。
実際それも形式的な物であり、実際のところ決済の判子を待たずに、殆どの作業は進められていたりするのだが、国に執着のないルーシェからすれば、殆どどうでもいいことである。
「この判も誰か別の人がやってくれたらいいのに…」
ぶつくさと言いつつ、文面には殆ど目を通さずに、淡々と流れ作業よろしくといった感じだ。
ちなみにどれくらいの書類が溜まっていたのかというと、執務室には入り切らずに、隣の資料室や空き部屋にまで、書類がぎっちりと想像してもらいたい。
その書類を突き付けられた瞬間に、そっと戸を閉め、外へと逃亡しようとしたところを、未然に察知していたであろう、宰相役のゴルドンに止められてしまった。
彼は元冒険者であり、現ギルド職員でもある。
鍛えられたその体は今でも健在である。
いや、実は冒険者時代よりも今の方がより鍛えられていたりする。
あちこちに残る無数の傷跡と浅黒い肌。
その肌を突き破らんばかりの筋肉の隆起。
聞くところによると、暇を見つけては王国騎士の訓練に混ざって、若い者達を鍛え(基シバキ回して…ゲフンゲフン)ているとか。
「ふふふ…ルーシェ様。何処へ行こうというのかな?」
「いや…えーと…その…」
「逃しはしませんぞ?」
そう宣ったあと、顔まで筋肉質になった、ただでさえ厳つい顔を歪めて、更に怖くなる。
(本人としては精一杯の笑顔のつもりである)
その顔と逞しすぎる腕力に、為す術もなくこの二日間ぶっ続けで、仕事を片付けたルーシェである。
そして三日目の今日、ルーシェの限界は訪れたのである。
「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ゛!もう嫌だぁーーーーーーーーーーーーーーーっ
!」
突如として執務室を飛び出し、発狂したルーシェが物凄い勢いで場内を駆け抜けていく。
接触状態ならいざ知らず、リミッターを外したルーシェの全速力に追い付ける者はほとんどいない。
宇宙を流れる流星の如く、屋上の扉を突き破り、空へと爆進するルーシェ。
後の世の歴史書に書き記された、逆流れ星事件の真相。
しかし改変された歴史書にはそう言った記載はなく、ただただ宇宙へと向かう流れ星のようであったとだけ、歴史に残ったという。
ちなみにルーシェはひとしきり暴走した先で力を使い切り、地に伏せることになる。
隣国の国境ギリギリまで迫っていたルーシェ。
そしてルーシェの上げる叫声に、隣国の人達は怯え、軍まで派遣し、防備していたとか。
『あの声は…新種の魔獣か地獄の化物が現れたのかい?』と、語るほどであった。
そんなバタバタがありつつ、やっと出来た時間は、死んだように眠ることになる。
このときルーシェは魔族の親子達の話をする予定だったのだが、それを忘れてしまったため、後に一悶着起こることになるのだが、それはまた別の話である。
火の大精霊の件は片付いたのもあり、前回置いてけぼりを食らった仲間達は、今回は連れて行けと、返事も聞かぬままにジークの取り付けられた荷台へと乗り込む。
「まぁ大丈夫かな?」
「大丈夫じゃろ?むしろ連れて行かなかったとき、後の方が怖そうじゃ…」
全くもって同意するルーシェ。
少し会ってなかった影響か、エリス、イリス、セレナスの三人は、ルーシェに構い構われたいと、三つ巴の戦いが開始されていた。
勿論気恥ずかしさもあるため、牽制を入れつつも、激しい火花を散らしていた。
賞品?であるルーシェはそんなこととは露知らず、今後のために色々と準備をしていた。
「よし…これでいけるかな?」
そう呟いたルーシェは立ち上がり、奥の部屋へと入る。
少しして出てきたルーシェに、エリスが声をかけた。
「ルーシェ!ちょっといい?」
「……」
「ねぇ?ちょっと…もしかして…怪我させたこと怒ってるの?」
「……」
返事のない状況に愕然としつつ、露骨に落ち込むエリス。
「流石にまだ喋ったりはできないか…」
そう言いながら、奥の部屋から現れたのはルーシェである。
「え?え?ルーシェが二人?え?」
「アハハ。驚いた?」
そう。ルーシェは覚えた陰陽術の応用で、自分を再現してみせたのだ。
「これを用意しておけば、前みたいな判子作業をやっておいてもらえるし、便利かな?って。と言っても、まだ複雑なあれこれが出来るわけじゃないんだけどね」
そう言いながら判子と紙を渡すと、ペタペタと押し始める式神ルーシェ。
「ビックリしました」
そう言いつつ、判子を押す式神ルーシェをペタペタと触りだすイリス。
セレナスだけは感情や思考がないことを瞬時に見抜き、奥にルーシェがいることも感知していたため、特に驚いた様子はなかった。
暫く撫でていたイリスの手が不意に止まり、考え込んだあと立ち上がった。
「ルーシェさん。このコピーって何体出せますか?」
「ん?どうだろ?まだまだ余裕はあるけど」
「ちなみに何時間後に消えるとかは?」
「あーと…難しいことを組み込んではないから、二〜三日は絶対大丈夫かな?」
キラキラというより、ギラギラした目で根掘り葉掘り聞くイリスに少し引きつつ、受け答えをしてたら、自分用に式神ルーシェを作って欲しいと言われた。
「作るのはいいけど…それで何をするの?」
「それは乙女の秘密です」
頑として口は割らない姿勢と共に、NOと言わせない妙な迫力に、ルーシェは仕方なく作った。
実は内緒で何をするのかわかるように、細工をしてたりするのだが、それは彼女の尊厳に関わるため、墓の中まで持っていく秘密となった。
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本当に五体投地のジャンピングスライディング土下座したい気持ちです!(するとは言ってない)
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