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森育ちの天然ドルイド  作者: 食欲のアキ
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百一六話 タダ働き

 四時起きからの深夜0時までの仕事生活…

うん。ハード過ぎて死にそうでした。

 明日からは6時起き…

帰りも遅くても夕方の定時…!

やっと人らしい生活が戻ってくるぞぉー!

 崩落と迫り来る熔岩から、命からがら脱出した一行。

かなり急な行軍で疲労困憊のため、ジークの運ぶ籠の中で、一堂ぐったりとしている。


 シリウスを除いてだ。


 彼女だけは、どこか思案するような、痛みともとれる苦い顔浮かべていた。


 いつもお気楽極楽自堕落に、自分の気の向くままな彼女がそんな状態のため、全員声をかけられないでいる。


(まぁそうであっても、シリウスには色々と聞かなきゃだけど…流石に眠いや…)


 疲労と徹夜から来る眠気に負けて、意識をあちらの世界へと旅立たせたのだった。




 それからどれくらい眠っていたのだろうか…

 寝すぎてしまったようで、逆に頭が重い。

 ボヤけた頭と視界で周囲を確認すると、そこは籠の中だった。

 周りに人はいない。

 

 いや、少し離れたところから、何やら声が聞こえる。


 その声に引かれる様に、ルーシェは外へと出た。


「おぉ!お目覚めになったようで!」

「はい。おはようございます?」


 見覚えのない顔の、細見な初老の男に声をかけられた。


「この度は儂らのために多大なご尽力、誠にありがとうございます…」


 マホ達と同じ訛というか、イントネーションながらも、非常に丁寧に腰を折る。


「いや。まぁたまたま成り行きといいますか…えーと…貴方は?」

「申し遅れました。ハルツグと申します。アカネの祖父にございます。本当に何とお礼を言えば良いのか…」


 アカネの祖父と言われ、よくよく目元を見ると、確かに繋がりを感じるような気が、しなくもなくもなくもない。


「いえ。全員を助けることが出来ずに申し訳ないです」

「そんな!それは致し方ないこと。頭を上げて下さい。あなた方の行いで、多くの命が救われた…それは紛れもない事実なのです。我等だけでは何も救えず…最悪世界が滅んでいたかもしれない…だから貴方が気に悩むことは一つもありません」


 そう言われても、やはり自分の胸に刺さった棘があるのを感じてしまう。

 しかし、それは何とか面に出さずに、


「そう言って頂けると助かります」


 そうとだけ返事を返した。


 その後のことを聞いた。

 精霊二人はまだ休んでいるそうだ。

 シリウスとジークの二人で魔族の拠点へ行き、救助して来てくれたらしい。


 一旦戻ってきたあと、少し調べることがあると、またジークに頼んで何処かへと飛んで行ったそうな。


 シリウスの様子から、思い詰めたような雰囲気だったと、少し気がかりであると、ハルツグからの言葉だった。


 逆にジークの方は喜んでいる節があったので、心配しなくてもいいかもしれないとの言葉も。


(うん。子供達の相手がよっぽどだったんだろうな…)


 と、そこだけ内心で苦笑していたルーシェである。


「まぁ仲間を置いたまま行かれたのですから、そんなに掛からず戻ってくると思いますが、良ければ暫くこちらにて滞在下さい。この程度では返せませんが、精一杯おもてなしさせて頂きたく」

「うーん。じゃあお言葉に甘えさせて頂きます。そういえば、マホ達はどちらへ?」

「何やら新しい祭壇云々で、精霊様と動いております。亡くなった者の鎮魂も行うためにも必要とか…いや、まさか生きているうちに、この目で精霊様をご拝顔賜るとは…」


 今にも感動で泣き出しそうなハルツグは放っといて、マホ達の元へと向かった。




「おぉ!起きたか?お寝坊さんやったなぁ!おそようさん!」

「あ!ルーシェさん!おはようございますぅ!」

「そんなに寝てたのか…そういえば今って何時くらいなの?」

「ん?寝過ぎてわからんかぁ?せやろなぁ。今はもう昼ごはんの時間も過ぎてもぉたで!食いっぱぐれて残念やったなぁ〜」

「もう!意地悪言わないの!お腹空いてませんかぁ?もし良ければご用意しますよぉ?」


 元気な二人の勢いに圧倒(むしろマシンガントークに入り込むことが出来ないのが正しい)され、どうしようかと思ったときに、小さな火の玉がアカネの持つ勾玉から飛び出してきた。


「この度はありがとうルーシェくん」

「ん?その子は精霊かな?」

「如何にも!火を司る大精霊が一柱、フレイアスだよ。今回は色々とありがとう。そしてすまなかったね」


 声の雰囲気も話し方も、地底でのものとは全く別である。


「えーと…本当に大精霊なの?」


 その力の弱々しさに、思わず疑ってしまうルーシェ。

 アクエリアスにエアリアス、生で見てる二人の大精霊に比べて、圧倒的に弱いのだ。


「こらルーシェ!何失礼なこと言っとんねん!すみませんフレイアス様!」

「ははは。うん。いや、ルーシェくんが疑うのも無理はないよ。それほど今の僕は弱っているからね」


 火の玉は小さな腕を生やし、器用に腕を組む。


「実は今回のことで、相当に無理をしてしまってね。エネルギーの供給源である祭壇が壊れてしまったんだよね。だから早く代理の物を用意しなくてはと、二人に頼んでたんだよ」

「そうなんだ?でもあれ?他の精霊は祭壇を供給源とかにはしてないよね?」

「火の力はちょっと他と違って特殊でね。それに急がないといけない理由がまだあってね。早く作らないと、折角止めた大噴火と地殻崩壊が、また始まってしまうからね」

「ちょっと!そんな悠長に話してる場合!?それ大事だよ!」

「うん!良いノリツッコミだよ!というわけで、ルーシェくんも協力してくれるよね?」


 うん。どうも起きたらまたタダ働きが待っていたようだ。

 皆様いつもご拝読頂き、誠にありがとうございます!

 高評価やブックマーク登録して頂けると、非常にモチベーションが上がります!

 まだの方は是非是非両方お願いします!

 していただけますと、作者は小躍りして喜んだあと、画面の前で感謝の五体投地しております!

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