百一四話 VSフレイアス
書いてたら書きたいことが増えてしまい、加筆してしまいました笑
たぶんいいことのはず。うん。
皆さん連休は如何お過ごしですか?
巣篭もりが求められる今、少しでもそれの役に、自身の書いたものが使われていれば、幸いと思います!
小さくも力強い輝きを放つ、極小の太陽。
それを解き放とうとした瞬間、気力を振り絞り、飛び掛かる者がいた。
体の一部を削り取られ、それと一緒に飛び散った腕。 そこから血が飛び出るようなことはなかった。
体の方も同じである。
その高温で瞬時に傷口が焼きかれ、塞がってしまった。
「おい…娘…の…体…返せ…」
「死にぞこないが」
自身へと襲いかかる痛みは全て無視し、片膝を折りながらも、ただただ必死に無事な片腕で娘の体へと掴みかかろうとしたのだが、それは少女から放たれ蹴りにより、無慈悲に、無惨に散ることとなる。
「フレイアス…よね?」
「フレイアス…?ククク…そうでもあるし、そうでもない…ただ、我は契約を果たすのみ」
アクエリアスの言葉にそう答えた後、また先程の太陽を作り出し始める。
「これでも喰らうのじゃ!」
シリウスが地へと祈るように両の手を押し当てる。
動きや力が制限されるこの場所において、細かい微調整は出来ない。
しかし、フレイアスの作り出そうとしている物の危険性を感じ取ったシリウスは、命を奪うことも已む無しと、持てる神力をフルで使い、すべてを飲み込む大地の顎ともいうべき、地割れを起こしたのだ。
空を飛び、それを回避しようとしたのだが、それは元より計算済み。
地の力である重量を限定的範囲で加重させ、逃すまいとフレイアスを飲み込み、その口を閉じたのだ。
「ちょっと!いくらなんでも!」
「こうでもせんと全員どころか、下手すると星ごと滅びる」
アクエリアスの声に、いつもとは違い冷淡に言い、黙らせたシリウス。
その目を見れば、誰も何も言えなくなったのだ。
「契約…契約…契約は遂行される…」
「何じゃと!?」
閉じた地面が白く突如隆起した。
否、例の白い炎が地を突き破ったのだ。
「契約の邪魔をするなら…お前ら…か…ら…始…末して…やろう…ウゥゥゥゥゥウウウォオォォォォアアアアアアアッ!」
まだ幾分理性を感じた先程までとは違い、デタラメに暴れ始める。
それは正に炎の狂乱である。
襲い来るデタラメな威力、暴力の嵐を、ルーシェはギリギリ凌いでいた。
(これは…ヤバ過ぎる…)
何とか止めねばと、二刀を抜き放ち、その瞬足をもって、フレイアスへと迫ったのだ。
ルーシェの攻撃が確かにフレイアスに触れた。
次の瞬間、無明が一部蒸発して無くなったのだ。
「嘘でしょ!?」
振り向き座間に、フレイアスは炎の剣でルーシェを斬りかかる。
驚異的な反射速度でそれを躱し距離を取るも、 レーザー砲のような攻撃がルーシェを襲う。
それ時に避け、時に斬り伏せる。
「どんな高温だよ…」
バックステップでレーザーを避けながら、ルーシェは苦虫を噛み潰すような渋面を作った。
レーザーを躱しきれずに、脇腹をかすったのだ。
崩れかける体を無理矢理剣で支え、相手を見据えるルーシェ。
かすっただけでこの威力だ。
もし直撃すれば、即死は免れない。
ルーシェへと意識が向いているため、疎かになった背後へ、シリウスが強襲する。
その一撃を喰らい、地面へと叩き付けられたフレイアス。
「ウガァアァァァァアァアアアアアアアア!」
「これならギリギリ触れることはできそうじゃな」
手脚と関節を守るように、鈍く黒光りくるガントレットが、シリウスに装着されていた。
「神力をありったけ詰め、凝縮すれば、攻撃は届く」
フレイアス目掛けて襲いかかるシリウス。
一撃二撃と、その拳が!脚が!フレイアスへと突き刺さる。
が、反撃もそこまでだった。
次の瞬間、崩れ落ちたシリウス。
元々存分に力の使えないここで、無理をして神力を使い過ぎたため、エネルギー切れを起こしたのだ。
これ幸いにと、フレイアスがシリウスの頭部目掛けて、レーザーを発射しようと指を構える。
斬れないとわかっていつつも、ルーシェは迫る悪意へと白刃を放つ。
「グギィィイィイイイイィイィィィイィ!」
次の瞬間、フレイアスの腕は斬り落とされていた。
ルーシェは驚きつつも、自身の剣へと目を落とす。
蒼白い光を放つその刀身。
「私もこれが限界…あとは任せたわ…」
そう言って、アクエリアスも倒れた。
火との相性が悪いアクエリアスも、シリウスと同様に力を制限されていた。
残した力のほとんどを、ルーシェへと託し倒れた。
火と水は対立する属性である。
暴走する力の前では、如何に同格と言えども、防ぎ切れなかったアクエリアス。
それをルーシェの力に足すことで、凌駕させたのだ。
「これなら!」
ルーシェはフレイアスへと斬りかかる。
先程よりも強い力を込めたフレイアスの拳とぶつかり合う。
鈍い金属の衝突音のような物が鳴り響く。
力は拮抗している。
打ち合うに連れ、徐々に蒼い輝きが弱くなっていく。
しかし、弱くなるのはフレイアスも同様である。
いや、フレイアスの方が、明らかに脆くなっているのだ。
白刃剥落の能力である。
その防御力、耐久性を奪い削る力。
残る片腕が限界を越えたそのとき、ルーシェは止めを刺すべく、その剣で心臓を穿く。
その刃は大柄の魔族の胸へと突き刺さった。
「む…す…め…なのだ…殺…さな…」
引き抜こうとする刃を掴み、放さない魔族。
「お…父…ちゃ…ん…?」
「だ…い…丈…夫…か…?」
「何で…?お父ちゃんが…?何で…?」
「…無…事…な…い…い…ゴフッ」
吐血した魔族へと抱き寄る少女の姿は、先程のものとは違っていた。
斬り落としたはずの腕も治っている。
「どういうことだ…?」
事態が飲み込めず、どうしたものか…と思った次の瞬間、地響きが唸り突如唸りをあげた。
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