百一三話 父の強さ
すみません。
ここで火の大精霊編終わらせたかったのですが、書ききれなかったので、もう少し続けます。
長文で頑張りたかったのですが、書く時間が本当にない…申し訳ないです…
白色が視界を一瞬で埋め尽くす。
それは高温過ぎるが故、白く発光した炎だった。
その威力は凄まじいの一言に尽きる。
「あ…危なかった…」
「本当にね…」
アクエリアスが瞬時に水の防護膜を展開。
そしてシルフィは空気の層を幾重にも作り、熱伝導を最小限に留めたのだ。
ルーシェは二人に感謝しつつ周囲を確認する。
今一瞬の白炎にもかかわらず、ゴツゴツした回りの岩肌が、部分的に溶ける。
或いは蒸発してしまったようであり、また、部分的に溶岩のようにもなっているのだ。
当然、拉致された人の死骸は、今の一瞬で跡形もなく、綺麗に消え去っていた。
「ウギァァァァァァァァァァァァァァ!」
「アツイアツイアツイ…」
「何だ?この黒い炎は…?消…え…ない…ナイ…」
それに反して魔族の方は、全身を黒い炎に纏わり付かれ、地獄のような苦しみを味わっている。
これだけ燃え続けているにも関わらず、死ぬことを許さない。
精神だけを蝕み続けている。
やがてその終わらない苦しみから逃れるべく、自決を選ぶ者もいたのだが、黒い意思はそれすら許さない。
「な…ん…で…?ナゼ?ナゼ?アヒ…ア…ぁ…あ…アヒャヒャ…アヒャヒャヒャびゃヒャヒャ…!熱い…痛い…こ…殺してくれ…」
精神崩壊を起こしても、それすら無理矢理戻す。
そんな中、小柄な魔族の少女は燃えずにいた。
「…お父ちゃん…?」
「無事…か…?なら…いい…」
白炎が迫る瞬間、咄嗟に娘を抱き包み、その力から守ったのだ。
纏わり付く黒い意思。
その痛みに驚異的な精神力で耐え切っている。
「お父ちゃん…お父ちゃん!お父ちゃん!」
「…いつも辛く…当って…す…ま……」
しかし限界はある。
膝を折った大柄の魔族は、それでも倒れ伏すことに抗う。
その瞳は心配させまいと、必死に頑張る優しき父の目だった。
『ケイヤク…ワレ…ケイヤク…ハタサン』
「何?この声は…」
「脳に直接?」
「この気配は…フレイアス?」
何とも言えないバグったラジオのような調子で、脳へと直接声が叩き付けられる。
『コノケハイ…ミコ?チョウドイイ…ソノカラダ…カリウケルゾ』
「え?何?何か…が…わた…しの…中…に…い…いやぁーーーーーーーーーーーっ!」
「おいっ!?どうした!?何が?この熱は?何だ?おいっ!」
抱く腕の中、突如暴れ出す娘。
限界だった体に鞭を打ち、何とかしなければと慌てふためく。
少女の体がどんどん熱くなる。
それはマグマをも越える、まさに太陽を抱きしめているのではと、錯覚するほどの熱。
限界を越え意識を失くしながらも、その腕は決して娘を手放さなかった。
「…離せ…無礼者」
先程までと口調の違う少女が、自身を抱く腕にそっと触れると、そこから出る光線のような物で、その腕を消し飛ばした。
「我…古の契約により…この地を破壊せねばならぬ…」
そう言って両手を頭上に掲げ、力を集めていく。
圧縮しつつ集められるその力は、正しく小型の太陽だった。
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明け方5時半前…やっと寝れます…
おやすみなさい…




