表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森育ちの天然ドルイド  作者: 食欲のアキ
122/124

百ニ一話 親子の再会と団欒

 遅くなってすみません。

 通勤で何とか書き上げてます(´;ω;`)

 立ちっぱなしで…脚が…足が…

 アーカイブスから戻ると驚いたことがある。

 時間が経過していないのだ。


「アーカイブスは精神へと繋がるのじゃ。肉体と精神では流れ方が違うのはわかるかの?」


 というシリウスの説明。

 もっとも、完全に止まっているというわけではなく、かなり遅く、ゆっくりとした経過であるという。

 期間にして、向こうでの一年は現実での一秒らしい。


「良からぬことを考えておる顔をしておるが、やめておいた方がいいのぉ」


 と、ルーシェの顔を見ながらシリウスが呟く。

 肉体は精神の影響を多く受ける。

 過去、研究者の中で今のルーシェと同じように考えて、研究に没頭した者があとをたたなかったらしい。

 結果は悲惨なものだったとだけ伝えておこう。


「はい。やめておきます」

「ふむ。それが賢明じゃ」


 過去の結果を聞いたルーシェは思わず敬語で、若干震えながら答えた様子が、その凄惨さを物語っていた。


 そこからシリウスの案内(という名の地中掘削最短移動)の元、二時間後に魔族の親子の元へと辿り着いた。


「シリウス様。いらっしゃいませ」

「いらっしゃいませ!」


 大柄な魔族はシリウスに気付き、巨躯には似合わぬ速度で腰を90度に曲げ、綺麗なお辞儀をした。

 娘もそれに習い、一拍遅れで同じように腰を折った。

 その立ち居振る舞い。醸し出す空気の全てが、火の祭壇前でのものとは違い過ぎるため、その目を何度もゴシゴシと擦るルーシェ。


「ふむ。進捗の方はどうじゃ?」


 何でもないことのように、声をかけるシリウス。

 小柄な少女に向かい、慇懃無礼な大男が頭を下げる姿は、見る者によってはどこか物悲しさを感じるかもしれない。



「すみません。流石にまだ…ですが、一部わかったこともございます」


 うん。おっさんのひたすらに丁寧過ぎるこの動きは、かなり来るものがある…


「一体何でこんなに丁寧なのさ…気味が悪いよ…」


 流石に来るものがあり過ぎたルーシェは、耳打ちをした。


「ふむ。奴等は魔族を抜け、お主の国に亡命することにしたのじゃ。そういうわけでルーシェ、よしなに頼むぞ」


 シリウスの一言に目を白黒させるルーシェ。

 その一言に、『いやぁ…御世話になります』と、決定事項のように、親子揃って頭を下げる。

 どうも厄介ごとが、自分の知らないところで増えていた様だ。



 諸問題は後で考えるとして、魔族の親子は何故亡命したのか。

 ここでシリウスに何をさせられていたのか、聞き出すことにした。


「はい王様。うちの娘はハーフでございまして、そのぉ…魔族の中でも、うちは半分村八分みたいな状態でして…」


 この大柄な魔族は、たまたま捕虜として捕まえた人間の女性と色々あり、恋仲になったそうな。

 端的に言うと合体○。ハーフの娘が生誕。ということらしい。

 魔族の中では人間に骨抜きにされた腑抜けと、酷い扱いを受けていた。

 そんな中でも、質素な生活だが家族仲良く幸せに暮らしていたそうな。

 しかしそれも突如として崩れる。

 最愛の妻を拉致され、脅されることになる。


「そんな訳でして、娘にも辛く当たるよう脅され、仕方なく演技をしていたんですが…」

「元々が気弱なお父ちゃんだから、なりきらないとボロが出るって、他の魔族にも強く当たるようにしてたんだってさ」


 あの場にいた雰囲気とのギャップはそういうことらしい。

 うん。かなり疑わしいが…まぁスイッチが入ると豹変する人もいるしと、無理矢理納得することにした。


「それで母親はどうなったの?」

「ふむ。我とジークで助けたのじゃ」


 胸を張りつつ、会話に割って入ったシリウス。

 ジークと親子ですぐに動いていたのはこのためらしい。

 

「本当にありがとうございますぅ!」


 その場でジャンピング土下座を決めた父と、楽しそうに真似をして遊ぶ娘。

 父親の方が嫌になるほどド丁寧な理由は、たぶんこういうことに起因するのだろう。


「助けた母親はどうしてるの?」

「他の捕虜となってた人も一緒に助けたのじゃが、栄養失調気味だったりする者が多くてな。そいつらの看病に勤めてるのじゃ」

「いやいや、うん。そういうことならすぐにそっちに連れてってよ」


 というわけで、そっちへすぐに急行したルーシェは、自身の薬と魔法により、体調を崩していた者達を瞬く間に治療していった。

 

 突如現れた謎の少年の、訳のわからない治療行為で、元気になる人達を見て、世話をしていた母親は口をあんぐりと開けていたのは印象的だ。


 その後ルーシェは、『この人達の面倒は代わるから、せっかくの親子三人の再会を、思う存分満喫してくるように』と、同行していた父子共々に言った。


『それは流石に…』と、遠慮する父親に対しては、『王の勅命です』と、その一言で黙らせたのだ。


「辛い思いして再会出来たんだから、これくらいは気を使わないと」

「…そ、そうじゃな…うむ…」


 ジト目をシリウスに向けつつも、作業を進めるルーシェと、その言葉に二の句が継げなり、より小さくなるシリウス。


 その二人の奥には明るい笑顔を浮かべながら抱き合う家族の姿。

 その目から落ちる雫とその奇跡の眩しさは、きっと明るい未来を表している。

 


 皆様いつもご拝読頂き、誠にありがとうございます!

 少しでも面白いと思った方は、是非是非ブックマーク登録&高評価、よろしくお願いします!

 して頂けると、作者は自身に鞭打ってまた頑張りますので、よろしくお願いします!笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ