百十一話 火の祭壇にて相見えん
今回の火の大精霊編も、残りあと僅かです!
気合い入れて、クライマックスへ向かいたいと思います!
資料のおかげで火の祭壇の場所はわかった。
「最短ルートで行くのじゃ!」
シリウスが地を殴り付ける。
いつもなら周囲の状況も鑑みて、音もなく掘削をするのだが、今回は時間がない。
ある程度の地形破壊もやむ無しと割り切り、激しい音を立てて進む。
「たしかに斜めに一直線。最短最速ルートだね」
「今はまだ離れておるからの」
ルーシェへの返事。そのシリウスの一言の意味。
それはある程度近付けば、今の速度は出せないことを暗に示していた。
これだけの掘削音のまま近付けば、こちらの居所が知られ、どういった手に出るかわからない。
そのことを言っているんだろうと理解した。
「ルーシェ。たぶんお主の考えは間違っとるのぉ」
「?」
「彼処は火の祭壇じゃ。あくまで我は地じゃからの。いくら格上の我でも、力が制限されるのを忘れたか?」
そういえば…と、凄風の谷でのことを思い出した。
「火の大精霊は、力を何かで抑えられておる。じゃからある程度今は何とかなっておるのじゃが、近付けば流石に無理じゃ」
「つまり…最悪の場合のことを考えなきゃってことだね」
その言葉に背中で応えるシリウス。
ルーシェは自分の荷物を漁り出した。
一方死への行軍を進める魔族。
先程の諍いとその制裁の後。
無言のまま、歩を進めていく。
文字通りの鉄拳制裁を加えた魔族に、そっと近付く小柄な影が一つ。
「静かになっちゃったね」
「…あぁ…これでいい」
視線は合わせずにブスっとした顔のまま、小声で返す。
「三人分だと重いでしょ?アタイも手伝うよ」
「いや。いい。それよりも急ぐぞ」
「お父ちゃん…」
そう呼ばれた声に振り返ることもなく、大柄な魔族は歩を早めた。
更に進むこと一時間。
祭壇までの道は魔族であっても、相当にキツかった。
マグマの海を越えれば、無駄に長い迷路。
更にはトラップ地獄…etc…
何人かの魔族は途中で息絶え、そして祭壇前に辿り着いたときには、残りは僅か5人だけだった。
「はぁ…はぁ…なんつぅところだ全く…」
汗を拭いながら、一人が悪態をつく。
「はぁ…はぁ…」と、息も絶え絶えといった体の小柄な魔族の少女は、先程お父ちゃんと呼んだ魔族の肩に担がれていた。
担いだ少女を降ろし、休憩を挟む間もなく、仕事に掛かり始める
瓶を並べ始める魔族たち。
不意に後ろの少女を確認した魔族は、仲間から離れて岩陰を殴り、そこそこ大きな穴を開ける。
「ここならアイツを隠しておけるか…」
誰にも聞こえない声で呟いたその声は、無骨ながらも優しさに溢れていた。
少女を呼び、ここに入れようと振り返った瞬間、今掘った穴の奥が崩れ落ちる。
「なっ!」
崩れ落ちたそこから飛び出てきた何かに激しく顎を強打され、吹き飛ぶ大柄の魔族。
「間に合ったかな?」
「そのようね」
「ちゃっちゃと済ませるわよ!」
穴から飛び出たルーシェと二人の大精霊。
周囲をサッと確認し、魔族へと襲い掛かる。
今回に関しては、流石に睡眠系などの技は使えなかった。
仮に瓶を落とされたり、倒れた衝撃で瓶が割れてしまえば、その瞬間解放され、火山性ガスにより瞬く間に死んでしまう。
この場で人が一定数以上死んでしまえば、火の大精霊による暴走劇のトリガーになってしまう。
それに対して良い手立ては思いつかなかった。
苦肉の作として選んだのが、派手な立ち回りによる陽動作戦だ。
この作戦において、人質に多少は犠牲が出てしまうであろうことは覚悟の上である。
幸いにも陽動により、ルーシェ達の方へ魔族の意識を寄せることに成功した。
「たった3人じゃねぇか!やっちまぇ!」
「「おぉっ!」」
ルーシェ達に襲いかかる3人の魔族。
それぞれに応対する素振りをしつつ、瓶から魔族達を引き離すことに成功した。
三人の魔族は、ここに来るまでのアレコレで、相当にストレスを溜め込み、また、疲弊していた。
結果としてあっさり陽動に引っ掛かってくれた。
そう。大柄と小柄の魔族を除いて。だ。
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